MMA
レポート

【PANCRASE】恐るべしラジャボフ、遠藤来生をヒジ&ヒザで粉砕。山口怜臣が無限タックルからダウンも奪い松井斗輝に判定勝ち、大谷が貫井にカウンターヒザでKO勝ち、関が星野にギロチン一本勝ち、水島が増田からダウン奪う判定勝ち、齋藤が土谷を投げて判定勝ち

2025/09/23 12:09
 2025年9月23日(火/祝)東京・ニューピアホールにて昼夜大会の昼大会『PANCRASE 356』(U-NEXT配信)が開催された(※夜大会『PANCRASE 357』速報)。 フェザー級転向タジキスタンのラジャボフが遠藤来生を1R TKO ▼フェザー級 5分3R遠藤来生(Power of Dream Sapporo)7位 15勝12敗3分 66.05kg[1R 3分28秒 TKO] ※右ヒザオタベク・ラジャボフ(TAJMMAF GYM/タジキスタン)2022&2023 IMMAF World Championshipsバンタム級優勝 4勝 66.0kg   タレント揃いのパンクラス・フェザー級戦線で、ランカーたちと激闘を繰り広げてきたタフネスファイター・遠藤。23年3月のRIZIN高木凌戦での2R KO負け以降、PANCARSEで平田直樹、石田陸也に判定負けで3連敗も、24年7月に中村晃司に判定勝ちで再起。  25年3月に木下尚祐に判定負けしたが、地元開催となった6月のRIZIN北海道大会では、ザーシバーディンを流血に追い込み、判定勝ちで見事凱旋を果たした。33歳。  一方のラジャボフは、24年7月、当時5連勝中だった高城光弘を危なげなくバックチョークで下し、バンタム級ランカー入り。間違いなく実力者だが、12月には田嶋椋との一戦が予定されていたものの、自身の体重超過により試合は中止に。今回は階級をフェザー級に上げ、ランカー・遠藤に挑む。フェザー級転向直後、元王者・ISAOを衝撃のKOで仕留めたカリベク・アルジクル ウルルの姿が記憶に新しい中、同じく階級を上げた中央アジアのラジャボフがPANCRASEで猛威を振るうか。22歳。 遠藤「メインの仕事をします」 ラジャボフ「こんにちは、皆さんようこそ。試合をお楽しみに。対戦相手にも幸運を」  1R、ともにオーソドックス構え。ラジャボフはノーモーションの鋭い右。遠藤の入りにカウンターを狙う。左を突く遠藤をかわして左右から左ミドルを当てるラジャポフ。さらに右アッパー、ワンツーに、遠藤はシングルレッグへ。  ケージに押し込む遠藤は、ラジャボフは体を入れ替え左ヒジ! すぐに組むラジャボフは、左ミドル! ヒザ! さらに左ストレート。  遠藤はシングルレッグでケージに押し込み。ラジャボフは腿に鉄槌で体を入れ替え右ヒザ! 遠藤は組み。はがして左ヒジ!右フック、 右ヒザ! 崩れたところに左の蹴りはスタンド状態で頭をかすめるも遠藤はダウン。  1R 3分28秒、TKO勝ち。  ラジャボフが恐るべき強さを見せて遠藤を下した。  試合後、ラジャポフは「試合を見に来てくれてありがとう。日本に来れてとても嬉しい。チームに感謝。特に兄ちゃんに感謝。PANCRASEありがとう、トーキョーありがとう」と語った。  これでPANCRASEフェザー級戦線にはISAOを1R KOに下したキルギスのカリベク・アルジクル ウルルと並んで、タジキスタンのオタベク・ラジャボフがトップ戦線に。王座挑戦者争いでは両者の対戦もあるか。RIZIN参戦中(9.28 vs.高木凌)のPANCRASEフェザー級王者の三宅輝砂の首を狙うことになる。日本MMAのフェザー級戦線では、9月28日にRIZINでキルギスのラジャブアリ・シェイドゥラエフとロシアのビクター・コレスニックが対戦、ウズベキスタンのイルホム・ノジモフも頭角を現している。中央アジア・ロシア勢が席巻するフェザー級戦線は、海外勢対決も注目となりそうだ。 会見・公開練習でのコメント ラジャボフ「カリベクとは王者になるという同じ目標を持っている。いつか戦うことも」 「今まで3連勝していますけれども、23日にも必ず勝って、徐々にさらに大きな舞台で試合ができるように、しっかりと勝利を重ねていきたいなと思っています。 (7位の遠藤との対戦)遠藤選手は経験が豊富で戦績もたくさんありますし、年上でもある。なので、リスペクトはしているけれども、自分は若くて戦績はまだそんなにないけれども自信を持っているので、絶対に勝てると思っています。今回の試合において、自分のアドバンテージは、相手の方が背が低くて、自分の方が背が高いというところだと思っています。打撃でもレスリングでも積極的に戦って、判定に委ねることなくフィニッシュしたいと思います。 (フェザー級に上げて)自分はMMAファイターなので、打撃でも寝技でもすべての技術の自信を持っていて、それはバンタム級でやっていた時よりもかなりコンディションが良いのでより自信を持っています。それは減量幅が少なくなったことが一番大きい。おそらく以前のバンタム級の時よりもパフォーマンスが上がると思っています。 (計量前々日も)すでに体重がほとんど作れている状態なので、非常にいいものを試合で見せられると思います。技術においては、自分はMMAの新しいジェネレーションだと思っているので。打撃でこれ、寝技でこれというものではなくて、もうすべてにおいて、相手がどう出てくるかによって、見せるものがどんどん変わってくると思っています。 (同じ中央アジアでキルギスのカリベク・アルジクル ウルルがフェザー級4位だが)もちろんカリベクの活躍は知っています。自分はタジキスタンで同じ中央アジアの選手がこうして活躍しているのは非常に嬉しい。そしてお互い同じ目標を現時点では持っている──PANCRASEのベルトを狙うということ──いつか戦うことがあるかもしれないと見てもいます。  カリベクと会ったことは無いのですが、共通の友人はいます。彼は打撃が非常に上手くて、常に打撃戦を好んでいるなという印象です。(現在の自身との差は?)今戦ったとしても、自分はまあ自信がありますけれども、いまはそういうことはあまり考えずに、もしPANCRASEで今後、試合が組まれるのであれば、エキサイティングな試合はできると思っています。 (中央アジア勢の強さの秘密は?)中央アジアの選手の活躍は知っていますが、それらの選手がすべて強いというのはステレオタイプだと思っています。特に大きな秘密は無くて、みんなどの国にいても同じだと思います。ただ、強いて言うならば、我々は非常にハードワークをする選手が多くて、とても大きな目標を持ってやっている。そこが違いなのかもしれません。日本のファンの皆さん、ぜひ9月23日、試合を見に来てください。応援、本当にありがとうございます」 [nextpage] バンタム級の松井斗輝に山口怜臣が組んでダウンも奪い5連勝 ▼バンタム級 5分3R×松井斗輝(THE BLACKBELT JAPAN)5位 7勝2敗 61.55kg[判定0-3] ※28-29×3〇山口怜臣(TIGER MUAY THAI)8位 2024年NBT同級優勝&MVP 4勝1敗 61.6kg  山口の負傷により7月立川大会で中止となっていたカードがニューピアホール(NPH)で実現。  バンタム級に階級を上げた24年11月NPH大会で、矢澤諒にヒザ蹴りを効かせてからのパウンドで秒殺KO勝利を収めた松井。好カードと注目を集めた25年3月の横浜大会での井村塁戦では、リアネイキドチョークで敗れ涙を飲んだ。  対する山口は昨年NBTを制し、MVPを獲得。4月立川大会では平岡将英を盤石のドミネートスタイルで完封し、現在4連勝中。  高いボクシング技術を武器に試合を決める一発を持つ松井と、鉄壁の試合運びで相手に付け入る隙を見せない山口。激闘必至のこの一戦は、将来を嘱望される若手ファイター同士による出世レースだ。 松井「試合のためにしっかりやってきたんで、明日はしっかりやり切ります」 山口「あとは運命っていうぐらいやってきたんで、しっかりやり切りたいと思います」  1R、サウスポー構えの山口が先に中央を獲りシングルレッグで崩して松井の立ちにハイクロッチで持ち上げ崩すも、松井もスタンドキープ。山口のバッククリンチに正対も、山口はシングルレッグ。ここも片足立ちから着地し、右ヒザを突く松井。  なおも押し込む山口は、ハイクロッチから右差しも、松井は左小手で残して正対し、首相撲ヒザ。離れる松井をすぐに詰めて反対コーナーまで電車道で押し込む山口。尻まで着かせるが、上で打ち合い。松井の打ち返しを潜ってダブルレッグテイクダウンを中央側に。  ケージまで這う松井は立ち上がり。山口を首相撲から剥がすが、山口はなおもダブルレッグからケージまでドライブ! 松井の立ち上がりを押し込みながら細かいスタンドのパンチ。足をかけて引き出し崩してダブルレッグでホーン。無限タックルを続けた山口のラウンドに。3者10-9で山口。  2Rもすぐに間合いを詰める山口。そこで松井は体を入れ替え、押し込み。押し返す山口にヒザを突く。松井の右をかわして組む山口を、体を入れ替え、両差しは松井。離れて右ハイの松井。ブロッキングの山口は左ボディ。さらに左で松井を崩す。ハイクロッチで崩す山口は、立ち際に左右を振って組む。脇潜りバッククリンチ。正対した松井にヒザもローブローに。中断。  再開。松井の蹴り終わりに組む山口。松井は体を入れ替え、押し込み。互いにヒザ。山口が押し込み左を当てる。松井もショートを返すが、山口は殴って組んでダブルレッグ。  ケージ背に差し上げる松井にヒザを突き上げる山口! 離れる松井に間合いを取らせない山口。松井は打撃の軸がブレ始める。山口が組んで押し込みホーン。左でダウンを奪った山口が10-9×3でジャッジ支持。  3R、山口の入りに松井は右を当てるが、バッティング。しかし詰める山口はダブルレッグ。差し上げる松井が右で前に。しかし、組んで脇を潜る山口は、なおも詰めて崩して押し込み。首相撲ヒザで離れた松井。  ともに苦しい時間帯。ダブルレッグで走る山口は左ミドル。松井はヒザで離れる。バックフィストから組む山口、松井は首相撲ヒザ。なおも押し込む山口は、ダブルレッグに移行。離して右をヒット!  しかし、突き放す松井。そこにシングルレッグの山口を切ると、山口は引き込みに! 初めて上を獲った松井は両ヒザ着いてパウンド。山口はハーフで下から鉄槌。松井はヒジ、パウンド連打も決定打は与えられず。  3者29-28×3で山口がタフファイトで勝利。5連勝を飾った。 [nextpage] フライ級22歳の谷村泰嘉vs24歳の水戸邉荘大の試合は、水戸邉が体重超過で試合中止に 【中止】▼フライ級 5分3R─谷村泰嘉(空手道禅道会総本部TEAM TIGER)4勝2敗 57.05kg ─水戸邉荘大(TRIBE TOKYO MMA)4勝1敗 57.30kg ※体重超過  25年5月の大阪大会で、約3年ぶりの復帰を果たした谷村。復帰戦では上位ランカー・秋葉太樹に判定で敗れたものの、最終ラウンドではあと一歩でフィニッシュという場面まで秋葉を追い詰め、存在感を示した。22歳。  対する水戸邉は、これまでの敗戦は実力者・ジョセフ・カマチョとの一戦のみ。山﨑聖哉を1R TKO、金澤臣人を2R RNC、西塚丈人を1R TKO。  カマチョのギロチンには敗れたものの、24年12月の前戦で小林了平に判定勝ちで再起を遂げている。4勝中3つのフィニッシュと高い決定力を誇る。24歳。今後のフライ級戦線を揺るがすであろう、勢いある若手同士による注目の戦い(※水戸邉が体重超過で「試合中止」に)。  谷村「この前は自分のパフォーマンスを最大限できなかったんで、今回は自分のパフォーマンスを最大に発揮して必ず勝ちます。応援よろしくお願いします」 [nextpage] 大谷が貫井を左ヒザKO ▼フェザー級 5分3R×貫井義規(OOTA DOJO)7勝7敗4分 65.75kg[2R 0分11秒 KO] ※左ヒザ〇大谷啓元(パンクラスイズム横浜)7勝11敗1NC 65.8kg  大谷「やりきって勝ちます」  1R、先に組んだ大谷が小外がけテイクダウン。ハーフの貫井を肩固めも狙いながら寝かしつける。貫井はブリッジも抑え込んでホーン。3者10-9で大谷を支持。  2R、貫井の頭を下げた入りに、サウスポー構えの大谷はヒザを合わせてKO勝ち。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R×星野柊哉(OOTA DOJO)1勝2敗 65.85kg[2R 2分35秒 ギロチンチョーク]〇関 翔渚(BRAVEGYM)2勝 66.2kg  1R、ともにオーソドックス構え。長身の関に先に組む星野がボディロックテイクダウン。関の立ちにニンジャチョーク狙いも首を外に出して外す関。星野の前蹴りがローブローに。再開。  関の間合いをつぶして組む星野は四つも突き放した関。アイポークに。再開。星野のシングルレッグを切る関だが、星野はダブルレッグテイクダウン。首狙う関に外して関の立ち上がりにバックに。  中腰になって前に落とそうとする関。星野はグラウンドに引きずり込むとバックキープのままホーン。3者10-9で星野支持。  2R、増田の右をかわした関が組むも離れて右ハイ。ブロッキングの星野はシングルレッグで崩しながら右。離れる関は右を突いて前に。サークリングする星野に左右連打。星野の組みを切って右を当てると星野の押し込みにギロチンチョーク! マウントに移行してタップを奪った。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R×増田怜央(KING CRAFT)2勝4敗 61.45kg[判定0-3] ※28-29×3〇水島和磨(香取道場)2勝1敗 61.65kg  1R、増田はシングルレッグ。差し上げる水島は四つに。突き放してサウスポー構えから左で詰めるが、ケージ背にする増田が右でダウンを奪う。左インローの水島。さらに左オーバーハンド、左ハイで前に。増田をケージに詰めて跳びヒザも。増田のシングルレッグを切ると、スタンドに戻して左ヒザで増田を崩す。  下になる増田は引き込みから立ち上がり。左右の水島はダブルレッグテイクダウン。増田はハーフも下のままホーン。1者が増田支持も、2者10-9で水島のラウンドに。  2R、シングルレッグの増田が引き寄せてテイクダウン。送り手を獲りに行く増田は左足をかけるが、立つ水島は正対して体を入れ替えようとするが、増田が押し込みブレーク。  前手の右で飛び込む水島はインローも。さらに左ストレート。増田もインローを返して歩いて右を当てる。水島の入りに左も突く。右オーバーハンドは空振り。水島は右ジャブ。増田は右ミドルハイ。さらに右を突くとシングルレッグテイクダウン。すぐに立つ水島は左ストレート。増田は右ハイをガード上に突く。1者水島も、2者10-9で増田を支持。  3R、右インローを突く増田はシングルレッグテイクダウンもすぐに立つ水島は右ロー。バックフィストは空振り。ワンツーの左でダウンを奪う水島。増田のシングルレッグを切って詰めに。左ミドル。増田も右ミドルを返すと、左ジャブ。圧力をかけた水島は左ミドルをヒット。増田はシングルレッグから押し込み。  突き放す水島。増田は押し戻して右の相打ち。水島は外足を取って左ストレート、左ミドルで前に出てホーン。水島のラウンドに。判定3-0(29-28×3)で水島が勝利。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R〇齋藤楼貴(暁道場)2勝3敗 57.05kg[判定3-0] ※30-27×3×土谷 wisdom 勇斗(T-BLOOD)1勝1敗 57.0kg  1R、ともにオーソドックス構え。両者カーフから。ボディ打ちの土屋。組む齋藤。土屋は外掛けテイクダウンを狙う。残して投げてテイクダウンは齋藤。打撃でも手数を出した齋藤をジャッジ3者が10-9で支持。  2R、齋藤は左右ロー。左ハイも。土屋はダブルレッグテイクダウンも齋藤はギロチンチョークで絞めてホーン。2Rも3者10-9で齋藤。  3R、詰める土屋は右。潜る齋藤はダブルレッグからケージ押し込みも、突き放す土屋。なおも組む齋藤。シングルレッグから四つに。体を入れ替える土屋は離して前に出るが、組む齋藤は持ち上げてテイクダウン! スクランブルの土屋にネルソンからスープし、バックからリアネイキドチョーク狙いでホーン。  判定3-0(30-27×3)で齋藤が勝利した。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.341
2025年12月21日発売
大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント