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【UFC】名勝負! スタンドでも勝負したマイアがスイープからバック奪いワンハンドチョークでアスクレンから一本勝ち!

2019/10/27 00:10
2019年10月26日(土)シンガポール・インドア・スタジアムにて「UFC Fight Night: Maia vs. Askren」が開催された。 メインイベントで実現したデミアン・マイアとベン・アスクレンによるグラップラー対決は、マイアが3Rリアネイキドチョークで一本勝ちして勝負が決し、セミメインイベントとして行われたマイケル・ジョンソンとスティービー・レイのライト級マッチは3Rフルラウンドのバトルの末、レイがマジョリティ判定勝ちを収めた。 次回、UFCは日本時間11月3日(日)に米国ニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて"UFC 244"を開催する。ホルヘ・マスヴィダルとネイト・ディアスが激突するメインイベントのウェルター級マッチほか、ミドル級のケルヴィン・ガステラム対ダレン・ティル、ウェルター級のスティーブン・トンプソン対ビセンテ・ルーケなど激闘必至の高カードが多く予定されている。UFC公式サイトではコーリー・アンダーソン対ジョニー・ウォーカーがトリを務めるプレリムの全試合をライブ配信予定。 【メインイベント】 メインイベントではウェルター級・5分5Rで、ブラジリアン柔術の強豪デミアン・マイア(ブラジル)と、元五輪レスラーのベン・アスクレン(米国)が対戦した。 マイアは2002年、2003年、2005年コパドムンド黒帯優勝。05年にはムンジアルでもメイオペサード級3位になるなど、柔術界で名を馳せた後、MMAに転向。2014年5月から2017年5月のホルヘ・マスヴィダル戦までUFC7連勝をマークするなどMMA27勝9敗。 2017年7月にはタイロン・ウッドリーを相手にUFC世界ウェルター級王座に挑戦したものの判定負け。続くコルビー・コヴィントン、カマル・ウスマンに判定負けで3連敗を喫したが、2019年は2月にライマン・グッドに一本勝ち、6月にアンソニー・ロッコ・マーティンに判定勝ちと現在2連勝中だ。 対するアスクレンは、NCAAディビジョン1で2度王者となり、オールアメリカンに4度選出されるなどカレッジ・レスリングで活躍し、2008年北京五輪ではフリースタイルレスリングで米国代表となっている。MMA19勝1敗。 BellatorとONEで世界ウェルター級王者に輝いた後、2018年11月、UFCとONEとの間でデメトリアス・ジョンソンとのトレードの形でUFCと契約。 2019年3月のUFCデビュー戦でロビー・ローラーと対戦し、パウンドでTKO寸前まで追い込まれるも、1R終盤にブルドッグチョークで見込み一本で逆転勝ち。 同年7月の前戦では、ホルヘ・マスヴィダルと対戦し、アスクレンのタックルにマスヴィダルがカウンターの跳びヒザ蹴りを合わせ、UFC史上最短となる開始5秒の失神KO負けで、キャリア21戦目にして初黒星を喫していた。マイアの柔術は、上でも下でも相手を抑えてその際で絞め・サブミッションで極めるグラップリング。ガードになってもパウンドがある中で護身し、相手の姿勢を崩しスイープを狙う。 アスクレンのグラップリングはフォークスタイル・レスラーのコントロール。テイクダウンからトップポジションを奪い、身体を使って抑え込みながらパウンドを打つことが可能だ。下から脇を差して煽るマイアのスイープの展開にも「レスリングの展開」と自信を持っている。そしてその展開に持っていくスタンドで優位に立つのは? ▼ウェルター級 5分5R〇デミアン・マイア(ブラジル)[3R 3分54秒 リアネイキドチョーク]×ベン・アスクレン(米国) 1R、オーソドックス構えのアスクレン。サウスポー構えのマイア。右ジャブを突くマイアに組み付くアスクレン。2度突き放すマイア。3度目は四つ組みもヒザを互いに突き、続く組みもマイアは突き放す。 左を差したマイアだがテイクダウンにはいかず。右でーバーフックするアスクレンだが突き放すマイア。続けてスタンドでがぶるアスクレンだが、マイアは頭を抜く。 アスクレンの右に左を当てるマイア! アスクレンもクリンチから右アッパーを連打する。中間距離になると左ミドルも当てるマイア! アスクレンはシングルレッグからバック狙いつつ正対するマイアをボディロックからテイクダウン! 跳ね上げるマイアだが返せず。 下からマイアはストレートアームバー狙い。さらに足関節狙い。またいで外したアスクレンは亀のマイアに鉄槌もゴング。 2R、蹴りから左右を突くアスクレン。組み付くがマイアは左で差して突き放す。マイアの左ストレートに右アッパーを合わせるアスクレン。圧力を強めるアスクレンは右で差すが離れる。 右目尻周辺から出血するマイアは肩で息をする。しかし右ジャブ。互いに前手を触りながら右ストレートのダブルはアスクレン! 下がるマイアだが打撃を浴びる。マイアもジャブを突くが上体が立ったところにアスクレンはダブルレッグテイクダウン! 下のマイアは腕十字、三角絞め狙いからオモプラッタ! アスクレンを前転させて上に! しかしアスクレンも下から上体立て、スイッチ。下になったマイアはキムラロック狙い。しかしまたいだアスクレンが胸で圧力かけてパウンドでゴング。 3R、詰めたアスクレンにニンジャチョークを狙うマイア。しかし左で差して後方にそり投げはアスクレン! しかしマイアもシングルレッグから立つ! クリンチからアッパーはマイア。さらにテンカオも当てるが圧力かけるアスクレン。腰にくみつき手がかかるがマイアは切る! アスクレンは高いダブルレッグも腹下に置くマイアが凌ぐと、右を後ろ頭にかけたアスクレン。突き放すマイアは右ストレートをヒット! さらに右ジャブ。 アスクレンは詰めるも両脇を差すマイア。ならばと首投げの形で右で差した腕を頭後ろに回し、さらに右足をマイアの左足に外掛けしたアスクレン。その手を外して正対したマイアの左足にシングルレッグから今度は左手を肩口にかけて呼び戻す形でテイクダウン! しかしすぐにマイアが右で脇差し、下から跳ね上げてスイープ! 外ヒールフック狙いから立ち上がり上に! そのままマウントを奪うと背中を見せてヒザ立ちの亀になるアスクレンのバックを奪い、すかさず4の字ロックからリアネイキドチョークへ! 左手を喉下に右手を組みたいマイアだが、その手を掴むアスクレン。クラッチできないマイアは、ワンハンドで肩を抱き絞め上げると、アスクレンは力なくマイアの腿を1度タップした。 勝者はケージの上でガッツポーズをしてから、敗者のもとに駆け寄りハグ。3連勝を決めたマイアは試合後、「打撃戦になると思っていた。世界最高のグラップラー相手に削り合いになると思っていたよ」と語った。 デミアン・マイア「アスクレンはハーフガードから動くのを待っているだろうと思ったから、困惑させようと他のことを練習していた」 「今回の試合は自分にとってかなり興味をそそる試合だった。どうなるかまったく分からなかったしね。スタンディングではうまくやれていたと思うし、自分が下になったときは向こうが手強かった。彼は素晴らしいレスラーだけど、こっちはもう何年もやってきた柔術のトレーニングで使うトリックを生かせた。向こうは自分がハーフガードでさっと動くのを待っているのだろうと思ったから、困惑させようと他のこと(煽りから足関節スイープなど)を練習していたんだ。自分の打撃はうまくつながっていたと思うし、向こうもいけていたけど、こっちの方がより効果的だったから、このまま攻めていけば自分より相手の方が早く疲れるだろうと考えた。自分にとっては最高の勝利。個人的には彼も自分も最高のグラップラーだと思っているし、グラップリング技を披露する真のグラップラーだと思っている。ただ、たったひとつの技を効果的に使う俺のようなヤツはいないはずだ。そして彼は主にレスリングの代表格だ。つまり、面白い対決だったわけだ。何を期待すべきか分からなかったけれど、自分の戦いはとても信頼している」 [nextpage] 【セミメインイベント】 ▼ライト級 5分3R〇スティービー・レイ(スコットランド)[判定2-0]※29-28×2 28-28×マイケル・ジョンソン(米国) 1R、ともにサウスポー構え。右ジャブの刺し合いから、左ロー右ハイはレイ。ジョンソンは右ジャブ・右インロー。右ジャブのダブルでレイのアゴを上げさせる。レイは左フック気味のストレートをかすめる。 2R、頭の位置を変えレベルチェンジしてボディストレートを打つジョンソン。詰めるレイは左ストレート! 右のスーパーマンパンチはかわされる。左ローはジョンソンがカウンターのパンチ。さらにジョンソンのジャブでレイは鼻血。レイはワンツーで詰めるが頭を振るジョンソンは避ける。 3R、左ローから入るレイ。そこに右を狙うジョンソン。レイはダブルレッグに入るが切るジョンソン。さらにワンツー! 左をもらいながらも打ち返しに行くレイ。しかしその打ち終わりをジョンソンはまとめる。 遠間からダブルレッグはレイ。後方に両足を飛ばすジョンソンだが、金網際まで詰めて指をかけてテイクダウンはレイ! 亀のまま右のパウンドを受け続けるジョンソン。その立ち際にバックに回るレイは4の字ロックへ。リアネイキドチョーク狙いから亀のジョンソンは動けず。ジョンソンは正対するも4の字ロックのままのレイはヒジ・パウンドを連打。レフェリーは止めるタイミングを見計うが、試合終了のゴング。2ポイント差がついておかしくない逆襲のラウンドに。 判定は29-28×2 28-28の2-0でレイが逆転勝利した。 スティービー・レイ「ツイスターを試すこともできたけど……」 「試合全体をしっかりと覚えていない。最初のラウンドは接戦だった。確か第2ラウンドは落としたと思う。コーチは俺がやれると思えば良い第3ラウンドを戦えると言っていたから、きっちり圧倒できたし、ボディロックもできていた。正直、ジムではあれが気に入っていて、いろんなヤツをフィニッシュしてきた。あそこからツイスターを試すこともできたけど、レフェリーが止めに来るまでとにかくパンチだと思った。判定を聞いたときはうれしかった。負けたらどうなっていたか分からないから、試合に臨んで確実に勝たないといけなかったんだ。戦おうとしたし、それこそ自分の得意とするものだし、ファンのためにショーを見せたかった。きっとお客さんも気に入ってくれたんじゃないかな。次はトップ15のヤツとやりたい。世界でトップのヤツらと戦えることは証明できたはずだ。トップ15と戦うにふさわしいと思っているし、そこからタイトルに向けて取り組み始める」 【メインカード】 ▼ライト級 5分3R〇ベニール・ダリウシュ(アッシリア)[1R 2分02秒 リアネイキドチョーク]×フランク・カマチョ(北マリアナ諸島) 1R、オーソドックス構えのカマチョ。サウスポー構えのダリウシュ。左ジャブを突いて前に出るカマチョ。右で差して右フック、左ミドルを当てるダリウシュは、シングルレッグからテイクダウン。 背中見せて立つカマチョのバックを奪いリアネイキドチョークへ。アゴを引き、後ろ手を剥がそうとするカマチョに、ダリウシュは両足を4の字ロックで胴に組み、アゴ上から絞め上げ、徐々に喉下に食い込ませタップを奪った。 ベニール・ダリウシュ「チョークはゆっくり深く極めにいった」 「打撃がすべてうまく決まった。フランクのすごさは分かっていたから、今回の試合でかなりの自信になる。フランクの試合を見てきたし、彼は本当にすごい人だ。ウェルター級でやってもすごいから、ライト級に来たときには彼のパワーがかなり不安だった。一発食らったしね。でも、自分のフックが決まれば、ケージに追い込まれていようとそうじゃなかろうと、あとは忍耐あるのみだ。チョークの腕が極まって、最初は向こうが手をどけたからうまくいきそうになかったけど、これにはちょっとトリックがあって、ゆっくり深く深く(アゴ上から)極めにいった。あのチョークを機能させるには時間をかけないといけない。それに、最近取り組んでいたことでもあったからね。あっという間だったし、すべてがあんなに速くまとまって、正直、次がどうとか考えていない。2月に結婚するんだ。だから、その前に試合をするとなると妻に怒られそうだ。その後はハネムーンがあるからしばらく戦えない。だから次をどうするか考えてみるよ」 ▼ヘビー級 5分3R〇シリル・ガーヌ(フランス)[3R 4分46秒 ヒールフック]×ドンテイル・メイエス(米国) ※ボディロックから回してテイクダウン、外ヒール シリル・ガーヌ「タイミングがはまった」 「自分のパフォーマンスの満足度は75%くらい。1ラウンドでフィニッシュしたかった。でも、相手が大きくて、大変だろうなと思っていた。結局はタイミングがはまってサブミッションを極められた。これに取り組んできたから、俺たちにしてみればそれほど驚きはない。次の試合ではもっと見せたい。もっとボリュームのあるパンチが打てるはずだし、コンビネーションだってレスリングだって見せられる。勝って帰れるから気分がいい。すぐにまた試合がしたい」 ▼ウェルター級 5分3R〇ムスリム・サリコフ(ロシア)[判定3-0]※30-26×2、29-28×ラウレアノ・スタロポリ(アルゼンチン)【プレリム】 ムスリム・サリコフ「次はリー・ジンリャンとやりたい」「また勝ててうれしい。フィニッシュしようとしたけど、相手がタフだった。いつもノックアウトじゃなくて、たまには判定で勝つのもいいと思う。今後に向けてはいいことだよ。いずれ、もっとタフな相手とやることになるかもしれないからね。いい経験。今回の相手は本当に素晴らしいストライカーだったけど、俺のレベルが違っていたと思う。今回の相手はこれまで見たことがない特殊なことをやっていた。パンチを打つと、頭が下がるんだ。そんなふうにするスパーリングパートナーは一人もいなかった。だから、あれには対応する準備をしていなかったし、捕らえられなかった。次はリー・ジンリャンとやりたい」 ▼女子ストロー級 5分3R〇ランダ・マルコス(カナダ)[判定2-1]※29-28×2、28-29×アシュリー・ヨーダー(米国) ランダ・マルコス「後半の2ラウンドは私が取った」 「正直、自分のパフォーマンスには満足していない。彼女が“スパイダー・モンキー”って呼ばれる理由が分かった。その通りよ。やりたかったことはできなかったけど、勝利できたし、それについては満足している。当然、彼女の強みであるグラウンドを予想していたわ。ケージに追い込まれたときにグラウンドに行きたがっているのが分かったし、私が下になることもあった。最悪のスタートってわけじゃなかったけれど、力強く巻き返せたし、後半の2ラウンドは私が取った。それについてはいい気分よ。今回の勝利はうれしい。ゼロに戻ってもっと強くなる。今日よりもっとうまくできるはずだから」 ▼ライト級 5分3R〇ラファエル・フィジエフ(キルギス)[判定3-0]※29-28、30-27×2×アレックス・ホワイト(米国) ラファエル・フィジエフ「来年は3カ月ごとに戦いたい」 「勝ったから最高だ。俺の国のみんな、キルギス、アゼルバイジャン、家族、サポートしてくれたチームがいたから勝てた。でかいことを言いたくはないけど、今はもっと試合がしたい。来年は3カ月ごとに戦いたい。自分のパフォーマンスはあまり納得していない。もっと華麗にいきたかったし、フィニッシュしたかったけど、まあしょうがない。それでも勝てたし、それはとてもうれしい」 ▼フェザー級 5分3R〇モフサル・エフロエフ(ロシア)[判定3-0]※29-28×2、30-27×エンリケ・バルソラ(ペルー) モフサル・エフロエフ「トップ15の誰かとやり合うチャンスにつながれば」 「タフな試合だったし、根性を見せないといけなかったけど、3ラウンドともすべて楽しかった。UFCでこれだけたくさん勝利している経験豊富な対戦相手に勝ったのだから、トップ15の誰かとやり合うチャンスにつながってくれることを願っている。全体としては満足しているけれど、準備してきたことをすべてできなかったから、次の試合は自分のミスを直して、もっとエキサイティングな試合をしたい」 ▼ヘビー級 5分3R〇セルゲイ・パブロビッチ(ロシア)[1R 2分11秒 TKO]×モーリス・グリーン(米国) セルゲイ・パブロビッチ「もう2週間もシンガポールにいる」 「とっとと仕事を終わらせて家に帰ろうと思ってきたからな。もう2週間もいる。今後のことは考えていない。ここで勝ててとにかくうれしい。今は休みを取りたい」 ▼女子ストロー級 5分3R〇ローマ・ルックブンミー(タイ)[判定2-1]※30-27×2、28-29、30-27×アレクサンドラ・アルブ(ロシア) ※試合詳報 ロマ・ルックブーンミー「次の試合はもっとフィットネスをやっていくつもり」 「本当に嬉しい。でも、自分のパフォーマンスに関してはあまり納得していない。ちょっとスローだったし、オクタゴンでこうありたいと思っていたほどアクティブじゃなかった。次の試合はもっとフィットネスをやっていくつもり。UFCでシックスパックのない女子ファイターは私だけだから! UFCに来られて本当に嬉しい。対戦相手は素晴らしかったし、彼女には感謝と祝福を伝えたい。彼女には本当に感銘を受けたわ。次の試合はもっと頑張りたい」 ▼ヘビー級 5分3R〇ハファエル・ペソア・ヌネス(ブラジル)[判定3-0]※30-27×3×ジェフ・ヒューズ(米国) ハファエル・ペソア・ヌネス「ヘビー級だけど軽い階級のようにできる」 「最高の気分だ。どのラウンドもやりたかったことがすべてできた。ヘビー級でもかなりのスピードと勢いがあることを証明できたと思う。俺たちだって軽い階級のようにできるんだ。ヘビーだけど、速いのさ」
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