個性が見えるカードも加えていく

──個性豊かな選手の起用は、衆目を集めるための基本の戦略ですね。
「昔の話ばかりで恐縮ですが、ブルース・リーを真似して黄色のトラックスーツを着て出てきた選手とかいたじゃないですか」
──トニー・バレント選手ですね。
「アフロヘアーでコヒさん(小比類巻貴之)と戦ったカンフーの選手。あとはグルグル回って回転技ばかり出してくるセルカン・イルマッツ選手とか。ああいう覚えやすい選手が出てくると、注目されやすいですよね。もちろん実力もないとダメなんですけど、本格派と異色を対決させるとか。そういう組み合わせも可能になってくる」
──試合前からワクワクする対決ですね。
「格闘イベントはスポーツでもあり、エンターテインメントの側面があります。AメロがあってBメロがあって、サビにつながる音楽のように、お客さんを楽しませるように奏でないとダメなんですよね。今は平均的なカードが並んでいるように見えるので、個性が見えるカードも加えていく必要があると思います。例えば空手家ならば、道着で試合をするとか。ビジュアルで分かることも提示できればいいなと思います」
──空手着で試合するとルールがとか、いろいろな問題は浮上すると思いますが、昔は普通にやっていましたね。
「まあ、そうしたルール上の問題が出てくるのでEXPOかなと思ったのですが、まずお客さんをワクワクさせたいですね」
──ぶっ壊してきますね。
「既存の価値観を壊すために、僕はK-1プロデューサーになりましたので、忖度なく言いたいことをいって、できる範囲でやっていきたいと考えています」

──須藤プロデューサーは現役時代もそうですが、価値観を壊すことをテーマにしていましたよね。
「僕自身、今回のK-1プロデューサー就任については何か楽しいことができればいいなと思ったので受けさせてもらいました」
──K-1の歴史は破壊と創造なので、まさに今回の就任は適任なのかもしれません。
「俯瞰で見る目と話題性とニッチな視点の両方を持つようにすれば、大きく間違うことはないかなと思っています」
──成功するために必要なことは何ですか。
「K-1の価値を高めることができれば、すべてが解決していきます。魅力のあるイベントになれば主力選手が抜けることも、契約問題が指摘されることもなくなるはずです。諦める前に、考えられるすべてのことをやってみませんか? というのが、僕からの提案です。やれないことはない。ただやっていないだけだと、僕は思っています」




