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3月10日(日)の「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K'FESTA.2~」で、K-1 WORLD GPライト級王者として林健太の挑戦を受ける卜部功也。2015年1月にK-1スーパー・フェザー級初代王者となった功也は、2018年3月にK-1ライト級初代王者ウェイ・ルイをKOに降して、第2代同級王者となり、2階級制覇を達成した。今回が初防衛戦となる。
挑戦者に迎える林は同門K-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTの後輩だが、今回から林の所属にはFSGの文字が入っている。林は2018年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」でニコラス・ギャフィー、篠原悠人、大沢文也を撃破し優勝。今回の挑戦にこぎつけた。
功也は、同門で後輩の林の印象を「健太は境遇的にも僕と似てる。お互い弟でお兄ちゃんがちょっと強い。親近感もあった」と語るが、その林の挑戦を受けることについては、「KRESTに来る選手はK-1のベルトを目指して来る。僕も過去に同門の先輩(梶原龍児)とも戦い、何より兄(弘嵩)とも2回戦っているから抵抗はないかもしれない」と語る。
「K'FESTA.2」では兄の弘嵩と揃ってタイトルマッチを戦う。「こういうチャンスもラストだと思います。だから2人で死ぬ気になってK-1のベルトを獲りに行くしかない」──決意を滲ませる功也はインタビューで兄・弘嵩への熱い想いも語った。
卜部功也「僕の記憶の中ではずっと強い兄のイメージしかない。だからこのチャンスを絶対にものにして兄と2人で──」
──年末のライト級世界最強決定トーナメントは欠場となってしまいましたが、トーナメントを見て率直にどんな感想を持ちましたか?
「やっぱり出場出来なかったことに関しては、自分自身がっかりしましたし、トーナメントも歯痒い感じでモヤモヤしながら見てましたね」
――林選手の優勝は予想していましたか?
「正直、健太の優勝は予想していなかったです。やっぱりゴンナパー(・ウィラサクレック)が優勝候補だと思っていたんで。でも篠原(悠人)選手もすごく冷静でクレバーなので、戦略通りに戦えばゴンナパーに勝つ可能性もあるだろうなとは思っていました。健太は健太で、決勝の大沢(文也)戦は相性的にどうなのかな?と思っていたのですが、上手く足を使う大沢くんを攻略して、色々と予想を覆す結果が多かったトーナメントだったと思います」
──結果的に同門で後輩の林選手の挑戦を受けることになりました。林選手と対戦することをどう感じていますか?
「健太は境遇的にも僕と似てるというか。お互い弟でお兄ちゃんがちょっと強いっていう(笑)。そういう感じで親近感もあったし、話も合ったので、やりづらいというのはありますよね」
──とはいえ功也選手も色々な経験をしてきて、誰が挑戦者でも簡単にベルトを渡すつもりはないと思います。
「KRESTは本当に大所帯で、地方からも色んな選手が集まるジムです。何が目的でKRESTに来るかと言うと、やっぱりK-1のベルト、世界チャンピオンを目指すためだと思うんですよね。だから同門の選手と戦うことも必然的に仕方ないかなと思います。僕も過去に同門の先輩(梶原龍児)とも戦ってますし、何より兄(卜部弘嵩)とも2回戦っているので。だから他の選手に比べたら、そんなに同門対決に抵抗はないかもしれないですね」
──功也選手もプロデビューして約10年になります。ずっとデビューからトップでやってきた自負やK-1チャンピオンとしてのプライドはありますか?
「そこはありますね。上手く行く時もあれば、辛い時もありました。それでも僕は普段の生活も含めて、どうやったらこのポジションになれるんだろう? と思って必死に頑張ってきました。だからそう簡単に今のポジションは譲れないですよね。それにもう僕は誰かを叩きのめすとか、そういう感じで戦ってないというか。段々と(格闘家としての)ゴールも見えてきてるというのは自覚してるので、自分が目指すものを目指したいと思います」
──例えばもうあと10年は現役をやることはないだろうと思いますか?
「正直、やらないんじゃないですかね。そこが見えてるからこそ、ここからの目標はどれだけ自分の限界を上げられるか。そのパフォーマンスの部分ですよね。今は自分のパフォーマンスをどれだけ高められるかに集中していて、相手どうこうではないです」
──今回の「K'FESTA.2」では兄の弘嵩選手と揃ってタイトルマッチを戦うことになりました。今までは階級が同じことが多かったので、中々こういったシチュエーションはなかったと思いますが、兄弟でK-1チャンピオンになる可能性があることついてはどんな思いですか?
「一時は同じベルトを争ってた二人だったので……僕が負けて兄にベルトを獲られた時は、悔しいというよりはホッとしたという気持ちもあって。やっぱり兄弟なんで、兄にベルトを巻いて欲しいって気持ちもあったんですよ。でも今はお互い別の階級で、本当に高め合って、それぞれのベルトを獲りに行く・守る立場になって。こういうチャンスもラストだと思います。だから2人で死ぬ気になってK-1のベルトを獲りに行くしかないと思っています。やっぱり兄弟2人でK-1のベルトを巻きたいですよね」
──K-1平成最後のビッグマッチで平成最後のビッグチャンスが巡ってきた、と。
「本当にそうですね。平成最後のビッグチャンスですよ。このチャンスを逃したら兄弟でベルトを巻くチャンスはもうないと思います」
──弘嵩選手が階級転向を決めた理由の一つが、去年の「K'FESTA.1」のバックステージでの功也選手の「階級を変えた方がいい」という一言だったそうですが、以前から弘嵩選手に対して、そう思っていたのですか?
「思ってましたね。あと兄の試合をずっと見てきて、負けてバックステージに戻った時に『これでもしかしたら辞めるつもりなのかな?』と感じたんです。僕の中では『これでやりきってねえだろ!』と想いがあったし、僕自身が兄が階級を落として適正階級での動きを見てみたかったというのもあります。前々から『階級を落としてみたら?』と言ってはいたんですけど、兄は『俺はこの階級に拘りがあるから』と頑固で聞いてくれなくて(苦笑)。でもあの日は僕もライト級でK-1王者に返り咲いて『この勢いで言うしかねえな』と思って言ったら、僕の言葉に耳を傾けてくれて、僕自身も嬉しかったですね」
──その言葉があったからこそ、結果的に今回のチャンスにつながって、嬉しさはなおさら大きいのではないですか?
「そうですね。僕からしたらスーパー・フェザー級でもがいてる兄を見ている方が苦しくて、それだったら新しいことにチャレンジした方が絶対に道が切り開けるだろうなと思っていました。それで僕の言葉を聞いてくれて、そこからは自分の力で王座挑戦のチャンスを掴み取ったんで、凄く嬉しいです」
──兄弟対決を経て色々と2人立場や状況も変わってきたと思いますが、今は純粋に弘嵩選手のことをどんなお兄さんだと思われていますか?
「僕が空手を始めたきっかけも、K-1ルールの試合をやろうと思ったのも、ジムを選んだのも、本当に全部兄の後ろをついていった感じなんですよね。だからやっぱり兄にはファイターとして輝いていて欲しい。空手時代の兄はずっとエリートだったし、プロデビューしてからも勢い良くバーンと上まで行っていて、僕の記憶の中ではずっと強い兄のイメージしかないんです。だからこのチャンスを絶対にものにして兄と2人でK-1チャンピオンになりたいと思います」