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【ONE】17戦無敗のSENSHIヘビー級GP覇者アグデヴがクリークリャを破る番狂わせで初代王者に、ニコ・カリロはカーフでピンチも強打でTKO勝ち、和田竜光下したホルミルザエフが初回一本勝ちで5連勝! 緊急参戦の内藤大樹がムエタイルールでナックロップを見事初回KO!FIGHT OF THE NIGHTも獲得、 フライ級に上げたアディワンが初回TKO勝ち

2025/11/08 11:11
 2025年11月8日(土)タイ・ルンピニースタジアムにて『ONE Fight Night 36』(U-NEXTにてLIVE配信)が開催された。 ▼第9試合 ONE初代ヘビー級(※120.2kg)キックボクシング世界王座決定戦 3分5R×ローマン・クリークリャ(ウクライナ/Champ Belts)[判定0-3]〇サメット・アグデヴ(トルコ/Tiger Sport Academy)※アグデベが初代王座に就く。  クリークリャは2012年10月にプロデビュー。『Kunlun Fight』や『SUPER KOMBAT』で活躍し、2016年にはK-1 GLOBAL WORLD GPヨーロッパ -95kgトーナメントで優勝。ONEには2019年11月から参戦し、現GLORY世界ライトヘビー級王者タリク・カバベにTKO勝ちして初代ONEライトヘビー級キックボクシング王座を獲得。アンドレイ・ストイカ、ムラット・アイグンを破り2度の防衛に成功。  2022年のONEヘビー級キックボクシングワールドグランプリで優勝すると、2023年12月にはアレックス・ロバーツをKOして初代ONEヘビー級ムエタイ世界王座も獲得。2025年4月、1年4カ月ぶりの試合でリンドン・ノウルズを1RでKOし、ヘビー級ムエタイ王座を防衛した。戦績は51勝(30KO)7敗1無効試合。  今回は2階級制覇、キックボクシングとムエタイの統一王者、そして初代王座を懸けた一戦となる。 その記録を阻もうとするアグデヴは、21歳で今回がONE初参戦。WAKOジュニア世界王者、WAKOヨーロッパ王者の肩書を持ち、9月13日の『SENSHI 28』で1日3試合のトーナメントを制してSENSHIヘビー級GPタイトルを獲得した。通算戦績は17戦無敗で12KO勝利と屈指のKOアーティストだ。  1R、まずはアグデヴが右カーフで先制。クリークリャのワンツーにアグデヴは右ストレートからの左フック。クリークリャがジャブからの右ハイをヒットさせるが、すぐにアグデヴが右ストレートを打ち返す。するとクリークリャはヒザ蹴りを突き上げるが、これはつかんでいたため注意を受ける。  ジャブ、右ストレートを顔面とボディに伸ばしていくクリークリャが前へ出ていき、アグデヴもジャブを突いていきなり大きな左フックを振る。右ハイキックを当て返そうとするアグデヴ。それにクリークリャは左右のハイキック。負けじとアグデヴも右ハイ。アグデヴが潜り込んでくるとクリークリャはすかさずヒザを突き上げる。アグデヴはワンツーから右カーフ。  2R、アグデヴが右ハイから右バックハンドブロー。クリークリャのパンチを距離で外すアグデヴは、右カーフを蹴って前へ出るとクリークリャが下がる。クリークリャも負けじと右カーフ。アグデヴの右カーフに足を上げるクリークリャはステップで離れていく。ワンツー、左フックはクリークリャだが、アグデヴはブロックして右カーフを蹴り返す。  徹底して右カーフを蹴るアグデヴが前へ出る。クリークリャのジャブには右を被せた。ステップで動くクリークリャだが、パンチを打つとアグデヴが右カーフを上手く合わせる。右カーフでバランスを崩しておいての後ろ廻し蹴りも。終盤にはガクッとバランスを崩す場面もあったクリークリャ。  3R、クリークリャが先手を取って右ストレートからヒザに行くが、アグデヴはすかさず右カーフを連打。クリークリャも右ストレートで応戦。サウスポーになるクリークリャだが、そこへアグデヴが左フック。のしのしと前へ出ていくアグデヴはサウスポーのクリークリャの右足へ今度は左カーフ。  クリークリャは右ストレート、左フックを打つがアグデヴは距離でかわす。逆に前へ出るとアグデヴは右ボディフックから右アッパー。さらに右ストレート。クリークリャはつかんでしまいそうになる。前に出るクリークリャにアグデヴが右フック、右ミドル、左カーフと右インロー。クリークリャのステップが明らかにスローダウン。アグデヴの右を連続被弾する。右ハイ、右顔面前蹴りを放つアグデヴ。  4R、クリークリャが左フック、右カーフ、右フックで先手を取る。アグデヴは回り込んでの右カーフ。クリークリャはジャブから左ボディストレートを打つ。ジャブ、左ストレート、右フックを当てるクリークリャだが、アグデヴもワンツーでクリークリャを下がらせると左右フックでロープ際に追い込む。  アグデヴのワンツー、左右フックをもらって棒立ちになるクリークリャ。ジャブや左ストレートを出すクリークリャだが、アグデヴは連打で返す。クリークリャがヒザを突き上げるも、パンチは空振りさせるアグデヴ。その後はすぐにワンツーで前へ出てヒットを奪う。  最終5R、アグデヴのワンツーに左アッパーを突き上げるクリークリャ。前に出るがそこへアグデヴが右ストレート。アグデヴはこのラウンドは回り込んで距離をとり、クリークリャの空振りを誘う。飛び込んでのワンツーや飛びヒザも見せるアグデヴ。単発になりがちなクリークリャに対して、アグデヴは連打を返す。  すでにポイントを取っていると確信したか、アグデヴは流し気味だったが、奥足に右ローを蹴るとワンツーの連打で一気に前進。クリークリャの左ストレートはボディワークでかわす。  序盤に右カーフを効かされたことがクリークリャの決定的な致命打となり、手数とパンチのヒット数でもアグデヴが優った。また、ディフェンスでも意外な上手さを見せたアグデヴが判定3-0で勝利。初参戦でクリークリャを破る番狂わせを起こした。  アグデヴは「アイ・アム・ア・チャンピオン!」と絶叫するアグデヴ。ONEの大きなベルトを抱きしめ、「言葉では現わせないくらい嬉しい。21歳で王者になったよ。家族と、特に妻に本当に感謝している。母は入院中でここにはいないけれど、僕に『あなたなら出来る』と言い続けてくれた。早く家に帰って妻に報告したい」と、家族思いのコメントを残した。 [nextpage] ▼第8試合 ONEフェザー級(※70.3kg)ムエタイ 3分3R〇ニコ・カリロ(スコットランド/Deachkalek Muay Thai Academy)[2R 2分35秒 TKO]※レフェリーストップ×ルーク・リッシ(米国/Dubuque Martial Arts Group) カリロはスコットランド出身。WMOウェルター&スーパーウェルター級王座、ISKAムエタイ世界65㎏級王座などを獲得。2023年4月にONEに初参戦すると、フルカン・カラバフ、ムアンタイ・PK・センチャイ、ノンオー・ハマ、セーマペッチに4連続KO勝ち。ONE参戦前から合わせると15連勝を飾っていたが、2025年1月の暫定ONEバンタム級ムエタイ世界王者決定戦でナビル・アナンに初回TKO負けを喫した。4月にフェザー級に上げるとシッティチャイを左ボディでKOしてみせた。戦績は28勝(6KO)4敗1分。 リッシは60戦を超えるアマチュア戦績を持ち、キャッチフレーズは“ザ・シェフ”。2023年12月の『ONE Fight Night 17』でONEデビューを果たすと、ジョー・ナタウットを相手に激しいパンチとヒジの打ち合いを制して判定勝ち。2戦目はエディ・アバソロにスプリット判定で惜敗したが、2024年7月の前戦ではバムパラ・クヤテを右ヒジの猛攻から右アッパーでTKO、2025年1月のコーディー・ジェローム戦もTKO勝ち。戦績は8勝2敗。  1R、右ローを蹴るリッシにカリロは右カーフ、リッシは左右のローにインローも蹴る。前に出るカリロに顔面前蹴りをヒットさせるリッシ。互いにカーフとローを蹴り合い、カリロはコーナーへ詰めると一気に左右フックをまとめる。さらに左右ボディの連打。リッシは徹底して右カーフを蹴り、カリロはサウスポーにスイッチ。  カリロは足を蹴られても構わず前へ出て、距離を詰めると速いコンビネーションパンチを繰り出す。リッシがワンツー、右ヒジ。それでも壁のように立ちはだかるカリロは、リッシをロープ際に追い詰めて右アッパーからの右フックでダウンを奪う。スピードのある連打で畳みかけるカリロに、リッシは下がってこのラウンドを凌いだ。  2Rもサウスポーのカリロが左ボディから右フック、左右フックとアッパー、右ボディ。リッシも左ロー、右インローを蹴るが、カリロのスピードのある強打が襲う。リッシはバックスピンエルボーもカリロは下がらない。連打でコーナーへ詰めるカリロが左ストレート、右アッパー、左ボディ。リッシも必死に右カーフを返す。カリロの左ストレートに下がるリッシ。  リッシが右ストレートを打った直後に、オーソドックスになったカリロが右ストレートを直撃。崩れ落ちる寸前のリッシを首相撲に捕まえたカリロはヒザ蹴りの連打を見舞い、クリンチアッパーの連打。ここでレフェリーがストップ。  直後に座り込むカリロ。カーフのダメージがありながらも圧をかけ続け、スピードのある強打でTKO勝利をつかんだ。  カリロは「カーフキックが痛かった。作戦はもっと前に出て攻撃することだったけれど、前に出始めるのが遅かった。いつもプランを準備しているから対応してプレッシャーをかけていった。思っていたよりもルークはデカかった」と試合を振り返った。 [nextpage] 【中止】 ▼第7試合 ONEバンタム級(※65.8kg)ムエタイ 3分3Rランボーレック・チョー・アッジャラブーン(タイ/Superbon Training Camp)アブドゥラ・ダヤカエフ(ロシア/Team Mehdi Zatout)※手に感染症で緊急欠場 ランボーレックはONEで6勝(4KO)2敗。現在4連勝中。前戦は2025年9月にドミトリー・コフトゥンに左フックで2R TKO勝ちした。 ダヤカエフは2023年11月の『ONE Friday Fights 39』から参戦すると4連勝を飾ったが、2024年10月にヨッドIQにONE初黒星を付けられた。2024年12月の再起戦では日本でもお馴染みのシップムーン・シットシェフブンタムを1RでKO、2025年2月にアレッシオ・マラテスタも1RでKO、5月にはセーマペッチをも2RでTKOに破り、7月にはフェザー級でノンタチャイを左フックで初回KOと4連続KO勝ち中。 体調不良(感染症)でダヤカエフが欠場。直前での試合中止となった。 [nextpage] ▼第5試合 ONEバンタム級 MMA 5分3R〇エルベク・アリショフ(アゼルバイジャン/ロシア/GM Gym)[2R 3分24秒 ギロチンチョーク]×カルロ・ブーミナアン(フィリピン/Team Lakay) 1R、コーナーに押し込んで倒しながらバックに回るアリショフ。ブーミナアンは立ち上がってダブルレッグに行ったが、アリショフがギロチン。首を抜いたブーミナアンはガードのアリショフに左ヒジを落としていくが、両腕を抱えられる。  パスガードを仕掛けながらヒジを落とすブーミナアンがトップをキープ。起き上がろうとするアリショフにガブってのヒザ蹴り連打。すぐにアリショフがロープに押し込み、ヒザのお返し。さらにボディを殴り合う。両者離れると左右フックの打ち合いとなり、ブーミナアンが攻勢のまま1Rを終えた。  2R、アリショフがシングルレッグでテイクダウンもブーミナアンがすぐに立ち上がる。コーナーへ押し込むアリショフにブーミナアンは左ヒジを2発打ち込んで離れる。左右フック、左ボディで前に出るブーミナアン。アリショフは再びシングルレッグからバックを奪う、ブーミナアンはアリショフを背負ったまま立ち上がる。  アリショフは背中から降りるとすぐにダブルレッグ。ガブったブーミナアンはヒザ蹴りとクリンチアッパーで離れる。   ブーミナアンの左フックをかわしたアリショフがダブルレッグでまたもテイクダウンし、サイドを奪う。立ち上がろうとしたブーミナアンをハーフガードからギロチンに捕らえたアリショフ。全力で絞めあげてタップを奪った。 [nextpage] ▼第6試合 ONEバンタム級(※65.8kg) ムエタイ 3分3R〇ブラック・パンサー(タイ/Team Mehdi Zatout)[2R 1分29秒 TKO]※3ノックダウン×ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア/JCFernandez/Team CSK)  1R、サウスポーに構えたエストゥピニャンは右へ回り込んでいく。パンサーは右ミドル、エストゥピニャンは左ストレートからの左ミドル。飛び込んでのパンチを繰り出すエストゥピニャンに、パンサーはその打ち終わりに右ミドルハイを返す。右ミドルハイを何度も蹴るパンサー。  エストゥピニャンが左ミドルを蹴ってくるとワンツーを伸ばす。エストゥピニャンが左ハイ、左ストレート。パンサーは右のガードを高く上げてしっかりディフェンス。エストゥピニャンがカカト落としを繰り出したところで紹介終了。  2R、エストゥピニャンがワンツーで入り込んでくるとパンサーは右ストレートで迎え撃つ。このラウンドは前に出て圧をかけるパンサーに、下がったエストゥピニャンは右アッパーで迎え撃つが、そこへパンサーが右ショートストレートでダウンを奪う。  ジャブと右の蹴りで前へ出ていくパンサーは、ワンツーで前に出たエストゥピニャンへ右縦ヒジをアゴへ。ダウンを追加する。エストゥピニャンはジャブ、前蹴り、左ハイとステップで距離をとろうとするが、パンサーが左ハイに右ストレートを返し、右フックからの左フックがアッパー気味に入ってTKO。パンサーはセコンド陣と抱き合い、ロープに飛び乗って勝利を喜ぶ。これで4連勝となった。 「この試合が決まった時から自信があった。KO出来ると信じていた」とパンサーは勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼第4試合 ONEフライ級(※61.2kg)MMA 5分3R〇アバズベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン/Raqobat)[1R 3分52秒 腕十字]×ウィリー・ファン・ローエン(南アフリカ/A-Team Stars)  フライ級。南アフリカのローエンはMMA7勝0敗(4KO・1一本勝ち)。ONE初参戦。アマチュアで豊富なキャリアを経て、23年にプロデビュー。25年5月にEFCでフライ級王座を獲得。8月に初防衛も。23歳。  ウズベキスタンのホルミルザエフは13勝2敗(7KO・5一本勝ち)。ONE本戦デビュー戦。Friday Fightsで24年9月にキルギスのベクトゥル・ジェニシュベク・ウフールに判定負けしたが、以降4連勝中。   25年7月の前戦で和田竜光に強烈な前蹴りを効かせて判定勝ち。ストロー級から今回はハイドレーションテストをパスできず、再びフライ級で戦う。24歳。  1R、ともにオーソドックス構え。左ローから。かわしたローヤンは右ロー。右から左。さらに右ハイもかわしたホルミルザエフに右カーフを当てる。  右の後ろ廻し蹴りをかわしたローヤンはバッククリンチから投げもバックに回ったところを落としたホルミルザエフ。スクランブルで立つローヤンのバッククリンチでヒザ。崩しても立つローヤンにヒザも正対したローヤンに一本背負い。ローヤンは立ち上がり。左ハイを打つホルミルザエフ。  左右で前に出るローヤンにダブルレッグテイクダウンのホルミルザエフ。ギロチン狙いのローヤンをかわしてパス狙いも、ローヤンは立ち上がり。そこに払い腰テイクダウンは、すぐにサイドから腕十字! 最後は右脇に挟んで極めた。5連勝をマークしたホルミルザエフは勝利のバック宙。  5連勝ながら計量ミス(ハイドレーションテストをパスできず)のためボーナスが無いことを告げられたホルミルザエフは「とてもタフファイトだった。この試合のために頑張ってきた。コーチ、故郷のウズベキスタンのみんなに感謝します。ベルトを目指す」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 ONEフライ級(※61.2kg)MMA 5分3R〇リト・アディワン(フィリピン/Soma Fight Club)[1R 4分52秒 TKO]×マウロ・マストロマリーニ(アルゼンチン/Team Fenix)  アディワンはMMA16勝6敗。フィリピンの国内ウーシューのチャンピオンに2度輝き、ボクシング、散打、柔術を学びMMAへ。ONE ウォリアーシリーズで3連勝後、本戦出場。2023年のACL手術から回復した後に完全復活。エイドリアン・マティス、ジェレミー・ミアド、ダニエル・ウィリアムス相手に3連勝も、25年2月に山北渓人に判定負け。今回は階級をアップし、フライ級で再起を狙う。32歳。  マストロマリーニは、MMA17勝5敗。ONE2戦目。25年8月の「ONE Fight Night 34」でのONEデビュー戦はバンタム級でエントリーし、カルロ・ブーミナアンに2R TKO負け。今回はアディワンとは逆に階級を下げての再出発となる。27歳。  1R、オーソからサウスポー構えで左右を打ち込むアディワンに、マストロマリーニは左で差して押し込みヒザ、肩パンチ。コーナー背に右オーバーフックで凌ぐアディワン。小手投げで崩して突き放す。  オーソからガード低く右ミドルを突くアディワンが詰める。ガードを上げるマストロマリーニは組みも切るアディワン。マストロマリーニはバックフィストから蹴りで詰めるもかわすアディワン。  右カーフを当てたマストロマリーニにアディワンも左ロングフックで飛び込み。さばくマストロマリーニ。アディワンは左右ボディで入る。さらにいったんかがんでから今度は上へ、左フックの飛び込み!  ダウンしたマストロマリーニ。アディワンはパウンドをまとめてレフェリーを呼び込んだ。  フライ級で好発進したアディワンは「(フィニッシュのパンチは)ずっと狙っていた。絶対に勝たないといけなかった。家族のためにも。フィリピンの応援が力になった」と語った。 [nextpage] ▼第2試合 ONEフライ級 ムエタイ 3分3R×ナックロップ・フェアテックス(タイ/Fairtex Training Center)[1R 2分27秒 KO]※右フック〇内藤大樹(Bell Wood Fight Team) 内藤は2019年からONEを主戦場にして連勝記録を更新。2020年12月にジョナサン・ハガティーに判定負けを喫したが、2021年6月のワン・ウェンフェン戦、9月のペッダム・ペッティンディーアカデミー戦でいずれも判定勝利し、2022年5月の「ONEムエタイ フライ級ワールドGP」のメンバーに抜擢されるも、初戦となった準々決勝でスーパーレック・ギャットムー9に判定負け。  2023年は7月、10月と連敗を喫し、2024年3月15日に5カ月ぶり復帰戦でシャーゾット・カブトフを判定3-0で破り再起を飾ったのも束の間、4月のデッドゥアンレックとの再戦で判定負け、8月のエリアス・マムーディ戦でKO負けして連敗した。しかし、2025年6月のジョハン・エストゥピニャン戦(ONEムエタイ)でダウンを奪う完勝。27連勝中だったエストゥピニャンに黒星を付けた。戦績は37勝13敗。  ナックロップはK-1に来日経験があり、2022年9月に朝久裕貴と対戦してKO負け。タイのテレビマッチで活躍し、激しい試合をするムエタイ選手として知られている。2023年1月にONE初参戦、3連勝をナビル・アナンにストップされたが、その後は11月にデッドゥアンレックにTKO勝ち、12月にペットンローに判定勝ち、2024年4月にムアンタイと大接戦の末に判定2-1で勝利した試合は両者にボーナスが贈られる大激闘だった。  6月にタギール・カリロフにヒジで初回KO勝ちし、本戦契約を獲得すると8月にはデッドゥアンレックを返り討ちに。12月にゴントーラニーに敗れて連勝をストップされるも、2025年3月はプンルアンをKO。2025年6月、『ONE Fight Night 32』のメインイベントでジャオスアヤイに52秒でKO負けを喫した。ONE戦績10勝(5KO)3敗。  ナックロップとの対戦が決まっていたジェイコブ・スミスが負傷欠場となり、代わって内藤が緊急参戦。ナックロップに有利なムエタイルールで対戦する。  1R、ONEでの16戦目となる内藤は左ローからスタート。さらに右カーフを強く蹴る。ナックロップも右ローを返していく。内藤の右カーフにはナックロップが右ミドル、それに内藤が左三日月を返す。ローの蹴り合いが続く中、内藤の右カーフが綺麗に決まる。するとナックロップは圧を強めて前に出てくるが、内藤がジャブ、右ストレートのカウンター。  左フックをかわしての左フックでダウンを奪う。内藤はワンツーから右ハイ、ナックロップはヒジで応戦するが内藤の左右連打に右へ左と揺れ、最後は右フックを効かせてからの右フック。ナックロップはバッタリとうつ伏せの大の字に倒れ、内藤の見事な初回KO勝ちとなった。 「今までONEで判定が多くて自分の中でKOするのが課題だったんですけど、これがニュー・タイキ・ナイトウだと思います。日本の強い選手たちがONEに参戦してきてそっちの選手が注目されがちですが、自分は6年前から戦ってきて日本人選手の中で自分がONEだと思っているので、必ず王者になります。日本大会に出られないのは残念ですが、僕が(日本勢の)いいスタートを切れたと思うので、自分も会場に行って試合を見たいと思います」と勝利者インタビューに答える内藤。  ボーナスは出ず、内藤は“え?”という表情で苦笑いを浮かべていた。だが、全試合終了後、この試合が「FIGHT OF THE NIGHT」に選ばれたことが発表された。 [nextpage] ▼第1試合 ONEフライ級(※61.2kg)MMA 5分3R〇ギルバート・ナカタニ(米国/Aragon Training Academy)[1R 2分01秒 TKO] ※右ストレート×エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア/Evolve MMA)  フライ級。レスリングベースのナカタニはMMA8勝3敗(4KO・2一本勝ち)。LFA2連勝からONE契約。若松佑弥に判定負け後、25年2月の前戦でジェレミー・ミアドに判定負け。32歳。  サプトラはMMA7勝4敗(2KO・5一本勝ち)。レスリングベースで19年から7連勝も、元コンテンダーのダニー・キンガッドに判定負け後、3連敗中。25年3月の前戦はサンジャル・ザキロフに2RKO負け。の34歳。  1R、ともにオーソドックス構え。右カーフのナカタニ。右で差して押し込み。がぶりヒジのサプトラのヒジに、ナカタニもヒジを返し、スイッチしての左でサプトラの腰を落とすと押し込み右ヒジ。左ヒザ連打。さらに右カーフ。サプトラのの右ローの打ち返しに左フック、右ストレート、左右をまとめて最後は右ストレート! サプトラがダウン。初回TKO勝ちした。
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