空道
レポート

【空道】新エース・岩崎大河の既定路線に加藤和徳の上段膝蹴りが「待った!」、3年ぶり開催の無差別選手権を制す

2019/11/18 18:11
全日本空道連盟「2019 空道全日本選手権」2019年11月9日(土)愛知県・愛知県武道館 ▼決勝戦(所属の後の数字は体力指数=身長+体重の数値。以下同)〇加藤和徳 (大道塾吉祥寺支部/265/34歳)延長 効果優勢勝ち ※本戦で加藤に上段膝蹴りによる効果1×岩崎大河 (大道塾総本部/282/22歳)  顔面への手技(パンチやヒジ打ち)ありのフルコンタクトかつ階級無差別で行われる、今となっては稀有な格闘技大会といえる全日本空道無差別選手権。その3年ぶりの大会が、2019年11月9日にて開催された(全日本空道連盟主催)。 決勝戦。岩崎大河(白)は、上段回し蹴りをヒットさせるなど、余裕をもった攻めをみせていたが…… この空道全日本無差別選手権は、世界選手権開催年は実施されず、さらに世界選手権開催前年も世界選手権代表選考大会を行うため実施されないので、実質的に2年に1度のペースでしか、ない。それだけにこの大会の王座を手に入れることは価値をもつ。今回、小学1年で空道をはじめ、高卒後は総本部寮生となり、加藤久輝や野村幸汰らと激戦を重ねて育ち、22歳となった現在は連盟職員である岩崎大河の初戴冠が濃厚と考えられていたが、決勝で、ベテランが「待った」を掛けた。  本戦序盤、重い右ローやハイキックなどで、軽快に攻める岩崎に対し、加藤は組み合いで攻防が途切れ、ブレイクになろうかという間の瞬間を突いて、左上段膝蹴りをヒット。これがボゴッと鈍い音を立て「効果」となった。岩崎は挽回しようと、前へ前へと出るが、組んではニーシールドを腹に置いての一本足バランスで凌がれ、ニーインベリーやマウントを奪うも、加藤の巧みなブロックに“キメ”の打撃を入れることを阻まれる。  逆に加藤は、いわゆるセンタクバサミで岩崎の首を絞める場面すらみせる。結果、本戦3分、延長3分で岩崎がポイントを奪い返すには至らず、規定により、旗判定なしで効果を奪っている加藤が勝利。  スポーツ的に階級別の大会に照準を絞る選手が多い時代において、無差別全日本制覇を最大目標に掲げていた加藤は、高校卒業まではサッカー一筋で、高校卒業後にフルコンタクト空手に身を転じ、就職後、20代半ばで空道に取り組み始め、34歳にして、今回の栄冠を勝ち取った。  加藤久輝がプロ競技に専念、野村幸汰や清水亮汰が引退し、少年期から各年代で全日本を制してきた……いわば空道のメインストリームを歩んできた岩崎に順番が回ってきたかと思ったところで、アウトサイダー的な加藤が「待った」を掛けたかたち。岩崎にとっては、ほろ苦くも、よき試練となったのではないだろうか。 ▼女子決勝戦〇今野杏夏 (大道塾多賀城支部/233)再延長 反則勝ち ×大倉 萌(大道塾吉祥寺支部/210)※延長で、大倉に反則1(掴みからの打撃)があったため、規定により旗判定なしで決裁。 今野(白)が重いパンチをヒットさせれば、大倉はヒット&アウェイのスタイルから上段蹴りを刺す。今野は233、大倉は210と23の体力指数差があるため「体力指数差20以上の場合は掴んでの頭突きおよび手技打撃が禁止(蹴りは可)」のルールが適応されたが、延長戦において大倉は、掴まれた状況で、反射的にパンチを放ってしまう。  その他の攻防においては的確に打撃をヒットさせていたため、再延長に持ち込むことは出来たものの、最後まで効果以上のポイントを奪うことはできず。再延長終了時は、ポイント差がなかった場合は反則のあった方を負けとする規定により、今野が勝者となった。 ■2019北斗旗全日本空道無差別選手権大会結果 男子優 勝 加藤和徳(大道塾吉祥寺支部)準優勝 岩崎大河(大道塾総本部)第3位 服部晶洸(大道塾横浜北支部)第4位 目黒雄太(大道塾長岡支部)第5位 寺口法秀(大道塾横浜北支部)第6位 曽山遼太(大道塾岸和田支部)第7位 加藤智亮(誠真会館 東伏見道場)第8位 押木英慶(大道塾新潟支部) 女子優 勝 今野杏夏(大道塾多賀城支部)準優勝 大倉 萌(大道塾吉祥寺支部) 優秀道場賞(勝利ポイント多寡による団体戦)第1位:大道塾吉祥寺支部第2位:大道塾総本部、大道塾横浜北支部、大道塾岸和田支部(同率)前例左から押木、加藤智、曽山、寺口、目黒。後列左から大倉、岩﨑、加藤和、服部、今野
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