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【UFC】朝倉海、バンタム級に戻してオクタゴン初勝利を目指す「日本のチームの人たちと一緒に勝ちたい」=5月30日(土)マカオ

2026/05/27 14:05
 2026年5月30日(土)中国・マカオのギャラクシー・アリーナで開催される『UFC Fight Night: Song vs. Figueiredo』(U-NEXT配信)のバンタム級(5分3R)で、朝倉海(ジャパントップチーム)が、米国のキャメロン・スモザーマン(米国)と対戦する。再起戦に先駆けて、U-NEXTにて『朝倉海ドキュメンタリー』が公開された。 「テイクダウン取らせなきゃいいや」から「最悪のケースも想定」した練習に  既報通り、トライフォース赤坂時代に和術慧舟會HEARTSでの出稽古でともに練習していた金原正徳にヘッドコーチを依頼した朝倉海。 「2戦勝ててないっていう状況で、2連敗したのも初めてですし、正直なんかどこか不安もあるっていう、今までなかった感情ではあります。ティム・エリオットに負けて、やっぱちょっと悩んでた部分があって“どうしたらいいのかな”“でもやるしかないな”っていう中で。金原さんが引退してるっていうのと、メッセージもくれて、金原さんはMMAも詳しいし、やっぱり実績のある人だし、UFCも経験してるしっていうところで、お願いしますっていう流れで、コーチをやってもらいました」と、その経緯を明かし、いまは「全部が繋がって総合格闘技としてしっかり完成してきてるなっていうのがありますね」と、手応えを語る。  その金原は、朝倉海専属ながら、それに伴うプロ練習で、JTTのドリル練習などを牽引する形となり、動画では朝倉が、不利なポジションから脱出するシチュエーショントレーニングに取り組む姿が映し出されている。 「もう最近はグラップリングの練習が多いですね。色々なシチュエーションから、わざとキツい展開を試したりしています。このわざと苦手なところでしっかりやる練習をたくさん積んできたんで、この期間かなり自信はつきました。やっぱり寝技に関しては全然追求できてなかったので。“テイクダウン取らせなきゃいいや”みたいなそっちの練習ばっかしてたので。いまは最悪のケースも想定してしっかり練習するようになってからかなり伸びましたね」と朝倉は語る。 (C)Zuffa LLC/UFC  ティム・エリオット戦でも対策は出来ていた。しかし、実戦のなかで国内では見逃されていた隙をUFCでは突かれ、練習でやってきたことも出せなかった。 「もう真っ白ですね。本当に何も考えられなかった。あそこでテイクダウン取られるとも思ってなかったし、取られたとしても、ティム・エリオットの得意な形だってのは分かっていて、すごい対策もできてたんで、全然大丈夫なはずだったのに焦っちゃったんですよね、すごい。1Rの時に蹴りが当たってそこでテイクダウン取られて“ヤバい、またやられるかもしれない”みたいな、そういう焦りとかもあって」と、朝倉は前戦を振り返る。  今回のスモザーマン戦に向けて、「一番いい準備はできてる」と言いながらも「これまで自分の中では“絶対大丈夫だ”っていう気持ちで臨んで、それが伴わなかったっていうのが続いてるんで、そこに少し不安はあるのかな」と吐露する。 「前回負けた時点でその(リリースの)可能性はあったと思うんで、当然焦りはありますし、でもこうこうやって、もう一度チャンスをもらえたんで、そこはまだ期待をしてもらえてるのかなっていうところがあるんで、そこに絶対応えないといけないなっていうところと“俺はこんなもんじゃないぞ”っていう、その両方の気持ちがあります」と、本来の力を出せていないもどかしさも語った。 [nextpage] 朝倉海がバンタム級に戻したことは理にかなっている  その原因のひとつに、階級転向の影響もあった。RIZINバンタム級からUFCでフライ級に落としたことで、試合当日にリカバリーしても力を出せていなかったという。 「前回の試合の前から“次の試合からもうバンタム級にする”っていうのを決めてました。あとはやっぱり自分のベストパフォーマンスが出せるのはこの階級なんで。中国のUFC PIに行って色々測定もして“あなたはバンタム級ですよ”と、数字的な部分でもはっきり出たんで、そこでもう確実に(戻すことを)決めようっていう感じでした」と、バンタム級に戻した決め手となったUFCパフォーマンス・インスティテュート上海での出来事を明かす。  同所のパフォーマンスサイエンスストレングス&コンディショニングマネージャーのディーン・リッチー博士は、「朝倉海の身体能力で突出しているのは、パワーの発揮速度と動きのスピードが非常に速いところ。特に上半身のパワーテストの結果は、フライ級とバンタム級の両方で上位数パーセントに入るものでした。最も印象的だったのは、海の動きの速さですね」と、上半身のパワーは怪物ぞろいのバンタム級でも上位だったと証言。  また、パフォーマンス栄養ディレクター兼リサーチサイエンティストのドクター・レイドレアルドクターは、「海を初めて体組成スキャンで測定したとき、体重は68.5kgで体脂肪率は約12%でした。かなり引き締まった体つきで体脂肪率を差し引くと海の体重はすでに60.28kg。数字だけ見ると(フライ級の)計量時の体重は57kgになるはずですが、体脂肪が全くない状態でも60.2kgもあるのです。だから残りの分は汗で落とさなければならない。海はフライ級にしては非常に身体が大きいこと。さらに彼が減量に苦労していると報告している事実を合わせると、たとえバンタム級で戦ったとしても海は小柄な選手にはならないだろうと。ディーン・リッチードクターが報告した筋力やパワーの測定データと合わせると、海はほかのバンタム級選手と同等のレベルでした。少なくともバンタム級に戻したことは理にかなっています」と、適正階級はバンタム級であるとしている。  25年10月に朝倉海はバンタム級転向を決断すると、肉体改造に取りかかった。 「期間は必要でしたね。やっぱり絞っていて筋肉量とかもかなり減ってたんで、そこは時間かけてまた取り戻してっていうのは大変でしたね」と、半年以上の時間をかけて肉体改造に取り組んできた。最近はコンディションの良さとともに、筋肉量を戻したことで、怪我のリスクが減ったという。 「減量がずっと長い期間続いていると、本当に怪我もしやすいんですが、怪我することもなくなりました。今、減量もほとんど無いんで、試合の時も今の身体ぐらい。1回水抜きしてここに戻して、いつもの練習通りの身体で試合に臨むっていう感じですね。前のドキュメンタリーを見返すとガリガリだなと。あれじゃ力出ないなっていう」と苦笑する。  2年5カ月ぶりとなるバンタム級での一戦。23年大晦日のフアン・アーチュレッタ戦では60.95kg(61kgリミット)でクリアしていた朝倉だが、今回はユニファイドのバンタム級で王座戦以外に適用される+1ポンド許容の136ポンド(61.68kg)がリミットとなる。  対戦相手のスモザーマンは、2026年1月の前戦『UFC 324』でリッキー・トゥルシオスと対戦予定だったが、前日計量を135.5ポンド(61.46kg)でクリアも、体重計から降りて壇上で足をもつれさせて前のめりに倒れて救急搬送。試合を欠場している。  今回は互いに減量までにいかに削れず、リカバリーをするか。 [nextpage] スモザーマンは打撃で「ぶつかり合う」相手 (C)Zuffa LLC/UFC  MMA12勝6敗、UFC1勝2敗のスモザーマンは、12勝中6つのKO・TKO勝ちを誇るストライカー。23年11月には、かつて朝倉海のスパーリングパートナーも務めたマンド・グディエレスを3R 跳びヒザでKOに下している一方、DWCS2023では風間敏臣に一本負けしたハラランボス・グリゴリオウの右ストレートに1R KO負けも喫している。  朝倉はスモザーマンについて、「ボクシングが上手いのかなっていう。思いっきり振ってくるんでパンチ力もあると思うんで、そこは警戒しないといけないなと思ってますけど、その打撃の技術がめちゃくちゃ高いかって言ったらそんなことないと思うんで。まあストライカーの方が燃えますよね。そこに僕も自信を持ってるんで、絶対そこでも負けたくないし、ぶつかり合う面白い試合になるじゃないですかね。気持ちの面でも。どういう状況でも絶対に負けないっていう。そういう気持ちで臨みます」と、久しぶりのストライカー相手に、心身ともに「ぶつかり合う」相手とした。  24年7月にはアナコンダチョークで初の一本勝ちもマークしているスモザーマンを金原ヘッドコーチも、「パッと見た時に打撃の相性はいいなと。あとは組み。相手が何をしてくるかっていう選択肢になって、海のこの2戦を見る限り、組み技の弱点を相手が突いてくるか、それとも打撃で行けると思わせるのかっていうところで。ストライカーだからストライキングしかないよね、という考えはないです、全く」と、全局面でとらえている。  金原正徳ヘッドコーチを軸に、竹浦正起コーチ、小倉將裕コーチと4人のチームで備えてきた朝倉。今回のセコンドには兄の朝倉未来が入らず、このチームで臨む。 「やっぱりあの3人にずっと練習を見てもらって、そこで作戦とかも立てながらずっとやってきたんで、任せたいなと思います。気持ちの面では兄貴(朝倉未来)がいてくれる安心感っていうのはすごいありますけど、今回ずっとこのチームで準備してきたんで、そこを信じて行こうかなと思います」  試合1カ月前には、フランスからPFL EUROに出場したアナス・アジズ(5勝2敗)を招聘。スモザーマン(175cm)と同じオーソ構えながらスイッチも使う長身(183cm)のアジズを相手に5分3Rの試合形式のスパーリングも行った。アジズも6月12日の『Hexagone MMA 45』で試合を控えており、互いに実戦に向かうなかでの緊張感のあるスパーリングとなった。  朝倉は、「あのレベルの選手は本当になかなかいないんで。パワーがあって技術があって身体が強くて。リーチとかも190cmとかで長いんで。そういう相手にどう中に入ってくか、みたいな、そこら辺の練習を意識してやってました。出入りを使って近い距離でも勝負してっていう形ですね」と、近い距離でのフィニッシュも意識する。  時にスイッチしての左ストレート、左ボディ打ちから右フックの対角線攻撃を得意とするスモザーマンだが、この踏み込みのコンビネーションを見切られると後手に回る展開も多く、朝倉はいかにスモザーマンの距離で戦わずに、出入りから朝倉の得意な右ストレート、左ボディ、ヒザ蹴りを当てるか。その中で両者がテイクダウンをどう使うかも注目だ。 [nextpage] 「アメリカのジムに行ったら?」の声に「日本のチームの人たちと一緒に勝ちたい」  マカオと日本の時差は1時間。28日の29日の『ROAD TO UFC』に日本人選手11人、さらに鶴屋怜も朝倉と同大会に出場するなど、今回は中国人選手を除けば、日本人選手にとってホームに近い環境での試合となる。 「すごく自分にとってはやりやすいなっていう。今回はもう直前まで日本で練習して調整して、最後1週間前に行くだけなんで、そこはかなり気持ち的にもすごい楽ですよね」と表情は明るい。  そして「母親が初めて今回近いということで見に来てくれますね」と、UFC初勝利を願う朝倉恵美さんが応援に駆け付けるという。 キャリア初の連敗を喫したとき、恵美さんは海に、米国行きをうながしたという。しかし海の答えは、JTTの捲土重来を願うものだった。 「2戦負けた時に『もうアメリカのジムに行ったらどうなの』って言ったんです。そしたら『俺は日本のチームの人たちと一緒に勝ちたい』って」(恵美さん) 「多分みんなの評価は下がってると思うんで、とにかく取り返すしかない。もうそこは自分が強くなるしかないなっていう。正直今も分かってないですけど、色々考えて色々やりながら正解を探していくしかない」と、試行錯誤を繰り返しながら、バンタム級で再スタートを切る朝倉海。 「勝ちたい。とにかく勝ちたいですね、今は。何よりも今勝ちが欲しいです。勝たないともう先がないかなと思ってます、逆に。ここで勝たないと。いやあ、UFCで勝ちたいですね、とにかく。その瞬間を味わいたいです」と、オクタゴンでの勝利コールを渇望している。  ドキュメンタリー動画ではそのほかにも、朝倉の練習の動き、陣営の指導、証言など必見の内容となっている。
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