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【UFC】どうなる? 次期挑戦者。フライ級王者ヴァンがケイプの呼びかけに「やろうぜ」、ケイプは「契約にサインしな」。平良「次はジョシュアと」、2月アルバジ戦の堀口「最速でベルト巻くために」

2025/12/15 19:12
 UFC世界フライ級新王者のジョシュア・ヴァン(ミャンマー)が、マネル・ケイプ(アンゴラ/ポルトガル)の挑戦要求に「やろうぜ」と応え、ケイプも「正式契約を待っている」と返答した。  2025年12月13日(日本時間14日)、米国ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Royval vs. Kape』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass)が開催され、メインイベントのフライ級で元RIZINバンタム級王者で現UFCフライ級6位のマネル・ケイプ(アンゴラ/ポルトガル)が、2位のブランドン・ロイヴァル(米国)を1R TKO。試合後、ケージの中で王者ジョシュア・ヴァンに挑戦をアピールしていた。 「ジョシュア・ヴァン、今はお前がベルトを持ってる。もし俺が7月に足を骨折してなきゃ、今頃チャンピオンだったんだぜ(※6月28日の『UFC317』でケイプはロイバル戦を右足骨折により欠場。緊急参戦したヴァンがロイバルに判定勝ちし、パントージャ戦に抜擢されて新王者になった)  ベイビー。おい、よく聞け。俺はここにいる。(俺が)お前のパパ、お前のオムツを剥ぎ取るぜ。準備しろよ。お前、ヒューストンにいたんだろ? 2月(21日)のヒューストン大会で戦おうぜ、お前が望むならな。この契約書にサインしろ。UFC初勝利もそこ(ヒューストン)で掴んだ。俺は必ずそこへ辿り着く。おい、覚悟しろよ。マネル“スターボーイ”がチャンピオンになるためにここにいる。誰も俺のベルトを否定できない。俺がここで一番だ。俺が最高だ!」  インタビュアーのマイケル・ビスピンからも「(試合前に)君はここに来て声明を出すと言った。世界中に『自分が次期ナンバーワン挑戦者であり、チャンピオンになると知らせる』と。まず第一に、その使命は成功したと思う」と評価された、1R 3分18秒での圧勝劇。  序盤から中央を獲ったケイプは、ロイバルの上下・左右の蹴りにスイッチと角度をつけて圧力をかけて、鋭い右を振り、ロイバルの上体を浮かせていく。  ロイバルの左ミドルを左手で後方に流したケイプは、前進して右フックを振るが、そこにロイバルは下がりながら左フックをヒット。前に出ることでクリーンヒットさせなかったケイプは左右に身体を振ったジグザグのステップで詰める。そこに右も合わせているロイバルだが、ケイプの右にバックステップ。  そのまま歩いてサウスポー構えで詰めるケイプは、ロイバルがケージに詰まったところで右前手のフック!  これで腰から崩れ落ちて両ヒザを着いたロイバルだが、すぐに立とうとしている。この際でケイプはすぐに連打ではなく、首相撲で両手でロイバルを押さえ込んで崩すと、左手で首を押さえて右! ここで一瞬ロイバルの頭がマットに落ちたのを見て、レフェリーが間に。連打で意識を取り戻したロイバルはすぐに立ち上がるが、止められて仕方のない速攻だった。  そして、試合後のアピール。  1週間前に同級2位のブランドン・モレノを2R TKOに下した平良達郎(日本/THE BLACKBELT JAPAN)が、王者ヴァンに挑戦する最有力候補となっていた中、平良に勝っているロイバルをKOすることで、ケイプは自身が第一挑戦者であることを証明する、と事前に宣言していた通りの完勝劇で勝ち名乗りを受けた。  バックステージでもケイプのアピールは止まらなかった。  記者から「試合後に、かなり強烈なプロモをしていましたね。もし平良達郎があなたより上だと言うがいたら、どう言いますか?」と問われると、「そんなことを信じてるなら、そいつはMMAを何も分かってない。2+2は6じゃない、4だろ? ブランドン・ロイバルはさっき平良を倒したばかりだ。彼を精神的にも肉体的にも打ち砕いた。でも俺はたった1ラウンドでやった」と、自身の優位性をアピール。 「次はいつ復帰したいか?」と聞かれ、「できるだけ早く。今感じているこの感覚を、また味わいたい。本当の祝杯は、ベルトを腰に巻いた時だ。UFCが俺をブッキングするならいつでも行く。俺は出て、戦って、勝つ。そしてベルトを獲る。ケガもないし、試合も短かった。すぐにでもまた行ける」と、連戦も辞さない構えを見せている。  そして、コンテンダー争いとなる平良について、「なぜそんなに他の奴の話をするのか分からない。俺の試合を見れば分かるだろ。俺はエキサイトメントを持ち込むし、フィニッシュを見せる。俺は退屈な奴じゃない。あいつはただ『アイム・ハッピー』って言うのが上手いだけだ。お前らが何を望んでるのかさっぱり分からない。俺は最高の投資だ。ブランドン・ロイバルはUFCで12試合やって、一度もKOされていなかった(※20年にモレノにTKO負け)。俺が初めて倒した。前の相手(アスー・アルマバエフ)も17連勝中で誰も倒せなかったけど、俺がやった。何が欲しい?」「俺はUFCを信じている。UFCは賢くて、知性のある会社だ。成功している理由がある。もし賢いなら、俺に投資するべきだ」と豪語した。 [nextpage] ヴァンは地元ヒューストン大会に出場するか。その相手は?  ケイプが指定した2月のヒューストン大会は、ジョシュア・ヴァンにとって地元の大会となる。しかし、前戦から互いにインターバルが少ないのも事実だ。  12月6日の『UFC323』でアレシャンドレ・ パントージャの蹴り足を掴んで投げたことで、パントージャは左ヒジを負傷。そのままTKO勝ちとなったヴァンは試合後、平良との王座戦について、「ウォーミングアップしているときに平良の試合を観た。良いパフォーマンスだったね。(日本で平良戦も?)俺がチャンピオンだ。彼がヒューストンに来るべきだ。(2月21日のヒューストン大会?)ちょうどいいね。俺は地元で戦いたい。(試合間隔が近いが?)そんなに『ベルトが欲しい』というならしょうがない」と、この時点で2月のヒューストン大会での連戦を示唆。 「パントージャとの再戦前にやるなら平良がふさわしい?」と聞かれ、「あとあの男もいるよね。この前、復帰したもう一人の日本人(堀口恭司)もいるし、平良もいるし…(ロイヴァルvs.ケイプも今週末だが?)この前も言ったけど、UFCが望む選手でいいよ。俺は選手を選んだことがないし、これからもない」と答えていた。  そして、ロイバルを下したケイプの試合後の挑発的な呼びかけに対して、Xで「テキサス州ヒューストンでマネル・ケイプ。さあ、始めよう! 口先だけなら簡単だ」と投稿し、インスタグラムでも「Make it happen(実現させる)」と記している。  そこにケイプもすかさず反応。 「正式にしよう。あなたのマネージャーにUFCに連絡するよう伝えて。私のマネージャーはすでにテーブルについていて、待っている」と、契約を待っているとした。  海外SNSでは、ヴァンvs.ケイプを並べたカードを「口頭で合意」と報じるサイトもあるが、正式決定ではない。もし、このカードが実現すれば、UFCタイトル戦が非ナンバーイベントで行われる稀有な例となる。 [nextpage] 平良「次はジョシュアと。世界一を証明するために──」  一方、13日のケイプの試合前の時点で、平良は海外のアリエル・ヘルワニのインタビューを受けている。平良も試合後の会見で話していた通り、次戦は王座挑戦を望んでいる。「次はジョシュアと戦う。それがもし日本ならベリーベリーベリー、ハッピー。でもどこへでも行ける。またT-モバイルにも行けるし、米国のどこでも。ヒューストン? 行きますよ、全然。それもすごくいいと思いますね。チャンピオンの町で僕が挑戦したらすごいワクワクします。ただ、僕がタイトルを獲りたい」と、アウェーに乗り込んでもいいと、早期の王座挑戦に意欲。  2000年生まれで25歳の平良は、2001年生まれで24歳の同世代の新王者について、「ジョシュア・ヴァンがほんとうにどれだけのものを持っているのかっていうのは、今回の試合もそうだったし、まだ分からないところがあるし、僕もまだモレノ戦でも見せてないのがあります。だから、ジョシュア・ヴァンってどんくらい強いんだろうっていうのが気になりますし、確かめたい。タイトルマッチは、5分5Rあるけどフィニッシュする自信はあります」と、互いに進化中であるとしながらも、ヴァンをフィニッシュできると自信を見せた。  また「仮にあなたがヴァンに勝って王者となった後、次の相手はパントージャと堀口恭司どちらになると思う?」と問われると、「パントージャが怪我から復帰したら、やっぱりパントージャとやることになるのかなと思いますし、その次にというか、そこでパントージャ相手に防衛したら堀口さんとやりたいです」と、フライ級のレジェンドである堀口恭司との対戦は、トップに立つ上で避けられない戦いであることも、あらためて語っている。 「平良vs.ヴァン、平良vs.恭司、どちらが盛り上がる?」と聞かれた平良は、「両方、盛り上がると思うけど、恭司さんは日本でとても有名なファイターです。UFCジャパンでとても燃え上がるカードだと思います。個人的に日本人とすごく戦いたいという気持ちはあまりないけど、やっぱり世界一を証明するために戦いたいので、その相手が堀口さんだったら、堀口さんと戦いたいですし、今後、ずっとトップで戦っていきたいというだけです」と、堀口の名前を挙げた理由を語った。 [nextpage] 堀口「最速でベルトを巻けるように」  そして、ヴァンが名前を挙げた「もう一人の日本人」堀口恭司は、2月7日(日本時間8日)米国ラスベガスのUFC APEX大会にて、5位アミル・アルバジ(イラク)との対戦が14日に決定した。  8位の堀口は、自身のYpuTubeで「前回からそこまで月日が経たないで、試合を組んでもらって、売り出してくれてるのかなと思ってるんで、すごくありがたく思っています。しっかり本当に日本人強いんだよっていうのを見せて、最速でベルトを巻きたいと思ってるんで、次の試合もしっかりとフィニッシュして勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします」と意気込みを語っている。  また「アルバジはレスリングが強い選手、ここから本格的に研究して対策練習」とし、ATTのマイク・ブラウンから「恭司が年末まで日本にいる予定だったのは分かっているけど、それどころではない。早く帰って来れないか」と言われ、「ほんとうはセコンドとかについてという話だったけど、俺もファイターだから第一優先でアメリカにすぐ帰ろうと思います。すぐにキャンプ、息上げとかをどんどんしていかないと」と、大晦日RIZINに出場するアメリカントップチーム(ATT)のダニー・サバテロ、野村駿太、元谷友貴、神龍誠らのセコンドにつかずに緊急帰国するとした。  日本格闘技界も席巻するATTだが、大所帯のならではの悩みもある。堀口は「前回の(タギル)ウランベコフもそうだけど、アルバジのチームメイトとかもジムにいて練習見てるから、スパイがいるんだよ(笑)。だからマイクが『隔離した部屋でやろう』と。正直、見られようと関係ないけど、気分は良くない」とアルバジの練習仲間とは離れて練習することを明かしている。 [nextpage] 練習を再開したパントージャ、UFC日本大会の時期は──  もう一人、ヴァンとの再戦が約束されているのが、前王者パントージャだ。  自身が右ハイキックをヒットさせている写真を12日、SNSにアップしたパントージャは、敗北を以下のように振り返っている。 「人生における“なぜ”は、恐ろしいほど魅力的なものであり、それを理解しようと試みることは私の役目ではない。時が来れば、人生そのものがその答えを明らかにしてくれるだろう。私は自分が正しい選択をしたことを知っており、できるだけ早く戻ってそれを終わらせたいと願っていた。しかし、私をここまで導いたもの、つまり闘いを終わらせたいという衝動に裏切られたのだ。私の自信と攻撃性が、逆に私を苦しめる結果となったのだ」  そして翌日には、「私は自分のものを取り戻すために戻る」「あなたは私がどんな男か理解していない。ノンストップ! 困難な時こそ、私たちを強くする!」と記し、左ヒジにサポーターを着用し、早くも右腕のみでウェイトトレーニングを再開している姿をアップしている。  果たして負傷からの復帰はいつになるか。ダナ・ホワイト代表は、ヴァンとパントージャの再戦を口にしながらも、「その前にヴァンは防衛戦になるだろう」とダイレクトリマッチよりも、ほかの相手とヴァンの王座戦が組まれることを示唆している。 “絶対王者”が陥落したいま、UFCフライ級トップ戦線は混沌としてきた。  フレッシュな身体で近い距離での打ち合いを制する新王者ヴァン。復活を期す35歳のパントージャ。類稀な身体能力をもとに巧みなボクシングで3試合連続TKO勝ちのケイプ。ほかの選手にない図抜けた寝技の強さを持ち、打撃に磨きをかける平良。復活のオクタゴンでステップを戻し、オールラウンドの強さを誇る堀口。  下位には、ヴァンをKOしたチャールズ・ジョンソン、ヴァンにテイクダウンから極めの場面を作った鶴屋怜も控えている。  堀口のUFC復帰によってUFCロースターにおける日本人アスリートは8人となり、フライ級3位の平良達郎、バンタム級に戻す朝倉海、女子ストロー級の魅津希、DWCSで契約を勝ち取った木下憂朔、そしてROAD TO UFC出身の中村倫也、風間敏臣と鶴屋怜が名を連ねている。さらに、2月1日の豪州大会では中村京一郎がROAD TO UFCフェザー級トーナメント決勝(vs.セバスチャン・サレイ)に臨むことも決まった。  フライ級に戻れば、王者との相性と研究、そこまでの進化が王座戦を左右する。パントージャからヴァンに変わったことで、ときの王者とのそれぞれの攻略方法も変わってくる。そして、平良や堀口が王座戦線にからむのは、いつどこになるか。  まずは2月ヒューストン大会に、果たしてヴァンは出場するか。その防衛戦の相手は平良かケイプか。そして、3月に朝倉海の次戦の海外報道もあるなか、ダナ代表が「会場探しに入っている」という日本大会を実現させるためには、どんなピースが必要か。  ヘルワニから「日本大会について何か新しい情報は?」と問われた平良は、「話では4月、5月にやりそうみたいなのは聞いたけど、言っていいか分かんないから、あの、小声で言っときます」と笑顔で語っている。  今春か、それとも年内か。難関をクリアすれば、具体的にゴーサインが出ている日本大会のカードも見据え、フライ級の王座戦線は動いていくことになりそうだ。
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