2025年11月24日(月・祝)東京・TOYOTA ARENA TOKYO『Prime Video Boxing 14』の記者会見が、21日(金)都内にて行われた。
WBC世界バンタム級王座決定戦3分12Rを争う、同級1位・那須川天心(帝拳ジム)と同級2位・井上拓真(大橋ジム)が出席。
会見での質疑応答で「自分が勝った方がボクシング界が面白くなる」というのは、その中に拓真を倒した後で兄の尚弥も倒すという意味も込められているのか、と聞かれた那須川は「試合前でちょっと煽りすぎですよね、ちょっと勘弁してください。カッカしてます? 塩分取ってくださいね。今後の可能性は広がるなっていうのはありますね。ベルトを獲ってまずスタートラインだと思っているので、そこから無限の可能性が広がると思いますし、日本にバンタム級の強いチャンピオンがたくさんいますし、やったら面白いなってカードがたくさんあるので、まずそこをしっかり倒していきたいというのがあるので。勝ってからいろいろ言えるんじゃないですか。いま言っても何の説得力もないので。メディアとしてはそういうのが欲しいのは分かりますけれど、ちょっと待ってもらいたいっていうのがありますね」と、この試合に勝ってから言えることがあるとした。
Prime Videoの勝敗予想で那須川64.3%、井上35.7%という結果が出たことには「数字ほど信用してないのはないので。願望だったりがあるだろうし、全く気になってないですね。世の中の評価で僕は動いてないですから。評価や数字で測れるものじゃないぞっていうのは僕の中で常に見せたいと思っています。一個の指標にはなるかもしれないですけれど、そこは全く気にならないですね」と答える。
自分にとって世界のベルトとは、との問いには「なんだろう…一個の格じゃないですか。ベルトを持った持たないで人間って評価するじゃないですか。お金を持ってるから凄いとか、有名だから凄いみたいな風潮あるじゃないですか。僕はあまり好きじゃないんですけれど。ベルトを持っていることによって見られ方が変わるんじゃないかなっていう。だからこそ面白いですよね。自分が持っても価値観は何も変わらないと思いますし、だって腰につけるだけですからね。街に繰り出してベルトして歩けないですからね。だから一個の格というものだと思っています」と、“格”を表すものに過ぎないとの回答。
ボクシングファンだけでなく、広く世間の関心を作り上げてきたことについて聞かれると「こういうカードがやりたかったですね。世間にも届いていると思うし、ボクシングしか見てきてない人、ボクシングを見たことがない人、他の格闘技を見てる人とか。そういった方々からいろいろなところからの声が多いので、応援されているなと思うし、みんなが僕のことを愛してくれているなと感じます。そういった部分を返していかないといけないし、自分の中の気持ちとしては僕が勝てば時代を変えることが出来ると思うんですよ。
ボクシングだけでなく世の中の時代の一個の分かれ道だってくらいの気持ちで戦うつもりでいます。世の中、発言したり、自分がやりたいことをやってたり、はみ出したりすれば、叩かれたり、挑戦している人にいろんなことを言う風潮があるんですけれど、そういうことを気にしないでいいぜっていうのを自分の身体を持って見せることが出来るカードだと思うので、そういうところも存分に楽しんでもらえたら嬉しいなと思います」とのメッセージを送った。
会見後の囲み取材で、キャリアの差(那須川は7戦全勝(2KO)、井上は20勝(5KO)2敗)を埋める成長ポイントは、との質問に「イメージで言うと、僕のボクシングはちょっとカクカクしてたんですけれど、丸くなった印象です。流れだったり、勢いだったり、丸いボクシングが出来るかなっていうところが自分の中で一番の成長のところなのかなと。角ばらない。水ってつかめないじゃないですか。そういう感じです。固体になったらつかめるし、なんかつかめない、それこそ幽霊です。スーパーゴーストカミカゼアタックを喰らわせます」と、那須川らしいコメント。
「埋められると言いますか、僕は差はそんなに気にしてない。あってないようなものだと思っているので。何年やってきたというよりも、そのやってきたものに懸けてきた熱量だと思います。毎回2時間の練習を、その中でも精神と時の部屋に毎日入ってる感じで。時間的に見たら2年半くらいかもしれないですけれど、もう100年くらいやってるつもりでいます」と、熱量が大事だとする。
体重に関しては「減量の概念が変わってきました。もうあと1kgくらい。全然動けますから。今回はボクシングだけじゃなく食事、体のメンテナンス…今回はケアとかメンテナンスを1回もやってないんです。しっかり軸・中心をバランスを整えることだけをやってきたので、だから気持ちも身体も全て整っています。よく心技体って言いますけれど、僕は心気体だと思っている。心気体が集まったら技になる。そこをお楽しみにしていただければ」と、“心気体”との言葉を発した。
それは前後のバランスだけではないものなのか、と聞かれると「前と後ろだけだと3次元ですが、上から見ると四次元じゃないですか。次元を超えた戦い、超次元ボクシングです。メディア的にはボクシングを壊す――あんまり僕はそういうことを言ってないんですけれど、壊すというよりも、伝統と文化は大事ですからそれをしっかり大事にしながら、新しいものを作っていきたいというのが僕の役割だと思うので。そこがテーマ。
ボクシングというものをこういう見方、やり方もあるよっていう新しい変化をしながら変えていく、そういうものを。ずっとボクシングを見ている人は、那須川天心は敵だと思っているかもしれないけれど、案外味方なんですよ。仲間なんです。最後は腕を取り合って『那須川天心、やるじゃん!』みたいな、そういう調和をしたい」と、新しいボクシングを見せたいとした。
また、井上と目を合わせなかったが、と問われると「シャイなんで(笑)。試合前から今日まで1回も目を合わせてない。計量の時に目を見ればいいじゃんと。僕はあまり見ないんです。当日だったり、そこでいろいろ分かるので」と、計量時のフェイスオフかリング上で目を合わせればいいと語った。