久井を2度破っているロムイーサンと、王座返り咲きを目指す重森が対戦(C)KNOCK OUT
2025年12月30日(火)東京・国立代々木競技場第二体育館『MAROOMS presents KNOCK OUT.60 ~K.O.CLIMAX 2025~』(U-NEXT配信)にて、KNOCK OUT-RED -61.5kg契約3分3R延長1Rで対戦する重森陽太(KNOCK OUT クロスポイント吉祥寺)とロムイーサン・TIGER REON(タイ/REON Fighting Sports Gym)のインタビューが主催者を通じて届いた。

重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で 日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。2021年7月にはスアレックから勝利を収め、KNOCK OUT-REDライト級王者にも輝いた。2023年2月、悲願であったラジャダムナンスタジアム王座に挑戦したが、判定負けで奪取ならず。
2023年8月からはKNOCK OUTを主戦場にし、2024年6月にレンタを破り国内最強を証明。9月には『ONE Friday Fights』に初出場、シン・ドンヒョンにKO勝ちした。12月にUNLIMTEDルールに初挑戦したが倉本一真にTKO負け。2025年6月、ゴンナパーにKO負けを喫し、王座を奪われた。10月に小林司にKO勝ちで再起。戦績は43勝(19KO)11敗6分。

ロムイーサンは元ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級2位、元BBTVミニフライ級1位の肩書きを持ち、現在は健太率いるREONジムのトレーナーも務める。これまで日本の試合では森井洋介、勝次などから勝利を奪い、2024年11月に久井大夢を延長戦の末に判定3-0で破る番狂わせを起こした。12月の「KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定トーナメント」では1回戦で下地奏人にKO負けを喫したが、2025年7月に久井からダウンを奪い返り討ち。10月には『GOAT』でのBLACKルールで龍聖に判定負け。
むしろ、ちょっとハングリー(重森)
「そうですね。自分のやりたい動きで倒せたというのが非常によかったのかなと思います」
──実際、対戦して小林選手についてはどう思いましたか?
「思ったよりやりやすかったかなという感じですね。もうちょっとガツガツくるのかなと思ってたんですけど、そこは相手にうまく入らせないように、しっかり蹴ったりとかそういった対策もしていたので、思った以上に自分の対策がハマっていたというのも要因なのかなと思います」
──経験の差が見えたなという印象もありました。
「そうですね、経験の差が出ますね、やっぱり。そこは感じました」
──ただし、同じ日に久井大夢vs古村匡平戦も行われて、REDライト級の挑戦者には久井選手が選ばれました。そのことに関して、今はいかがですか?
「まあ正直、よほどのことがなければ、流れ的にも自分が2連チャンでタイトルマッチというのはなかなか厳しいんじゃないかなとは思ってたんですよ。しかも、メインの久井君と匡平君がメチャメチャいい試合をしていたので、もうそこは、順番もあるしという感じですかね。想定内といえば、想定内だと思います」
──大人な回答ですね(笑)。
「いやいや(笑)、それはそうですよね。それこそ、メインが滑った時に流れは作れるように、私も試合が終わった後に、12月に向けてのアピールはちょっとさせてもらったんですけど、決まったら『だろうな』という感じではありましたよね」
──今回はロムイーサン選手との対戦になりました。ロムイーサン選手が久井選手に連勝して存在感を増している中での対戦ではありますが、そのあたりはどう見ていますか?
「実際、日本人のトップどころにけっこう勝っているので、いい選手だとは思うんですけど、それだけって言っちゃえばそれだけですよね。久井選手に2回勝った『だけ』って言ったら、それだけなのかなとちょっと思ってて。もちろん、油断はできないですよ。強い選手ともしっかりと結果を残してるので。ただ、自分が今までやってきた強豪のタイ人たちと比べると、それこそさっきの話にあった通り、経験の差が出てくるんじゃないかなと思いますね」
──久井選手に連勝しているのは、相性とかそういう問題ですか?
「うん、相性じゃないですか。あと右ストレートのタイミングとか威力というのは一級品だと思うので、そこは持ってるなと思うんですけど、そもそもは首の選手ですよね」
──確かに。
「首相撲はメチャメチャ強いですよね。他の日本人選手とやる時もけっこう首相撲で削ったりしてるので。まあいわゆる、『日本人が苦手なタイ人』ですよね」
──まさにそうですね。
「今の時代はヒジなしルールが流行って、本場のムエタイも3分3Rが多くなってますけど、それ以前のキックボクシングって、ヒジありヒザありが当たり前だったじゃないですか。その時にやられる日本人のパターンって、だいたいああいうタイプでしたよね。でも私は新日本キックでずっと育ってきてるので、そこらへんは、やり尽くしてると思うんですよ。それこそ経験の差は出ると思います、他の日本人と比べて」
「この年末の代々木大会って、本当にKNOCK OUTの2025年の集大成にはなると思うんですけど、私にとっては、今回の試合は2026年の序章だと思ってるので。ここでしっかりとライト級戦線をアピールして、26年につなげられるような試合をしなきゃなと思っています。メインでタイトルマッチがありますけど、『重森にやらせた方がよかったな』と思われるような試合はしたいなと思っています」
──そのゴンナパーvs久井のタイトルマッチはどう見ていますか?
「分かんないですよ!(笑) これ、メチャメチャ面白いカードですよね、正直。だから私はもう、普通に観客として見ようかなと思ってるんですけど。ただ…ゴンナパー選手のフィジカルがどれだけなのかですよね。そこは私も分かんないです。まあ、ゴンナパーが勝つような気はしますけどね」
──ただ、ここでどちらが勝つかというのは、26年の重森陽太にとって、かなり大きくないですか?
「そうですかね? どっちでもいいです」
──そうなんですか? 例えば、ゴンナパー選手にやり返したいというわけでもない?
「はい。だって、それこそ久井君に負けちゃうんだったら、自分が久井君に勝てばいいだ
けだし。変な話、私はチャンピオンとやれるんだったら何でもいいんですよ」
──その過程がどうあれ?
「そうです、そうです。別にどっちでもいいです、正直に言って。ライト級が今すごく盛り上がってて層が厚くて、そこで結局1位になれるんだったら、途中がどうかは関係ないですし」
──なるほど。あと、今回ビッグマッチではありますが、ご自身としては久々に前半戦での出場になりそうですよね。
「前半ですね、たぶん。前半で試合するのは超久しぶりだから、アップとかゆっくりしてられないなとは思いますけど。でも、やっぱりお客さんには楽しんでほしいなと思いますね。それこそ、来年はすぐまたチャンピオンになる予定だし、チャンピオンじゃない時期の自分を見せることって逆に貴重だと思ってるので。前半戦で会場を一回盛り上げたり、テクニックを見せたり、そういう役割を果たせば、それこそKNOCK OUTに貢献できるのかなって思ってるので、その順番でできる最大のパフォーマンスはしたいなと思っています。だから、むしろ面白いと思いますよ」
──前半戦というだけじゃなくて、「ただのワンマッチ」みたいな試合って、特に日本では久しぶりな感じですよね。
「確かにそうですね。そこも、むしろいつもより気合いが入るような気がしますね。意外と、今聞かれるまで気づかなかったですけど。やっぱり自分がいるべき立ち位置ってここじゃないなとは思うので。そこのゾーンを抜け出すために、ここは圧倒的なパフォーマンスをしなきゃいけないと思ってるし、まだまだ格闘家として成功していきたいなと思ってるので。だから、ちょっと頑張らなきゃなという気持ちはありますね。気合いが入っているというか、むしろ、ちょっとハングリーな感じかもしれないです」
──では最後に、今回一番注目してほしいポイントはどこでしょうか?
「今回は、KNOCK OUTでは珍しい存在になりたいなという気持ちがちょっとだけあるんですよ。しっかりとムエタイができて、スキがあったら一撃で仕留めるというスタイルを確立したいなと思っていて。ムエタイって、ちょっと間延びしちゃうところがあるじゃないですか。その部分を消した、ハイブリッドの3分3Rのムエタイを見せられればと思っていて。むしろ、それが前半戦で見られるんだったら、それはそれでお客さんにとってはお得なのかなと思うので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います」





