MMA
ニュース

【UFC】フライ級世代交代なるか。王者パントージャvs.挑戦者ヴァン。バンタム級王者ドバリシビリvs.挑戦者ヤン、セフードvs.タルボット。そして──

2025/10/14 19:10
 2025年12月6日(日本時間7日)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナで開催される『UFC 323: Dvalishvili vs. Yan 2』にて、バンタム級とフライ級の2大タイトルマッチなど4試合が公式発表された(※ブランドン・モレノvs.平良達郎も正式発表)。 ▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5Rアレクサンドル・パントージャ(ブラジル)王者・30勝5敗(UFC14勝3敗)※UFC8連勝中ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)挑戦者・15勝2敗(UFC8勝1敗)※UFC5連勝中  フライ級で4度王座防衛中の絶対王者が新たな挑戦者を迎える。  ブラジルから渡米しATT入りしたパントージャは35歳。2023年7月にブランドン・モレノにスプリット判定勝ちでフライ級王座を獲得。その後、ブランドン・ロイバル、スティーブ・エルセグに判定勝ちし、24年12月に朝倉海に2R リアネイキドチョークで一本勝ち。25年6月の前戦では、カイ・カラ=フランスを3R リアネイキドチョークで極めている。  10月に25歳になるミャンマー出身のヴァンは、UFC5連勝中。21年のMMAデビューからわずか1年2カ月の8戦(7勝1敗)でUFCとの契約を決めると、23年6月から3連勝。24年7月にチャールズ・ジョンソンと対戦し、3R 打ち合いのなかで、喧嘩四つから怒涛の前進を見せるジョンソンに左ジャブを突いたところに右フックをかぶせられて下がったところに長い右アッパーを被弾。UFC4戦目で初黒星のTKO負けを喫した。  しかし、その後も連勝街道に。エドガー・チャイレス、コーディ・ダーデン、鶴屋怜に判定勝ちすると、25年6月にブルーノ・シウバと対戦。3R 右フックでTKO勝ち。そのわずか3週間後、マネル・ケイプの負傷欠場による緊急オファーを受けてブランドン・ロイバルと対戦。  長身サウスポーのロイバルの右ジャブ、左ストレート、左の蹴りやヒザに対し、ヴァンは、対サウスポーの定石である外足を取ることをせず、ロイバルの右前足の内側に左前足を置き、初回から得意の右ストレートを当ててロイバルに尻もちを着かせると、ロイバルの左を被弾しながらも、3Rには関節蹴りを効かせて残り10秒で右を当ててダウンを奪いパウンド。判定3-0で勝利し、メイン後の勝者=パントーハとフェイスオフをかわしていた。  強いバックから極めを持つパントージャは、フライ級離れした打撃の破壊力を持つ朝倉やカラフランス相手でも怒涛の前進でバック、ボディトライアングル(4の字ロック)を奪取。前戦では、2Rにペースを落として息を整え、3Rに連打からバックを奪取。粘るカラフランスの防御に、落ち着いてリアネイキドチョークを極める老獪さも見せている。  対するヴァンもパントージャ同様に打たれ強さを持つ。ジャブで圧力をかけて右クロス、近い距離でのボディ打ちも得意とし、テイクダウンディフェンスも強い。組技は試合毎に進化を遂げており、レスラーの鶴屋怜がテイクダウンを奪えたのは、外無双と一本背負いで、シングル・ダブルのテイクダウンではなく、倒されても抑え込まれず背中を譲らずに立ち上がっている。  バックを取ってボディトライアングルを組めば盤石のパントージャだが、ヴァンはいかにその展開にさせずにスタンド勝負できるか。ロイバル戦では、3Rの終盤に関節蹴りを繰り出すなど新たな引き出しも見せている。挑戦者にとって2度目の5R戦となるが、3年前のFury FC王座戦は2Rにリアネイキドチョークで一本勝ちしているため、チャンピオンシップラウンドの4R以降は未知の領域だ。その点、王者は5Rの戦い方を心得ている。35歳の壁を越えたパントージャは、10歳下のプロスペクトに、2倍の試合経験の差を見せつけるか。 年末フライ級大決戦! 堀口vsケイプ、平良vsモレノ、ケイプvsロイバルも   公式発表は無いものの、パントージャvs.ヴァンと同じ大会での試合を希望していた5位・平良達郎の次戦として、2位・ブランドン・モレノとのフライ級3R戦も米国各誌で報道されており、実現すれば、この2試合の勝者同士が次期王座を争うことになりそうだ(※追記・15日に公式発表された)。また、翌週の12月13日(日本時間14日)のUFC APEX大会では、フライ級3位のブランドン・ ロイバルと、7位のマネル・ケイプの対戦も発表されており、この試合の勝者も王座挑戦に近づくだろう。パントーハ&モレノ&ロイバルのベテラン勢が強さを見せるか。ヴァン、平良、ケイプの新世代が新たな扉を開くか。また、11月22日のカタール大会では堀口恭司がタギル・ウランベコフと対戦するUFC再デビュー戦も組まれており、勝者はフライ級の台風の目となりそうだ。 [nextpage] サンドヘイゲン下したドバリシビリが、2カ月間隔の王座戦でヤンと2年9カ月ぶり再戦 ▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5Rメラブ・ドバリシビリ(ジョージア)21勝4敗(UFC14勝2敗)王者 ※UFC14連勝中ピョートル・ヤン(ロシア)19勝5敗(UFC11勝4敗)2位・挑戦者 ※UFC3連勝中  両者は2023年3月以来、2年9カ月ぶりの再戦。  UFC14連勝中のバンタム級王者ドバリシビリは、24年9月にショーン・オマリーに判定勝ちでバンタム級王座獲得。25年1月にウマル・ヌルマゴメドフの挑戦を判定で退けると、同年6月にオマリーとの再戦に臨み、3R ノースサウスチョークで一本勝ち。10月4日の前戦『UFC 320』で、コーリー・サンドヘイゲンを判定3-0で下し、3度目の王座防衛に成功したばかり。  試合後にケージのなかで、「ピョートル・ヤンは良い感じだ。準備ができている。いつも言っているように忙しくしていたい。もし12月にあるならすぐに戻りたい」と、同級2位のヤンを相手に、2カ月後の連続王座戦をアピールしていた。34歳。  対するヤンは、元同級王者。20年7月『UFC 251』の「UFC世界バンタム級王座決定戦」で元フェザー級王者のジョゼ・アルドを5R TKOに下し、王座獲得。ハビブ・ヌルマゴメドフに次いでロシア人史上2人目のUFC王者となった。  その後、アルジャメイン・スターリングとの王座戦で反則のグラウンドヒザ蹴り失格により王座陥落も、スターリングの首の手術により、21年10月にサンドヘイゲンと「暫定王座決定戦」を争い、5R判定勝ちで王座再獲得に成功した。  しかし、2022年4月『UFC 273』での「UFC世界バンタム級王座統一戦」で正規王者スターリングと再戦し、5R スプリット判定負け。王座統一に失敗し、暫定王座から陥落。その後、オマリーにもスプリット判定負けで接戦を落とすと、2023年3月にはドバリシビリにも判定負けで悪夢の3連敗を喫した。  左膝の半月板断裂と前十字靭帯損傷の怪我のなか、24年3月『UFC 299』でソン・ヤドンに判定勝ちで再起。24年11月にデイブソン・フィゲイレードに判定勝ちすると、25年7月の前戦では、マーカス・マギーに1Rは右を効かされるも、2R以降は地力の差を見せ、判定29-28×3で勝利。3連敗からの3連勝をマークし、再びコンテンダーに名乗りを挙げていた。32歳。  ドバリシビリとの2年9カ月前の初対決では、初回のダブルレッグは切ったヤンだが、シングルレッグでテイクダウンされると、際の打撃を被弾。5Rにわたりスタミナが切れないドバリシビリが実に48度のテイクダウンを仕掛け、50-45×3のフルマークでヤンに判定勝ちしている。  そこから5戦を経たドバリシビリは、前戦サンドヘイゲン戦では組んでもバックコントロールに固執せず。サンドヘイゲンが正対するとシングルからハイクロッチでテイクダウン。相手の立ち際にがぶりから首狙い、バックに回って逃がしてもまた詰めて組む、エンドレスのキャッチ&リリースでサンドヘイゲンを完封。2Rには組みの圧力から右を当ててTKO寸前まで追い込んでいる。  対するヤンは、スイッチスタンスからテイクダウンディフェンスにも長けて、パンチのみならず蹴り、ヒジ、ヒザと多彩な打撃と、自ら仕掛けるテイクダウンも混ぜたMMAで3連勝。初戦で立ち合いでも引かず前に出続けたドバリシビリに対し、いかにオーソではカーフ、サウスポーでは得意の左右ボディを当てて自身のペースにできるか。ヤドン戦の後半でテイクダウンを差し上げ、ヒジ&ヒザで体を入れ変えてテイクダウンからトップを奪う動きがドバリシビリ相手にもできれば、絶対王者を苦しめる時間も増えるか。 [nextpage] トリプルC セフードがMMA最後の試合で新鋭タルボットと対戦 ▼バンタム級 5分3Rヘンリー・セフード(米国)16勝5敗(UFC10勝5敗)ペイトン・タルボット(米国)10勝1敗(UFC4勝1敗)  北京五輪フリースタイルレスリング55kg級金メダリストで元UFC世界バンタム級&フライ級王者のセフードは、復帰後、強豪相手に3連敗中。18年8月にデメトリアス・ジョンソンにスプリット判定で勝利し、UFC世界フライ級王座を獲得すると、19年6月には、マルロン・モラエスとのバンタム級王座決定戦で3R TKO勝ちで同時二階級制覇。20年5月のバンタム級王座防衛戦でドミニク・クルーズを2R KOに下し、一時は引退も、23年5月に復帰。  バンタム級王者アルジャメイン・スターリングに挑戦し、ブランクを感じさせない動きを見せるもスプリット判定負けで王座奪還ならず。24年2月に後の王者メラブ・ドバリシビリと初回は互角に渡り合うも判定負け。25年2月の前戦では、ソン・ヤドンと対戦。偶発的なサミングを受け、3R終了時点までの負傷判定で0-3で敗れ、3連敗となった。38歳。  対するタルボットは、UFC4勝1敗(2KO・1一本勝ち)で試合時には28歳になる。フットボールとレスリングをベースに、コナー・マクレガーの試合を見たことがきっかけでMMAを開始。21年にプロデビューすると、22年にUrijah Faber's A1 Combat王座獲得。23年8月のDWCSを経て、11月にUFCデビュー。3連続KOで期待されていたが、25年1月のラオーニ・バルセロス戦でテイクダウンに苦しみ判定負け。6月の前戦でフェリペ・リマを相手にテイクダウンディフェンス、下になってもリカバリーの進化を見せて判定勝ちで再起を遂げている。  とはいえ、今回のセフードはオリンピアン。タルボットは弱点だったテイクダウンディフェンスをどこまで磨けたか。セフードとはかつて2024年2月のメラブ・ドバリシビリ戦前に練習をともにし様々なアドバイスを受けたというタルボット。当初は、ランキング上位の対戦相手が候補に挙がっていたが、複数の対戦相手から断られたという。しかし、MMA最後の対戦相手としてセフードが承諾し、タルボットとの試合が決定した。 [nextpage] ブラホビッチが再起戦、UFC4連勝中のグスコフと対戦 ▼ライトヘビー級 5分3Rヤン・ブラホビッチ(ポーランド)29勝11敗1分(12勝8敗1分)ボグダン・グスコフ(ウズベキスタン)18勝3敗(UFC4勝1敗)※UFC4連勝  ライトヘビー級のブラホビッチは、UFC12勝8敗1分。柔道ベースで2007年2月にプロMMAデビュー。KSWで王座獲得後、14年にUFCデビュー。20年、ジョン・ジョーンズが王座を返上すると、ドミニク・レイエスとの王座決定戦で2R、左フックでKO勝ちして戴冠。イスラエル・アデサニヤに判定勝ちで初防衛にも成功。  しかし、21年グローバー・テイシェイラに2R リアネイキドチョークで一本負けで王座陥落。22年12月には、今度はテイシェイラから王座を奪ったプロハースカの王座返上に伴い、マゴメド・アンカラエフと王座決定戦で対戦。序盤はカーフキックを効かせて優勢も、後半にテイクダウンされて判定1-1ドローで戴冠ならず。  23年7月、元ミドル級王者でライトヘビー級に上げてきた前王者アレックス・ペレイラと対戦し、スプリット判定負け。24年は肩の負傷を治療。25年3月に1年8カ月ぶりに復帰し、7連勝中のカーロス・アルバーグと対戦も判定負け。42歳。  対するウズベキスタンのボグダン・グスコフはUFC4連勝中。ボクシングとキックボクシングをベースに、2016年にプロMMAデビュー。23年のUFCデビュー戦でいきなりランカーのヴォルカン・オーズデミアと対戦も、1Rチョークで一本負け。しかしそこから4連勝。25年7月の前戦はニキータ・クリーロフに1R 右ストレートでTKO勝ち。18勝中15のKO・TKO勝ち。3つの一本勝ちを記録する。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.341
2025年12月21日発売
大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント