2025年11月16日(日)東京・有明アリーナで開催される『ONE173』(U-NEXT配信)を前に、元ONE&UFC世界フライ級王者のデメトリアス・ジョンソン(米国)がグラップリングセミナーのため、東京・練馬のTRIBE TOKYO MMAを訪れた。
かってONEで別コーナーで対峙した長南亮代表、和田竜光らが出迎えるなか、DJはセミナー前に視察予定だったプロ練習にも急遽参加。同ジム所属の石井逸人、後藤丈治、永井奏多、武田光司らに加え、佐藤将光、上久保周哉ら出稽古組とも直に肌を合わせて、この全員とシチュエーションスパーリングを敢行。
また、プロ練習後には、MMAグラップリングセミナーを実施。同ジムで練習する三浦彩佳や萩原京平、伊藤裕樹らが参加するなか、アームドラッグからのバックテイクや立ち上がりなどを指導した。
練習後、DJはONE日本大会などについてインタビューに答えた(※前篇)。
彼らが自分のカリキュラムに対してどう反応するか試した
──今日はもともと練習に参加するつもりだったんでしょうか。
「ああ。他の人と一緒に練習する機会があるなら、そうするべきだと思うんだ。つまり、やらない理由はない。練習できるほど健康だし、練習したかったんだ」
──TRIBE TOKYO MMAでの練習はいかがでしたか?
「良かったよ! 今はMMAのトレーニングはしてないんだ。主にノーギ柔術をやっているけど気分も良かったよ」
──あなたが交代してもいい時間帯に一切の休みなく、申し込んできた全員とスパーリングしたことに驚きました。
「ありがとう。良かったよ。みんなは良い奴だし、朝から動きたいし、僕はただ動いて、雰囲気を感じて、彼らの動きを観察したかったんだ。知っての通り、彼らは僕にとってフルタイムファイター、プロ選手。さっき言ったように、僕はもうMMAのトレーニングをしてない。だから動くことはいい刺激になるし、ただナイスでタイトに留まろうとするんじゃなくて、自分のカリキュラムを試すのが好きなんだ。俺は彼らと競おうとはしない。彼らが何をしたがるかを見て、自分がどう動くだろうか、彼らがどれだけ強いかを見ようとしたんだ。だってテイクダウンとか、俺よりもずっと激しく来るかもしれないし、特に練習が重なって床が滑るような場所では、テイクダウンを全力で防ごうとはしないよ」
──今はもうMMAの練習は?
「全くない、ゼロ、ゼロ、全くないよ」
──どのくらいぶりですか?
「最後にやったのはメラブ(ドバリシビリ)との練習かな、あれは2カ月くらい前だったけど、1回の短いトレーニングセッションだったんだ。フルタイムで戦ってた時は、週に6日練習してた。今は本当にレアだよ」
──それでも今日、交代せずにマットに残り続けて観察したのですね。今日は、現役時代に比べて、ボトムから仕掛けるシーンが多く見受けられたような気がします。
「俺が下になった時、ただ自分のフレームをキープしようとして動いて、彼らがパスガードをするか様子を見るんだ。今は昔と違って、俺は柔術をやってるから、ラッソーとかスパイダー、デラヒーバ、またはリバースデラヒーバのような技が好きなんだ。で、MMAの場合は、そこに集中していると顔を殴られてしまうから、実際それはできないだろう? だから俺は、“もしMMAの選手にリバースデラヒーバをやったらどうなるだろう?”とか、“ニーシールドをやったらどうなるだろう?”ってことに集中していたんだ。何人かの選手は今日ドロップダウンしてきて、一人の選手にはヒールフックを極められた。俺はもうそういうポジションでは戦わないから、俺は色々試してみて彼らが自分のカリキュラムに対してどう反応するか試したんだよ」
──なるほど。このジム、TRIBE TOKYO MMAは日本のトップクラスのMMAジムの一つです。プロのファイターたちのスキルについてどう感じられましたか?
「良かったと思う。ボディロックがすごく上手い。足払いも上手かった。レッグロックにもすごく精通している。何をすべきか分かっているんだ。打撃を恐れていないし。どれだけ……って驚いたんだけど(笑)、亮(長南)が俺たちにやらせようとしていたドリル、テイクダウンしてから、押さえ込んだり、立ち上がったり──あれも、ハイレベルだよ。
このジムの若松佑弥とは前に戦ったことがある。彼はとても強い。たくさんの人をノックアウトしているし。アドリアーノもノックアウトした。彼はONE Championshipのワールドチャンピオンだ。和田竜光もいるだろ、彼は僕と戦い、ONE Championshipでとても長く戦っている。亮も最高レベルで戦ってきただろ。だから、みんなが上手いことに驚きはなかったよ」
──今週末には、このTRIBEに所属する若松佑弥選手が試合をします。どうなると思いますか。
「若松ならノックアウトできると思うよ。正直に、本当にそう思っている。佑弥は稲妻のように距離を詰めるのが本当に上手い。ジョシュアの攻撃で気をつけないといけないのは、あのスピニングキックだけだと思う。彼のチームラカイ、今はもうチーム・ラカイじゃないけど(Lions Nation MMA)、彼らが重視するハイキックとかそういう類の打撃だ。でも若松はより大きなアスリートだと思う。若松は(パシオと元同門の)ジェヘ・ユースタキオもKOしている。この試合では若松佑弥を推すし、勝つと思うよ」
──他の試合でも気になる試合はありますか?
「そうだね。ジャンカルロ・ボドニとラファエル・ロバト・ジュニアのサブミッショングラップリングは面白そうだな。タイ・ルオトロ(MMAで磯嶋祥蔵戦)も試合が組まれているだろう? それに野杁正明がスーパーボンと戦う。あの2人が戦えば面白い試合になるだろう。それにあのナビル・アナン! バスケットボールをやるべきだったと思ってるけど──これは俺の意見だよ。言うたびに、『お前はフープ(バスケ)を知らないんだから、やるべきじゃない』って感じになる(笑)」(※この項、続く)