GLORY世界ライト級王者ティジャニ・ベスタティ(オランダ)のMMAデビュー戦が、2025年11月2日(日本時間3日)の『LFL XL』に決定した。LFLによれば試合は、オランダ・アムステルダムのスタジオを備えたMEDIA HAVENで行われる予定。すでにベスタティはMMAレスリングに取り組んでいることが分かっている。
また、日本の野杁正明、タイフン・オズカンらと対戦したユネス・スマイリ(モロッコ/オランダ)が、11月1日(日本時間2日)キュラソーのHFL『HONOR Fight League 6』でプロMMAデビューすることも発表された。同大会には元GLORYウェルター級王者エンディ・セメリア(キュラソー/オランダ)も参戦する。
さらにGLORYミドル級コンテンダーのマイケル・ボアペア(ガーナ/オランダ)、ヘビー級トーナメント優勝レヴィ・リクターズ(オランダ)もともにMMAトレーニングに取り組んでいる。
(C)HFL
GLORYトップファイターはその待遇や試合間隔などで不満を表明しており、特に中量級ファイターの移籍やMMA転向の動きが活発化しそうだ。
“絶対王者”ベスタティは、25年8月に海人(TEAM F.O.D)にフルマークの判定勝利後、2024年3月にエンリコ・ケールにも判定勝ちでライト級王座5度目の防衛に成功。GLORYのライト級部門休止に伴い、7月にはウェルター級に階級を上げ、王者チコ・クワシと2度のドローとなっていた。27歳。
(C)GLORY
MMAデビュー戦に向け、ベスタティは「GLORYとの約10年を経て、私は自分のキャリアで新しい挑戦をする時が来たと決めました。18歳から、私は世界で最高のものしか向き合っていない。その途中で成し遂げたことを誇りに思っている。GLORYがチャンピオンとしてだけでなく、ファイターとして、男として成長できるチャンスをくれたことに感謝しています。18歳でGLORY史上最年少ファイター契約からモロッコ史上初のチャンピオン、23歳で最年少チャンピオン、そしてGLORYライト級史上最多優勝記録を保持した忘れられない旅となりました。
全能なる神アッラー、私の家族、私の友人、そしてDaysジムのチームなしでは、これらのどれもあり得なかったでしょう。長年にわたって支えてくれたファン、サポーターの皆さん、ありがとうございました。これで終わりじゃないから、これからも応援して。それは何か偉大なことが始まったばかりだ」とのコメントを発表している。
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ペレイラ、アデサニヤに続きベルガウイ、ヴァキトフがDWCS勝ち上がりでUFC契約へ
(C)Zuffa LLC/UFC
GLORYからMMAに転向したファイターで最も成功しているのは、元GLORY世界ライトヘビー級&ミドル級王者のアレックス・ペレイラ(ブラジル)で、UFCで世界ライトヘビー級&ミドル級王座についている(※現ライトヘビー級1位、10月4日にマゴメド・アンカラエフと再戦)。
そしてGLORY時代からペレイラのライバルであるイズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)も元UFC世界ミドル級王者で現同級5位。元GLORYウェルター級王者のセドリック・ドゥンベ(カメルーン/フランス)はPFL/Bellatorチャンピオンシリーズで2勝1敗(MMA6勝1敗)。
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MMA8勝3敗、GLORYミドル級コンテンダーのユースリ・ベルガウイ(オランダ)は、今回ベスタティがMMAデビューするLFLで白星を挙げて、2023年、2024年のダナ・ホワイト・コンテンダー・シリーズ(DWCS)に挑戦。25年10月13日の『UFC Fight Night: de Ridder vs. Hernandez』カナダ大会でアザマト・ ベコエフ相手にUFCデビュー戦が決まっている。
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同じくDWCSを経たセザー・アウメイダ(ブラジル)はすでにUFC3勝1敗。GLORY時代にアレックス・ペレイラと1勝1敗、ライトヘビー級史上最多防衛を誇るアルテム・ヴァキトフ(ロシア)は24年10月のDWCSでイスラム・マサハフを1R TKOに下し、UFCとの契約を決めている。また、K-1MAX&GLORY王者マーセル・グローエンハート(オランダ)はLFLで21~22年にMMA3勝を挙げて、23年にGLORYに再参戦を果たしているが、38歳でその後、試合から遠ざかっている。
(C)LFL
今回のベスタティのMMA転向は、そんな背景を受けてのもので、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国の総称である“ベネルクス”最大のMMAプロモーションを謳う『Levels Fight Leagu』には、ベルガウイのようにUFCなどメジャープロモーションにステップアップを果たすもの、トム・ブリーズやピーター・バウシュトのようにUFCやONEから地元に拠点を移す者など、欧州・オランダのファイターの受け皿となっている。
2021年のコロナ禍のなか配信形式でLFLをスタートさせたオーナー兼CEOのドノバン・パナイオティスはプロMMAで3勝0敗。そこに詠春拳の五段黒帯のダニー・メンケンが新会長として加わり、「私たちの献身はイベント開催だけにとどまらない。LFLは若いアスリートたちの夢を実現する場。現代のリコ・ヴァーホーベンやバダ・ハリのようなアスリートたちに、輝ける舞台と機会を提供する」と、キックボクシング王国オランダで、欧州の新鋭を発掘し世界に送り出す目標を掲げている。
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イリア・トプリア、イスラム・マハチェフ(※ウェルター級王座挑戦)という世界最高峰のライト級という中量級で、GLORY王者ティジャニ・ベスタティは、LFLで経験を積み、どこまで登っていけるか。