2025年10月19日(日)東京・後楽園ホール『RISE 192』にて、「第7代RISEスーパーフェザー級(-60kg)王座決定トーナメント」一回戦3分3R延長1Rを同級1位パヌワット・TGT(タイ/TARGET)と争う同級5位・細越竜之介(team AKATSUKI)のインタビューが主催者を通じて届いた。
細越は2021年RISE Nova全日本大会 -65kg級トーナメント優勝・大会MVPを引っ提げて2022年4月にプロデビュー。3戦目で塩川琉斗に敗れるが、その後は4連続KO勝ち。2025年3月、GUMPに判定で敗れ連勝がストップした。6月の再起戦で近藤大晟に右フックで初回KO勝ち。戦績は7勝(5KO)2敗のサウスポー。
虫とおばけは苦手
――先日SNSを見ていたら、師匠の良太郎さんに虫を持って追いかけられていましたけど、虫が苦手なんですか?
「虫とおばけはNGですね(笑)」
――ジムでは虫が出るんですか?
「ちょっと扉を開けたら入って来ちゃうんですよ。今年の夏はあまり出なかったんですけど、涼しくなってきたらいっぱい出て来たんですよね」
――虫が苦手だという事を知っているから追いかけられたんですね。
「そうです。だから見つけても言わないようにしています」
――相当苦手なんですね。
「虫とおばけは…」
――じゃあ今度おばけのドッキリを考えておきます。
「ダッシュで逃げちゃいます(笑)。ランニングをしていてもお化けが嫌なので、夜に走った方がペースが早いんです」
――霊的な現象とか夜が苦手なんですね?
「夜も苦手ですね。ちょっと音がしたらダッシュしちゃいます」
――寝る時は大丈夫なんですか?
「寝る時は興味本位で心霊の動画とかを見ちゃうんですよ。壁側を向いて寝ながら動画を見るんですけど、反対を見れなくなっちゃいます(笑)」。
――電気は消して寝るんですか?
「それは怖くないので電気は消して寝ます」
――team AKATSUKIに移籍してからKO勝利がかなり増えていますよね。KO勝ちが増えた要因はご自身でどの様に分析されていますか?
「自分では意識していないんですけど、倒せる技がいっぱいあった中で良太郎さんのミットは倒す技を練習するというよりかは、それを習慣づける練習というか、自然にそれが出るようになる練習が多いんですよ。試合でも倒す気ではいるんですけど『倒そう倒そう』とせずに、自分の技を当てたら倒せるっていう認識でいます」
――繰り返し練習してきているものが試合で出せるようになっているという事ですね。
「やっと出せるようになってきたかなという感じです」
――今まで力んでいた部分の力が抜けているような感覚もあるんですかね。
「そうですね。あとは自分の戦い方が分かってきたのかなと思います」
――戦績を重ねてきた上で自分の強みが分かってきたんですね。そういう意味では、今の自分の強みは何だと思いますか?
「やっぱり蹴りですね。自分は蹴りを主体にして戦っていきたいなと思います」
――そこはずっと培ってきたもののこだわりがあるという事ですか?
「こだわりというよりも、蹴りで自分のペースを作ってから試合を組みたいなという考えがあります」
――師匠の良太郎さん繋がりで、ウェルター級チャンピオンの宇佐美 秀 メイソン選手とも練習されたりしていますが、頻繁に手合わせしたりもするんですか?
「試合前はBattle Boxに出稽古に行かせてもらって、メイソンさんだったり他の選手と練習させてもらっています」
――色んなタイプの階級や団体の選手と練習ができているんですね。
「そうですね。階級も皆んな上なので、この選手達とやっていれば同階級の人と戦うのは怖くないなって自信がつきます」
――メイソン選手とやる時は結構バチバチですか?
「顔は腫らして帰ります。自分は階級も違う分、だいぶ手加減はしてもらっていると思います」
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緊張感もある楽しい試合にしたい
――今回のトーナメントへの出場のオファーがあった時の心境はいかがでしたか?
「まずGUMP戦で負けたことでチャンピオンへは遠くなってしまったなっていう気がしていて、今年中にチャンピオンが決まるというのは聞いていたので、GUMP戦で負けた後に『チャンスを逃したな』っていう気持ちと『チャンピオンになった相手に挑めるようにここから積み上げていこう』って思っていたんですけど、近藤選手との試合でもチャンスをいただいて、5位の自分が4人制のトーナメントに参戦が決まった時に、チャンヒョン選手が怪我をしていたのは“自分持ってるな”って思いました。チャンピオンになるチャンスは中々ないので、運も味方に付けてこのチャンスはしっかり掴みたいなと思っています」
――このトーナメントのメンバーの中では、自分はどんな位置付けだと思っていますか?
「自分のことを優勝予想している人はいないと思うので、こういうダークホース的な選手が2試合ともKOだったり、めっちゃ面白い試合をして勝つほど面白い展開はないと思うので、しっかり荒らしたいなと思います」
――GUMP選手との試合は惜しくも敗戦となり、あの試合から近藤大晟選手との試合でKOという形で立て直しましたが、その時はGUMP戦の反省を経て近藤戦に行けたという感じですか?
「GUMP戦では戦い方もメンタル的にも自分を見失っていた感じがありました。“自分のやるべき事を試合で出す”っていう自分主体で考える戦い方をGUMP戦ではGUMP主体で考えていたんですけど、近藤戦では自分主体で試合を考える事ができました」
――GUMP戦ではGUMP選手に意識が行き過ぎてしまったんですか?
「そうですね。自分が前に所属していたTEPPEN GYMっていうのもあったし、初めていただいた-61.5kgトーナメントのリザーブというのもあったし、那須川会長の前で倒してやろうっていう気持ちもあったので、それが空回りしたのかなと思います」
――平常心ではなかったんですね。前回の近藤戦ではどうですか?
「自分に集中できてました」
――今回の対戦相手はパヌワット・TGT選手ですが、パヌワット選手の印象はいかがですか?
「自分が去年RISEに出させてもらったくらいの時に、パヌワット選手も出てきていて、その時は『パヌワット選手とやりなよ』って感じの会話をジムでしていて、まさか1年でここまで来れると思わなかったので感慨深いです。あと、攻撃力と爆発力のある選手だなって感じるので、少しでも油断はできないですね」
――勢いに乗った時のパヌワット選手の爆発力はすごいですよね。そこはどういう風に迎え撃ちますか?
「パヌワット選手は1ラウンド目が強いので、その台風に巻き込まれないように、でもポイントは取られないように1ラウンド目を戦って、2・3ラウンド目で倒しにいこうと思います」
――会見では「パヌワット選手と対戦するのが楽しみ」と発言していましたが、どんなイメージですか?
「パヌワット選手との試合は、技術の出し合いになると思うし緊張感のある試合になると思うので、ずっと戦ってみたいなって思っていました」
――「まだベルトは意識していない」という発言もあったと思うのですが、そこは今も変わっていないですか?
「そうですね。今はパヌワット選手のことしか考えていないです。ふと『あと2回勝ったらベルトか』ってたまに思うぐらいです」
――そういう気持ちはちょっとずつ感情的には出てきているんですね。
「でもまだ現実的じゃないよなって思います」
――次のパヌワット戦をクリアしたら、ちょっとずつ心境が変わってくるんですかね。
「多分そうだと思います」
――今までアマチュアでは結果を残してきていますが、プロでそういう一つの形になるものが目の前に来ている心境はいかがですか?
「自分1人ではここまで来れていないので、皆のためにも大事なベルトを獲って感謝の気持ちを伝えたいです」
――反対側のブロックからは誰が勝ち上がってくると想定していますか?
「GUMP選手が来そうな感じはするんですよね。それこそ最近の勢いでGUMP選手が来そうな感じがしています」
――そうなったらリベンジになりますね。
「はい。ベルトをかけてリベンジできるのは自分的にはすごくありがたいです」
――リベンジマッチでベルトをかけて、そこで勝ってベルトを巻くというのが理想なんですね。
「そうですね」
――今後、この階級でやってみたい事などはありますか?
「最近60kgで他の団体から来る選手とかも多く見えるので、そういう選手を倒していきたいです。RISEの強さを見せていきたいですね」
――なるほど。例えば前回リザーブマッチでGUMP選手に負けてしまいましたが、中村寛選手などと戦ってみたいという気持ちもありますか?
「もちろんあります。笠原選手とかも戦ってみたいです。それこそ自分の代わりにトーナメントに出るべき存在だと思うので、自分がチャンピオンになった後に名前が出てきそうな選手は全員戦いたいですね」
――今回このトーナメントに出場するにあたって、ご自身で設定しているテーマなどはありますか?
「最近思う事なんですけどアーティストとかアスリートの人を見た時って、お客さんは皆んなその日のためにその日があるから楽しみにそれまで生活できるし、それが終わった後も『あの試合があったから今日頑張れるな』って思わせてくれるのがすごいなと思っていて。自分もそういう選手になりたいので、まだ自分の身近な人でしかそういう気持ちにさせられてはいないんですけど、自分の試合を見て頑張れたり、自分の試合があるから頑張れるような、緊張感もある楽しい試合にしたいです」
――試合を見てくれる人を勇気づけられるような試合をしていきたいんですね。
「はい」
――最後にいつも応援してくれているファンの皆さまにメッセージをお願いします。
「このトーナメントに出れたことは、皆さんの応援があってのことだと思うので、まずはパヌワット選手をしっかり倒してベルトに挑戦できるように仕上げていきます。これからも応援をお願いします」