あの時は僕の完全なるミスだった
そのなかで、自身の試合と、その後のシェイドゥラエフの試合を分析。勝ち筋が見えてきた。
「あの試合ではもう開始1分10秒ぐらいでテイクダウンされてしまったので、あの時は僕の完全なるミスだった、あの試合は結果的に僕が立てずに終わってしまいましたけれど、本当あの日、作戦通りに行ったら、僕が一方的に勝つっていう世界線もあったと思う。それだけ自信はあったんで。
僕もやっぱり本当にただで負けるつもりで挑むわけではないんですね。K-1時代もずっと対日本人無敗で、野杁(正明)選手とか木村“フィリップ”ミノル君にも勝ってるジョーダン・ピケオーを日本人で初めて倒したのも僕なんで、必ずしっかりと相手を分析して戦う。前回の試合はシェイドゥラエフのデータが少なすぎたんで、今回はやっぱり、クレベル戦だったり、未来戦だったり、コレスニック戦だったり、僕の試合以降のいろんなRIZINでのシェイドゥラエフの試合とかも全部見ていて、本当に自分でやろうとしてきた戦略だったりとかが絶対ハマるなっていう正直、自信しかない」と、王者のデータが揃ってきているという。
それでもファンからは今回の再戦に「久保、正気じゃない」の声があがっている。
榊原CEOは、久保の対シェイドゥラエフ立候補に「どっかネジが緩んでないと、この選択はない」としながらも、「でもこの選択をこれだけ自信持って『もう1回、アイツとやってやる』って思える久保に俺は本当ベットしたいし、シェイドゥラエフよりも秀でた部分の打撃を持ってることって、俺は絶対的に大事だと思う。本当に勝つために必要な、自分の中での作戦とか戦略っていうのが2回目の久保には確実にある。ファイターとしてやっぱり最強の王者に負けないって思える、自分を信じれる力っていうのはすげえなと思って。その久保の生き様が見たい」と、期待を寄せた。
久保は、「あの試合後、確かに鼻も骨折し歯も折れて、もう顔面も折れてましたけど、なんか心だけは折れてない」「いろいろ悔しい気持ちはあって、負けたけど負けてないというか、あんな試合直後でも、まだ自分は格闘家というものを諦めてないなって感じた」という。
初戦で久保は、「タオルは投げないで欲しい」とセコンドの弟・賢司に告げていた。
「あれでちょっと炎上してしまって……BRAVE GYMの宮田(和幸)代表からタオル、というかバトンを僕の弟の久保賢司が奪って『絶対タオルは(投げないで)僕が責任取るんで』ってやったんですけど、僕は本当にあの試合もう、最後の本当に止められる1分1秒まで絶対、なんとか逆転する活論を見出すじゃないんですけど、本当にもがいていた」と、そのときを振り返る。
一方で、「後から映像を見返すとダメージで自分の打撃力が落ちてるなっていうのを見て悔しくはなった。でもそういった反省点とか、修正すべきところをしてしっかりと自分の格闘技を遂行できれば、全然勝ち筋はあるなと。過去一番強かったし、怪物であることは間違いないけど、シェドライフも人間なんで」と「反省点」が明確になった試合でもあったと語る。
スタンドでも組みのあるムエタイの経験も豊富な久保は、グラップリングも強い斎藤裕や高橋遼伍を下している。それは三日月蹴りなど自分だけが当てて相手に当てさせない距離感と、いい形で組ませない、独自のフレームを作る首相撲ヒザをMMAで発揮しての勝利だった。
シェイドゥラエフとの初戦では、その距離のコントロールと攻撃の選択にミスがあったことを本誌の取材で明かしている。
「あそこでミドルを打って、ヒザ蹴り行ってしまって、距離が近くなってしまったことでシェイドゥラエフに簡単に懐に入りこませてしまった」と、テイクダウンを切りきれなかった場面を悔やむ。
そして寝かされてからもパウンドの破壊力が、想像を超えていた。
「1Rにハーフからのヒジがめちゃくちゃ効いて。これまでの選手では、パウンドに対しての恐怖はなかった。“パウンドを受けながらも立てる”と。あのときは“これをもらい続けたらヤバい”と試合中に感じた。冷静になって落ち着かなきゃとか、パウンドを防ごうと思ったら今度は極めが来るし 、どっちを優先して防ごうかとか思ってるうちにスペースができたけど、そこでもうダメージがありすぎた。
セコンドの指示で『ハイキックで逆転狙え』って言われたけど、2Rはダメージで体がついていかなかった。体力を削られてしまって、気持ちしか出すことができなかった」と、テイクダウンから立てず想定外の強いパウンドを被弾した時間を振り返る。
それでも、RIZINで唯一シェイドゥラエフ相手に2Rまで戦った久保は、「あの2ラウンドを経験できたことがすごい大きかった」と、自身の身体を持って、無敗のキルギス人を体感しデータを蓄積できたことが糧になったという。
「シェイドゥラエフは1Rで結構倒せちゃう試合が多いなか、2R目を経験できたから自分の中でも、パウンドの強さが想定外だったところとか、自分がこれまで経験したことがない効き方だったり──あの時、結構パニックになったんですね。そういった反省点とか、経験できたことがめちゃくちゃ大きいことなんで。本当に2度同じ失敗はしないです。逆にそのシチュエーション、そういう状況を作った上で自分がどう動くかっていうことを、この1年ちょっとでやってきたんで、あの経験は本当に良かった」






