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インタビュー

【RIZIN】ダウトベックに続く、カザフスタンの脅威ヌルハン・ズマガジー、雑賀“ヤン坊”を左ハイから極める「男は美しくカッコよくあるべきではなく、強くあるべき」

2025/11/08 00:11
 2025年11月3日に開催された『RIZIN LANDMARK 12 in KOBE』(U-NEXT配信)で、ライト級にも中央アジア旋風が巻き起こった。カザフスタンのダウトベックの弟分、24歳のヌルハン・ズマガジーが、PANCRASEライト級王者を60秒、一本に極めた。 ▼RIZINライト級(71.0kg)5分3R(試合リポート)×雑賀“ヤン坊”達也(DOBUITA FIGHT SPORTS GYM)13勝6敗[1R 1分00秒 ダースチョーク] ※左ハイキック→ダースチョーク〇ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)10勝1敗  雑賀は2024年3月にアキラの持つPANCRASEライト級王座に挑戦すると、右ハイでKOし王座を獲得。11勝中10勝がKOという日本ライト級屈指のストライカー。2025年5月、中国・上海で行われた『ROAD TO UFC』に出場したが、キ・ウォンビンに2RでTKO負けを喫したが、久米鷹介、天弥といずれもTKOに下している。  ズマガジーはカザフスタンでカルシャガ・ダウトベックのチームメイトであり弟分で、その兄貴分同様にサウスポーから強烈な左拳を繰り出す。2023年1月『Alash Pride』でプロデビューし、5連勝を経て出場した『UAE Warriors』では一本負けを喫したが、2024年12月、TKO勝利でAlash Pride FCライト級暫定世界王座を獲得。その後、2025年2月にジュラベク・テシャボエフを1R左ストレート一閃KOすると、5月にはクレベウソン・シウバに左フック、左ボディを効かせて削り、最後は強烈なパウンドでTKO勝利している。  試合は1R、サウスポー構えのズマガジー。オーソのヤン坊。中央を取りプレッシャーをかけるズマガジーに右で飛び込むヤン坊だが押し戻せず。間合いをコントロールする圧力のズマガジーは左ハイ! ダウンしたヤン坊に高速パウンド。ヤン坊の立ち際に脇差しがぶりから首を下げさせてダースチョーク! ケージに押し付けて極めた。  60秒、秒殺一本勝ち。「RIZIN、戦うチャンス力を見せるチャンスをありがとう。ここにチャンピオンになるために来ました。応援をよろしくお願いします。私の名前を覚えてください」と24歳のヌルハン・ズマガジーはマイクで語った。  10勝1敗、極めは見せたが組み技の攻防は見せる間もなく一本勝ちしたズマガジーの早い次戦が期待される。 ズマガジー「日本人とカザフスタン人はすごく近しい」 ──雑賀選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせいただけますか。 「とてもいい気分です。短時間で終わらせることができて怪我もなかったので、とても嬉しい気持ちでいっぱいです」 ──決め手となったのは左ハイキックだったと思いますが、あの蹴りが当たってからすぐにダースチョークで絞めてフィニッシュに行こうという気持ちで向かったのか、ご自身の普段の練習どおりのことをこなしたのか、どういった状況だったのでしょうか。 「はい、絞め技への移行はいつもコーチと一緒に練習を重ねてきました。いつも練習している技です。ですから今日ハイキックを決めることができた時に、相手がそのあとでテイクダウンに入ろうとしたので、その瞬間を見て極めに行きました」 ──では冷静に対処したというところですか。 「はい、その通りです。冷静に対処して、うまく行きました」 ──衝撃的なフィニッシュでしたが、勝利後に見渡した会場はどのような印象でしたか? 「非常に美しい光景でした。お客さんでいっぱいでしたし、日本のファンの皆さんは大会に対して非常に温かく、熱く応援してくれるので、それに対して本当にあらためてありがとうと言いたいです」 ──今後の目標・展望を教えてください。 「今後はまずいつもの自分のジムに戻ってコーチとしっかり相談をして決めていきたいと思います。 ──左ハイキックが得意技だったり、あるいは日頃からよく練習している技なのでしょうか。 「一番得意な技だとは言えないんですけれども、得意な技のうちの一つです」 ──インパクトのある勝ち方でした。RIZINでチャンピオンを目指すにあたって、次にどんな選手と戦いたいですか? 具体的な選手がいれば教えてください。あるいは、ストライカーやグラップラーなどどのようなタイプの選手がいいですか。 「ええと。具体的な選手の名前というのは、まだよくわかっていないのでRIZINの方からオファーしていただける選手と戦いたいと思います。ストライカーでもグラップラーでもどちらでもオファーいただけた選手と戦います」 ──いつ頃タイトルに挑戦したいと考えていますか? 「タイトル戦に行き着くまでには、まだこれから3、4戦はやって自分の力をRIZINの皆さんに見ていただかなければならないと思っています」 ──インターネットで、すごくハンサムである、イケメンだという声があがっています。そういうことを言われることは、ご自身としてはどうですか? 「(苦笑)男はですね、美しくカッコよくあるべきではなく、強くあるべきだと私は思います」 ──フィニッシュのダースチョークは得意技でしょうか? 「はい。得意技と言っていいと思います」 ──グラップリングは、打撃に比べてどれくらい得意ですか? 「私は自分のことを自分で評価する立場にはないと思います。評価してくださるのはコーチや、またはファンの皆さんだと思います。今後の試合でグラップリング、グラウンドでの戦いを見せるチャンスがあれば、ぜひお見せしたいと思います」 ──グラウンドにも自信がある? 「はい、自信はあります。これまで練習を重ねてきて、グラウンドでもスタンドでもどちらでも対応できるようにしていますので自信はあると言えます」 ──計量の時の礼の仕方について、教えてください。 「カザフスタンで心からのお礼を示す、ああいうジェスチャーがあります。それをやりました。日本人とカザフスタン人はすごく近しいと思っています」 [nextpage] 雑賀ヤン坊「左ミドルにカウンターを狙っていたら──」 ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。 「そうですね……何もできなかったっていうのが本当、悔しいです」 ──ズマガジー選手と実際に戦った印象を教えてください。 「よく見られてるなと思いましたね。で、精度が高いなあっていうのはすごい感じました」 ──「よく見られている」というのは、試合の中でですか? 「いや、試合の時も、僕もちょっと後から動画で見返して思ったんですけど。ちょこちょこ駆け引きの中で、僕の行動一つひとつよく見てるなっていう感じですかね」 ──決め手となったのはハイキックだったと思います。被弾した印象を覚えていますか。 「まあ、しっかり覚えてまして。そうですね、当たって“ヤベっ!”と思ったらダウンしちゃってたんで。何とか凌ごうと思ったんですけど、ちょっとパニックになっちゃってた感じですかね」 ──試合を終えたばかりですが今後の展望・目標を教えてください。 「この(RIZINで)“3度目の正直”っていうので、今回どうしても勝ちたかったんですけど何もできず終わってしまって、もう、ほんと悔しくて。この先どうしていこうかなと思ったんですけど。でもやっぱり、勝つ姿をね、みんなに……(泣きながら)すみません。とにかく悔しいんで。本当に。また戻ってこれるような試合を積み重ねて、声かけてもらえるのを待ってます」 ──ご自身としては、どういう試合展開に持っていきたいとプランしていましたか。 「今回の作戦というかプランっていうのは、まず距離感の設定と前足の位置を徹底的にやってきて。相手の攻撃に対して全部カウンター合わせる気でいて。相手もたぶん同じの狙ってきてたと思うんですけど、まあ左ストレートに合わせたカウンターと左ミドル蹴られたらすぐストレート打ち込むイメージをしてたんですけどね。それをイメージしすぎたせいか、ちょっとハイキックがミドルに見えてしまって、ちょっと下がったところに、ハイキックがいい感じに当たっちゃったのかなって感じです」 ──その悔しさがあるということは、まだまだ戦いたいっていう気持ちは衰えてないですか。 「まだもう何も見せてないんで。“こんなもんじゃねえぞ”っていうのは、まだ見せれてないんで。とにかく見ていただきたいんで」 ──身体のダメージはいかがですか。 「悔しいことに本当、全然何もないですね」
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