キックボクシング
レポート

【KNOCK OUT】サオエークが小笠原瑛作をヒジ&ハイキックで大の字KO、日菜太は母の急病のアクシデント乗り越え辛勝

2019/11/01 22:11
「KNOCK OUT 2019 BEAKING DAWN」2019年11月1日(金)東京・後楽園ホール ▼第7試合 55.5kg契約 KNOCK OUTルール 3分5R×小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)KO 2R 2分29秒 ※右ハイキック〇サオエーク・シットシェフブンタム(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級王者)  小笠原は軽量級トップ戦線で活躍し、KNOCK OUTには旗揚げ戦から参戦。ほとんどの試合でKO勝ちする快進撃を続けていたが2018年6月に江幡塁にKO負けを喫し、リベンジを懸けて挑んだ今年8月のKING OF KNOCK OUT 初代スーパーバンタム級王座決定1DAYトーナメント決勝戦でも江幡に敗れ、今回が再起戦。  その再起戦の相手には強力な難敵が選ばれた。サオエークは双子の弟サオトーと共にムエタイの本場タイで活躍する人気選手で、ムエカオ(ヒザ蹴りを得意とする選手)。小笠原はこの試練を乗り越えることができるか。  1R、サウスポーの小笠原は足払いでいきなりサオエークを転倒させて先制。その後は左右ボディブローとローで足と腹を攻めていく。サオエークは右ハイを多用する。  2R、ボディ&ローに加えて、右のパンチをヒットし始める小笠原。サオエークは右ミドルと右ハイを狙ってくるが、小笠原がパンチで攻勢を仕掛ける。と思われた刹那、パンチを打とうと距離を詰めた小笠原に突然の左ヒジ打ち。意表を突かれた小笠原はダウンを喫する。  挽回しようとパンチとローで前へ出た小笠原だが、右のパンチを出したところへサオエークが狙いすました右ハイキック。小笠原は大の字に倒れ、10カウント。サオエークは“首をかっ切った”のポーズをするなど狂喜乱舞して勝利を喜んだ。 ▼第6試合 70kg契約 REBELSルール 3分5R〇日菜太(クロスポイント吉祥寺/REBELS 70kg級王者)判定3-0 ※50-49、49-49、50-48×ラーシーシン・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックスジム)  8月のKNOCK OUTで元プロボクシングOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者ジョムトーン・チュワタナ(タイ)に敗れた日菜太は今回が再起戦となる。対戦するラーシーシンは、タイのビッグマッチ『TOP KING』や『MAX MUAYTHAI』などの大会に出て外国人選手を撃破している重量級ムエタイ戦士。  1R、日菜太は徹底して左ロー&インローを蹴っていき、ラーシーシンは右ミドルを蹴っていたが、途中からサウスポーに構えを変えて左ミドルを蹴る。  2Rも日菜太はワンツーからの左ロー、蹴り足をキャッチしてのローと徹底してローを蹴る。ボディブローも入り始め、ラーシーシンは再び構えをオーソドックスに戻して右ミドルを蹴る。  3R、ラーシーシンは右のパンチを出して前に出てくると、日菜太の左ローに合わせて右ストレートをヒットさせる。積極的な攻めを見せるようになったラーシーシンに日菜太は徹底したロー。ラーシーシンは足をくの字にさせる場面も。  4R、ここで日菜太は三日月蹴りを放ち、さらに左右ボディブローを叩きつける。ローとボディで攻める日菜太にラーシーシンは強烈な左ミドルで応戦。日菜太も苦しそうだ。  5R、ラーシーシンのハイキックが浅く日菜太にヒット。怒りの形相で前に出る日菜太はボディへパンチを叩きつける。サウスポーに構えたラーシーシンだが、左ローをもらうとすぐにオーソドックスへ戻す。日菜太は最後までしつこくローを蹴り続け、判定2-0の僅差でラーシーシンを振り切った。  日菜太はマイクを持つと「今日、僕は負けたら引退しようと思っていました。それくらいの覚悟で試合をしてすっきりしない勝ちだったと思いますが、今精一杯できることを頑張って、もう一度世界最強の外国人とこのKNOCK OUT、レベルスのリングで戦いたいと思います」と、胸に秘めていた覚悟を明かした。  さらに「今朝、お母さんが倒れて救急車で運ばれて、アフターパーティーには参加できないんですけれど、これからもよろしくお願いします」と、試合当日にその対応に追われていたことも打ち明けた。 [nextpage] ▼第5試合 54kg契約 KNOCK OUTルール 3分5R〇壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム/ルンピニー・ジャパン認定バンタム級王者)判定3-0 ※49-48、49-48、49-47×HIROYUKI(目黒藤本ジム/第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者)  HIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合を持ち味とする。時折、派手な蹴り技も見せるが、得意技はヒジ打ち。壱は沖縄で空手を学び、強打を武器とするが近年ではムエタイテクニックを駆使して相手を完封するようなテクニシャンぶりを発揮している。  1R、サウスポーの壱は左ミドル、HIROYUKIは右ミドルが主軸。壱の出足をHIROYUKIは右ミドル、ヒザ蹴り、右フックで捉えて前に出させない。パンチの連打から攻撃の終わりに必ずミドルを蹴るHIROYUKI。  2R、HIROYUKIの出鼻を捉える攻撃と流れるようなコンビネーションになかなか攻められない壱だったが、中盤を過ぎると右ストレートをヒットさせる。お互いに蹴りのカウンターを取り合う展開に、両者試合が楽しくて仕方がないというような笑顔を浮かべる。  3R、壱は強引に詰めてパンチをまとめるが、HIROYUKIは離れ際にハイキックを放って脅かす。前に出てパンチで攻め、組むとヒザをボディに突き刺す壱にHIROYUKIはやや失速。このラウンドは壱のパンチでの攻撃が目立った。  4Rも壱は強引に詰めてのパンチを打って行き、組んでのヒザ蹴りに活路を見出す。このヒザ蹴りでHIROYUKIは失速。壱は前蹴り、パンチでもボディを攻めていく。さらに組むと身体を浴びせ倒してHIROYUKIをマットに叩きつける。  5R、壱は前蹴り、テンカオ、組んでのヒザ蹴り、さらにワンツーと攻撃を続ける。HIROYUKIもヒザ蹴りを返し、お互いに相手をコカしまくる。HIROYUKIはハイキックでの逆転を狙うも不発。中盤から追い上げた壱が判定勝ちした。  壱はマイクを持つと「僕は前からKNOCK OUTの舞台でやりたいことがあると言っているんですが、そのひとつが小笠原瑛作選手と試合をすることです。小笠原選手、聞こえますか? 2月の大田区で僕と戦ってくれませんか? 返事待ってます。それと小笠原選手、メインで絶対に負けんじゃねえぞと伝えたかったです」と、小笠原に挑戦状を叩きつけた。  加えて「あと、僕のLINEスタンプが出来たので買ってください(笑)」と宣伝することも忘れなかった。 ▼第4試合 70kg契約 KNOCK OUTルール 3分5R×T-98(クロスポイント吉祥寺/元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者)判定0-3 ※48-50、48-50、47-50〇プライチュンポン・ソーシーソムポン(タイ)  T-98は“ムエタイゴリラ”の異名を持ち、パワーと頑丈な身体を活かした戦いぶりでこれまで数々のタイトルを獲得。2016年6月には日本人5人目となるラジャダムナンスタジアム王座を奪取した。また、同年10月にはタイのラジャダムナンスタジアムに乗り込み、KO勝ちで日本人初の現地での防衛にも成功。今年は2月にNJKFのエースYETI達朗に判定勝ち、8月のKNOCK OUTでは新日本キックボクシング協会の斗吾にTKO勝ち。  対戦するプライチュンポンは『MAX MUAYTHAI』や中国で試合をしている重量級ムエタイ戦士で、今回が初来日。戦績は60勝(20KO)25敗10分。  1R、サウスポーのプライチュンポンは左の蹴りを上・中・下に蹴り分け、強烈な左ミドルで快音を響かせる。T-98は前へ出ていくが手数は少なめ。プライチュンポンはT-98の予想通りヒジを放ってくる。  2Rも強い左の蹴りを放ってくるプライチュンポン。T-98は前へ出るが距離が詰まりすぎて組んでしまい、ブレイクとなる展開が続く。  3Rも同様、距離を取るプライチュンポンが左ミドルを蹴り、T-98が前へ出て距離を詰めるが右ロー、右ボディストレートなどを一発出すだけで組み付いてしまい、距離が全く合っていない様子。  4Rも同じ展開が続いたが、終盤、コーナーに追い詰めたT-98が左右フックをヒットさせる。頭が揺れるプライチュンポン。  5R、必死に右ストレートを放って前へ出るT-98だが、なかなかプライチュンポンの顔面を捉えることはできない。プライチュンポンはヒジも繰り出すが、残り1分30秒を過ぎると流しモードに。それでもT-98は飛びヒザ蹴り、スーパーマンパンチと攻めていったが、決定打を与えることができず。判定3-0でプライチュンポンが勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 61.5kg契約  KNOCK OUTルール 3分5R〇重森陽太(伊原道場稲城支部/WKBA世界ライト級王者)TKO 4R 2分38秒 ※セコンドからのタオル投入×翔・センチャイジム(センチャイムエタイジム/INNOVATION&WMC日本ライト級王者)  重森は身長181㎝の長い手足から繰り出される強烈なミドルキックとパンチを武器に、新日本キック2階級制覇を達成。KNOCK OUTでも活躍し、2017年12月には4年間無敗で18連勝を遂げていたピンサヤームをストップして見せた。今年7月にはタイ強豪選手を倒してWKBA世界タイトルを獲得している。  翔は2006年プロデビューのベテラン選手で、60戦以上のキャリアを持つ。ミドル&ハイキック、ヒジ、ヒザを得意としており、これまで5本ものベルトを獲得している。12月1日のムエタイオープンで引退試合をすることが決まっており、最初で最後のKNOCK OUT参戦を果たした。  1R、重森は右ミドル、サウスポーの翔は右ローを蹴る。静かな立ち上がりとなったが、終盤に重森がコーナーでパンチをまとめて優勢を印象付けた。  2R、前蹴りを出しながら前へ出てくる翔。重森は距離を取って左ミドルを蹴り続けるが、翔の右フックでグラつく。重森も直後に左フックを当て返す。翔はパンチを繰り出して前へ出る。  3R、さらに前へ出てくる翔の右フックがついにクリーンヒットし、重森がグラグラと揺れる。すかさず左ヒジからの連打でダウンを奪う翔。パンチと左ヒジで追い打ちしてダウンを追加するが、ラッシュをかけたところで重森が右ヒジでダウンを奪い返す。場内は大盛り上がり。  4R、翔は右フックで重森をロープ際まで追い詰めていくが、重森は右ミドルを蹴ってからの右ハイキック。下がる翔に重森の左ストレートが決まり、翔がガクガクと震える。重森は何度もワンツーを放ち、翔がついにダウン。  その後も右ハイキックとワンツーで畳みかける重森。翔が打たれて下がる場面が続き、追い込まれたところで翔のセコンドからタオルが舞った。  激闘で逆転TKO勝ちに成功した重森は「新日本キックから来ました。WKBA世界タイトルというベルトを持っています。世界で一番強いことを証明したいので、他団体のチャンピオンに負けるのはあってはならないことなので必死に頑張りました。今ヒジなしとかヒジありとはルールがありますが、ヒジありは新日本キックにお任せください」とアピールした。 ▼第2試合 57kg契約  KNOCK OUTルール 3分5R〇宮元啓介(橋本道場/元WPMF世界スーパーバンタム級王者)判定3-0 ※49-48×3×小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺/元WBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王者)  ONEで3連敗中と厳しい状況にある小笠原が、2018年2月にREBELSのリングで対戦し引き分けに終わっていた宮元との再戦に臨んだ。  1Rはお互い様子見で静かな立ち上がり。2Rになると小笠原が強い左ジャブ、宮元は左フックからの右ローで攻めていく。  3Rは両者手数を増やし、小笠原は組んでのヒザ蹴りをしつこく仕掛ける。宮元は三日月蹴りと右フック。パンチをヒットさせた宮元優勢かと思われたが、小笠原が右ヒジをヒットさせて挽回。  4R、両者のヒジの打ち合いに場内がどよめく。小笠原がやや有利かと思われたが、宮元がパンチで逆襲。ヒットを奪って小笠原を消耗させる。右ローも的確にヒット。  5R、パンチで前へ出る宮元に小笠原はヒジを合わせに行こうとする。何度も両者はバッティング。宮元の左右フックを連続被弾する小笠原だが、必死に食らいついていく。宮元は後ろ蹴りも放つなど最後に攻撃を畳みかけ、小笠原を振り切った。 [nextpage] ▼第1試合 64kg契約 REBELSルール 3分3R×耀織(Y's glow)KO 2R 1分39秒 ※右ストレート〇鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)  鈴木はREBELS-60kg王者・鈴木宙樹の弟で、元々はMMAファイターとしてパンクラス・ネオブラッド・トーナメント2018フライ級(56.7kg)で優勝。8月の『REBELS』でキックボクシングの試合に臨み、パワフルなパンチで初回TKO勝ちを飾ると10月の『KNOCK OUT×REBELS』ではメインイベントに抜擢。二冠王・橋本悟を1R僅か45秒でマットに沈めた。  耀織は空手出身で多彩な蹴り技を得意とし、REBELSでの過去2戦は元J-NETWORKスーパーライト級王者・杉本卓也とドロー、極真空手出身でプロ無敗の与座優貴には判定負け(判定2-1)を喫しているが、今回は原点に戻って蹴りまくると宣言。  1R、序盤はローの蹴り合いから鈴木が“暴腕”を叩きつけていく。よしきの蹴りに右を合わせ、左右フックやボディへつなげていく。よしきは回転系の蹴りを多用。  2Rも圧力をかけていく鈴木が左ミドルと左ヒザ蹴りでダメージを与えてパンチにつなげる。よしきは回転蹴り、飛び蹴りで対抗するが鈴木のパンチにスリップが多い。パンチからヒザ蹴りでダウンを奪いと、最後は頭部への左ヒザからの右ストレートで倒し、鈴木が予告通りの2RでのKOで3連続KO勝ちを飾った。  鈴木は「俺はチャンピオンになる」と吠えた。 ▼オープニングマッチ第4試合 スーパーフライ級契約 3分3R×佐藤仁志(新宿スポーツジム)判定0-3 ※25-30、25-30、24-30〇花岡 竜(橋本道場)  1R、花岡はハイキックを空振りして左フックをもらい、尻もちをつく場面はあったものの、それ以外は多彩な蹴りとパンチで圧倒。2Rには花岡が左の蹴りの連打から佐藤が頭を下げたところにヒザを入れてダウンを奪う。  3R、花岡はボディへのヒザ蹴りでダウンを追加。後ろ蹴りやハイキックなど多彩な蹴りを繰り出し、パワーでも押していた花岡の勝利となった。 ▼オープニングマッチ第3試合 トライアウト育成試合 バンタム級契約 3分3R〇古村 光(フルムラジム)TKO 2R終了時 ※ドクターストップ×星野航大(TORNADO)  1Rから両者激しく打ち合う。サウスポーの古村がスピードのある左ミドルから左ストレート、右フックを放てば星野はフックを合わせに行く。2Rは星野がテンカオを突き刺しながら前へ出て、左ヒジを連発。さらに左ローの連打でダウンを奪う。  その後もテンカオとヒジの波状攻撃。ラウンド終了後のドクターチェックで、左目の上を切られた星野はドクターストップ。古村のTKO勝ちとなった。 ▼オープニングマッチ第2試合 47kg契約 REBELSルール 2分2R〇山上都乃(ウィラサクレックムエタイ湖北ジム)判定3-0 ※20-19×3×チエミ(HIDE GYM) 1R、スピードのある左右のミドルで攻める山上に対し、チエミは蹴り足をキャッチしてのコカしを多用。しかし、キャッチしたまま歩を進めてしまいイエローカード。2Rも山上がローからミドルのダブル蹴り、ワンツーからのミドルと攻め、チエミは蹴り終わりをパンチで狙うという展開に。アグレッシブに攻めた山上が判定勝ちした。 ▼オープニングマッチ第1試合 トライアウト育成試合[ムエタイオープン推薦アマチュア試合] 50kg契約 2分2R〇大塚愛莉(上州松井ジム)判定2-0 ※20-19、19-19、20-19×望月冴香(G-1 TEAMTAKAGI) 1R、左右ストレートで積極的に前へ出て攻めるのは大塚。距離が近づくと組んでのヒザ蹴りで主導権を握る。2Rになるとサウスポーの牙が左ミドルからのパンチを当て始め、追い上げる逆襲を見せたが大塚が逃げ切った。
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