ボクシング
インタビュー

【ボクシング】那須川天心が「エストラーダより怖かった」という葛西トレーナー「あのボディは私も練習中に何度か落とされそうになった。もっといいもの持ってますから。まだまだもっと強くなる」

2026/04/12 02:04
 2026年4月11日(土)東京・両国国技館にて開催された『Prime Video Boxing 15』で、フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)を9R終了時、TKOに破った那須川天心(帝拳ジム)が、試合後インタビューに答えた。  那須川はこの勝利によりWBC世界バンタム級王座への次期挑戦権を獲得。5月2日に東京ドームで行われるWBC世界バンタム級タイトルマッチ、王者・井上拓真(大橋ジム)vs.世界4階級制覇・井岡一翔(志成ジム)の勝者に挑戦することになる。 前回の経験とか試合があったからこそ ――今のお気持ちをお願いします。 「はい。皆さん応援ありがとうございました。無事に勝つことができて、今はホッとしております。勝てて。どんな感じだったっけ?っていうのが、自分の中であるんで、早く見返してみたいなと思います」 ――浜田代表、今日の結果いかがでしょうか? 浜田「本人も随分追い詰められた状態で練習もしてきて、それでやったことが出たんじゃないかと思います。前回の試合がセンスの良さでやっていて、避ける、避ける、避ける。それでポイントが取れなかったと。今回は一言で言えば打ち合うと。これが今回出たんじゃないかと思いますね。ですから、打ち合う時にはもちろん喰う危険性はありますけど、それを承知の上で打ち合いに行けたことが勝因だったと思います」 ――葛西トレーナー、今日の動きはいかがでしょう。 葛西「ボディで終わらせたんですけど、左ボディ。あのボディは私も練習中に何度か落とされそうになって、胴ミット巻いてるんですけど、その私も倒されそうになった成果が出たかなと思うし、まだまだもっといいもの持ってますから。まだまだもっと強くなると思います」 ――途中でエストラーダ選手が距離を詰めてきて、4Rが分岐点になったかと思いますけど、4Rからそれ以降に向けてどのような戦いを? 「2者がドローで1者が僕だったんで、なんか嫌なトラウマを思い返しそうにはなったんですけど、そこからが本当勝負だなっていうところが自分の中で前回経験したとこだったんで、前回の経験とか試合があったからこそ、今回こうやって乗り越えられたなって感じております」 ――崖っぷちとおっしゃっていた試合がこういう結果になって、そこを乗り越えた自分に対してはいかがでしょう。 「乗り越えはしましたけど、まだまだですよね、本当。やってきたことが全部出たかといったら全部は出てないし、まだまだやるべきこともあるし。やりながら試合中に成長できた感じがあったし。10Rぐらいやったと思うんですけど、本当にあっという間の時間だったんで、まだ強くなれるなっていうのが自分の中でやりながら分かった感じはしましたね」 ――覚悟を決めてということで、追い込まれたという言い方だったんですが、それをどのような形で乗り越えてきましたか。 「ずっと不安もあったし、ずっと自分のことを信じられない時もあったし。でも日々を超えると大丈夫だってなったり、ずっと表裏一体なところに日常がありまして。だから大丈夫だっていう日もあれば、どうしようってなった日もあって。でもそれを素直に自分で受け止められるようになったっていうのが、自分の中の成長だなとも思うし。調子いい悪いとかじゃなくて、それすらもしっかりと自分で対応していこうって思えるようになったのが、先のことを考えるとかじゃなくて、本当に今、この瞬間をずっと生きてきたっていうのが勝因だったかなと思いました」 ――挑戦者決定戦に勝ったことで、井上拓真選手と井岡選手の勝者との対戦が当然あると思います。どういう気持ちで5月の試合を見たいと思いますか? 「ひたすら拓真選手が勝つことを願って。てるてる坊主を作って毎日祈りたいなと思ってます」 ――勝利が確定した瞬間、何とも言えない笑顔を浮かべてたんですけど、どんな感情でした? 「初めてな感じでしたね。勝ったっていうのもそうですし、7~8Rぐらいから完璧に自分のペースになってきたので、よし、ここからだっていう時に…セコンドはね、もっと行けって葛西さんにすごい言われてエストラーダより怖かったんですけど、そこの重圧に打ち勝ちながら。でもまだまだやれることもやりたいこともあるので、そこを今後はもっと強くしていきたいなと思うし、試合で勝った瞬間を聞いた時に、向き合っててもすごい効いてるパンチがめちゃくちゃあったので、だから出てこれないなっていうのも思ったんで。自分の中では結果的には納得はできてる試合だな。自分がちゃんと作っていった試合だなという。結果以上に成長できたなっていう試合でしたね」 [nextpage] 新しい那須川天心をまた見せられる ――先ほどエストラーダ陣営が会見したんですけど、止められる2ラウンド前にボディを効かされたということですが、それは分かってましたか? 「そうですね。なんとなく腹に入ったなっていうのは分かったし。腹だけじゃなく上も効いてたし。でもそのごまかし方が上手かったし、狙ってる感じもずっとあったんで、なかなか不用意にはいけなかったんですけど。しっかりジャブを使って、自分の距離を作っていくのはずっとできたので。それは前回の試合ではできなかったことなので、すごく自分では成長できたなと思ってます」 ――グッと踏み込むボディから7Rはアッパー、ストレート。よりメリハリとパンチのつながりも成長されているのかなと思いましたが? 「自分の中では倒れるパンチ、これだったら効くんだなっていうパンチが、今回の練習で手応えがたくさんあったので。それがスパーだけじゃなく、試合でもちょっとずつ出せてきたっていうのが、自分の中でも核となるものが、自信が生まれたって思うんですけど。でもこれで満足することは一切ないんで、ここからどんどん強くなるだけなんで、新しい那須川天心をまた見せられるかなと思います」 ――この試合、開始から毎ラウンド歓声が止むことなく、お客さんの声があったのはどう受け止められましたか? 「めちゃくちゃ嬉しかったですね。見てる人の熱がすごい伝わりましたし。本当に負けて欲しくないという気持ちをたくさんの人から感じたので。だからこそ、いつも以上に集中できたし、いつも以上にみんなと戦ってるっていうのが試合中にも感じられたので、チームで勝てた試合だなと思いました」 ――エストラーダ選手が出てこなかった時、どう思いました? 「そのラウンドで、相手も何も打つ手がなくなってるなって思ったし、その前のラウンドか。でもセコンドからも、もう行けって言われたので。そこの行くところだなって思ってたところで止まったっていうタイミングだったんで。自分の中では『マジか』っていうのもあったんですけど。でも技術で勝つことができたっていう。運じゃないと言いますか、自分のやってきたことでしっかり勝ったっていうのが自信になった。すごい嬉しかったですね」 ――結果的に2階級制覇王者の心を折ったという形になった。今までの天心だったら倒して終わりたかったのでは? 「高望みをしないと言いますか、KOは次の試合にお預けかなと思いました」 ――かなり変わったって見たんですけど、それは葛西さんが公開練習で言っていたけれど、踏み込みができて受け打ちじゃなくなったということと、終始足を止めてボクシングをして、と。この辺は気持ちでできたのか、この数カ月でなかなかボクシングは変わるものじゃないので、何で出来たのか。 「いや、これは荒治療ですよ。自分の精神と、自分のメンタルとか、自分のやってきたことを全て崖から落とされたんですよね。だからスパーやってもずっと怒られるし、ずっと納得いかないし。ライオンって子供を成長させる時、崖から落として這い上がってこいみたいな。今回それを試合の一週間ぐらい前までずっとされてた感じがしたんで。だから本当に心も体もずっとボロボロの状態。でも人って本当に何かになりたかったら、狂気にならないと絶対にいけない時があると思うんですけど、そこを乗り越えられたかなっていうところが成長したきっかけだと思うし。これはきっかけに過ぎないので、まだまだたくさん高い崖を登っていきたいなとは思います」 ――この試合が人生の岐路と言っていて、負けたら引退するぐらいのつもりだった? 「いや、そこは別に考えてはいなかったですけどね。何も考えてなかったです。次の日がないって思ってました。次の日って来るのかなぐらいな、そんな感覚でずっといたんで。だからこれからたくさんいろんな予定を立てられると思うと、なんか笑みがこぼれてしまいますよね」 ――ここまで拓真の話とか名前を一切出して来なかったのは? 「僕は試合に負けるイコール自分に負けただと思ってるんで。僕は別に人の名前とかで数字だったりとか、他責思考はしたくないので、人のせいっていうより全部自分のせいだと思ってるんで、全部自分と向き合って、本当に自分に勝つっていうことだけを駆使してやってきましたね。だから人の名前で飯は食わないです」 ――レジェンド・エストラーダはどうだった? 途中でノーモーションの右をもらっていたけれど。 「途中、結構いいパンチはもらったと思うんですけど。普段だったらそこで引いてたものを、練習でずっと葛西さんだったり、会長だったり、チームでしっかりと今回はガードを固めて、前に出る時も考えてやってたので、それがすごいしっかり活きたかなっていう。前だったら多分もらってどうしようで、もう一回距離取って、相手に飲み込まれてたところがあったと思うんですけど、そこを飲み込まれず、自分のやってきたことを信じて戦えたっていうのは大きいですね」 ――試合前から自分に負けたくないとおっしゃってましたけど、今日は自分に勝ったと言えますか? 「この瞬間は、ですけどね。また明日から日々が始まりますから。普通に来週の頭もラジオがありますし、日々の生活が始まりますので、また選手としても人としても強い男になりたいなと思います」 [nextpage] 人に負けを晒すって怖いじゃないですか ――あと拓真選手に何かメッセージは? 「メッセージですか? 特になにもないですね。特になにもないですけど、一応この勝ったというご報告だけさせていただきます」 ――リング上でちょっと怖かったと言っていましたが、それはどういうことですか? 「試合に挑むまでのことですかね。不安なものも出てきたりとか、いろんな葛藤ですかね。ちょっと怖かったですよね。でも戦ってると、6~7R目ぐらいから、本当に自分のやるべきことだけに集中できたというか。ゾーンじゃないですけど、そんな感覚がずっとありました」 ――連敗したらっていうことが頭にありました? 「連敗したらとかはあんま考えてなかったですけど。最初はちょっと思ったんですよね。負けたらどうしようとか。負けたらとかっていうのは出てきたんですけど、でもなんだそれ、みたいな。負けとかじゃねえだろみたいな。どんだけピンチでも、一発当てれば勝てるんだっていうところをしっかり磨いてきたので。そこを乗り越えられてここまで来れたっていうのは自分でも成長できたなとは思ってますね。  何が怖かったんですかね。やっぱ人にね、負けを晒すって怖いじゃないですか。僕は失敗だとは思わないですけど、負けるって失敗だと思うし。人前で大恥をかくっていうのは怖いことだと思うし。だけど挑戦してる人とか、日々をしっかりと送ってる人、一生懸命やってる人しかそういうことってできないと思うから。でも、応援してくれてる人に同じことを2回起こすっていうのは本当に嫌だったんで、そういった人のためにも絶対負けられなかったですね」 ――今日は世界戦のない日でしたけど、盛況な状況だったと思います。無料放送、有料放送っていう議論が最近出てきてますけど、ボクシングは有料コンテンツですけど、那須川選手っていうコンテンツを売るためには、テレビに出たり、話題に出たりと色々考えてらっしゃると思うんですけど、今のご自身の状況と今後さらにある程度ボクシングを広げてこられて、もっとこうなって欲しいというのは? 「多分、僕って選手で見られてる人もいるんですけど、一個の生物みたいに見られてる人も多いと思うんですよ。こいつ何なんだろうみたいな。そういう風に選手って思われないといけないなって僕は思うんですよね。表に立ってる以上。だから試合します、応援お願いしますだけだと、その瞬間は見てもらえるかもしれないですけど、今後の歴史に残るかって言ったらあんま残んないと思うし、流れてっちゃうと思うんですよね。だから本当に人間らしさというか、思ってること、感情だったりとか、そういうのをしっかりと世の中に出していくのは僕は大事だと思うんで。だから、よくいろんなこと言われるけど、ちゃんと自分は自分の信念を持って言うし。常に自分が考えてるのは、AIにできないことを僕はやるっていう、そういう感じですかね」 ――メディアをどういうふうに広げていきたいとか、そこまで考えていますか? 「僕は自分の国みたいなのを作るっていうイメージでいますね。自分のファンっていうか、質のいいお客さんといいますか。自分のことを本当に応援してくれてる、そういう人を大事にしていきたいなって思っているので。だから見てる人も、何が本当で何が嘘かっていうのをもう結構分かってると思うので。SNS とかもうみんな飽きてると思うし。本当にこれはどうなんだろう、本当なのか嘘かなっていうのをしっかりと見抜けられるような人に応援してもらいたいなと思ってます。メディアもそうですね。だから、あぐらかいていたメディアもダメだと僕は思うし、選手もそうだと思うので、しっかり言いたいことは言ってくっていうのは大事かなと思います」 ――今回初めてラウンド間に毎回座ったと思うんですけど、その狙いは? 「葛西さんに絶対座れって怒られたんで、そこは約束だからなみたいな感じで。もう多分今後は絶対に座ると思います」 ――葛西さんの狙いは? 葛西「ボクシングは座るんですよ。昔は12R、15Rだったんですよ。その前はもっとだし。そういうのがボクシングなんで。なるべく消耗をしないで相手を倒していくのがボクシング。それを伝えたかったので、言うこと聞いてくれて良かったです」 ――座ってみての消耗の減り具合は? 「同じ景色がずっと見れて集中できたんで。あれ癖だったんですよ。癖になってたんで、もう多分ずっと座ることができると思うので。もう大丈夫」 葛西「座りたくなかったんだ」 「もう座れるんで。一回座った経験がありますので」 ――葛西さんに。実戦での作戦だったりと、実行できたこと、できてないことは? 葛西「作戦は、左ボディは本当に磨いてきたんで。でもそれだけじゃないんですよね。いろいろ全てのパンチを磨き上げたんで。で、今日も全部出てるんですよ。全部出てるけど繋がってないだけで。もっと繋がっていくと、もっと早い段階でチャンスも来るし。その辺はまだ時間があるんで、今回は時間がなかったんで。まだ時間があるから、感覚的に指導したいなとは思ってます」 ――それでは那須川選手、最後に締めの言葉を。 「本当に勝つことができてホッとしてます。これからもボクシングしっかり盛り上げたいなと思いますし、必ずリベンジしますので、僕の船に乗っていただければ嬉しいなと思います。今日はありがとうございました
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