（C）Takazawa Keisuke／GONG KAKUTOGI
2025年11月24日（月・祝）、江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われたボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦（12回戦）で、同級1位の那須川天心（帝拳）と、同級2位の井上拓真（大橋）が対戦（※試合後の井上拓真コメント全文、那須川天心コメント全文）。
ボクシングデビュー8戦目での世界王座挑戦の那須川は、序盤は持ち前のスピードとステップでオーバーハンドをヒットさせるなど左の攻撃で先制。さらにショートの右フックをヒット。しかし、3R以降、那須川のスピードに慣れた井上が、接近戦を挑み、右ストレートをヒット。４回を終えて公開ジャッジは3者ともに38-38のイーブンに。
このスコアに井上陣営も戦い方に確信を持って進め、ガードの上からでも積極的に打ち込み、近距離でのアッパー、離れてもノーモーションの右と手数を止めず。
8回までの公開採点で、井上が77-75、78-74、1人がドローと2-0で大きく差をつけると、那須川もガードを下げた変則的な動きを駆使して追い上げ。最後まで井上も譲らず。
判定3-0（112-116×2、111-117）で井上が勝利。キックボクシング、MMA含め格闘技公式戦53勝無敗だった那須川は初黒星。井上は金色の特製WBCサムライベルトと通常のWBC世界王座ベルトの2本を獲得した。
Prime Video Boxing 14
2025年11月24日(月・祝)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
▼WBC世界バンタム級王座決定戦 3分12R
×那須川天心（帝拳ジム/同級1位）
[判定0-3] ※112-116×2、111-117
〇井上拓真（大橋ジム/同級2位）
那須川は2023年4月にプロボクサーとしてデビュー、2024年1月の第3戦、7月の第4戦で世界ランカーを連続KO・TKOし、10月の第5戦では判定勝ちでWBOアジアパシフィック・バンタム級王座に就いた。2025年2月には元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニーも判定で破り、6月にWBA同級6位ビクトル・サンティリャンに判定勝ち。7戦全勝（2KO）で世界初挑戦。
井上は2013年12月にプロデビュー。2015年7月、5戦目でOPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者に。2018年12月、WBC世界バンタム級暫定王座決定戦で王座に就いた。2019年11月、正規王者と統一戦を行ったが、判定負けでプロ初黒星。2021年11月にはWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王座を獲得した。2023年4月、WBA世界バンタム級王座を獲得。同王座は3度目の防衛戦で堤聖也に敗れた。戦績は20勝（5KO）2敗。
黄金をテーマにした金髪の那須川のコーナーには粟生隆寛トレーナー。井上拓真陣営には父・真吾トレーナー、大橋秀行会長、兄・尚弥。
1R、サウスポーの那須川、オーソの井上。細かく頭を上下に動かす井上に、那須川はどっしりと構えて右ジャブを見せる。井上は左のダブル。那須川は右から左に繋ぐ。
左の外を取る井上。那須川も右足を外に右を突く。井上は中に入り右。頭が近づく。那須川は左の跳び込み。互いに後ろ手を見せる。左ジャブ、右ストレートは那須川のガードの上。井上の左に那須川は左オーバーハンドを当てる。
2R、前に出て右ボディを伸ばす井上。かわす那須川。井上の左に右フックを内側に突く。左ボディを伸ばす井上。ショートの右フックを当てた那須川！ ボディからアッパーを狙う井上。井上のパンチを見切って外す那須川。左ストレートを下に。那須川のフェイントに井上が反応する。那須川の右に左フックのカウンターを狙う井上。那須川は左を上下に突く。
3R、左のダブルから前に出る井上は接近戦に切り替え。左フックをガード上から叩く。右の刺し合いは那須川のスピードが上。井上の右オーバーハンドをかわす那須川。右に回って角度をつけて左ボディを当てる那須川。
井上は右ボディストレートもまだ遠い。右から左の井上に那須川はクリンチしてプッシュ。右ストレートの井上の打ち終わりに那須川は左ボディ。これを2度。大きな右アッパーも突く。
4R、オーバーハンドで飛び込む井上。距離を詰めるが那須川も左をカウンター。井上の右に那須川の左は空を切る。詰める井上に右に回る那須川の左ボディに右を合わせた井上！
那須川のスピードに慣れてきたか。井上は左そこに右をかぶせにいく那須川。詰めて左右。ブロッキングの那須川。右から左ボディ、右ジャブと左ジャブの刺し合いはともにかわす。
ここまでのオープンスコアは3者38-38のイーブン。
5R、右ストレートの井上。回る那須川は右ジャブ。右スピーディな右ジャブを突く。井上はワンツーの右をヒット！ 那須川は右ジャブ。井上の飛び込みをさばいて井上が転がる。
左ジャブの井上。那須川は右のダブルから左ストレートも浅い。右前手フックで右回りの那須川。
6R、右から左を伸びあがるように伸ばす井上。入りに右をカウンターで当てる那須川。井上も右アアッパー。左ジャブには那須川が右を突く。右アッパーの井上。右オーバーハンドをガード上から当てる。
那須川のワンツーの左をかわす井上。那須川は右ジャブを届かせる。左はダックでかわした井上の右がヒット！ さらに右！ 近い距離で戦う井上。那須川も左を返すがブロック。井上の動きに、那須川が後手に回る形に。
7R、右から左を那須川のブロッキングの上から打つ井上。詰めて右アッパー、ボディと先・先に仕掛ける。接近戦で先手の井上。那須川は右回りでジャブ。左！ 相打ち気味に。クリンチにアゴを押す那須川に注意。那須川の右から左をずらす井上。右のノーモーションも。井上が右を打った後の那須川のリターンを井上はダックでかわす。井上のアッパーに那須川は対応が後手に。
8R、前手争いから右で飛び込み左右を振る井上。かわす那須川は右ジャブ。右から左ストレートをガード上に。先に仕掛ける那須川は右から左アッパー。踏み込む間合いで戦う。ワンツーをかわす井上。ここもプッシングの那須川。
潜る井上の頭を押さえて前に出る那須川はコーナーに詰めて右ジャブ。しかし右を振ってコーナーを出ると、右ジャブ。井上の右と那須川の左が相打ち、手数を増やした那須川。
8Rまでのスコアは、76-76、77-75、78-74で井上がリード。
椅子に初めて座った那須川。公開採点で相手がリードしている初の展開で、那須川はいかに動くか。
9R、先に出るのは井上。右から左、右に。那須川も左を突く。左ボディの那須川。右のダブルから井上の打ち返しをスウェイでかわす那須川。入って右から左のショートを当てる井上。那須川も右から左で前に。右に回っての左は井上も防御。右のノーモーションは井上！ 那須川はボディストレートから入る。
10R、ガード低く回る那須川。低い手の位置から右ジャブのフリッカー。右ボディの井上に、右ジャブを当てる那須川。右アッパーの飛び込みは空振り。右から左ボディを突くが浅い。
井上の連打を体を切り返して左右も井上はクリンチ。右アッパーの那須川に井上も右ストレート。那須川は左。右アッパーから左とこれまでのコンビネーションから変化を見せる那須川。
11R、前に出る井上は右アッパー！ 右を狙う那須川は額を前にノーガードで詰めて左、右を突くが右に回る井上。左ストレート、左右の那須川だが、井上はガード。オーソからワンツーを打つ那須川。しかしさばく井上は右。那須川のワンツーをガード。コーナーに詰まるもクリンチワークで入れ替える。右ジャブのダブルで那須川が前に出るも遠い。
12R、グローブを合わせる。那須川にとって初の12R。左右の打ち合いから左ボディを突く那須川にクリンチの井上。右ボディ、左フックの井上をかわす那須川は左ボディ。
左ストレートをダックする井上。井上の左右もかわす那須川はコーナーに詰めてワンツーもクリンチの井上は近い距離に入ってワンツー。那須川は右回りで左もダックでかわす井上。カウンターの右！ 被弾した那須川が前に詰めてそこに井上は右を振ってゴング。
互いのコーナーに挨拶。判定へ。判定3-0。116-112×2、117-111で井上が勝利。那須川は判定に拍手。正座して四方のファンに頭を下げた。
井上は「戻ってきました。本当に率直な気持ちとしては、天心選手相手だからこそ、自分もここまで追い込めて、ここまで仕上げてこれたんで、本当に天心選手強かったし、本当にありがとうございました。自分は天心戦がキャリア最大と言って、ナメずに本当に強敵だと思ってここまで追い込んでこれたし、もう始まって本当に強いなっていうのをやっぱり肌で感じたんで。もうここまで本当に追い込んで、この結果を出したことに本当に感謝してますし、大橋会長をはじめ、お父さんが最後まで自分のことを追い込んでくれたんで勝つことができて。ファンの皆様には本当にこの結果で恩返しできたと思ってます。ありがとうございました。
やっぱり負けられない戦いっていうのもありましたけど、なんせ一番は相手が天心選手だからこそ、自分はもう本当にここまで死ぬ気でやってこれたと思ってます。お父さんも諦めないで自分をここまで追い込んでくれて、自分もここで結果を残したことに、本当にちょっとでも恩返しできたかなっていうのは思ってます。
（勝因は？）この練習を一つも抜かずに、あとは天心選手に勝つんだっていう、もう気持ちでここまで来ました。それだけです。もう返り咲くとよりも、天心選手に勝つっていうことだけで、もうここまで来たんで、もう今本当に素直に嬉しいです。もうそれだけです。ここまでやっぱり盛り上がる試合ができたっていうのも天心選手のおかげでもありますし。自分が勝つって信じてくれたファンの皆様、本当にありがとうございました」と語った。
