2026年5月31日(日)青森・長根屋内スケート場(YSアリーナ八戸)にて『第80回国民スポーツ大会「青の煌めき青森国スポ2026」』が開催される。
今大会では『空道』が初めてデモンストレーション競技として行われる。国民スポーツ大会(旧称:国民体育大会=通称:国体)において、競技が実施された格闘技(徒手武道)は、柔道・ノンコンタクト空手・相撲・レスリング・ボクシングなどの社会的既得権を持つもの以外では、ほとんどない。フルコンタクト空手も、キックボクシングも、MMAも、ブラジリアン柔術も「国体」で競技が実施されたことはないのだ。
また、空道に関しても、次回はいつ国体での競技実施が実現するかは分からない状況だという。それだけに今回、「国体優勝」の称号を得ることは、唯一無二の価値となる可能性が高い。その価値ある頂点を競う有力選手を以下に紹介する。
▼-230クラス
(左から)目黒、佐々木、大西 2015~2019、2021・2022年、2024・2025年と全日本‐230クラス9連覇を達成している〝ミスターKUDO〟目黒雄太が優勝候補筆頭である。しかし、今大会はその目黒の独自の試合展開――ノーガード、側転したり、飛び跳ねたり、寝技で下から頭突きしたり――が打破される可能性が、過去イチ高いと思われる。
まず、2023世界選手権、2024年全日本決勝で目黒と鎬を削った佐々木龍希が、戦線復帰を果たすことがトピックだ。佐々木は高校卒業とともに大道塾総本部内弟子となり、19歳で全日本無差別で準優勝を果たす(2023)など、目覚ましい進撃を続けていたが、2025年年始に父である佐々木亮一・大道塾小樽支部支部長が急逝したことに伴い帰郷、支部運営を引き継ぎ、それ以来、競技からは遠ざかっていた。果たして、現時点での戦闘力は、以前と同様か? いや、以前以上に伸びているのか?
一方、レスリング仕込みのタックルや反り投げを駆使し、直近の国際大会(2025アジア選手権)でこの階級の王者となった大西凜駿はディフェンディングチャンピオン的な立ち位置にいると言ってもよいだろう。
この三つ巴の闘いに、ともに佐々木と旗の割れる接戦を展開した過去をもつ鈴木誠士、田中脩斗、関東予選優勝の今村将祟、西日本予選優勝の中川昇龍らが割って入るかが見もの。
▼-240クラス
(写真)伊東、谷井、遠藤 昨年2025年、悲願の全日本体力別-240クラス優勝を果たした曽山遼太、22年全日本同カテゴリー優勝、24・25年同準優勝の伊東宗志、2024年ワールドカップにおいて、東欧&旧ソ連圏の強豪を連破して王者となった谷井翔太、2025年アジア選手権準優勝の佐々木虎徹と、近年トップ戦線で活躍する4強に加え、2022年アジア選手権優勝以来の戦線復帰となる遠藤春翔は、横一線といってよいだろう。
ハイキックの曽山、硬いパンチの伊東、プロMMA並行活動中の谷井、ムエタイスタイルの佐々木、スピード最速の遠藤…このメンバーが全員揃ったトーナメントは、-240クラス45年の歴史において最高レベルの闘いといって過言ではないだろう。
追走する西日本予選優勝の佐々木翼、九州・沖縄予選優勝の鶴田陸、東北予選決勝を遠藤と争った佐々木惣一朗らも侮れない。
▼-250クラス
現状では、空道のトップレベルの大会への出場を果たすのは空道競技のための練習を専門に行っている団体・大道塾の選手が大半を占めるが、この階級は、大道塾所属でない2選手が台風の目となりそうだ。
ひとりは、2024・2025年と、この階級の全日本連覇を果たしている鈴木浩祐。鈴木は「小杉道場」という団体の所属選手だが、柔道出身でキックボクシングのアマチュア全日本大会優勝の実績を持ち、道着を掴んでの打撃攻防など、空道オリジナルのテクニック攻防への対応力もしっかり身につけている。
もうひとりは、プロMMAの世界で活躍し、数々のサブミッションレスリング系競技で世界選手権優勝経験を持つ山田崇太郎。関東予選でも腕関節技で一本、足関節技でも一本と、その持ち味を発揮していただけに、今大会においても打撃系の選手を寝技地獄に引きずり込むことができるか、目が離せない。
1試合において1回につき30秒、2回までしか許されない寝技で一本を取り続ける名人芸に、場内から驚嘆の声があがることになるのか?
迎え撃つ大道塾勢は、ボクシングと柔道のキャリアを武器に、離れればパンチでKO、組めば豪快な内股を決め、2024・2025年と2年連続でこの階級の全日本ファイナリストとなった中村凌、自衛隊で修練する日本拳法仕込みの右ストレートを武器に2018年のこの階級の全日本王者となった藤田隆、5歳から空道ひと筋で関東予選優勝の佐藤裕太、キックボクシング系競技のアマチュア全日本大会優勝経験のある並木仁也ら。
空道ならではの多様な武道・格闘技のバックボーンが織りなす技の交錯が、楽しみだ。
▼-260クラス
2024年のこの階級の全日本王者であり、2025年は準決勝で拳を骨折し、勝利を納めつつ決勝を棄権した林洸聖が1年ぶりの戦線復帰。2024年は林に敗れ準優勝、2025年は林の棄権により決勝不戦勝で優勝した麦谷亮介は、林を倒し、昨年得た全日本王者の称号がフロックによるものでないことを証明できるか?
中間距離で剛腕を振るいたい林と、離れてのミドルキック、組んでの膝蹴りを得意とする麦谷の距離の制し合いに注目。
しかし、半年前、2025年アジア選手権で同年のロシアナショナル大会3位のオレグ・イワノフから殊勲の星を挙げた永見竜次郎、その永見に競り勝って2025年アジア王者となった水村健太郎は、いずれも麦谷に勝利した経験を持っている。元高校球児らしい強肩によるストレートパンチでダウンを奪う永見、ハイキックから寝技までトータル型の水村。誰が頂点に立っても、おかしくない。
奈良、5年ぶりの戴冠を地元で達成するドラマをみせるか?
▼260+クラス
2019年にこの階級の全日本王者となり、コロナ問題により全日本選手権が中止となった2020年を挟んで、2021年に連覇を果たしたにもかかわらず、その後、2023年世界選手権出場を逃すなどトップ戦線から外れていた奈良朋弥は、地元・青森で復活の狼煙をあげられるか?
2024年のファイナリスト、日本拳法出身の山田泰輔が迎え撃つ。▼女子-220クラス
2023年世界選手権-220クラスで優勝を果たし、2025年アジア選手権で、前年の全ロシア選手権-220クラス優勝者であるオレシア・ブルダココワを下し、2024年、2025年と全日本連覇を遂げている小野寺玲奈が、頭一つ抜きんでている。
パワー・スピード・フォームの乱れのなさを兼ね備えた打撃、掴んでの頭突きや蹴りで重心の崩れをつくってからの投げ、投げからの流れるような寝技…と、空道の理想形ともいえる闘いのフォルムを、演武レベルの美しさで披露し続けてくれる可能性が高い。
小野寺と同じくジュニア競技で全日本を制し、一般カテゴリーに昇格した西田美玖莉、相内春花、横山香織には、チャレンジャーとして、爪痕を残してほしいところ。