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【UFC】ヘビー級王座戦はガヌのアイポークでアスピナルが続行不可能1R ノーコンテストに。ダーンがジャンジロバに5R競り勝ち女子ストロー級新王者に、ウマルがバティスタの蹴り被弾も左を当てて組み伏せ判定勝ち、ムルザカノフが1R KOでMMA16戦無敗・UFC6連勝に。豪州サルキルドが右ハイKO! ウォルケルが4試合連続1Rヒールフック勝利、魅津希が連勝アモリムに完勝!

2025/10/26 00:10
 2025年10月25日(土)23時からアラブ首長国連邦のアブダビ・エティハド・アリーナにて『UFC 321: Aspinall vs. Gane』(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)が開催された。 『UFC 321: Aspinall vs. Gane』速報 2025年10月25日(土)23時~(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)アラブ首長国連邦アブダビ・エティハド・アリーナ▼UFC世界ヘビー級選手権試合 5分5R─トム・アスピナル(英国)15勝3敗1NC(UFC8勝1敗1NC)156lbs/70.76kg[1R 4分35秒 ノーコンテスト] ※アイポーク─シリル・ガヌ(フランス)13勝2敗1NC(UFC10勝2敗1NC)247.5lbs/112.26kg  ヘビー級タイトルマッチ(5分5R)。王者アスピナルに、1位のガヌが挑戦。  22歳からボクシング世界王者タイソン・フューリーのスパーリングパートナーを務めていたアスピナルは、22年7月のカーティス・ブレイズ戦での開始15秒で右ヒザ前十字靭帯を断裂して負傷TKO負け。23年11月にセルゲイ・パブロビッチを1R KOで暫定王座獲得。24年7月の防衛戦でカーティズ・ブレイズと再戦し、左ジャブでダウンを奪い、1R TKO。リベンジに成功している。ジョン・ジョーンズに対戦を呼び掛けるもJJは引退表明。正規王者に繰り上がった。32歳。  ガヌは、ムエタイベースでカナダTKOヘビー級王者から、4戦目でUFCと契約。オクタゴン7戦無敗で暫定王座を獲得。22年1月に正規王者フランシス・ガヌーと統一戦も判定負け。MMA初黒星を喫した。ガヌーのUFC離脱により、23年3月にJJと王座決定戦も1R ギロチンで一本負け。その後、セルゲイ・スピバックを2R TKOで再起し、24年12月のアレキサンダー・ヴォルコフ戦でスプリット判定勝ちで2連勝中。35歳。  1R、サウスポー構えのガヌに、オーソのアスピナル。前足で右関節蹴りのガヌに、ワンツーで詰めるアスピナル。アスピナルも左の関節蹴り。ガヌのジャブの打ち終わりにシングルレッグはアスピナル。切るガヌに固執せず離れるアスピナル。  半身構えのガヌは右回り、アスピナルはスイッチして左ロー。ワンツーも右にかわすガヌ。左インローも。ガヌは右ジャブを伸ばす。詰めるアスピナルは回転のフェイント。ガヌの右ジャブにアスピナルは鼻血。アスピナルの右カーフにガヌがバランスを崩す。  左手を前に突いて左の蹴りのガヌ。目は開いていなかったものの両目へのアイポークとなり中断。長いインターバルが取られるがアスピナルは右目を開けられず。レフェリーが両手を広げて交差させてノーコンテンストに。ガヌも跪いて長い時間立ち上がれず。  試合後、ダニエル・コーミエーのケージインタビューでアスピナルは「(ブーイングに)おい、俺、眼球に拳骨を突き刺されたんだぜ。何だよ? なんでそんなことする? 俺にどうしろってんだ? 俺が突き刺したわけじゃない。見えないんだ。この瞬間を長く待ってた。こんな結果になるなんてがっかりだ。まったくクソみたいな話だ。試合は始まったばかりだったのに。ほとんど目を開けられない。ただ見ているだけだ。(アイポークのスロー再生に)両目だった」と右目を押さえてコメント。  また、ガヌにもマイクが向けられ「まず申し訳なく思っている。本当に申し訳ない。観客の皆さん、ファンの皆さんに。トム・アスピナルにも申し訳ない。自分自身にも申し訳ない。この試合のために本当に多くのエネルギーを注いだんだ。少しがっかりしている。でもこれがスポーツであり、人生だ。(あなたは素晴らしい1Rを戦った。できるだけ早く再戦を組んでほしい?)今後の展開は分かりません」と話した。 【試合前インタビュー】 トム・アスピナル(ヘビー級王者)「その言葉を口にした相手は、みんな最初の1分でKOされてる」 ──あなたが相手の肩に腕を置く仕草が、最近よく話題に上がっています。あれは距離感を測っているのか、フレンドリーさの表現なのか、あるいはロマンチックな意味なのか??実際のところ、何なんですか? 「だいたい95%はロマンチックだね(笑)」 ──このカードは“ヘビー級の次世代対決”と言われてきました。いまはシリル・ガヌ(ヘビー級1位)をこれまで以上に研究し、準備しているはずですが、相手への評価は今も変わっていませんか? 「変わらないよ。俺たちは“普通のヘビー級”と違ってよく動けるし、フットワークも距離感もいい。考えなしに振り回したりしない。お互いタクティカルでテクニカル、動けるデカいアスリート同士だ。いいマッチアップだよ」 ──さきほどシリルは「これまであなたが戦った誰よりも自分は距離を管理できる。だから“ディープウォーター(限界の領域)”へ連れていける」と話していました。どう受け止めていますか? 「彼、本当に“ディープウォーター”って言ったの? その言葉を口にした相手は、みんな最初の1分でKOされてるよ。これまでの記事や動画を見返してみなよ。だから俺は上機嫌だね」 ──以前あなたは「セルゲイ・ パブロビッチ(ヘビー級3位)との“アレの大きさ比べ”には乗らない」と冗談を飛ばしました。シリル相手に、そういう低次元な張り合いは?「それは分の悪い勝負だから、やらないね(笑)」 ──あなたのキャリアには、UFC参戦前から“誰も戦いたがらない”という側面がありました。いまは王者なのに、ジョン・ジョーンズやアレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)が互いにやりたがって、あなたを避けているようにも見えます。王者になってもそんな状況が続くとは思っていましたか? 「やりたいって言う連中はいるよ。ただ“大物”は好きにできるってだけ。俺の考える王者の在り方はシンプルだ。ランキング1位の挑戦者と戦う。最強だと証明し続ける。それをできるだけ長く繰り返す」 ──マンチェスター出身のアスリートとして、リッキー・ハットンについて何か言葉はありますか? 「俺と同世代で彼の試合を見て育った人間なら、格闘技ファンじゃなくても、マンチェスター出身じゃなくても、UKの誰もが彼を知ってて愛してたはずだ。本人と会ったのは数回だけで深く知ってたわけじゃないけど、誰もが身近に感じられる存在だった。ベガスで彼が戦うと2万人の英国人が押し寄せた。全員がチケットを持ってたわけじゃないのに、ファイトウィークに“彼と同じ地面を踏みしめたい”ってね。本当に大きな喪失だ。彼を知るすべての人に心からお悔やみを伝えたい」 (※リッキー・ハットン=英元プロボクサー。スーパーライト級&ウェルター級の元世界王者で通算48戦45勝。2025年10月14日にマンチェスターの自宅で死去と報じられた。享年46)」 ──MMAを始めた当初の目標は“目の前のベルト”を手にすることでした。追いかけていた頃の想像と比べて、王者としての生活はどうですか? 「正直、まったく同じ。何も変わってない。やることは山ほどあるし、1日2回ジムに行くし、子どもを学校に送るし、みんなと同じことをやってるだけだよ」 ──シリルの試合映像を見て、彼にあなたをディープウォーターへ連れていく力があると思いますか? それとも「自分のほうがずっと上」だと感じますか? 「俺は自分が誰より上だとは思ってない。毎試合、相手をリスペクトして臨んでるし、シリルにはとくに敬意がある。メディアやファンの一部に“シリルは大したことない”って空気があるけど、あれは完全なナンセンスだ。彼は本当に才能がある。長くヘビー級トップにいるのは簡単じゃないし、暫定王者にもなってるし、正規王座にも2度挑んでいる。だから俺は徹底的にこの試合を重く見てる。“楽勝”だなんて一切思ってない。準備しているのは、めちゃくちゃハードな戦いだ」 ──理想を言えば、マンチェスターでの試合から今日までに、何試合こなしたかったですか? 「最低でも2試合はやりたかったね」 ──体のタトゥーは“仕上げる計画”のままですか? 「タトゥーって終わりがないんだよ。だからその話題は避けとこう。計画はいろいろあるけど、どうなるかはそのうち分かる」 ──最近のインタビューで「自分はジョン・ジョーンズじゃないし、近くもない。でも“現役のヘビー級の中では”俺がベストだ」と言っていました。ジョンとの経緯や、あなたが暫定王者になってからの流れもあって、今後もジョンと比較され続けると思いますか? 「分からないね。俺は自分の道を作って、その道を進みたい。他の誰かと比べるつもりはない。思い出してほしいのは、俺の最初の目標は“専業で格闘技をやる”ことだったってこと。もう長いことそれができている。タイトルを持って、世界ナンバーワンだって言われる状況にいられるのは素晴らしい。でも誰かのコピーにはなりたくない。自分のキャリアを、自分のやり方で進めたい」 ──ファイトアイランドのときに会いましたが、アブダビはあなたにとって相性がいい土地です。今回もここで防衛戦です。アブダビへの印象は? 「大好きだよ。第二の故郷って感じだ。UKから約6時間、時差も3時間で、天気も人も最高。もしキャリアの残りを全部アブダビでやれるなら、世界中のどこよりもここを選ぶ」(※アブダビでは『UFCファイトナイト・ファイトアイランド』で2戦2勝) ──あなたの平均フィニッシュタイムの2分2秒を維持しなきゃ、という余計なプレッシャーはありますか? 「みんな、俺が早いフィニッシュを決めてきたのは知ってるよね。俺には世界でもトップのヘビー級チームがついてる。最高の頭脳、最高のスパーリングパートナーたちだ。俺たちは“何ができるか”“どれだけ危険か”をもう示してきた。だから今回はちょっと趣向を変えるよ??見事な“つまらないスプリット判定勝ち”でいくつもりだ」 ──あなたはメインイベントやコメインイベントを多く務めています。こうした経験値は今回の試合でアドバンテージになると考えますか? 「向こうにも経験はあるけど、俺にもある。プレッシャーが簡単じゃないのはお互い分かってる。実際のところは試合日になれば分かるさ。どう転ぶかは、ケージに入ってみないと分からない」 ──シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)はドバイとアブダビで3か月、グラウンドを強化したと言っていました。一方で、あなたは絞れてシャープに見える。今回のキャンプはあなたはスピード強化、対して相手はグラウンド強化、そんな構図と受け取っていいですか? 「見た目は絞れてるかもしれないけど、実は前回より体重はけっこう重い。どの要素も伸ばしてきたよ。フィジカルもメンタルもね。離れていた時間で全体的に良くなった。だから単純に“こうだ”とは言えないかな」 ──共通の対戦相手という観点では、セルゲイ・ スピバック(ヘビー級7位)やアレクサンドル・ ヴォルコフ(ヘビー級2位)などがいます。比較材料として重視しますか? 「少しは見るけど、試合は毎回違う。実際にケージに入るまで何が起きるか分からない。俺たちは同じ相手と何度も戦ってるわけじゃないし、スタイルが噛み合えば全然別物になる。相手のその日のフィーリング次第なところもあるし、体調が良くなくても最高のパフォーマンスが出ることもある。結局はそのとき次第なんだ」 ──以前、何度も“ジョン・ジョーンズ戦に備えてきたが、実現はしなかった”と話していました。実際にはどれくらいトレーニングキャンプをやっていたのですか? 「フルのキャンプって感じではなかった。『この時期に準備ができそうだ』ってタイムラインだけ渡されて、それに向けて備える……そんな感じだ。締切や契約があったわけじゃない。だから本格的なキャンプというより、その時期に向けた準備を何度かやったってことだね」 ──UFCパリのとき、あなたは「キャリアを通して2Rに行かなくても構わない」と笑っていました。一方で、お父さんのアンディは「判定まで戦ってスタミナを証明してほしい」と話していました。5Rでも主導権を握れるという自信は? 「さっきも言ったけど、今回は“5Rのスプリット判定勝ち”を取りにいくよ。ジャブ、ジャブ、ひたすらジャブ。数分で観客はブーイングだろうけど、そのスローペースを5R維持して勝つつもりだ」 ──マイケル・ ビスピンが、あなたを“MMA界のモハメド・アリ”と例えました。これについては? 「どうだろうね。ビスピンはどこからそれを引っ張ってきたんだろう。すごい褒め言葉だけど、そこに到達するにはまだやることがあるよ」 ──あなたは試合を多く戦うアクティブな王者でいたいと話しています。シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)に勝ったら、ヘビー級で誰が残っていますか。世間はジョン・ジョーンズやアレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)を語りますが、“トム・ アスピナル vs アレックス・ ペレイラ”という声もありますか? 「UFCが決めることだよ。ただ、次は“勝者対勝者”になるのは明らかだと思う。俺とガヌの勝者が、(同じUFC 321に戦う)ヴォルコフとジャイルトン・ アウメイダ(ヘビー級5位)の勝者とやる。『勝者 vs 勝者』??それが次のヘビー級タイトルマッチだと思ってる」 ──多くの関係者は、あなたがヘビー級王者として長期政権を築くと予想しています。最終的な目標は何でしょうか。キャリアを終えるとき、何を振り返りたいですか? 「さっきも言ったけど、俺の究極の目標はだいぶ前に達成してる。“専業でこの競技をやる”ことだよ。もう長いことフルタイムでやれているし、それが究極の目標だった。そこに上乗せされるものは、何でも最高だ。長期政権がどうとかは、成り行きに任せるしかないかな。分からないけど、この階級で俺がベストだという自信はある。ただヘビー級MMAは何が起きるか分からない。勝つか負けるか、その二つしかなくて、ケージにいるのは二人だけ。ヘビー級のベルトは“ホットポテト(熱過ぎて持っていられないじゃがいも)”みたいなもので、右へ左へと手渡される。長く一人の手元に留まらない。危険すぎるからね。だから様子を見るだけさ」 ──ドバイでのキャンプで、シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)は“レスリング強化”に重点を置き、優れたレスラーたちと多くのスパーを積んだと言っています。打撃に加えてその強化は、あなたにとって最難関の試合要因になると思いますか? 「彼にとって役に立つはずだよ。彼はグラップリングを伸ばす必要があったし、きっと伸びている。シリルは頭が良くて、優れたファイターで、素晴らしいアスリートだ。最後に彼のレスリングを見たときより、確実に良くなっているはずだと思ってる」 ──ガヌに一本勝ちをしているジョーンズが、この試合をテレビで見るだろうと言われています。プレッシャーはありますか? 「まったくないよ」 ──今回の試合とアブダビに、お父さんが一緒に来ていることの意味を教えてください? 「俺たちのストーリーを知ってる人なら分かるけど、MMAに引き込んだのは親父なんだ。最初からそばにいて、最後まで一緒にいる。そういう関係さ。親父も俺と同じでアブダビが大好きなんだ。だからここに来られてハッピーだよ」 ──去年、あなたは「キャリアを長く続けるつもりはない。4~5年でたくさん防衛して去りたい」と話していました。今回の14カ月のブランクで、考えは変わりましたか? 「いい質問だけど、答えは分からない。正直、成り行き次第だよ。今はこの競技を心から楽しんでるし、体も最高に感じる。人生も充実してる。これがいつまで続くかは、俺にコントロールできることじゃないから、分からない」 ──この空白期間を経て、ケガなく終えられたら、できるだけ早くタイトル戦線を積み重ねたいという狙いですか? 「そのつもりだよ。前に進んで、勝ち続けるだけだ」 ──シリルはあなたに“判定で勝つ”と予想していました。あなたの予想は? 「同じだよ。スプリット判定で俺が勝つ」 ──2R、3Rに入ることへの不安はないですか。しっかりそのためのトレーニングは? 「いや、2分過ぎるとすごく疲れちゃうから、次の4分半は“何もしない”予定さ」 ──これだけ早いKOが続くと、“5Rの戦いになったらどうか”と自問することはありますか? 「いつも自問してるけど、まだそこに到達してないから答えは出せないね」 ──ジョン・ジョーンズはいったん引退を表明してから、2週間で“復帰する”と言いました。どう思いましたか? 「気にしてない。自分のキャリアに集中してる。試合が決まったと聞いた瞬間から、俺の頭にあるのはそれだけ。俺は戦う、それだけだ」 ──ジョンは“ホワイトハウスで戦いたい”とも言っていて、デイナ・ホワイトは「10億分の1の確率だ」と言いました。あなたの意見は? 本当にホワイトハウスで戦うと思いますか? 「彼が望むものを手にできるといいね。幸運を祈ってるよ」 シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)「ディープウォーターに連れていく準備はできてる」 ──まず試合の話に入る前に、前戦から今日までの生活を聞かせてください。しばらく姿を見ませんでしたが、映画やテレビにも出ていました。近況はどうですか? 「映画の撮影が2カ月くらいあったけど、それ以外はずっとジム。成長する、土台を組み直してもっと強い自分を作る、そこに時間を使ってたよ」 ──試合以外の活動もあって、世界的な知名度や、試合ごとの注目度が上がったと感じますか? 「そのためにも映画をやったんだよ」 ──今回の王者トム・ アスピナル戦は、あなたにとって新たなタイトルマッチです。デリック・ ルイス(ヘビー級8位)やフランシス・ガヌー、ジョン・ジョーンズとのときと比べ、今回はどんな違う準備をしましたか(※ルイス戦=2021年8月『UFC 265』ヘビー級暫定王座決定戦で第3R4分11秒でTKO勝ち、ガヌー戦=2022年1月『UFC 270』UFCヘビー級王座統一戦で判定負け、ジョーンズ戦=2023年3月『UFC 285』ヘビー級王座決定戦で第1R2分04秒で一本負け)? 「今回はもっと“深いところ”を追求する感じだった。ケガからの回復を経て、3月からキャンプを始めた。ジョン・ジョーンズやフランシス・ガヌーのときみたいにミスらないように早めに動いたよ。10月の時点でもう良い仕上がりで、キャンプはすごく充実してた。フランスでスパーを重ねて、仕上げはドバイでほぼ6週間。大きいレスラーたちを呼んで、レスリングを重点的にやってきた」 ──あなたはトム、ジョン・ジョーンズ、フランシス・ガヌーら“史上最強クラス”と評される面々と全員やる唯一の存在になります。トムの試合を見て、フランシスやジョンと比べて際立っている点はどこですか? 「誰にでも強みと弱みがある。トム・アスピナルの特徴はオールラウンド。サイズがあって、テクニカルで早い。俺と同じように新時代のファイターで、他とはタイプが違うんだ」 ──今週、ホテルなどでトムと顔を合わせましたか? 「一度だけ会ったよ。問題ない。パリでもすれ違ってるし、これはスポーツだ」 ──メディアは“両陣営に因縁がある”みたいな構図を作りたがっています。トムへの印象は? 「SNS的にはそういうのは“おいしい”のかもね。でもこの試合がビッグチャレンジなのは誰でも分かってるし、わざわざ騒ぐ必要はない。俺たちは同じ新時代のファイターで、これは待望のマッチアップだ。でかい試合になるのは分かってる。俺は誰かを悪者にするタイプじゃないし、そういうのは求めてない」 ──ジョン・ジョーンズやフランシス・ガヌーとの“大一番”を経験しています。今回のトム戦に向けたプレッシャーは、そのときと比べてどうですか? 「いまは経験があるから、プレッシャーは少ないね。最初の“大一番”はフランシス・ガヌーとの試合で、あのときはストーリーづくりもファイトウィークもスケールが大きくて、メディア対応もやることが山ほどあった。あれがいちばん重かった。そこからジョーンズのときは少し減って、今はさらに少ない」 ──ドバイにはかなり早く入ってきました。フランスからは距離も近いですが、映画の露出などで国内は騒がしくなっていたはずです。雑音から離れて集中する狙いもありましたか? 「それもあるけど、それだけじゃない。アブダビやドバイで良いスパーリングパートナーがたくさん見つかったんだ。俺は大勢とスパーするから、全員をフランスに呼ぶより、自分がドバイやアブダビに動くほうがコストも抑えられる」 ──ある番組で、トム・アスピナルが対戦相手の肩に手を置く行為について話していました。もし試合直前にあなたにそれをやってきたら、押しのけますか? 「いや、何もしないよ。というか、その話はちょっと違う。あれが本人の考えなのかも分からないし、周りがやらせてるのかもしれない。どっちにせよ賢い行為じゃないけどね」 ──アレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)がヘビー級について語っています。今回のこの試合も見ているはず。彼がヘビー級に上げることをどう見ますか? 「いいアイデアだと思う。アレックスは今や世界中から観たいと思われるファイターになったし、美しい物語もある。しっかり積み上げてきたから、ヘビー級でもできる。危険な存在のままだよ。ジョン・ジョーンズがヘビー級に上がるときも、みんながワクワクしてたろ。それと同じだね」 ──もしそのペレイラがジョン・ジョーンズと戦うことになったら、勝機はあると思いますか? 「もちろん。これはファイト、戦士同士の勝負だ。何だって起こり得る」 ──あなた自身も、将来的にペレイラとの対戦に興味がありますか? 「もちろん、興味はあるよ」 ──この試合は“3度目の正規ヘビー級王座挑戦”で、いわば「最後のチャンス」だという見方もあります。そういうメンタリティで臨みますか? その意識はトム・ アスピナル(ヘビー級王者)にとって危険な要素になると思いますか? 「最近は俺への評価も少しずつ変わってきていると感じている。本当にモチベーションを高く保てているよ。ただ、最後のチャンスとは思っていない。やろうと思えば、俺はまだまだ長く戦える。(現在35歳だけど)40歳になっても戦い続けられると思う。、この挑戦にワクワクしてるし、燃えてるよ」 ──トムはUFCで100%のフィニッシュ率で、しかも第2Rを越えたことがありません。判定までもつれない可能性が高い相手に対して、どんなゲームプランで臨みますか? 「俺の強みも、あいつの強みも、みんなもう知ってる。俺は距離をうまく管理できるし、2R目に入ってからでも崩せる。でも逆に、最初のラウンドから一気に圧をかけていくこともできる。いずれにせよ“ディープウォーター(=限界の領域)”に連れていく準備はできてる」 [nextpage] テイクダウンのジャンジロバに、ダーンが寝技でも有効打当て判定勝ち、ストロー級新王者に ▼UFC世界女子ストロー級王座決定戦 5分5R ※選手名から前戦〇マッケンジー・ダーン(ブラジル)16勝5敗(UFC11勝5敗)115lbs/52.16kg[判定3-0] ※48-47×2、49-46×ヴィーナ・ジャンジロバ(ブラジル)22勝4敗(UFC8勝4敗)※UFC5連勝でストップ 115lbs/52.16kg  女子ストロー級タイトルマッチ(5分5R)。11月15日の『UFC322』でジャン・ウェイリーが階級を上げてワレンチナ・ シェフチェンコのフライ級王座に挑むため、ストロー級王座を返上(※同時二階級王座保持は禁止に)。1位のジャンジロバと、5位のダーンが初のタイトル戦で「王座決定戦」を戦う。両者は2020年12月に対戦し、ダーンが判定勝ち。  魅津希にスプリット判定勝ちし、村田夏南子に2R 負傷TKO勝ちしているジャンジロバは、アマンダ・ヒバスに判定負け後、アンジェラ・ヒル、マリナ・ロドリゲス、ルーピー・ゴディネスに判定勝ち。アマンダ・レモスを2R 腕十字に極めると、25年4月の前戦でヤン・シャオナンに判定勝ちで5連勝中。  柔術世界王者・ADCC王者のダーンは、アマンダ・レモスに判定負けも、ルーピー・ゴディネスに判定勝ちすると、25年1月の前戦でジャンジロバを下しているアマンダ・ヒバスに3R 腕十字で一本勝ち。今回の王座決定戦を決めた。  1R、ともにオーソドックス構え。右ローの打ち合い。さらに右ローを当てるダーン。ワンツーから左ジャブを当てるダーンに、右ローを返すジャンジ。近くなり組むが、ともに固執せず。  右の打ち合い。ダーンの右カーフの打ち終わりにダブルレッグのジャンジロバだが切るダーン。サウスポー構えで右を当てるジャンジロバ。ダブルレッグでドライブしてテイクダウン。ケージ際で下から殴るダーンは手首をつかみ、蹴り上げ。中腰のジャンジロバは足を放し、ダーンの立ち際に組むが、ダーンが左で差して組み。突き放すジャンジロバ。  シングルレッグテイクダウンで尻を着かせるジャンジロバ。シッティングのダーンはボディロック。右足を抱えるジャンジロバ。2人とも座りながら殴り合い。立つダーン。四つで体を入れ替えるダーン。ヒザ蹴りのジャンジロバに押し込むダーンはクリンチアッパーと腿への鉄槌。テイクダウン奪ったジャンジロバにダーンはパンチをヒットさせた拮抗したラウンド。  2R、左右から先に組んだダーン。左差しも自ら離れる。ワンツーから右ミドルに繋ぐダーン。右を突くジャンジロバ! 右カーフにはダーンも右を合わせる。ワンツーの打ち合い。ダブルレッグテイクダウンのジャンジロバ。クローズドガードのダーンは下から鉄槌。蹴り上げて立つ。  ダーンのワンツーの右をかわすジャンジロバ。サウスポー構えのジャンジロバはダブルレッグへ。そのまま小手で回したダーンに再び回してトップのジャンジロバ。下のダーンは鉄槌も背中を着かされる。半身になるダーン。手首を掴んで下から鉄槌。蹴り上げて立つダーン。その立ち際にジャンジロバは左を突く。ジャンジロバのラウンドに。  3R、ワンツーで飛び込み、ジャンジロバの打ち返しをかわしたダーン。しかしジャンジロバはダブルレッグテイクダウン。ここは立ったダーン。右を振ってシングルレッグからケージに押し込むダーン。左で差してヒザを突く。離れるダーンにシングルレッグから放し際に左を当てるジャンジロバ。  しかし、ジャンジロバのシングルレッグを切ったダーンが押し込み。自ら放したダーン。ジャンジロバは左を当てるとシングルレッグ。左小手のダーンを左右に振ってテイクダウン! 下のダーンはクローズドガードでヒジを突くが、上のジャンジロバは手数が出ない。ダーンは下から鉄槌連打。蹴り上げは顔面をかすめたが、レフェリーは流す。ダーンが立ち上がりホーン。両者ともに顔を腫らす。ジャンジロバはコーナーを一瞬見失う。ともに決定打は無いが……。  4R、左右で前に出るダーンに下がりながらも左を突くジャンジロバ。ダーンは左ミドルをヒット。ジャンジロバのシングルレッグを切って右ボディ。ワンツーの右をかすめる。右ローが交錯。右を振って組んだダーンだが、首相撲ヒザはジャンジロバ。ダーンもヒザを返す。ジャンジロバの右カーフにワンツーで前に出るダーン。下がるジャンジロバはケージまでバックステップ。  ジャンジロバのシングルレッグを切ると右カーフ。ジャンジロバはダブルレッグでこかすが、身体が離れたためかグラウンドに行かず立たせる。逆にダーンがダブルレッグテイクダウン! ハーフのジャンジロバは抱き寄せるとダーンは鉄槌1発。ダーンのラウンドに。  5R、ともに右目下を腫らす。ジャブから左の蹴りに繋ぐダーン。ジャンジロバは右ストレートを返す。回転で勝負のダーンはバックスピン。その打ち終わりにテイクダウンのジャンジロバだが、座って足を抜いて立つダーン。なおも組んで押し込むが、右小手のダーンはケージ背に単発ながら首相撲ヒザ。  離れて左を突くダーン。ジャンジロバはワンツーからシングルレッグテイクダウン、すぐに下から鉄槌、ヒジ打つダーン。ジャンジロバはトップからボディにパンチも、ヒザを間に入れたダーン。離れるジャンジロバ。ダーンは下から関節蹴り、ブレーク。  右前蹴りのダーン、ジャンジロバは左から右を伸ばしてバックフィストもかわしたダーンは右ロー。左から縦ヒジ。ジャンジロバは右目下から出血。最後にダブルレッグテイクダウンはダーン。それを返すジャンジロバに、ダーンもトップを取ってホーン。両者ともに肩車に乗ってガッツポーズ。ダーンのラウンドか。  テイクダウンはジャンジロバも有効打はダーンのデータ。5Rの判定は下からも動き続けたダーンが判定3-0(48-47×2、49-46)で勝利。新王者となった。  試合後、ダーンは「最高です。信じられない。A0CC IBJJF世界王者、そして今UFCタイトルを獲得した(女子)唯一の存在になったと思う。だからもっと見せてやる。これはさらなるためのものです」と、ファブリシオ・ヴェウドゥムに続き、柔術世界選手権、ADCC、UFCの三冠を達成したダーンは歓喜。 「正直、前回もそうだったけど、今回はもう少し楽にいくと思ってた。彼女がすごくタフに出てくるのは分かっていた。テイクダウンは取られるだろうとも。でもグラウンドでどう抑え込むか、どうダメージを与えるかを理解し始めたんです。相手が時間稼ぎしてる時と、実際にダメージを与えている時の違いを認識し始めたのが嬉しい。だからグラウンドでかなりダメージを与えられたと思う。あらゆる要素を少しずつ取り入れたと思う。ケージストライキング、グラウンド。十分だったと思う。  さらにインタビュアーのダニエル・コーミエーから「1R目のジャブでほぼダウンさせた。グラウンドでもダメージを与えられると分かっていたから、わざとテイクダウンを許したように見えたけど、あれは戦略の一部だった?」と問われると「打撃が好調なのは分かっていた。もっと良くなってほしかったけどね。実は1発でKOできるかもって期待してたんだけど、でもつまり、だからこそ打撃を自由に使えると思ったんです。もしグラウンドに持ち込まれても……詳しくは言えないけど、バックを気にする必要はないって確信してたんです」と、ボトムのポジションでも打撃を有効打にしたこと、下でも自信があったことを明かした。  また、「あなたはいつも『娘の前では負けたことがない』と言っていたね。それが君の原動力だ。今夜のママの活躍を娘さんはきっと誇りに思うよ」と問われると、愛娘のケージインに、ダーンは娘の肩にチャンピオンベルトをかけて、勝利の記念撮影に収まった。 [nextpage] ウマルがバテイスタのヒザにフラッシュダウンも、左を返して無限レスリングで判定勝ち ▼バンタム級 5分3R〇ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)19勝1敗(UFC7勝1敗)136lbs/61.69kg[判定3-0] ※30-27×3×マリオ・バティスタ(米国)16勝3敗(UFC10勝3敗)135.5lbs/61.46kg ※UFC8連勝でストップ  1R、中央を取るバテイスタの最初の右ミドルの打ち終わりに組んだウマルがテイクダウンもすぐに立つバテイスタ。ボディロックテイクダウンに。下のバテイスタはトーホールドも反転して抜くウマルがサイドで押さえ込んで細かいパウンド。  バテイスタの左差しでの起き上がりを潰したウマル。フルガードになるバテイスタは、ハーフから金網使い立とうとするが、寝かせるウマル。バテイスタはケージを蹴って立ち上がりも、バックに乗って両足をフックするウマル。  ボディトライアングルのウマルははたすきがけ。首を守るバテイスタ。ホーンにすぐに立つバテイスタだが、初回は一度もスタンドに戻せず。  2R、右ミドル、さらにウマルの頭を下げた入りに右ヒザをアゴに当ててダウンを奪うバテイスタ! サウスポー構えのウマルはすぐに立つとシングルレッグテイクダウン! ハーフから立とうとするバテイスタにボディトライアングルを左右入れ替えて組む。  その組み換えの際で正対狙い、スイッチから上を取り返したバテイスタ! さらに自ら組むが、ウマルはシングルレッグテイクダウン! サイドを奪う。中央に戻り腰を抱き、再びサイドに回るウマルはバテイスタの立ち際にバック狙いも、バテイスタは立ち上がり!  左ミドルを打つウマル。詰めるバテイスタに左ストレートを当て、左ハイをガード上に突く。2Rは拮抗したラウンド。  3R、詰めるバテイスタ。前蹴りのウマルに跳びヒザを見せると右を振るが、ウマルも左ストレートを突く。バテイスタは蹴りでスリップ。ウマルは左の蹴り、ワンツー。バテイスタは角度をつけられず。右カーフの打ち終わりに組んだウマルは脇潜りバッククリンチから崩し。クラッチを切って正対したバテイスタにはシングルレッグ。  しかし戻るバテイスタは突き放して前に。そこにダブルレッグテイクダウンはウマル! ケージの目の前にはセコンドのハビブ・ヌルマゴメドフがいる。立とうとするバテイスタを崩してバックから対角の腕を縛るウマル。  スクランブルバテイスタについていき、正対するとシングルレッグ。足を抜いたバテイスタをすぐに追いかけて押し込み。バテイスタはついに切るとワンツーから右ハイもサークリングでかわしたウマルがホーンに両手を挙げる。  判定は3-0(30-27×3)のフルマークでウマルが勝利、フラッシュダウンを奪ったバテイスタだが2Rもウマルのラウンドだった。 【試合前インタビュー】 ウマル・ ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)「レスリングとグラップリングで上回る自信がある」 ──マリオ・ バティスタ(バンタム級9位)がニューアークでパッチー・ミックスに勝ったあと、次はあなたとの試合だと多くの人が予想していました。(※ミックス戦=2025年6月『UFC 316』で判定勝ち) 「そう思ったよ。彼の勝ち方を見て“次はこいつだな”って感じた。実際、たぶん俺からもメッセージしたと思う。この相手が次だってね」 ──バティスタのここ2試合の印象を教えてください。アルド戦はレスリング中心、いっぽうでミックス戦はほぼスタンドでした(※アルド戦=2024年10月『UFC 307』でスプリット判定勝ち) 「ジョゼ・アルドはレジェンドだけど、全盛期からだいぶ時間が経ってるし年齢も重ねた。パッチー・ミックスは何が原因かは分からないけど、いつもの彼じゃなかった。確かに、マリオ・バティスタはその二人より出来が良かった。アルド戦は接戦だったけど、ミックス戦ではすごく良いパフォーマンスを見せた。他の試合でもそうだけど、打撃が上手いし、常に動いてる。才能があると思うよ」 ──前戦のドバリシビリ戦から、完全にコンディションが戻って本格的にキャンプに入るまで、どれくらいかかりましたか?(※ドバリシビリ戦=2025年1月『UFC 311』で判定負け) 「夏からずっとトレーニングキャンプはしているよ」 ──アブダビのイベント出場を狙っていましたか。バンクーバーでの5R案も噂されましたが、準備環境としてはどちらが良かったですか? 「ドバイやアブダビで準備できるのは、もちろん俺にはベストだ。みんなが来やすいし、手伝ってくれる仲間も多い。友達も応援に来られるから、俺には向いてる。でも大きな違いがあるわけじゃない。どこでも戦える」 ──いまでも“メラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)に勝てるのはウマル”と言う声が多いです。メラブもインタビューであなたの名前を出すことが多い。今回勝てば、再戦は理にかなっていると思いますか? 「もちろん。お互い勝てば、ファンにとってもUFCにとっても興味深い試合になる。ただ、俺は待ちたくない。できるだけ早く試合をしたいんだ。だからこの試合のあと、状況次第では1月か2月にでも戦いたい」 ──メラブはあなたについて聞かれると、少し苛立っているようにも見えます。「2~3連勝してから話をしろ」といった発言もあります。なぜあなたの名前が出ると、彼は熱くなるのだと思いますか? 「彼に聞けば“10連勝してからだ”って言うかもしれないね。まあ、それが彼の考えで、彼の意見なんだろう。好きなことを言えばいいさ。でも現実は違うと思ってる。彼が苛立つ理由も、みんなわかっているだろう。再戦すればどうなるか予想がつくからだ。あの試合も非常に僅差だったしね」 ──ヘッドコーチのハビエル・ メンデスに、あなたがメラブ戦で犯した一番のミスは何かと聞いたところ「手を骨折したのにコーナーに言わなかったこと」と答えていました。自分では最大のミスは何だったと考えていますか? 「言わなかったのは、コーナーに余計なエネルギーを背負わせたくなかったからだ。俺もコーナーに立つことがあるし、仲間が“手を折った”って言ってきたら、結局“まだ行ける”って背中を押すしかないって分かってる。だから黙って戦った。言わなくても、とれる手は全部使って勝ちをもぎ取ろうとしたんだよ」 ──メラブのコーリー・ サンドヘイゲン(バンタム級4位)戦についてはどう思いましたか?打撃の進化を見せたという評価もあります。 「10回、20回と足にタックルを仕掛けられたら、打撃で戦う側はすごく難しくなる。俺もよくやるから分かる。だから驚きはない。結果にも驚いてない。グラウンドでの長いコントロールとか、サブミッションの仕掛けとかはなかったはずだ。倒しては立たれ、また倒す──勝ちは勝ちだし、やりたい戦術で勝った。それだけだ。驚きはなかった」 ──メラブとピョートル・ ヤン(バンタム級2位)の再戦はどう見ますか。ヤンが前回の敗戦を返す可能性は? 「もちろん誰にでもチャンスはある。ヤンはこの階級でも屈指のタフなファイターだ。あとは両者の仕上がり次第だね。1年ぶりの試合を体がどう受け止めるかも大きい。俺の予想は、KOとかが起きない限り、メラブはショーン・ オマリー(バンタム級1位)やサンドヘイゲンのときと同じ作戦で戦って、彼が勝つだろう」 ──仮にメラブと10回戦ったら、あなたは何回勝つと思いますか? 「彼は“50歳まで戦う”って言ってるらしいから、じゃあ俺は彼が50になるまで勝ち続けてやるよ」 ──「あなたは謙虚だけど、今回のマッチアップは実力差が大きい」と言う声もあります。私自身、この試合はあなたのほうがはるかに上だと思います。マリオ・バティスタを“格下”として見てしまわないよう、どう保っていますか? 「打撃では俺が“はるかに上”だなんて思ってない。ほぼ同じレベルだと思ってる。彼は打撃もフットワークもいいし、スマートにポイントを取る。無駄にスタミナを使わないし、強振ばかりもしない。なのに“1Rで俺を倒す”なんて言っていたが、最近の8試合で彼が誰かを倒したことがあったかな。俺はレスリングとグラップリングで上回る自信がある。打撃は相手も上手いよ」 ──メラブ・ ドバリシビリがピョートル・ ヤンとの試合を早々に受けたのは、あなたとの対戦を避けるためだと思いますか? 「分からない。向こうの事情だし、好きにすればいい。こっちが“なぜそうしたか”を推測で語るのは難しい。今回の試合のあとで、どうなるか見ればいいさ。もし相手が俺を避けようとしても、俺は待たない。とにかく試合をしたいんだ」 ──今回、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)はセコンドにつきますか? 「いや、イスラムはもうニュージャージーに移動して自分の試合に向けた準備をしてる」 ──あなたの敗戦は“ハビブ・ ヌルマゴメドフの指示(テイクダウン)を聞き、ハビエル・ メンデスの指示(距離を保って打撃)を聞かなかったから”だ、という声があります。実際のところは? 「誰の言うことを聞いたとか、聞かなかったとかが原因じゃない。要因はいくつかある。その一つは手を骨折したのにプランを変えなかったこと。もう一つは、レスリング面での集中と規律をもっと高める必要があったこと。結局は俺自身の問題だよ」 ──キャリア初黒星の直後という事実は、今回のメンタリティに影響しますか? 「全くない。負けは起こり得ることだし、それで引退だなんて言い出すなら、それは挫けたってことになる。でも俺は何も変わってない。同じウマルで、同じ夢を追ってる。王者になるためにハードに練習するだけだ」 ──ハビブは“敗戦後の選手には、それぞれに合った声掛けが必要だ”と言います。あなたの敗戦直後、彼は何と言いましたか? 「“必ず復活する”って言われたよ」 ──あなたは多くの試合を戦いたいと言いました。もし自分が王座を取ったら、防衛頻度はどれくらいを考えていますか。メラブのように年4回ペースで守るつもりですか? 「コンディションやケガの有無などの要素次第だけど、すべてが順調なら年に3試合はまったく普通にできると思う」 ──「同じウマルで、同じ夢を追ってる」と言いましたが、歴史に永遠に名前を残すには、王者として何度くらい防衛すべきだと考えますか? 「まず何より王者になることが一番大事だと思ってる。そこから先のことは、その後に決まっていく」 ──仮にピョートル・ ヤン(バンタム級2位)が今後勝ち続け、あなたと王座を懸けて戦う形になったら、UFCにロシア、あるいはロシア近辺での開催をリクエストしますか? 「いまの状況でロシア開催は難しいと思う。おそらくアブダビなら多くの人が来られるし、サポートも受けやすいだろう。とはいえ、どこでやるかは最終的にUFCが決める。選手の要望でどうこうなる話じゃない」 ──あなたの元対戦相手のベクザト・アルマハンが、イリア・ トプリア(ライト級王者)の兄アレクサンドレ・トプリアと対戦すると聞きました。アレクサンドレには、いずれあなたの階級でタイトル戦線に絡む可能性を感じますか? 「どんな選手にもチャンスはある。大事なのは勝ち続けることと、アクティブに戦い続けること。その道を進めばベルトに近づく」 ──イリア・ トプリアがイスラム・ マハチェフ(ライト級1位)について辛辣な発言をした件で、カタールのイベントではセキュリティを強化すべきだという声もあります。 「マニー・パッキャオが以前に、他人を見下していると、結局はリングの中で痛い目を見ると言っていたが、そういうものだよ。同じテンションで言い返すこともできるけど、俺たちはわざわざ自分をそのレベルに落とす必要はない。イスラムにはイスラムの生活もあるし、ファイトとは別の話だ」 ──あなたのスパーリングパートナー、マゴメド・マゴメドフはセルジオ・ペティスに厳しい形で敗れました。彼にはどんな言葉を掛けましたか?(※ペティス戦=2025年10月『PFL Champions Series 2』でKO負け) 「支える言葉をかけたよ。相手は一度だけ勝つチャンスを掴んだ、それが当たっただけだ。10回ケージに入れば10回ともお前が勝つってね。今回はラッキーパンチに捕まっただけだ、って」 ──今回勝ったら、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)のキャンプにすぐ合流してニュージャージーで準備を手伝いますか? 「もちろん。試合のあと、チームに合流するつもりだよ」 ──ハビブ・ ヌルマゴメドフは「ファン対応のプレッシャーから解放される一番の方法は“次の試合で負けることだ”」と冗談めかして言っていました。初黒星のあと、ファンが離れたと感じましたか? 「いや、何も変わらない。違いは感じてないよ」 マリオ・ バティスタ(バンタム級8位)「肩書きで自分にプレッシャーはかけない。同じように血が流れて同じように練習してる。頭の中で相手を自分のジムのスパーに連れてきて、そこで折れていく姿を思い浮かべるんだ。俺のジムは厳しいから、あのオーラもそれで剥がれる」 ──かなり久しぶりの海外、とくに初の国外での試合になるという理解で合っていますか? 「そうだね。試合で海外は初めてで、海外に出たのも11歳のときにメキシコへ行った一度きりなんだ。ただ、メキシコもロサンゼルスやフェニックスと部分的に雰囲気が似ているからね。ここは全く別物に感じるよ」 ──フェニックスからアブダビまでは長旅だったと思いますが、移動はいかがでしたか? 「ヒューストン経由で、そこから13時間のフライトだった。機内ではずっと寝るようにして、全体的にスムーズだったよ」 ──海外、あるいはここで試合をした経験のある仲間やコーチに、時差ボケ対策や到着タイミングなどを相談しましたか? 「コーチからいろいろ聞いたよ。最近だとマーカス・マギー(バンタム級15位)もここで試合してるから、彼からも助言をもらった。早めに来て時差に合わせろってね。俺たちもそうしたし、調子はいい」 ──今回の相手はウマル・ ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)です。あなたがパッチー・ミックスに勝った流れで、このマッチアップを予想していた人は多かったと思います(※ミックス戦=2025年6月『UFC 316』で判定勝ち)。ウマルは2025年1月に『UFC 311』でメラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)に敗れましたが、パッチー戦のどれくらい後にオファーが来たのでしょうか? 「そんなに時間は空いてない。1~2カ月後くらいには話が出て、そこから一気に進んだ。俺が望んでた試合だし、いちばん筋が通ってた。他の連中はだいたい埋まってたし、タイトルに最短で行くにはこのカードがベストだと思った」 ──メラブ戦は、ウマルが勝っていたという見方も当時はありました。とはいえ現在では“メラブはバンタム級GOATだ”という声も増えています。あの試合、あなたはどう見ましたか? 「俺はメラブが勝ってたと思う。3、4、5Rを取って試合を掌握したし、見せ場も作ってた。コントロールもあったしね。だから俺の採点はメラブだ」 ──あなたは対戦相手の研究をかなりするタイプだと過去のメディアデーでも伺っています。メラブ戦や、コーリー・ サンドヘイゲン(バンタム級4位)との試合から、今回の試合に活かせるポイントは(※サンドヘイゲン戦=2024年8月『UFCファイトナイト・アブダビ』でヌルマゴメドフが判定勝ち) 「主に見るのはメラブ戦だね。さっき言った3、4、5Rのところ。メラブはプレッシャーをかけ続けて、ウマルにレスリングを仕掛けた。ウマルにそこまでレスリングを仕掛けたやつはいなかったから、良い手本になった。要は自分のゲームプランを徹底すること。自分のベストをぶつけて、やるべきことをやるだけだ」 ──「アップ&ダウンの展開になる」と話していましたが、文字どおり立ち技と寝技を行き来する、という意味でしょうか? 「両方の意味だね。パッチー戦みたいに完全なスタンドの勝負にはならないと思う。マットに行く場面も出てくるだろうし、あっちが優勢に見える時間帯もあれば、俺が巻き返す時間帯もある。お互いオールラウンドで、どの局面でも戦えるから、面白い試合になる」 ──メラブのコーチのジョン・ウィットが「メラブは地道に勝利を重ね続けたマリオを尊重している。メラブも同じ立場だったから」と話していました。ここで勝てば、次はタイトルマッチだと思っていますか? 「その話は聞いたよ。王者がそれを尊重してくれてるのは嬉しい。メラブも長い道を歩んで、たしか9連勝くらいでタイトルに辿り着いたはずだろ。そういうリスペクトはありがたいし、結局はライト層も含めたファンの声が大事になってくるからね。王者にリスペクトをもらえたのはデカい」 ──パッチー戦のあと、反響や生活の変化はありましたか。ジョゼ・アルド戦の後は批判の声が大きかったですが、ファンが戻った印象もあります(※アルド戦=2024年10月『UFC 307』でスプリット判定勝ち) 「SNSはちょっと落ち着いたくらいで、ほかは特に変わってない。あまりそこにフォーカスしないようにしてるし、UFCに来たときからのルーティン?毎日の流れ、週の流れ?はずっと同じ。スケジュール面で大きな変化はないよ」 ──ロシアやダゲスタンの選手と戦う相手は、SNSが彼らのファンで溢れる、なんて話も耳にします。今回、DMやコメントは増えましたか? 「そうなると思うだろ? でも意外にも、まだアルドのファンのほうが多い。ロシアのファンよりも、いまのところはね。ブラジルのファンは、とにかく声がデカいよ」 ──あなたは“パーティー・クラッシャー”という評判がつき始めています。ジョゼ・アルドの復帰戦を台無しにし、ベラトールから来たパッチー・ミックスも片づけた。いわゆるアンダードッグの立場、相手側にばかり注目が集まる状況は、むしろ得意ですか? 「得意ってわけじゃないけど、アンダードッグでも全然気にしない。相手がアルドだろうがパッチーだろうが“3度の世界王者”とか“前評判が凄い”とか、そういう肩書きで自分にプレッシャーはかけない。みんな同じように血が流れて、みんな同じように練習してる。俺は頭の中で相手を自分のジムのスパーに連れてきて、そこで折れていく姿を思い浮かべるんだ。俺のジムは厳しいから、あの“オーラ”もそれで剥がれる」 ──昨日、ウマルは打撃に自信を見せていて、打撃に関しては自分に分があると言っていました。あなたはどこで優位に立てると思いますか? 「どこか一つじゃない。この試合は全部を使うことになる。上下に動かして、MMAの試合にしないといけない。パッチーのときと同じことはできない。ウマルの打撃はパッチーよりずっと上だと思ってるし、だからこそ全部を使う、上でも下でも混ぜていく必要がある」 ──いまMMAコミュニティでは、再戦の話題ばかりです。メラブとピョートル・ヤン(バンタム級2位)の再戦が終われば、次はメラブとウマルの再戦だ、と。実際には目の前の相手はあなたなのに、あなたを飛ばして次の話をしているようにも見えます。どう感じますか? 「試合が終われば分かる。俺は流れを変える機会を得たし、この階級をひっくり返すチャンスがある。もしウマルが勝てば、しばらくは再戦の話ばかりになるだろう。メラブと、サンドヘイゲンがまた上がってきて、みたいなね。だからこそ俺が流れを変えるつもりだし、そのつもりでここにいる」 ──あなたはUFCで6年、12戦してきましたが、インスタグラムのフォロワーはまだ2.6万人ほど。アルド、パッチーに勝っても“メディア向きじゃない”と言われたりもします。ウマルに勝てば、人気や露出はもっと伸びると思いますか? 「伸びるかもしれないけど、正直そこにはあまり重きを置いてない。俺は家にいるのが好きで、やることは練習だけ。派手な生活はしてないし、でも少しずつ歩み寄ろうともしてる。今回の試合が終わって、フォロワーが少し増えたら嬉しいし、タイトルショットを得る助けになるなら、メディア対応ももう少しやるよ。とはいえ、俺が集中するのは勝つことだけ。勝てば、行きたい場所に辿り着けるからね」 ──コーリー・サンドヘイゲンとの再戦が組まれれば、受けたいですか?(※サンドヘイゲン戦=2019年1月『UFCファイトナイト・ブルックリン』で1R一本負け) 「もちろんだね。俺も向こうも昔とは違うファイターだし、あのリベンジを果たせたら最高だと思ってる。ぜひもう一度やりたいよ」 ──UFC 323(日本時間12月7日・日)にメラブ・ ドバリシビリとピョートル・ヤンの再戦があります。ヤンの陣営は「前回は一番の武器である右手をケガしていて使えなかったが、今回は違う」と自信を見せています。今回の再戦、どう展開すると見ていますか? 「前回と同じになると思う。メラブもその間にさらに良くなってる。前と同じメラブじゃない。ここ数試合も素晴らしい内容だし、進化してる。だから俺はメラブが勝つと見てる」 ──では、メラブを倒すには何が必要だと思いますか。タイトルマッチやメラブの試合を分析してきた中で、どこに糸口があると感じていますか? 「ショーン・ オマリー(バンタム級1位)との初対決でもそうだったけど、最後のラウンドにメラブはボディで効かされていた。あれは早い時間から仕掛けていかないといけない。ラウンドを通してスタミナを削るためにね。まずはそこから始めて、タックルに来たら代償を払わせる。そこからがスタートなんだ(※オマリーとメラブ・ドバリシビリの初対決=2024年9月『UFC 306』でメラブの判定勝ち)」 ──あなたは「ウマルを1Rで仕留めるつもりだ」とも話していました。強力なレスリングを持つ相手に対して、1Rでのフィニッシュをどう描いていますか? 「1Rノックアウトがいちばんいいね。そう言うのは、早く家に帰れて、残り2ラウンドを相手にしなくて済むからさ。理想のシナリオはそれ。とにかくフィニッシュだ。ノックアウトで終わらせるのが一番だと思う」 ──一本勝ちよりもノックアウトをイメージしている? 「そうだね。一本よりKOのほうが取りやすいと思う。ウマルはグラウンドがかなりいいから、いまの俺のプランではKOのほうが現実的だと思ってる」 [nextpage] テイクダウンを奪うアウメイダだが後半はブレークに。ヴォルコフが細かい打撃で判定勝ち ▼ヘビー級 5分3R〇アレクサンドル・ヴォルコフ(ロシア)39勝11敗(UFC13勝5敗)261.5lbs/118.61kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ジャイルトン・アウメイダ(ブラジル)22勝4敗(UFC8勝2敗)237lbs/107.50kg  1R、グローブタッチ後、すぐにシングルレッグでテイクダウンしたアウメイダ。ヴォルコフはハーフガード。右で腰を抱くアウメイダは左で枕を取るが、ヴォルコフは左で脇差し上半身を立てに行くが、再び寝かせたアウメイダ。ヴォルコフは長い左足を二重がらみにしてスイープ!  下になったアウメイダは右差しでハーフで潜り。左小手ではがそうとするヴォルコフは、足にからむアウメイダの外回りのバック狙いを潰して鉄槌でホーン。  2R、中央を取るヴォルコフ。アウメイダは右を振ってシングルレッグテイクダウン。ヴォルコフが背中を着いてアームロック狙いも外したアウメイダはハーフから鉄槌。パスに亀になったヴォルコフの立ち際をバッククリンチで崩して右足を差し込む。正対したヴォルコフはハーフ。  左で枕のアウメイダに、腰を切りフルガードに戻したヴォルコフ。ブレークに。  再開、すぐにダブルレッグテイクダウンのアウメイダに場内はブーイング。ハーフからニーシールドでキムラクラッチを組んだヴォルコフ。腕を腹下にしまうアウメイダだが動けず。そのままホーンに  3R、詰めるヴォルコフが右を突くと、アウメイダはシングルレッグ。切ったヴォルコフが逆にシングルレッグからケージに詰めて首相撲ヒザ。手でブロックしてダブルレッグで走るアウメイダ。ヴォルコフは切ろうとするが倒される。クローズドガードに入れるヴォルコフ。しかし上のアウメイダは決定打を打てず。  かつぎパス狙いに下のヴォルコフは三角絞め狙い。作らせないアウメイダにディープハーフから亀で立とうとするヴォルコフ。その際で足をかけたアウメイダがハーフから鉄槌もブレーク。  スタンド再開。すぐにシングルレッグテイクダウンのアウメイダがヴォルコフに尻を着かせるがホーン。  テイクダウンの決定力はアウメイダだが、ダメージは与えられず。凌ぐヴォルコフにも決定打は無いが細かいパンチはあったが……判定は2-1に割れ、29-28×2, 28-29でヴォルコフが接戦を制した。 [nextpage] ▼ライトヘビー級 5分3R〇アザマト・ムルザカノフ(ロシア)16勝0敗(UFC6勝0敗)※UFC6連勝・Brave CFヘビー級王者 205.5lbs/93.21kg×アレクサンダル・ラキッチ(セルビア)14勝6敗(UFC6勝5敗)205lbs/92.99kg ※UFC4連敗  1R、サウスポー構えのムルザカノフは左オーバーハンド。ラキッチは右インローをヒット。右オーバーハンドを見せてからシングルレッグで押し込み組みに。右で差すラキッチに。左脇をしぼり体を入れ替えるムルザカノフは突き放す。  右インローのラキッチ。シングルレッグもムルザカノフはハイクロッチで後方に回して立ち上がり。スタンド。  ラキッチの入りにカウンターの右前手を当てたムルザカノフ! ダウンしたラキッチにレフェリーが間に入った。ムルザカノフは16戦無敗・UFC6連勝。ラキッチはUFC4連敗に。  試合後、ムルザカノフは「言っただろ? 俺を疑うなって。そう、奴を仕留めるつもりだった。そしてそうやったことは満足だ。ここにいる全員に、応援に来てくれた全ての人に心から感謝している。そしてUFCという組織、プロモーションにこのチャンスを与えてくれたことに深く感謝している。言った通り、俺はタイトルを懸けて戦う。挑戦者決定戦を戦いたい」と語った。 [nextpage] 豪州Eternal MMA王者サルキルドが鮮烈の右ハイキックKO 【プレリム】 ▼ライト級 5分3R〇クイラン・サルキルド(豪州)10勝1敗(UFC3勝0敗)(155.5lbs/70.53kg)[1R 2分30秒 KO] ※右ヘッドキック×ナスラット・ハクパラスト(アフガニスタン)18勝6敗(UFC10勝5敗)156lbs/70.76kg  Eternal MMAでドム・マーファン(RTUでエフェヴィガに勝利)に2度勝利している豪州王者サルキルド。ハクパラストは3月にエステバン・リボビクスにスプリット判定勝ち。  1R、サウスポー構えのハクパラスト。オーソのサルキルドは右の蹴り、オーバーハンドからテイクダウンを狙う。遠間に立つハクパラストは切るが、ならばとサルキルドは右ハイ! ガードの上を超えてヒットし、ハクパラストは失神KO!  ケージインタビューでサルキルドは「俺がここにいるのは嬉しいよ、10日前のショートノーティスで試合し、13kg減量もした。(フィニッシュは)右のキックを連打しなきゃいけない。そして攻撃のレベルを変えるんだ。顔面めがけてミドルを叩き込もうとしたんだ。俺は次の対戦相手でトップ15にランクインしたい。まだ3戦目だ。もし他に誰かいるなら別だが、俺はランキングトップ15を狙ってる」と語った。 [nextpage] アリスケロフがテイクダウンでパクに競り勝つ ▼ミドル級 5分3R〇イクラム・アリスケロフ(ロシア)17勝2敗(UFC4勝1敗)[判定3-0] ※30-27×3×パク・ジョンヨン(韓国)19勝7敗(UFC9勝4敗) [nextpage] フルスイングのレベツキにクラインが制度高い打撃、レベツキのテイクダウンに足首負傷も判定勝ち ▼ライト級 5分3R〇ルドヴィト・クライン(スロバキア)24勝5敗1分(UFC8勝3敗1分)156lbs/70.76kg[判定2-0] ※29-28, 28-27, 28-28×マテウシュ・レベツキ(ポーランド)20勝4敗(UFC4勝3敗)155.5lbs/70.53kg  1R、ともにサウスポー構え。右前手で追うレベツキに、クラインはコンパクトな左のショート! しかしレベツキはワンツーで前に。クラインは下がりながら右を刺す。  さらに組みに飛び込むレベツキにヒザを突くクライン。レベツキはシングルレッグにとらえて引き出そうとするが片足立ちで凌ぐと、足を放したレベツキ。右のダブルにクラインはバランスを崩して尻餅もすぐに立つ。  レベツキの頭を下げたワンツーに得意の左ハイのクライン。右ジャブの刺し合い後、左を大きく振るレベツキ。  2R、左フックを強引に振るレベツキ。右から左で入るが、そこに右を合わせたクライン! レベツキはフラつくが、身体を戻して前に。左ローを突くクラインにダブルレッグでドライブ。崩れないクレインをシングルレッグで引き出しテイクダウン! ここも立つクレインは右ジャブを当てる。  左から右のレベツキ。マウスピースが飛び出るが、戻して右フック。クラインはまたも右を当てて、レベツキは一瞬足が止まる。さらにワンツーから左ハイに繋ぐ。跳びヒザで入るレベツキ。さらにワンツー。その打ち終わりかぶせるクラインはワンツーから左ハイまで繋ぐ。  3R、右前手のダブルで飛び込むレベツキに左ハイをガード上に突くクライン。レベツキは押し込むが、差し上げ押し返すクライン。レベツキは右から左をフルスイング。  右を被弾しながらも右で差して組むレベツキはボディロックから回してテイクダウン! ここも立つクラインをバッククリンチから崩したクラインは亀のクラインに強いパウンド! 背中をつけたクラインはハーフガードに。  右で脇差し、左で強打のレベツキ。クラインも下から左ヒジ。ハーフから脇差しパスのレベツキはサイドに出てクルスフィックス狙い。ついに足で挟んでパウンドも、腕を抜いたクライン。  上からパウンド、ヒジののレベツキに、クラインも下からヒジ。レベツキは大流血のままパウンド。ホーンもクラインは右足首を痛めたか。立ち上がれず。その場に椅子が運ばれ座る。  判定2-0(29-28, 28-27, 28-28)でクラインが勝利。椅子に座ったままDCのインタビューを受け、「3R目(のレベツキのボディロックテイクダウンを踏ん張ったとき)に足首を怪我した。コーチにも言った。1、2R目はよかった。彼女と8カ月のベイビーがいる。2人にこの勝利を捧げたい」と語った。 [nextpage] ウォルケルが4試合連続1Rヒールフック勝利! ▼ヘビー級 5分3R〇ヴァルテル・ウォルケル(ブラジル)15勝1敗(UFC4勝1敗)244lbs/110.68kg[1R 1分24秒 外ヒールフック] ×ルイ・サザランド(スコットランド)10勝4敗(UFC0勝1敗)264.5lbs/119.98kg  1R、サザランドの右フックをかわしてダブルレッグテイクダウンのウォルケル。さっそく外ヒールを仕掛けてサザランドの横回転にヒザ横を固定してタップを奪った。なんと、ウォルケルは4試合連続1Rヒールフック勝利!  試合後、ウォルケルは「2つのヒールはロシアのため、もう2つはブラジルのため。相手が回転してくれたらこっちにとっては好都合」と語った。 [nextpage] バックフィストでダウン喫したウッドが右でダウン奪い返しカーフ効かせて判定勝ち ▼フェザー級 5分3R〇ナサニエル・ウッド(英国)21勝6敗(UFC9勝3敗)146lbs/66.22kg[判定3-0] ※29-28×3×ホセ・ミゲル・デルガド(米国)10勝1敗(UFC2勝0敗)147lbs/66.68kg ※体重超過※デルガドは規定体重をオーバー [nextpage] アブデルワハブがバックから終始コントロール&パウンド、バーネットを削り続ける ▼ヘビー級 5分3R〇ハムディ・アブデルワハブ(エジプト)7勝1敗(UFC2勝1敗)[判定3-0] ※29-26、29-27×2×クリス・バーネット(スペイン)23勝10敗(UFC2勝4敗)  1R、オーソドックス構えのアブデルワハブに、サウスポー構えのバーネットは左の蹴り。アブデルワハブはダブルレッグテイクダウン。亀のバーネットは立ち上がりも、さらにボディロックで潰すアブデルワハブ。またも立つバーネットをボディロックテイクダウン。  パワーハンドの右手を掴むバーネットだが、腕を外すとバックマウントに。しかし立ち上がるバーネット。なおもダブルレッグテイクダウン。うつ伏せになるバーネットの背後からヒジが反則の後頭部打撃となる。「減点1」。  再開。前蹴りから組んだアブデルワハブ。左で差して押し込み。ヒジ。バーネットはシングルレッグを切ると中央へ。右ストレートで飛び込むアブデルワハブ。バーネットも右ストレートを返す。三日月蹴りを腹に突くアブデルワハブ。右ストレートで飛び込むもホーン。  2R、徐々に圧力をかけるアブデルワハブはダブルレッグ。差し上げるバーネットに、シングルレッグで引き出そうとするアブデルワハブはボディロックから小外刈テイクダウン。亀になり立とうとするバーネットに背後からパウンドのアブデルワハブ。バーネットが立ったところで崩して左で腰を抱き、右でパウンド。  ケージに手のひらを当てて立とうとするバーネットをまたも崩してこつこつパウンド。バックマウントも極めはなく、バーネットは立ち上がりホーン。1R同様に2Rもバーネットのオーバーショーツがずり落ちる。  3R、アブデルワハブが前蹴り。バーネットはインロー。バックスピンキックも空振り。アブデルワハブがシングルレッグでテイクダウン。背後から鉄槌。バーネットが亀になると腰を抱いてサイドバックからパウンドもブレーク。  インローを突くアブデルワハブから組みに。受けに回るバーネットは金網背にするが、崩したアブデルワハブがまたもサイドバック。立つバーネットに背後から小内刈。マウントで両手を広げてホーン。  判定3-0(29-26、29-27×2)でアブデルワハブが勝利。 [nextpage] ラポーゾがUFC初勝利、体重超過のマクスムに競り勝つ ▼フライ級 5分3R〇ミッチ・ラポーゾ(米国)10勝3敗(UFC1勝2敗)125.5lbs/56.93kg[判定3-0] ※30-26、29-27×2×アザト・マクスム(カザフスタン)15勝3敗(UFC1勝3敗)129lbs/58.51kg ※体重超過のマクスムは試合でもケージ掴みで減点1 ※マクスムは規定体重をオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のラポーゾに報奨金の30%を支払う  カザフスタンのマクスムは、無敗でUFCと契約。初戦はタイソン・ナムにスプリット判定勝利。2戦目はチャールズ・ジョンソンに判定負けで初黒星。6月のアゼルバイジャンでの前戦は欠場した堀口恭司の代役としてランカーのタギル・ウランベコフと対戦。僅差の判定負け。  ラポーゾはレスリングベース。24年6月のUFCデビュー戦で体重超過のアンドレ・リマ戦に判定負け。25年4月の2戦目は、中国のス・ムダルジに判定負け。  1R、ともにオーソドックス構え。対峙すると大きな体重超過のマクスム。ジャブから右フックを強振するラポーゾ。前後にステップするマクスムはワンツーの右をガード上に当てると、右カーフでラポーゾの左足を流させる。  ワンツースリーのラポーゾの連打をさばくマクスムはその入りにダブルレッグテイクダウン。立つラポーゾをクラッチしてスープレックスで投げると、ラポーゾも立ち上がる。  2R、右の交錯後にラポーゾの強い右フックがかすめる。中央を取るマクスム。右ローのラポーゾに右を合わせに行く。ワンツーのラポーゾに、左右を返しに行くマクスムだが、左右にサークリングのラポーゾはマクスムのシングルレッグをかわす。  左右足を入れ替えて追うマクスム。詰めてダブルレッグテイクダウン。ケージに座るラポーゾは立ち上がり。右小手もハイクロッチで持ち上げてテイクダウンのマクスム! 下のラポーゾは三角絞め狙いからオモプラッタも抜くマクスムが押し込み。立つラポーゾが体を入れ替えてホーン。  3R、中央を取るマクスム。ラポーゾの右フックに合わせてダブルレッグで尻を着かせると、立つマクスムにバッククリンチで押し込み。ボディロックから腹に乗せて後方にスープレックス。すぐに立つラポーゾは正対して離れる。  ワンツーの右が交錯。またもダブルレッグのマクスムを切るラポーゾ。しかし遠間からマクスムはダブルレッグでケージまでドライブ。右を差して足を広げるラポーゾ。シングルレッグに移行するマクスムを回って切るとスタンドに。  ワンツーの右はラポーゾ。マクスムは遠間から飛び込みも切るラポーゾ。引き込み下になったマクスムはケージを掴んで体を入れ替えるが、レフェリーは見逃さず、「減点1」。  再開。ラポーゾが前に、右で差して押し込むが、マクスムは差して投げるも、すぐに立て直すラポーゾ。ホーン。判定3-0でラポーゾがUFC初勝利。「アンダードッグだったけどそれが何だ。これまでは前に出ないのが良くなかった。怖かったけどやってみるものだ。神と両親に感謝したい」と語った。 [nextpage] 魅津希が2年1カ月ぶり復帰戦で4連勝中のアモリムに完勝! ▼女子ストロー級 5分3R ※選手名からインタビュー〇魅津希(日本)16勝6敗(UFC3勝1敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ジャケリン・アモリム(ブラジル)10勝2敗(UFC4勝2敗)※UFC4連勝でストップ  プレリムの第1試合では、女子ストロー級で、UFC唯一の日本人女子選手となった魅津希が2年1カ月ぶりにオクタゴン復帰。UFC4連勝中のジャケリン・アモリム(ブラジル)と対戦。  1R、ともにオーソドックス構え。低い構えの魅津希は、アモリムの最初の組みを切った魅津希。圧力をかけてアモリムの蹴りを掴んで左を突く。  ジャブを突くアモリムにかわす魅津希は右前蹴りをつかまえてサークリングするアモリムを追う。左ローのアモリムはシングルレッグ。立つ魅津希のバックから崩してボディトライアングル。パームトゥパームで絞めるが、腰をずらす魅津希。一瞬、腕が入るが仰向けになった魅津希。マウントのアモリムに回転してトップの魅津希。アモリムは魅津希の右手を対角から掴んでヒジ。手を外した魅津希がインサイドのトップから細かいパウンド。下のアモリムは左でオーバーフック。ヒジ。魅津希は上体を立てて左の鉄槌! クリーンヒットする。さらに連打でホーン。前半はアモリム、後半のパウンドは魅津希が取ったか。  2R、中央を獲る魅津希。回るアモリムに左ジャブから右。アモリムのダブルレッグをスプロール。しかしアモリムは組んで引き込み狙いか。押し込む魅津希は肩パンチ。さらにクリンチアッパー! さらに組んで小外刈でテイクダウン! 下のアモリムは右ヒザ裏を掴んでヒザを伸ばそうとする。まだ曲げている魅津希だがスイープのアモリムが上に。  しかし下からシグルレッグでレッスルアップの魅津希! 立ち上がり押し込むとアモリムは引き込み。クローズドガードのアモリムをケージに押し込みながらヒジ! 足をさばきながら下からの腕十字もかわして鉄槌。アモリムも下から鉄槌。魅津希のラウンド。  3R、中央を獲る魅津希。アモリムは左右連打で手を届かせる。さらにシングルレッグもスプロールした魅津希はワンツーで前に! 首相撲ヒザ! さらにクリンチアッパー! ダウン気味に引き込んだアモリムに魅津希はインサイドからパウンド。クローズドガードのアモリム。上体を立てた魅津希はアモリムの足関節狙いに立ち上がり。  スタミナ厳しいアモリムはサウスポー構えに。左右ボディを突いた魅津希はアモリムをケージに詰めて左右。離れた魅津希は右まぶたを大きくカット。バッティングか。しかし魅津希は気持ちを切らさず、前へ! 左右で詰めてアモリムのテイクダウン狙いを切って上から鉄槌。かつぎパスでサイドバックに回るるとアモリムは立ち上がり。魅津希がケージに押し込み、左右ヒジを突いてホーン。魅津希のラウンドに。  判定は3-0(30-27×2, 29-28)で魅津希が勝利! 2年1カ月ぶりのオクタゴンで堂々、勝ち名乗りを受けた。  U-NEXTのバックステージインタビューで魅津希は、「相手の4連勝を打ち破れて嬉しいです。ホールドが強くてなかなかやりたいことが出来なかったのですが、自分のパンチが当たって相手が引き込んで、1Rから打撃に手応えあって、自分からパンンチをどんどん当てて行こうと思いました。自分のやりたいことを貫こうと思ってました。2年ぶりに勝ててよかったです。見ている人も冷や冷やしたと思いますが、チョークが入りかけて“極められるもんなら極めてみろ”と思ってやってました」と語った。
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