(C)Kalybek Arzykul Uulu
2025年11月9日(日)、東京・ニューピアホールにて昼夜で開催される『PANCRASE 358』『PANCRASE 359』(U-NEXT配信)の夜の部のメイン、オオトリを飾るのは、フェザー級で3位の平田直樹(トライフォース柔術アカデミー)と、5位のカリベク・アルジクル・ウルル(キルギス/Olymp Gym Bishkek)の5分3R戦だ。
MMA12勝1敗のカリベクは、24年9月に殺傷能力の高い打撃でバンタム級で井村塁を75秒でKOし、衝撃のPANCRASEデビューを飾った。計量ミスを経て階級を上げて臨んだ7月大会では、元王者・ISAOを107秒、右フック一撃でマットに沈め、その危険性を改めて証明してみせた。
一方の平田直樹は柔道強豪で、PANCRASE参戦以降、遠藤来生、亀井晨佑、Ryoらを撃破し、5連勝で王座決定戦へと駆け上がった平田。しかし、24年12月のチャンピオンシップで三宅輝砂に痛恨のKO負け。さらに25年6月大会でも栁川唯人に判定で敗れ、2連敗中。カリベク戦は挽回のチャンスとなる。
そんな大一番を前に、カリベクは母国キルギスで、RIZINフェザー級王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフとファイトキャンプを張ってきたという。
世界のメジャー団体のトップファイターが揃うキルギスフェザー級戦士に直前の意気込みと、母国でのシェイドゥラエフとの練習について聞いた(※カリベクインタビュー動画)
試合内容をよくしたいなら激しい練習をするしかない
──前回がフェザー級での初の試合で、今回は2回目のフェザー級戦です。無事、クリアしましたが調整はいかがでしたか。
「コンディションはとても良いです。減量が少ないし、凄く体調が良くて、このフェザー級が自分は合ってるなと思っています。健康な状態だと思いますし、これからもっとリカバリーに頑張って、日曜日の試合に臨みます」
──今までの試合時間が短すぎてカリベック選手の寝技がどれぐらいの実力なのか、分からない部分があります。その辺についてどれぐらい練習を積んでいて、どれぐらい自信があるか教えてください。
「レスリングを今まで見せる時間がなかったのは本当ですね。ただ自分は元々レスラーでレスリングが最初のベースです。なので自信はあります」
──キルギスの国民的伝統ベルトレスリング「アリシュ」がバックボーンでしたよね。
「はい。父も兄もアリシュの強豪選手でしたし、自分は7歳からフリースタイルレスリングもやってきました。それにサブミッションレスリングは自分も得意だから、そこで勝負する準備もできています。スタンドでもタイでムエタイの試合を行ったこともありますし、打撃でもケージレスリングでもグラップリングでも、どの局面でも戦えます」
──前回の試合、ISAO戦では右フックにカウンターのダブルレッグテイクダウンを決められて、すぐに左でオーバーフックし左足で跳ね上げて立ち上がりながら打撃を打っていました。スクランブルも得意なのでしょうか。
「はい。今回の試合で同じような形になったとしても自分はスクランブルで立ち上がる自信があります」
──今回、対戦する平田選手についてはどこまで研究してきましたか。
「平田選手のことはしっかりと研究してきました。彼はレスリングも強くて打撃もすごくいいものを持っていると思います。なので、私もしっかりと準備してきて、準備万端だと思います」
──平田選手は柔道出身の選手ですが、それに向けて何か対策とか、練習相手を用意してきたことはありますか?
「とてもいい練習相手がいました。試合プランも練っていますし、彼が柔道だけでなくレスリングも強いことを知っています。さらに柔道のような投げ技、ファイトスタイルにも準備ができてます」
──キルビスにフェザー級だけでも、RIZIN王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手をはじめ、ONEフェザー級タイトルコンテンダーのアクバル・アブデュラエフ、UFCのムルタザリ・マゴメドフ、ROAD FCフェザー級コンテンダーのエルデュカルディ・ドゥイシェフら強豪選手が揃っています。今回はどこでどんな相手と練習してきましたか?
「その全員と練習をしたことがあるし、みな友人ですが、今回は特にファイトキャンプでラジャブアリとトレーニングをしてきました。彼は私の友達で一緒に練習したり、一緒に住んでいたこともある親友です」
──シェイドゥラエフ選手から今回の試合に向けて何かアドバイスをもらっていれば、教えてください。
「シェイドゥラエフとは、長年友達で一緒にずっと練習しているので、特に今回はこれというようなアドバイスっていうのはなかったですけれども、とにかく常にしっかりと練習して準備をしようっていう感じでいつもいます」
──しかし、ともにフェザー級の強豪のシェイドゥラエフ選手とのスパーリングはどんなスパーリングになるのでしょうか。
「ラジャブアリとの練習は例えるなら……戦争より厳しいです。練習というのはそういうものです。難しくない練習はない。いつも激しい練習しかしていない。試合の内容をよくしたいなら激しい練習をするしかない」
──そのシェイドゥラエフ選手は大晦日に朝倉未来戦が決まりました。カリベク選手の予想は?
「ラジャブアリが勝つでしょう。フルラウンドに行くことはない。分からないけど、1Rで仕留めるチャンスはあると思う」
──フェザー級3位の平田選手に勝ったら、フェザー級のチャンピオンシップに進みたいと考えていますか?
「PANCRASEからタイトルマッチのチャンスを与えられたら、私はいつでもそれを突破する覚悟があります。たとえば、今回、怪我無く試合に勝って、その場で次の試合だってできます」
──ランキングの5位にタジキスタンのオタベク・ラジャポフがいますが、彼と戦うことになっても構わないですか。
「誰が相手になっても特に違いはありません。今はPANCRASEが用意した相手と戦い、やはりチャンピオンが持つタイトルにフォーカスしたいです。そして王座を獲得できたら、そのタイトルを守るために誰が相手になっても戦う覚悟がついてますし、それが仕事です」
──そのメンタルの強さは、シェイドゥラエフ選手も同じように言うことがあります。今回の試合を「タイトル前哨戦」と言い続けていると思うんですが、今のチャンピオンの三宅輝砂選手がどういう状態にあるかはご存知ですか?
「まず、階級についてはバンタム級でずっとやっていたけれども、前回からフェザー級に上げてタイトルに絡むチャンスがたくさんあるなと思っていました。そして、三宅選手については、RIZINで試合をしたのは知っています。なので、今回の試合に勝ったら、是非三宅選手と対戦したいとは思っていましたけれども、RIZINで試合をしたばかりなので、ちょっとそれは実現しないかなという感じで思っていました。
RIZINの試合(高木凌戦)を見て、3ラウンド全て打撃で負けていたなと思うので、自分が(三宅と)対戦したらきっと勝つ可能性は高いなと思っています」
──キルギスの代表でもあり、すでにPANCRASEの代表でもあるという気持ちもありますか。
「もちろんPANCRASEで試合をさせていただいている以上は団体の選手として、皆さんが家族だと思って試合をしています。なので、今回の三宅選手がPANCRASEの代表としてRIZINに行って負けてしまったことはとても悲しく思っています。それぐらい皆さんを家族だと思っているので、もしPANCRASEの代表として別の団体で試合をするのであれば、しっかりと勝って強さを証明できるようになりたいと思っています」
──さて、ずばり平田戦はどんな試合になりますか。
「フルラウンドをやり切るつもりでその準備ができて今はいますが、状況によってプランも変えるし、1Rでフィニッシュできたら嬉しいけど。どんな試合でも勝利で終わらせる。そのための準備をしてきました。昼夜大会の夜の部のメインイベンターなので、ファンのため、日本の皆さんのためにもいい試合をしたいです。多くの人に自分の試合を見てもらいたいです。最高のフィニッシュをするので期待していてください」






