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【ボクシング】世界前哨戦、那須川天心がフルラウンド戦って大差の判定勝ち。4Rにカットで流血、最終10Rは激しい打ち合いに!中谷潤人は1Rからの激闘で6回TKO勝ち、井上尚弥に「もうすぐ行くので待っていてください」

2025/06/08 19:06
Prime Video Boxing 132025年6月8日(日)東京・有明コロシアム ▼バンタム級 3分10R〇那須川天心(帝拳ジム/WBC同級1位、WBA2位、WBO2位、IBF4位)判定3-0 ※99-91×2、100-90×ビクトル・サンティリャン(ドミニカ共和国/WBA同級6位)  那須川は2023年4月にプロボクサーとしてデビュー、2024年1月の第3戦、7月の第4戦で世界ランカーを連続KO・TKOし、10月の第5戦では判定勝ちでWBOアジアパシフィック・バンタム級王座に就いた。2025年2月には元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニーも判定で破り6戦全勝(2KO)。 “世界前哨戦”と銘打たれた一戦で那須川が対戦するサンティリャンは、14勝(5KO)1敗のサウスポー。アマチュアを経て7年前にプロに転向し、13連勝をマーク。2023年6月に来日して石田匠とWBA世界バンタム級挑戦者決定戦に臨み、判定2-1で敗れた。これがプロ唯一の敗北。2024年6月に再起戦を判定勝ちし、那須川戦に臨む。ガードを高めに置いた構えから上体を小刻みに振りながらフェイントを多用するサウスポーのボクサーファイター。 1R、両者サウスポー。まずは那須川がジャブを2発。前へ詰める那須川にサンティリャンは左へ回り込む。ジャブでボディを打とうとした那須川にサンティリャンはジャブを合わせに行く。那須川の左ストレートにも左ストレートを合わせに来るサンティリャン。那須川が右へ回り込みながら速いジャブを突いていき、サンティリャンは低く構えてジャブを返す。 2R、那須川がジャブからワンツー、右フック。ダッキングするサンティリャンに左アッパー。サンティリャンはジャブを出すが、那須川がボディへの左右。ジャブから左ボディを打つ那須川がヒットを奪い、サンティリャンのジャブはかわしていく。那須川は左ストレートを打ち、すぐにジャブ。 3R、サンティリャンが左オーバーハンドを2発、那須川はじりじりと前へ出ていき左ボディを当てると、前に出てきたサンティリャンに右フック。ジャブの突き合いから左を強打するサンティリャンだが那須川はかわす。ジャブを突いてサンティリャンを下がらせる那須川。サンティリャンの大きな右フックはかわす。近距離では左右アッパーを打つ那須川にサンティリャンは左右フック。那須川が細かい連打を繰り返すと、離れ際にサンティリャンが右フック。 4R、那須川のジャブにサンティリャンは左ボディ。じりじりと前に行く那須川に回り込むサンティリャン。低く構えて潜り込んでボディを打つサンティリャンに那須川は左ボディ。手数を増やしてジャブから左ボディ、右フックを打つサンティリャンに那須川も左フック。那須川は左目上から出血が見られる。那須川がジャブ2発からの左ストレートをクリーンヒット。サンティリャンが右フック。サンティリャンがギアを一気に上げた印象。 5R、ジャブを打ちながら前に出る那須川が左ボディ、サンティリャンは大きな左フックを打ってくる。那須川は左アッパーをアゴとボディへ。左右へ回り込みながら左アッパーと左右フックを打って行く。サンティリャンも負けじと右ボディ。那須川は肩で押すようにして左ボディと左アッパーのダブル、右ボディと右アッパーも放つ。前に出てくるサンティリャンにはジャブ。 6R、左右フックを打つサンティリャンに那須川はジャブ、左右ボディ。那須川は左右に動きながらの左フック、ジャブ、右アッパー。サンティリャンの左フックをかわしてジャブをを入れると左アッパー、左フック。頭を低く下げるサンティリャンに左アッパーの2連発。那須川が右ボディを2発打つとサンティリャンの表情が歪む。那須川は大きなモーションで左アッパー。余裕を見せ始めた。 7R、前に出る那須川が左右ボディ、サンティリャンはジャブを突くが那須川はかわす。コンビネーションを出すサンティリャンだが那須川はしっかりブロックして逆に右フックを当てる。右ボディからの右アッパー、左ストレートも。那須川の長いジャブに右フックを打ち返すサンティリャン。右へ回り込みながらジャブを当てていく那須川。 8R、那須川の左ストレートに左フックを合わせに行くサンティリャン。圧をかける那須川がワンツーで左ストレートを当てていく。サンティリャンのジャブをかわしてジャブを当て、左ストレートでサンティリャンが大きくバランスを崩した。ジャブ、右フックを当てる那須川にサンティリャンは左右ボディ。左フックを空振りするサンティリャンに対し、那須川は左ストレートをしっかりヒットさせた。 9R、左ストレート2連打の那須川。。サンティリャンのワンツーはかわし右フック。那須川の右フックからの左アッパーがヒットし、さらにワンツーの連打で畳みかける。左クロス、左ストレートが連続ヒットして場内が大きく沸く。クリンチで逃れようとするサンティリャン。那須川も左ストレートを被弾したが、すぐにコンビネーションを打ち返して左ストレート、右ボディと優勢に終えた。 最終10R、前に出てワンツーを打つサンティリャンに那須川が左フック。サンティリャンはクリンチが多い。那須川が左右ボディ、左フック。サンティリャンも左右ボディを打つ。打ち合いに来たサンティリャンに那須川も応戦し、右フックを被弾するが右ボディ、右フックを返す。さらに左ストレートの連打。サンティリャンも左右フックを思い切り振る。パンチを振り回して前へ出るサンティリャンを那須川は左ストレートで迎え撃つ。激しい打ち合いとなり、大歓声にの中、試合終了のゴングが鳴った。 判定は3-0で那須川の完勝に。世界前哨戦をクリアした。  那須川はマイクを向けられると「応援ありがとうございました。今日の試合は自分の課題である詰め切る、倒し切るところをずっと目標にして近い距離とか練習してきたんですけれど、試合ではなかなか上手くいかないところもあり苦戦した場面も見せたんですがサンティリャン選手、来てくれて嬉しいです。ありがとうございます。  調子もよくて今日に懸けてやってきたんですけれど、なかなか身を結ばないというか。こういう結果なのでこれが自分の実力なんですよ。一歩一歩、後ろに下がったりもあるかもしれないですけれど、日々を生きていきたいと思います。  ボクシングに来て王者でもないのに応援してもらえて幸せ者だと思いました。入場の時も後ろから歓声が聞こえてきて、こんなに応援してもらえるんだと感極まりました。これからも那須川天心の生き方を見せていきたいし、何があっても僕は負けないので、ボクシングに真摯に向き合って、たくさん強い選手いますがその選手たちと戦っていきたいです」と、試合内容には満足いっていないようだったが、一歩一歩進んでいきたいと語った。 リングサイドで試合を観戦したWBO世界バンタム級王者・武居由樹は「天心選手のスピードだったり技術だったりいいところが出ていて。サンティリャンもやりにくかったのでいい相手だったと思うし、最後の打ち合いも面白かったし、本当にいい試合だったと感じました。パンチをもらわないところは相変わらずですし、近い距離での左ボディは厄介。レベルは上がっていますね」と評し、「僕としては今日いつ戦ってもいいように研究しながら観戦させてもらいました。天心選手と戦うためにボクシングに来たところもあるので、いつでも戦いたいと思います」と、那須川戦はいつでもやると答えた。 [nextpage] ▼WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦 3分12R〇中谷潤人(M.T/WBC世界王者)TKO 6R終了時×西田凌佑(六島ジム/IBF世界王者)  中谷は2015年4月にプロデビューして以来、30勝(23KO)無敗。フライ級、スーパーフライ級、バンタム級と日本男子7人目の世界3階級制覇を達成している。WBC世界バンタム級王座はこれまで3度の防衛に成功。  西田は2019年10月にプロデビューして以来、10勝(2KO)無敗。2024年5月にIBF世界王座を獲得し、12月には初防衛に成功している。  日本人同士により世界王座統一戦は史上4度目。  1R、両者サウスポー。序盤から前へ出てジャブから左フック、右アッパーで仕掛ける中谷に場内からどよめきが起きる。西田もジャブを打つが中谷は左フックから右アッパー、右ボディ。さらに右ボディから右アッパー、左フックと強い攻撃を加える中谷。西谷が右フックから左ボディ、右フックで応戦すると中谷も右ボディと右フックを返す。中谷がジャブを叩きつけて左フック、西田も左ボディ。至近距離での打ち合いが繰り広げられる。  2R、ジャブから西田が左フック、中谷もジャブから右ボディ・右アッパー。ボディを左右で叩く西田に中谷はジャブから左フック。西田の左ボディをブロックして左フックを打つ中谷。入ってくる西田に左フックを浴びせた中谷は右アッパーの連打から左フックのダブル。  3R、左の差し合いから西田が右フックをヒットさせるが、中谷は左フックを返す。至近距離でフックとボディを打ち合う両者。離れると中谷が大きな左フックを打つ。西田のワンツーに中谷は右フック。西谷が左ボディを当てれば中谷はすかさず右フックを返す。中谷が左ボディから右フックをクリーンヒット。一瞬動きが止まった西田だが前へ出て行く。  4R、中谷が左の大きなフック、西田は左ストレート。両者接近戦でボディとフックを打ち合う。西田がコンパクトな左右フックを打てば、中谷は左フックを連打。西田のワンツーに中谷は左ストレート。西田のフックに頭を左右に振る中谷だが、西田の左のカウンターが顔面に。しかし、西田の右目上が腫れている。  5R、左ボディを打つ西田に左アッパーを突き上げる中谷。頭をつけるような距離で中谷は左フックを腕に叩きつける。中谷のワンツーに西田がよろめくと中谷が一気に右アッパーと左右フックのラッシュ。パンチをまとめる。西田には右目の腫れにドクターチェック。中谷は大きな左フックを何度も放つ。ラウンド終了のゴングが鳴ると、中谷は笑みを浮かべた。  6R、前に出る中谷が左フックの連打で襲い掛かり、西田をコーナーへ詰める。中谷は左フックを2発、西田の右肩に叩きつける。至近距離でフックの打ち合い、中谷の右フックがヒット。中谷のワンツーにクリンチする西田。手数とパワーが衰えない中谷に対し、西田は手数が減った。右目もさらに大きく腫れあがる。中谷が右フックをヒットさせたところでラウンド終了。  そして7R開始前、レフェリーがストップを宣言。中谷のTKO勝ちとなった。西田は右肩が脱臼してしまったことにより試合続行不可能となったことがアナウンスされた。  デビューから無傷の31連勝でWBCとIBF王座を統一した中谷は「1Rから行くっていうのはチームで話し合っていて。ダメージを1Rから存分に与えていくって気持ちで出ていったので、そこら辺は楽しんでいただけたかなと思います」と笑みを浮かべる。 「フライ級の時から統一戦をしたいと言わせてもらっていて、バンタム級という日本人に馴染みのある階級で統一できたことは凄く嬉しく思いますし、自信になりました。西田選手と戦うということで自分自身も成長できたので、そういうところで凄く重みのあるベルトです」と2本のベルトについて話す。 「これがチャンピオン同士の戦いなのかなと感じられたのと、いい形でベルトを獲れたので凄く嬉しいです」と振り返り、井上尚弥とのドリームマッチについて聞かれると「もうすぐ行くので待っていてください」とメッセージ。そして「また新たな未来が開けたと思うのでご期待ください」と語った。
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