MMA
レポート

【BRAVE CF】鮮烈左ハイ&フックKOで新フライ級王者となった元UFCのムハマド・モカエフ、二階級制覇かUFC復帰か「39戦無敗には理由がある」

2025/11/10 17:11
【BRAVE CF】鮮烈左ハイ&フックKOで新フライ級王者となった元UFCのムハマド・モカエフ、二階級制覇かUFC復帰か「39戦無敗には理由がある」

(C)BRAVE CF

 2025年11月7日、バーレーンのイサタウン・ハリファ・スポーツシティ・アリーナにて『BRAVE CF100』が開催され、コメインで元UFCのムハマド・モカエフ(英国)が、6連勝中のジェラルド・バーンズ(アイルランド)と「BRAVE CFフライ級王座決定戦」を戦い、2R 8秒、モカエフが左ハイからの左フックの連続技でダウンを奪いパウンドTKO勝ち。フライ級王者となった。

 試合後、モカエフはバンタム級との二階級制覇を宣言。一方で、モカエフのオクタゴン復帰の声が高まるなか、MMAコメンテーターのチェール・ソネンは、「ムハマド・モカエフがUFCに復帰し、タイトル戦へのファストトラックが敷かれると信じている」と語った。

▼BRAVE CFフライ級王座決定戦 5分5R
〇ムハマド・モカエフ(英国)15勝0敗
[2R 0分08秒 KO]
×ジェラルド・バーンズ(アイルランド)7勝2敗

 ケージインでバーンズの後ろを回ってサークリングし、向き合って視線を合わせたモカエフ。

 1Rからオーソで左ミドルを蹴っていったモカエフは、右三日月、左右ハイ、スイッチしてのキックなど積極的に蹴りを上下に散らして打撃戦を試みると、バーンズのスピニングバックキック、左ハイをスウェイでかわして右ハイも。さらに左前蹴りからダブルレッグを仕掛けてバッククリンチから前方に崩してバックを奪うと、シングルバックから腿に踵蹴りを突いてリアネイキドチョーク狙いでゴング。

 2R、中央に詰めてきたバーンズにモカエフは左前蹴りを腹に。その蹴り足を引いて着地させずに片足立ちのままスナップを効かせて左ハイを側頭部にヒット! 左足を着地と同時に左フックを打ち抜き、3連打を浴びたバーンズが後方にダウン! パウンドを3発を落としたモカエフにレフェリーが間に入った。

 ケージの中でアリスター・オーフレイムからフライ級のベルトを肩にかけられたモカエフは、「フライ級のベスト、ナンバーワンが今、誰か分かっただろう」とマイクで語ると、メインでバンタム級王座戦に臨むチームマイトのハムザ・コヘジとボリスラフ・ニコリッチの試合について触れ、「チームメイトとは戦いたくないけど、もし相手(ニコリッチ)が勝ったら次は僕がバンタム級のベルトを狙う」と二階級制覇をあらためて宣言した(※ニコリッチが4R TKO勝ちで王座防衛。メイン後にモカエフとフェイスオフをかわしている)。

「いろいろ失敗して学んだ経験があったから、いまの自分がある」と語ったBRAVE CFフライ級王者は、バックステージの会見でも「僕はフィニッシュを狙って自分のスタイルを磨いてる。今25歳だ。メインストリームに食い込んでるし、言った通り、ダブルチャンピオンになる」と意欲を示した。

「世界最高のチームに恵まれて幸せだ。ケージに入って、若い頃憧れていた人物であるルスタム・ハビロフが僕のコーナーにいた。MMAを始めた頃、僕は熱狂的な少年ファンだった。そして今日、彼が僕のコーナーにいて、こんなパフォーマンスを見せることができた」と笑顔を見せた。

 フィニッシュについては、「ヘッドキックが1Rで効果を発揮して、それがきっかけになった。この試合の経緯は分かってる通り、僕がカラテ・コンバットで戦うことになって、キックを磨くためにカラテ・コンバットに出場した。そのときの連続技(右ハイからの左三日月蹴り)が活きている」と5月に打撃戦を戦った経験がMMAに繋がっているとした。

 レフェリーのストップが早すぎた、という意見には、「ヘッドキックが1発決まり、左も入った。パウンドで試合終了だった。あれはすごく良かったと思う。本当に。彼のチームが望めば、彼を止めないだろうけど、さらに仕留めただろう。必要以上のダメージを負わない健康の方が重要さ」と気にせず。

「再戦を望むなら、2日後に再戦できる。『BRAVE 101』があるし、再戦したいなら金曜日にできる。このアリーナでは、IMMF世界選手権で毎日連戦しなければならなかったんだ。だからもしシャヒド(BRAVE CF会長)が特別ルールを作ったなら、今夜でもケージに入って彼と戦える。それほどいまの僕は、この世界の誰に対しても、精神的にも肉体的にも自信があるんだ。2000年に生まれて2015年から10年、アマチュアからプロまで通じて、39戦無敗だ。世界最高の選手と戦い、自分が世界最高のフライ級ファイターである理由を示したい」と自信を示し、「大規模な試合に出場し、今やBRAVE CFのファイターとしてその恩恵を受けている。知らなかったなら今こそ知れ(If you don't know, now you know)」と、UFCのダナ・ホワイト代表の言葉でコメントを締めている。

 試合前会見から「今はBRAVEに集中しています。BRAVEとは本当に良い関係にあるので、彼らも私にとって良いオファーをしてくれる。給料も良いし、大きな試合もいくつかあります」と語っていたモカエフだが、今回の打撃によるTKO勝ちで、自身をリリースしたUFCが求めるパフォーマンスを実現する進化を遂げていることを見せつけた。

 このハイキックKO劇に、元UFCのチェール・ソネンは自身のSNSで「ムハマド・モカエフはUFCに戻る方向に向かっていると思う。彼が戻ってきたら、UFCは彼をファストトラック(抜擢)するだろう。ムハマド・モカエフがこの状況を上手くこなしているのは完璧だ。私は彼に何が起きたのかさえ知らないが、彼はプライドを犠牲にしなかった。彼はこの件で男らしく振る舞ったと思う。今後すべてがうまくいくと信じているし、それが実現したら、彼はUFCに解雇されてセカンドチャンスを必要とした他のファイターたちにとってのインスピレーションになるだろう」と語っている。

 また海外報道によれば、UFCのハンター・キャンベルがBRAVEでの試合前にモカエフを激励し、試合後に祝福のメッセージを送っていたこと。さらに今後、モカエフは11月22日のUFCイベントに出席するためにカタールへ飛び、デイナ・ホワイトとマッチメイカーたちと話す予定と報道している。

 果たして、無敗のモカエフが進む道は砂漠の王国の二階級制覇か、それとも世界最高峰へのカムバックと繋がるか。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.341
2025年12月21日発売
大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア