キックボクシング
レポート

【RISE】常陸飛雄馬が奮闘GUMPを振り切る、パヌワットが細越竜之介からダウン奪い決勝へ、宮本芽依が計量オーバーのコ・ユナに大差判定勝ち、梅井泰成がバッティングで負傷判定勝ち、大森隆之介が多彩な技術で翔を圧倒、塩川琉斗が伊藤澄哉に勝利、10年ぶり復帰のACHIが北井智大を破る、大物ルーキー琉樺が鮮やかKO勝ち!

2025/10/19 17:10
RISE 1922025年10月19日(日)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第10試合)第7代RISEスーパーフェザー級(-60kg)王座決定トーナメント一回戦 3分3R延長1R〇常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/同級3位)判定3-0 ※29-28、29-27×2×GUMP(TEAM TEPPEN/同級4位)※GUMPは減点1。  常陸はテコンドーをバックボーンに持ち、2016・2017年全日本学生キックボクシング連盟フェザー級王者の実績を持つ。2019年7月に清水将海にKO勝ちしたのを皮切りに8連勝を飾り、2023年1月にはRISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーに挑戦したが、延長Rで敗れタイトル奪取ならず。 「RISE WORLD SERIES 2025 -61.5kgトーナメント」では1回戦でシャクリヨール・ユラエフを新必殺技の二段飛び蹴りで三日月蹴りを入れる“スーパーひたちキック”でKOしたが、6月の準決勝で1月に判定勝ちしたエン・ペンジェーにリベンジを許して敗退。YA-MANと同門の強打の持ち主。戦績は13勝(9KO)6敗1分。 GUMPは2024年8月の『DEEP☆KICK』で-60kg王者の大樹(RISEスーパーフェザー級3位)を三日月蹴りでKOして第9代DEEP☆KICK-60kg王者となった。11月のRISEでは岩郷泰成をKOと波に乗っていたが、12月に笠原友希に判定負け。2025年3月、細越竜之介に判定勝ちして再起。6月には元NKB王者の高橋亮を判定で破ると、8月に『ONE Friday Fights』に乗り込みチャン・ハイヤンに完勝。決め台詞は「ノーダメージ」。戦績は17勝(3KO)4敗1分。  GUMPは公式計量(※記者会見中に行われた)では60.15kgで150gオーバー、2時間後の再計量では60.05kgで50gオーバー。さらに2時間以内に設けられた追加計量で60kgジャストでパスしたことで、ルールにより減点1からのスタートとなる。  1R、ジャブで顔面とボディを打つ常陸にGUMPは右ローを狙い撃ち。何度も強い右ローが入った。  2R、右ローを蹴るGUMPは余裕が出たかノーダメージポーズ。これに怒ったか常陸は右フックを連打。ここから常陸が圧をかけて右の強打を何度も叩き込む。終盤には右フックでダウン寸前まで追い込んだ。  しかし3R、GUMPはヒザをボディに突き刺して対抗。ハイキックも狙う。常陸は強烈な左ボディ、右フックでGUMPを追い込むが、GUMPも前蹴りやヒザで応戦。最後は打ち合いとなり、互いにパンチを当てて終了。  奮闘したGUMPだったが、判定3-0で常陸が勝利をつかんだ。決勝戦は1月18日の後楽園ホールで行われることを伊藤隆RISE代表が発表。  リングに上がったパヌワットは「これまで練習してきて全力を尽くして戦い抜きました。次の試合、巣鴨のジムでしっかり練習して挑みたいと思います。そして必ずベルトを獲得します」と必勝宣言。  常陸は「1月18日タイトルマッチが決まりました。どんなことがあっても王者になります。大満員の後楽園ホールで試合をしたいので皆さんぜひ1月も応援に来てください」と、こちらもベルトは渡さないとアピールした。〇常陸のコメント「50点。大樹さんには10点と言われました。練習したことが思ったよりも出来ないのが試合でもあるし、いい課題が見つかった。練習したパターンがハマらずよくないリズムになっていた。2Rは感触あったので倒せると思ったけど打たれ強かった。もうひとつ丁寧にできたら倒せたなってところがあったので次に活かしたいですね。相手の動画はほぼ見てないですね。相手より自分のやるべきことをひたすらやってきました。ベルトは今回絶対獲らないといけないのでどんなことがあっても獲ります。獲るしかない。最高の状態を1月18日に持ってきます。(GUMPのノーダメージポーズは)なめんなよと思いました。大ダメージは与えられたと思います」 [nextpage] ▼セミファイナル(第9試合)第7代RISEスーパーフェザー級(-60kg)王座決定トーナメント一回戦 3分3R延長1R〇パヌワット・TGT(タイ/TARGET/同級1位、2024年スーパーフェザー級 漢気トーナメント優勝)判定3-0 ※29-28×3×細越竜之介(team AKATSUKI/同級5位)※パヌワットが決勝へ進出。  パヌワットは11歳でムエタイの試合を始め、来日後はトレーナーと選手を兼任。タイ人特有のミドルキックとテンカオを得意とする。2019年の直樹戦以来約5年ぶりのRISE参戦となった2024年4月、「漢気トーナメント」の準決勝で高橋亮を左フックで初回KOすると、決勝では岩郷泰成を右ハイキックで2RにKOして優勝。12月にはチャンヒョン・リーに延長判定2-1の僅差で勝利と快進撃を続けていたが、3月の「RISE WORLD SERIES 2025 -61.5kgトーナメント」1回戦で笠原友希にKO負け。戦績は50勝(8KO)8敗2分。  細越は2021年RISE Nova全日本大会 -65kg級トーナメント優勝・大会MVPを引っ提げて2022年4月にプロデビュー。3戦目で塩川琉斗に敗れるが、その後は4連続KO勝ち。2025年3月、GUMPに判定で敗れ連勝がストップした。6月の再起戦で近藤大晟に右フックで初回KO勝ち。戦績は7勝(5KO)2敗のサウスポー。  1R、軽快なステップを踏んで動き回るパヌワットは、右の蹴りを上中下に蹴り分ける。サウスポーの細越はワンツー、後ろ蹴りを放つ。細越が左の三日月を蹴った直後、パヌワットの左フックからの右ストレートがヒットし、ダウンを奪う。  2R、パヌワットは右の三日月蹴りも放つが、細越も左三日月を返す。前へ出て重い左ストレートを打つ細越。パヌワットは右の蹴りを多用して細越のパンチを防ぐ。  3R、前に出る細越は強打を狙うが、パヌワットはロープを背にして前蹴りで近づけさせない。時折ハイキック、右ストレート、組んでのヒザを繰り出し、細越を翻弄するような形で試合を終えた。  判定は3-0でパヌワットが決勝進出を決めた。〇パヌワットのコメント「非常に強い選手からダウンを奪って勝てたことを誇りに思います。練習通りに出来たのが嬉しいです。今回パンチをたくさん練習してきてその結果、いいパンチを当てることが出来たと思います。細越と戦って驚いたのはヒザが顔に当たったことです。本当に強い選手だと思っていて、今日の相手は僕だっただけで、彼はいつも通りの試合をしていたと思います。正直なところ現時点では王者になる試合は考えられない。僕はここから次の試合のことを考えていきます。王者になるために必死に必要なことに取り組んでいきます」 [nextpage] ▼第8試合 SuperFight! ミニフライ級(-49kg)3分3R延長1R〇宮本芽依(KRAZY BEE/第4代RISE QUEENミニフライ級王者)判定3-0 ※30-27、30-26×2×コ・ユナ(韓国/BodyKick GYM/WBKFアジア女子ミニフライ級王者)  宮本は2019年全日本女子ボクシング選手権大会シニアの部バンタム級優勝の実績を持ち、2023年1月のRISEアマチュア大会『RISE NOVA』Aクラスの試合で初回KO勝ち。5月にRISEで山本美憂をセコンドに就けてプロデビューを果たし、RINAから左フックでダウンを奪って勝利を飾ると数島七海、宮﨑若菜、Melty輝、チャ・ミンジュを相手に5戦全勝。2025年5月、小林愛理奈を延長戦で破り、無敗のまま王座を奪取した。  ユナはロシアに本部があるWBKF(World Bars Kickboxing Federation)のアジア王者で、キックボクシングとMMAの二刀流。キックボクシング戦績は2勝無敗。フィジカルが強い選手だという。ユナは前日計量をパス出来ず、当日計量51.10kg(戻し体重51.45kg)でパス。そのため減点2とファイトマネー30%没収が科せられる。  1R、宮本はワンツー・右ローで快調に攻めていくが、宮本がパンチを打とうとするとすぐにクリンチに持ち込むユナ。そのためクリンチが多い展開に。離れると宮本はユナの右ストレートに右フックを合わせに行く。  2Rはパンチを多く放ってくるユナ。宮本は前蹴り、左ボディ、ヒザでボディを攻め、打ち合ってくるところを迎え撃つ。宮本の左フックがクリーンヒットも、ユナは怯む様子がなく前へ出てくる。  3R、左右フックで打ち合ってくるユナに宮本もパンチで対抗。右ローでダメージを与えての右ハイもかすめた。的確にパンチを当てるのは宮本だが、ユナは下がらない。  減点もあり大差の判定で勝利した宮本だが笑顔はなく、「計量オーバーによって皆さんを騒がせてしまってすいませんでした。いつもみたいに判定勝ちしか出来ない私でした。KOを私も見たいし、見せたいし、皆さんが求める宮本芽依にこれからなっていきます」と、もっと王者らしく成長していくと語った。 [nextpage] ▼第7試合 フェザー級(-57.5kg)王座次期挑戦者決定トーナメント 3分3R延長1R〇梅井泰成(Mouton/同級3位、第4代RISEフェザー級王者)負傷判定3-0 ※20-18、19-18×2×吉田晄成(TEAM TEPPEN/同級15位、スーパーフェザー級15位)  梅井は、柔道とレスリングをバックボーンに持ち、2022年3月に平野凌我との王座決定戦を制して第4代フェザー級王座に就いた。同年8月の防衛戦で門口佳佑に敗れて以降は、ノーコンテストを挟み3連敗と約2年勝利から遠ざかっていたが、2024年6月の翔戦で判定勝ち。9月の國枝悠太戦で判定負けも、2025年4月に有井渚海からダウンを奪って勝利。戦績は15勝(3KO)10敗1無効試合。  吉田は2022年4月に九州の『大和』でプロデビューし、2024年6月からRISEに参戦。TEAM TEPPENに移籍し、2025年6月に寺山遼冴を破る番狂わせを演じて戦績を5戦全勝(1KO)とした。  1R、左フックと右インローの吉田に梅井は左ミドルで対抗。入り込んで一気にパンチをまとめる梅井が、左フックでダウンを奪う。  2R、吉田はガードをぶち破る強い右ストレートを打つが、梅井は一発で終わらず連打をまとめ返す。両者とも頭から突っ込むためバッティングが見られるが、両者前へ出たところで吉田の頭が梅井の顔面へ直撃。梅井がもんどり打って倒れ、試合中断。  梅井は試合続行不可能となり、そのまま試合終了。その時点までの負傷判定となり、1Rにダウンを奪った梅井の勝利となった。梅井はしばらく動けないほどのダメージを負っていた。 大会終了後、伊藤隆RISE代表は「梅井は脳震盪を起こしているとのことで年内に決勝をやりたかったが、様子を見て万全な状況を作ってやりたいと思う」とした。 [nextpage] ▼第6試合 フェザー級(-57.5kg)王座次期挑戦者決定トーナメント 3分3R延長1R〇大森隆之介(EX ARES/同級4位、バンタム級1位)判定3-0 ※30-28、30-27×2×翔(REVOLT/同級6位) 大森は2020年1月のプロデビュー後、2021年7月に有井渚海に負け連勝がストップするもその後は格上を次々と撃破。2022年12月に加藤有吾に判定で敗れ連勝がストップ。しかし2024年3月、13戦全勝の山田虎矢太をバックハンドブローでKOする大番狂わせを起こした。8月にはバンタム級王者・大﨑孔稀に挑戦したが判定で敗れ王座戴冠ならず。2025年4月、鈴木真彦からダウンを奪っての判定勝ちで名を挙げた。戦績は10勝(6KO)3敗。 翔は福岡を拠点とし、2021年4月にはシュートボクシングで山田彪太朗から勝利を奪っている。RISE WESTを主戦場にしながらシュートボクシング、RIZINなどに出場し、2024年6月には梅井泰成に敗れるも、その後は久津輪将充と平野凌我に連勝。戦績は14勝(8KO)5敗1分。  1R、大森はジャブを軸にして右フック、左右の三日月、左ミドル、右インカーフ、ヴァレリーキック、ボディへのジャブと多彩な技を振り分けていき、翔を圧倒。翔も左右フックとボディを打ち返すが、大森は守るところはしっかり守る。  2R、大森はこのラウンド、互いのガードがぶつかる距離でパンチを打ち合う。両者のフックと右アッパー、大森はその距離でもインローや左ミドル、ヴァレリーキックを蹴る。  3Rもガードがぶつかる至近距離で打ち合う両者だが、当てるのは圧倒的に大森。左ボディ、右アッパー、左右フック。かと思えばいきなりの後ろ蹴り。パンチの回転力でも蹴りの的確さでも大森が圧倒して試合を終えた。  大森の完封勝利となった。 大森は梅井の試合後、「しっかり身体直して決勝、僕は安本くんとやるより泰成くんとやる方が思い入れあって。東京に来たら毎回泊りに行くくらい思い入れのある先輩で。王者の安本選手ですがジムの大将が負けてずっと無敗で来ているので、僕は門口を後輩の立場からめくりたい。ぎゃふんと言われる試合で僕が代替わりしたいと思います」と、梅井に勝って安本からベルトを奪い門口を超えたいと宣言した。 [nextpage] ▼第5試合 ライト級(-63kg)3分3R延長1R×伊藤澄哉(戦ジム/同級2位)判定0-3 ※29-30、28-30×2〇塩川琉斗(TOP STAR GYM/同級3位)  1R、サウスポーの塩川は左インカーフを主軸に左の攻撃を多用。伊藤はじりじりと前へ出ていき、塩川のパンチをもらっても下がらず右ストレートを打ち返してヒットを奪う。  2R、両者とも相手のパンチを距離で外し、なかなかヒットを奪えない。ローとインローの蹴り合いの中、塩川が右三日月を当てて左ボディも打つ。伊藤は前へ出て右ストレートを狙う。  3R、右ストレートの相打ちになるが、塩川のストレートで伊藤がのけ反る。塩川は打ってこいと挑発し、ワンツーを何度もヒットさせていく。伊藤も打ち返そうとするが塩川のパンチの方が速く届く。さらに顔面面前蹴りでも伊藤をのけ反らす。  判定は3-0でヒットを多く奪った塩川の勝利となった。 [nextpage] ▼第4試合 ライト級(-63kg)3分3R延長1R×北井智大(チームドラゴン/同級5位)判定0-3 ※28-29、28-30〇ACHI(ONE LINK/TARGET)  1R、ACHIは左インカーフを蹴っていき、ジャブ、右フックと的確に攻撃を当てる。北井の右ローにはすぐに右ストレートをリターン。  2R、セコンドの指示通りのらりくらりと動きつつも、ジャブや右ストレートを的確にヒットさせていくACHI。ワンキャッチからのヒザを叩き込み、北井をダウン寸前まで追い込むが、北井も前へ出て右ストレート、左フックを当てに行った。  3R、北井は逆転を狙って前へ出るが、ACHIは流し気味にクリンチを多用。追い詰めてもクリンチされてしまう北井。ACHIもジャブ、左ハイを出していき、北井に逆転を許さず。  判定3-0で10年ぶりに復帰したACHIが勝利を収めた。  ACHIは「ボクシングをやっていた友だちが亡くなって、今日が49日で絶対に負けられないと思って。10年ぶりの試合で勝ててよかったです」と想いをマイクで語った。 [nextpage] ▼第3試合 ウェルター級(-67.5kg)3分3R延長1R×竹内皇貴(チームドラゴン)KO 1R 1分35秒 ※左フック〇琉樺(LA GYM JAPAN/2025年 RISE Nova全日本大会 -65kg級優勝・大会MVP、ISKAアマチュア世界選手権大会 K-1カデットボーイズ65kg以下 銀メダル)  1R、サウスポーの琉樺は強いジャブを打ち、左ストレート。竹内は右ミドルで応戦するが、琉樺の左ハイキックをもらってダウン。  一気に攻撃をまとめる琉樺は強打を竹内に浴びせていき、最後は左フックで仕留めた。 「57.5kgのGACHIトーナメントがあるってことなんですけれど、僕が絶対に優勝します。期待していてください」 [nextpage] ▼第2試合 ミニフライ級(-49kg)3分3R×愛結菜(東北AVANTI/2023年RISE Nova全日本女子トーナメント -47kg級優勝・大会MVP)判定0-3 ※27-29、27-30×2〇HIYORI(NEXTLEVEL渋谷)  1R、手足が長い愛結菜は離れてミドル、接近するとワンキャッチのヒザにつなぐ。HIYORIは右ローを蹴り、愛結菜の離れ際に右フック。  2R、愛結菜のロングの左ミドル、前蹴りに対してHIYORIは右カーフを狙い撃ち。子のカーフに反応を見せる愛結菜。さらにHIYORIは愛結菜がキャッチしてくるところに左ボディと右フックを見舞う。終盤には右顔面前蹴りで愛結菜をのけ反らせた。  3R、右カーフと左ボディの両方で攻め込むHIYORIは顔面前蹴りもヒットさせる。愛結菜に首をキャッチされても構わず左ボディを叩くHIYORI。右フック、左ボディの連打が決まったところでレフェリーがスタンディングダウンをコール。その後もHIYORIがボディを攻めた。  HIYORIの判定勝ちとなった。 [nextpage] ▼第1試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R伊藤勇輔(HAYATO GYM)おやっち(BRAVE FIGHT CLUB)
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