MMA
インタビュー

【UFC】王座奪還アレックス・ペレイラ「ホワイトハウス大会でジョン・ジョーンズとスーパーファイトを」

2025/10/06 22:10
 2025年10月4日(日本時間5日朝7時~)、米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、『UFC 320: Ankalaev vs. Pereira 2』(U-NEXT配信)が開催された。  メインイベントでは、「UFC世界ライトヘビー級選手権試合」(5分5R)として、王者・マゴメド・アンカラエフ(ロシア)に、前王者のアレックス・ペレイラ(ブラジル)が挑戦。ダイレクトリマッチの結果は、1R わずか80秒で、ペレイラが右オーバーハンドを効かせてのパウンドでTKO勝ち、王座奪還を果たしている。  試合後、ペレイラはあらためて、前戦で体調を崩していたこと、再戦では序盤から自ら前に出ること、インカーフを狙っていたことなどを明かし、今後について「ヘビー級への挑戦」と、26年6月14日に予定されるホワイトハウス大会でジョン・ジョーンズと対戦したい意向を示した。  しかし、ダナ・ホワイト代表は会見で「引退するつもりがない限り、なぜ階級を上げるのか理解できない」と否定的な意見を示しており、トランプ大統領の誕生日で、陸軍の創設記念日に当たる ホワイトハウス大会でのペレイラvs.ジョーンズの実現には、まだ障壁がありそうだ。  U-NEXTでのインタビューと会見での一問一答は以下の通り。 ヘビー級でより大きな挑戦がしたい ──アレックス、あなたは今回の試合前に「前回とは劇的に違う、全く違う変化が訪れる」と言っていました。ベルトを奪還した気分はいかがですか。 「素晴らしいよ。チーム全員、そしてUFC PIの皆にも感謝しなきゃ。チャールズが本当に助けてくれた。彼はいつも助けてくれたけど、俺は最後までやり通せなかった。今回は100%やり遂げて、実際に効果があった。何かがある気がしたんだ」 ──前回の試合後、「怪我は今回の試合が終わるまで明かさない」と言っていました。あれはどんな怪我だったのですか? 「正確には……まあ、前回の試合前は体調が全然良くなかったんだ。辞退することもできたけど、したくなかった。もう準備が進みすぎてたんだ。計量の時の自分の口元を見てもわかると思う。数日前には熱も出たし、移動も多くて体調が悪かった。いろんなことが重なったんだと思う」 ──今回の試合前、少し確執があった。試合後には両手を3回、彼に向けていましたね。 「あの瞬間、ただ思いついてやったんだ。ジャマル戦でやった時、みんなが気に入ってくれたのを覚えてる。だから世界中を回って、あの瞬間またやりたくなったんだ。彼を圧倒しなきゃって。計画とかじゃなくて、その場の勢いなんだ」 ──これまで何度も観客を煽って「シャーマ!」と言わせてきましたが、あの試合終了時の両手を向ける瞬間は特別でしたか。 「ああ、クレイジーだ。観客が狂ってるのが伝わってきて、もっと何かが欲しかった。もっと盛り上げたかったんだ。だから腕を振り下ろしたんだ。あのアリーナ内の熱気が本当に伝わってくるから」 ──こんなに短期間で築き上げたファンベース、世界中の多くのファンのサポートを得られることの意味は? 「わかるだろ? ただ俺の仕事をやってるだけさ。大きなショーだ。ファンはそれを愛している。俺の仕事だ」 ──序盤から攻撃的に行くのも計画の一部? 「グローバー・テイシェイラも5週間の間に言ってたしね。あれはまさにやりたかったことなんだ」 ──彼を倒すためのゲームプラン通りだったのでしょうか。 「計画は早く攻めることじゃなかった。ずっと言ってきただろ、5ラウンド、25分戦うって。だからどの試合でもフルラウンドに備えてる。でもノックアウトは起こるんだ。これはキャリア初の再戦じゃなかったしね」 ──またもや1ラウンドで試合を決めた。あの瞬間、どんな気持ちでしたか? こんなに早く決着をつけるとは? 「最初の試合で経験した全てを考えていたんだ。彼への準備はできていたが、トレーニングした内容を実行できる体調ではなかった。だからやるべきことは分かっていた。今回は、ただ自分をケアしてケージに戻り、実行するだけだった」 ──興味深いのは、ナンバー2のファイターは同じ夜でも違うことです。マゴメドとの初戦で得た最大の教訓は? それが今夜の勝利につながった? 「ああ。あの試合は接戦だった。自分では勝ったとも感じた。だが、成長と進化が鍵だ。毎日積み重ねてきた。あの日、体調が優れなかったことも周知の事実だ」 ──ベルトを狙って待ち構える挑戦者たちの中で、最も理にかなっている相手は誰だと思う? 「まだ特定の相手は決めてない。言った通り、ヘビー級でより大きな挑戦がしたい。それだけだ」 ──次はヘビー級での試合を? 「ヘビー級はやりたいことだ。自分の感覚では、もっと重くて大きくなったし、ヘビー級でいい感じだと思うんだ」 ──今後はヘビー級に転向するのですか? 「いや、これは(ライトヘビー級の)最後じゃない。ヘビー級で戦いたいと言っただけで、俺はライトヘビー級のチャンピオンなんだ。この階級が俺のホームなんだ」 ──足にギプスを巻いているのは知っていますが、復帰までのスケジュールを考えると、あなたはこれまでUFCキャリアを通じて復帰を急ぐタイプでした。 「ああ、治癒具合を見極める必要がある。おそらく骨折している。相手の足を蹴っていたんだけど、彼が動きを変えた瞬間、足を蹴った直後に違和感を感じたんだ。だから様子を見ないと」 ──早い回復を祈ります。試合前には、SNSでアンカラエフ自身か、代弁者(※マネージャーが投稿していたといわれている)が発した言葉の一部が取りざたされました。彼への個人攻撃はさておき、現実的に、あの発言に対してどれほどの恨みを抱いていたのか? 「本当に影響ないんだ、わかるだろ? だから記者会見でダナに、『俺が何度戦いを断ったか聞いてみろ』って言ったんだ。ダナは言ったんだ、『試合を断ったことなんて一度もない』って。休暇で旅行中でも何であれ。でも向こうは、『俺がタイヤショップに戻って働くつもりだ』って、いろんなことを言ってたんだ。この間ずっと、言うべきだったことがたくさんあった。だから、カメラに捉えられたあの瞬間、直接聞こうと思ってたんだ」 ──あなたの経緯(※ペレイラは12歳からタイヤショップで働き始めるも、同僚の影響でアルコール依存症に陥り、依存症を克服するために2009年からキックボクシングを始めた)を知る者ならその言葉の重みを理解するだろうが、知らない者には説明が必要です。この発言の背景にある意味と、なぜあの瞬間に彼に伝える必要があったのでしょうか。 「そのことを自分に思い出させたかった。あの瞬間と向き合い、記憶に留めたい。そして、“タイヤショップに戻りたくない”という責任を自分に課したかった。だって多くの人々が尋ねるんだ、『どうやってタイヤショップから這い上がったのかって』──“世界チャンピオンになるために”。それがずっと自分に言い聞かせてきたことだ。あの場所には戻らないと。だからその決意を忘れたくなかった。ブラジルには行く。タイヤショップにも行く。でも、このベルトは絶対に持っていく」 ──試合前の因縁について、あらためて感じことは? 「結局、チームは何かを作ろうとしてるだけで、実際に戦うのは彼(アンカラエフ)自身なんだ。彼が全ての責任を取る。チームは関係ないんだと思うよ」 [nextpage] ヘビー級で戦う場足、ライトヘビー級のベルト返上は「必要ない。俺の試合頻度は知っているだろう?」 ──UFC世界ミドル級王者のハムザト・チマエフがあなたに挑戦状を叩きつけてきた。「おめでとう、だが今こそ決着をつける時だ」と。その「決着」が何を指すかご存知ですか? 彼が階級を上げてあなたと戦うことに興味はありますか? 「祝福ありがとう。でも俺が望むのはスーパーファイトだけだ。ヘビー級で戦いたい」 ──スーパーファイトに興味があると。トム・アスピナルとシリル・ガーヌ(10月25日『UFC321』)の勝者との対戦? それともジョン・ジョーンズの私生活の問題が起きる前、彼への挑戦状を出す計画だったのでしょうか。 「失礼ながら、この状況には最大限の敬意を払うけど、ホワイトハウスにジョン・ジョーンズを呼ぶつもりだった。起きたことすべてを考えると、今はこのことについて話す適切な時ではないと思う(※ジョーンズの兄が死去)」 ──勝利後のインタビューのとき、どんなことを考えていたんですか?: 「兄弟のことを思ってたんだ。みんな一緒にいて、そういう場面だった。チームと一緒に(スピーチを)全部計画してたけど、ジョンの兄弟のこともあって、数日待とうと思ったんだ。いいことはこれから来ると思ったから」 ──もしヘビー級に上がるなら、今よく見られるように、チャンピオンは階級を上げる際にベルトを返上しなければならない。ヘビー級に行く場合、そのタイトルを手放す覚悟はあるか? 「必要ないと思う。俺の試合頻度は周知の事実だから問題にならないと思う」 ──ダナ・ホワイトがここに来た時、あなたがヘビー級で戦う案にあまり乗り気ではなかった。きっと話し合いはあるだろうけど、彼にメッセージを送れるなら? 「さっき本人と話したから必要ないよ」 ──ダナはなんと? 「秘密だ」 ※ジョン・ジョーンズのホワイトハウス大会出場に否定的なダナ・ホワイト代表は、試合後の会見で「(土曜の)午後は仕事でたくさんの会議があった。それから(UFC PI)に行ったら、彼(ペライラ)もPIにいたんだ。『今日は君が来るとは思ってもみなかった。何をしに来たんだ?』って感じだった。でも、彼らは『ヘビー級で試合をしたい』と言っていた。『えーと、今夜勝ったらどうだ? それからヘビー級の話をする』って言ったんだ。このライトヘビー級はまだ試合がある。  彼は(以前は)ミドル級だった。別に躊躇しているわけではないが、彼はまだ面白い試合が期待できる階級にいる。どうなるかは分からない。彼のことはとても気に入っているから、どうなるかは分からない。話さなければならない。ただ、引退するつもりがない限り、なぜ階級を上げるのか理解できない。なぜ彼をヘビー級に送る? 彼がどうしてもやりたがっているという以外に意味が分からない。私はイエスと言うしかない」とコメント。 ──ヘビー級昇格の売り込みは何にする? 「最高の選手。“誰が最高か”」 ──イリー・プロハースカとカリル・ラウントリー・ジュニアの試合をどう見ましたか。 「ほぼ予想通りだったよ。イリーは動き回るタイプで、動きが活発なんだ。一方カリルは、より計画的でチャンスを伺うタイプ。バックステージでチームと話してたんだけど、カリルが動いてると感じたんだ。それが彼に負担をかけたんだと思う。彼はそんなに動き回ることに慣れてないのに、急に動き始めた。それでスタミナが切れたんだろう」 ──映っていたかどうかわからないですが、あなたが勝った時、イリーが観客席にいてすごく感情的になってた。あなたの勝利を心から喜んでいた。2人に確かな歴史があるのは明らかだ。あの瞬間、仲間たちが心から喜んでくれたことの意味をどう感じていますか。 「素晴らしいことだと思う。イリーは僕がメディカルチェックを受けているときにもわざわざ会いに来てくれたんだ。ただ挨拶したかっただけだろう。リスペクトだ。彼もカリルも本当に素晴らしい人間で、敬意に満ちている。2人に感心している。イリーなんてとても礼儀正しい。非常にクールだ。僕らは殴り合って勝ちたいと思うけど、そこにリスペクトがある」 (※プロハースカは試合後、ESPNのインタビューに「ペレイラを通して(アンカラエフを倒す)ストーリーを間接的に生きさせてもらった。知っていると思うけど、アンカラエフはX上の煽りで私を怒らせた。だから彼の事はよく思ってなかった。彼は私についていろいろ嘘を投稿して……それはもういい。ペレイラが勝つのを見れて本当に嬉しかった。君たちは私を信じていないかもしれない。だが私は信じている。私は3試合目でペレイラを倒す道を見つける」と語っている) ──最後に一つ。「自分自身にとって自分がまだ最高だ」と証明することの方が重要だったのか、それとも「他の人々に自分がまだ最高だと証明することの方が重要だったのか」、どちらでしょうか。「ただ仕事をしているだけだよ。時々、たくさんのことをするけど、それを評価するのは他の人次第なんだ。だからさ、もしある日、人々が俺が最高だって決めたら、それは素晴らしい。そうでなくても、それでいいんだ。家族も友達も元気だし、それが俺なんだ。それが大事なことさ」 ──バックステージでメラブ・ドバリシビリとも祝っていましたね。あなたたち2人は最も活躍したチャンピオンです。あの瞬間を共有した感想は? 「素晴らしいよ。本当にすごいエネルギーを持ってる。いつも彼に言ってるんだけど、彼の心肺機能は驚異的だ。相当鍛えてるってのがわかる。彼は本当に自分を追い込んでるんだ。だからね。見てて本当に素晴らしくて感動するよ」 ──あなたの足の状態は? 「たぶん骨折してると思う。でもさ、ブラホビッチに効いたあの戦略が本当に良かったんだ。内側へのインカーフキックを何度か試みてたんだ。そしたら4回目に彼がスタンスを変えた。俺が距離を誤ったんだと思う。彼のリードレッグにまたキックを放ったんだけど、つま先をぶつけてしまって。多分折れたんだと思う」 ──インサイドカーフキックも計画の一部でしたか? 「ああ、戦略の一部だよ。ブラホビッチ戦でも同じことをして、効いたんだ。3回目の蹴りの後にはスタンスを変えたから、戦略通りだったんだ」 ──試合中の怪我はフィニッシュする際のステップイン等に影響しましたか? 「瞬間的には血がたぎってアドレナリンも出てたから、気にならなかったんだ。5Rまで行くつもりだったから、(ラウンドが進んだら)ある時点で気になったかもしれないけどね」 ──次は7月前に試合をしたいと? 「怪我があって、むしろ“ホワイトハウスでの試合は待て”と体が教えてくれてる感じなんだ。どうなるか、回復させて準備して、待つだけだと思う」 ──この一戦を終えてあらためて感じたことは? 「重要なのは、結局自分が戦うんだってことだね。他の人が何を言おうと関係ないんだ」
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