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【ONE】ヘメッツバーガーがブンタンを破りONEストロー級ムエタイ世界王者に、シャドウがクヤテをバックブローTKO、アブドゥラエフがTKO勝ちでMMA13戦無敗に、タイ・ルオトロがエイドリアン・リーに一本勝ち、無敗対決は陽勇が見事なTKO勝ち

2025/09/06 10:09
ONE Fight Night 352025年9月6日(土)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼第8試合 ONEストロー級ムエタイ世界王座決定戦 3分5R×ジャッキー・ブンタン(米国/ONEストロー級キックボクシング世界王者)[判定0-3]〇ステラ・ヘメッツバーガー(豪州)  ブンタンは2021年2月にONE初参戦。パワフルな左右フックを武器にワンダーガール、エカテリーナ・ヴァンダリーバらに3連勝し、4戦目でストロー級ムエタイ世界王者スミラ・サンデルに挑戦したが判定で敗れた。その後は3連勝をマークして2024年11月にアニッサ・メクセンを判定で破り、初代ONEストロー級キックボクシング世界王座に就いた。今回は2競技制覇を狙う。戦績は27勝6敗。  ヘメッツバーガーはアマチュアで多くの試合経験を積み、2023年WAKO世界選手権K-1ルール-60kg級で金メダルなど多くのメダルを獲得。2022年4月にプロデビューし、2024年10月からONE FFに参戦すると3連勝を飾った。戦績は8勝(3KO)2敗。  1R、両者とも距離をとって慎重な出足。じりじりと前に出るブンタンは左ローから左ミドル、ヘメッツバーガーは踏み込んでのワンツー、ブンタンも右を返す。ヘメッツバーガーの右ハイを空振りさせると、ブンタンが左フック。連打で前へ出て左フックをヒットさせたブンタンは、さらに右フックからの左フック、左ボディとヘメッツバーガーをロープ際へ追い込む。  しかし、ヘメッツバーガーの右ハイをスウェーでかわし、前へ出て右フックを打とうとしたところにヘメッツバーガーが蹴り足の着地と同時のショートの右フックを叩き込んでダウンを奪う。右ストレートで前に出るヘメッツバーガーにブンタンも下がりながら左右フックを返す。ラウンド終了直前、ヘメッツバーガーの右ハイをスウェーでかわしたブンタンに、またもヘメッツバーガーが足の着地と同時に右ストレート(ただし左手でロープをつかんでいた)。ブンタンが2度目のダウンを喫する。  2R、ブンタンはヘメッツバーガーの蹴り足をキャッチして組みの展開に2度持ち込む。強い右ローを蹴っていくヘメッツバーガーに、ブンタンが左フックから入っていくがヘメッツバーガーの右を被弾。ヘメッツバーガーは鼻血がひどくなるが、ステップを止めずに動く。  3R、前に出てくるブンタンにヘメッツバーガーは右ローを蹴っていきジャブで押し戻す。ブンタンは右ローから左右フック、ヘメッツバーガーは前蹴りで引き離す。ヘメッツバーガーの右ミドルに右ストレートを合わせるブンタン。左右ミドルを蹴るヘメッツバーガーにブンタンは左右フックで前へ。ヘメッツバーガーは蹴りを多用し、右ストレート。  4R、自らの鼻血で白いコスチュームが真っ赤に染まるヘメッツバーガー。左右に回り込むヘメッツバーガーにブンタンはアタックするが、ヘメッツバーガーも右ストレートを返してくる。さらに前蹴り。右ミドルではブンタンを転倒させた。このラウンドはヘメッツバーガーの前蹴りが目立つ。攻めあぐねるブンタンへヘメッツバーガーは右ボディストレート。ヘメッツバーガーは左ミドルをキャッチされると、すかさず左のパンチを放つ。蹴り合いも最後に蹴るのはヘメッツバーガー。  5R、じりじりと前に出るブンタンに対し、ヘメッツバーガーはステップで左右へ回り込む。左右フックで入り込むブンタンに、ヘメッツバーガーはワンツー、首相撲からのヒザ蹴りで対抗。ヘメッツバーガーのハイキックをスウェーでかわすブンタンは、その後のパンチを警戒してリターンが出来ない。右ショートをヒットさせるブンタンだが、ヘメッツバーガーはすぐに離れて連打を許さない。左右フックでヘメッツバーガーにロープを背負わせたブンタンだが、ヘメッツバーガーは組み付いて追撃を止めた。  今大会唯一の判定決着は、3-0で2度のダウンを奪ったヘメッツバーガーの勝利。ONE4連連勝で王座に就いた。  ベルトを巻いたヘメッツバーガーは「言葉で表現できないほど嬉しい。初の5R戦だったので冷静に戦えと言われました。しっかり見ていたので1Rでダウンを奪えました」と勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼第7試合 フェザー級ムエタイ 3分3R×バムパラ・クヤテ(フランス/Team Mehdi Zatout)[2R 1分20秒 TKO]※レフェリーストップ〇シャドウ・シンハマウイン(タイ/Singha Mawynn)  元WMCムエタイ世界王者の肩書を持つクヤテは現在2連続KO中。2024年7月の『ONE Fight Night 23』で激しい打撃戦の末、米国強豪ルーク・リッシを3RでKO撃破。続く今年1月の『ONE 170』で、現在ランキング5位で過去にタイトル挑戦の経験を持つジョー・ナタウットを1Rでフィニッシュし、大きなインパクトを残した。戦績は36勝2敗。  シャドウは元ラジャダムナンスタジアム王者。ONE Friday Fightsで5勝1敗の好成績を収め、ONE世界タイトル挑戦の経験を持つジミー・ビエノ、シッティチャイらを撃破。今年3月の『ONE Friday Fights 100』でハッサン・バーダニラッドを2R KOで倒し、5連勝を飾ると遂にONEの本戦契約を獲得した。直近では、7月の『ONE Fight Night 33』でモハメド・ユーネス・ラバと対戦したが、偶発的なアイポークによりユーネス・ラバが続行不可能。ノーコンテストとなっていた。  この勝者は、現フェザー級ムエタイ世界王者のタワンチャイ・PK・センチャイへの挑戦権を獲得する可能性が高い。  1R、シャドウは前蹴りで先制し、右ロー。クヤテは右カーフを2発返すが、シャドウもすかさず右ローを返す。クヤテは右カーフを2発蹴る。蹴り足をキャッチして軸足を蹴りコカすクヤテ。シャドウは右ローを奥足に蹴り、クヤテはそこへワンツーを狙う。シャドウの左右フックは空振り。  2R、シャドウの右ミドルをキャッチして右ストレートを放つサウスポーのクヤテ。その後もスイッチを繰り返す。シャドウは右ミドルと右ロー。右ハイを空振りすると、左フックを打とうと前に出てきたクヤテへそのまま回転してのバックハンドブローをヒットさせ、右フックの追撃でダウンを奪う。  クヤテは立ち上がるもフラフラ。レフェリーがストップした。  リング上には母親も上がり、「(バックハンドブローは)自然に出ました。蹴りの流れで手が出たんです。母が僕のモチベーションなんです。子供のころ、母と一緒に野菜を売っていました。ベストを尽くしてベルトを狙います」と勝利者インタビューに答えると5万ドルのボーナスが贈られた。 [nextpage] ▼第6試合 フェザー級MMA 5分3R〇アクバル・アブドゥラエフ(キルギス/Al Munar Team/Tiger Muay Thai)[3R 3分49秒 TKO]※レフェリーストップ×イブラギム・ダウエフ(ロシア/Fight Club Akhmat/One Chance)  無敗のアブドゥラエフは158.75ポンドで計量失敗。タン・カイ戦に続きキャッチウェイト戦に。  アブドゥラエフはMMA12勝(11KO・TKO、1SUB)0敗、ONE4戦含め全試合をフィニッシュ勝利しているキルギスの強豪。 ボクシングベース、ムエタイのジュニア代表を経て、軍ではハンド・トゥ・ハンド・コンバットも経験。コンバットサンボも習い、MMAへ。  25年の1月の前戦ではタン・カイの持つONE世界フェザー級王座に挑戦も、計量失敗でノンタイトル戦に。5RにパウンドでTKO勝ちも戴冠ならず。27歳。  対するロシアのイブラギム・ダウエフは、MMA11勝1敗。デビュー2戦目で判定負けを喫したものの、その後はACA Young Eagles等で連勝し、ONEで3連勝中。マーク・アベラルド、マゴメド・アカエフ、ペドロ・ダンタスをいずれも判定で下している。24歳。  1R、両者軽快なステップを踏み、前手の右フックを多用。アブドゥラエフは右カーフ、右ボディストレート。ダウエフがダブルレッグに行くもこれは失敗。2度目のトライでロープに押し付け、テイクダウンに成功する。右手をマットに着いて上体を上げ、ヒジを打つアブドゥラエフ。バックをとりにきたダウエフにアブドゥラエフは立ち上がるが、ダウエフが持ち上げて両手をマットに着かせる。  ダウエフのバックコントロールが続く中、アブドゥラエフが投げの動きから離れることに成功。すぐにフックで攻め込み、テイクダウンに成功すると立ち上がってパウンドを落とす。ダウエフは下から三角絞め、そして腕十字へ。これも外したアブドゥラエフがパウンドを打つ。ドントムーブでリング中央に戻されたところでラウンド終了。  2R、左右フックを放つダウエフをジャブで下がらせるアブドゥラエフだが、ダウエフの右ストレートを被弾。シングルレッグに行くダウエフにアブドゥラエフはガブる。シングルレッグで粘るダウエフだったが、アブドゥラエフが逆にテイクダウン。 ガードのダウエフにアブドゥラエフは頭を胸につけながらのパウンド。上体を起き上がらせるとヒジ、パウンドを打つ。下からヒジを打つダウエフを抑え込み続けるアブドゥラエフ。単発ながらパウンドを打って行き、ラウンドを支配した。  3R、アブドゥラエフはいきなり後ろ廻し蹴りを繰り出し、キャッチしたダウエフがテイクダウンに行くもアブドゥラエフはすぐに立ち上がり、逆にテイクダウンする。ロープ際から中央に戻され、再びガードのダウエフの胸に頭をつけてパウンドを打って行く。立ち上がってパウンドを強打したアブドゥラエフは鉄槌の連打。ダウエフはシングルレッグもアブドゥラエフに押し潰される。ダウエフの下からの仕掛けも外し、パウンドを打って行くアブドゥラエフ。  残り約1分半でブレイク。スタンドに戻るとアブドゥラエフが左フック空振りからの右フックをヒットさせてダウンを奪う、すかさずパウンドの連打。一気にパウンドをまとめ、レフェリーストップを呼び込んだ。  アブドゥラエフは「本当にきつい試合でした。計量後のリカバリーも苦しくて。計量オーバーでベルトは取れてないが自分がチャンピオンでもおかしくないと思う。これからも頑張ります」と勝利者インタビューに応えた。 [nextpage] ▼第5試合 バンタム級ムエタイ 3分3R〇ランボーレック・チョー・アッジャラブーン(タイ/Superbon Training Camp)[2R 2分01秒 TKO] ※レフェリーストップ×ドミトリー・コフトゥン(ロシア/RUS Gym/Sitsongpeenong Muay Thai Camp)  ランボーレックはONEで5勝(3KO)2敗。現在3連勝中。コフトゥンはONE2戦目でノンタチャイにKO負けを喫しているものの、フェラーリ、スーブラック、ソー・リン・ウーには勝利して3勝1敗の戦績を持つ。  1R、サウスポーから前に出てくるのはコフトゥン。ランボーレックは右ミドルハイ、コフトゥンの左ローには右ローを返す。前手でランボーレックの前手に触れ、距離を測るコフトゥン。ランボーレックは下がりながらも右インロー、右ミドルハイを蹴っていく。  ジャブでコーナーへ追いつめ、左ミドル、左ストレートを放つコフトゥン。下がり続けるランボーレックだが、左右の大きなフックを放つなどコフトゥンのペースにはさせない。コフトゥンはパンチから最後は必ず左ミドルを蹴る。  2Rも前手を使いながら前に出るコフトゥン。このラウンドはランボーレックも下がらず、徐々に圧をかけて右ミドルハイを蹴る。その前に出るランボーレックを左ストレートで迎え撃つコフトゥンは左ボディストレートも打つ。前に出るランボーレックは右ストレートを何度も伸ばしていき、潜り込んで右フックを打ったところで、コフトゥンが左フックを打って来るとカウンターの左フック一閃。  コフトゥンがバッタリと倒れ、レフェリーが様子を見てストップした。ランボーレックの鮮やかなTKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第4試合 ONEライト級MMA 5分3R×エイドリアン・リー(米国)[2R 4分14秒 リアネイキドチョーク]〇タイ・ルオトロ(米国)※MMAデビュー戦  タイ・ルオトロは、史上最年少のIBFFJ黒帯世界王者。ONEでは2022年5月のゲイリー・トノン戦のダースチョークで一本勝ち以降、元二階級王者のライニアー・デ・リダー、アイザック・ミシェル、ジョゼフ・チェン、ダンテ・レオンら強豪を撃破し8連勝中。ウェルター級サブミッション・グラップリング王座は2度防衛に成功している。22歳。 “ザ・フェノム”エイドリアン・リーは、言わずと知れた“最強遺伝子”リー一家の末っ子。元ONE女子アトム級王者アンジェラ・リーと早逝したビクトリアを姉に、ONEライト級&ウェルター級の2階級制覇王者クリスチャン・リーを兄に持つ。3歳から格闘技を始め、アマチュアMMAでもハワイでベルトを巻くと、24年6月の『ONE 167』でアントニオ・マンマレッラに2R リアネイキドチョークに極め、ONEデビュー戦を白星発進。同年9月の『ONE 168: Denver』でニコ・コルネホも同じくリアネイキドチョークでタップを奪い、連続一本勝ち。25年3月の前戦は日本大会で小川健晴を1R アナコンダチョークで極めている。  MMAではアマチュアキャリアも豊富で、タイより1年早くプロデビューし、3連勝中のエイドリアンは、オーソから188cmの長いリーチ・コンパスを活かした打撃で詰めてのテイクダウンからバックやがぶりからのチョークを得意とするが、その際でのがぶりヒザ、パウンドで削ってポジションを奪う、MMAグラップラーだ。  一方で、タイはグラップリングでもボトムを好まず、レスリングでもジェイソン・ノルフと真っ向勝負するなど、スクランブルも強いトップゲームのファイター。そのサブミッションの精度はエイドリアンより高いが、スタンドから始まる、初のMMAでの立ち合い、そして組み際の打撃が、いかにグラップリングに影響するか。  弟のケイドはすでにMMAで3連勝中で、入り・離れ際の左右ハイキック、アフメド・ムジタバをテイクダウンと同じ動きから右オーバーハンドでダウンを奪うなど、打撃を自身の強いグラップリングに取り込んでいる。リーチでエイドリアンをも上回る191cmのタイも、ケイドとMMAトレーニングを積んでおり、同じ強味を活かしてくるだろう。  しかし、エイドリアンもクリスチャンの弟。MMAグラップラーの戦い方を熟知しており、アタックし続ける動きのなかでフィニッシュを量産し、簡単には極められない防御力も持つ。互いにスクランブルも得意とするなか、MMAで上回るのはどちらか。  3回連続5万ドルのパフォーマンスボーナスを獲得中のエイドリアンにとっても、タイはこれまでで最も過酷な相手といえる。しかし、19歳のリーは以前、「ルオトロにとって自分は良い相手ではない」と、MMAの初陣で戦うには自身はタフな相手、としていた。2人の若き天才による、新しいMMAが見られるかもしれない、ONEライト級戦だ。  1R、サウスポー構えのタイ。オーソのエイドリアン。タイは右前蹴りからシングルレッグへ、右で差すタイにエイドリアンは左小手もタイはボディロックテイクダウン。クローズドガードのエイドリアンは下からヒジ。タイはインサイドガードからヒジ。エイドリアンはラバーガード。腕十字を狙うエイドリアン。スラムで抜いて離れるタイに、エイドリアンは立ちにはいかず。  足をさばきつつ中腰パウンドでパス狙いのタイに、エイドリアンは下からヒジ、蹴り上げ! かすめながらかつぎパスのタイ。足を戻しながらヒジのエイドリアンだが、タイは右足でパスし、すぐにマウント!  ヒジを打ち下すタイにボディロックからシザーズで立ち上がるエイドリアン! 左右連打でまえに出ると、タイも左ハイ、右を突く。エイドリアンは鼻血。  2R、左ジャブのエイドリアンに、タイは左の蹴りを上下に。さらに右ジャブをヒット。打ち合いにも臨む。右の蹴りから前に出るエイドリアンは右! タイは左ストレート。アッパー。エイドリアンは構わず前に。そこにダブルレッグテイクダウンのタイはエイドリアンの立ちを寝かせてパウンドとともにマウント。  エイドリアンのロープウォークに合わせて腕十字へ! 足を顔から外して抜けるエイドリアンにトップを取りに行くタイ。しかしエイドリアンは背中を見せて立ち上がり。コーナー際で背後からアッパー! さらにバックテイク! 両足がかかりボディトライアングルに。  ロープ下にエイドリアンの頭が出てストップドントムーブも、タイは再開からリアネイキドチョーク。いったんは後ろ手をはがしたエイドリアンだが、タイはパームトゥパームで組んで絞めると、エイドリアンがタップした。  試合後、一本勝ちのタイは5万ドルボーナスを獲得。セコンドのエリック・パーソンらに感謝の言葉を述べた。  試合後、タイは「ちょっと吐きそうになったよ(苦笑)。僕の考えとしては、できるだけ早く仕留めるのがプランだったんだけど、本当にエイドリアンがタフだったから実現しなかった。2ラウンドまで持ち込まれた。経験を積めたのは良かったけど、手を自由に動かせて気持ち良かった。キャンプ中ずっと顎を下げろと言われてたから、確かに数回ヒットされた。でも、なんて試合だ。エイドリアン、本当にありがとう。君たち兄弟は伝説だ。輝かしい未来がある。今夜、負けた者はいない。彼自身も間違いなくチャンピオンへの道を歩んでいる。ちょっとしたつまずきだったけど、エイドリアンと家族に感謝する。みんな、愛してる。 (立ち合いもしたが?)最高だったよ。言った通り、1分程度で終わると思ってたから、経験が積めて嬉しいよ。思ったよりずっと長くて、本当に大変だった。彼は本当に手強いけど、すごく楽しい相手だった。ただ、無事に終われたことが本当に幸せだ。エイドリアンも大丈夫だといいな。あまり怪我をしていないといいけど。 (5万ドルボーナス獲得に)勝利だぜ、最高だった。チャトリ、愛してるよ。本当にありがとう。感動したよ。望み得る全て、願い得る全てが、これだ。世界最高のコーナーだ。ケイド・ルオトロ、エリック・パーソン、タイラー・ウォンブルズ。みんな本当にありがとう。みんな大好きだ。心から感謝する。故郷のみんなもね。僕の美しい恋人ジュリアン、美しい母と妹。君たちを心から愛している。祖父母、そして見守ってくれている皆さん。ロイド、君を心から愛している。ありがとう」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 ONEフライ級ムエタイ 3分3R〇ジョハン・ガザリ(マレーシア/米国/Rentap Muaythai Gym)[1R 2分10秒 TKO] ※レフェリーストップ×ザカリア・ジャマリ(モロッコ/Superlek Gym)  18歳のガザリは家族全員がムエタイ選手。ONEには2023年2月の『ONE Friday Fights 6』から参戦すると、タイ、ロシア、メキシコのファイターに5連勝。2024年6月の『ONE 167』で本戦初出場を果たしたが、ニューイェン・トラン・デュイ・ニャットに判定負け。9月の『ONE 168』ではホスエ・クルスを初回KO。2025年1月にはジョハン・エストゥピニャン、6月にはディエゴ・パエスに連敗し、ONEでの戦績を6勝(5KO)3敗とした。  ジャマリは2024年3月の『ONE 166』でアリ・サルドエフにKO負けも、5月の『ONE Fight Night 22』ではトンプーンに判定勝ち。8月の『ONE Fight Night 25』では体重超過したうえにアリーフに初回KO負け、10月にジョハン・エストゥピニャンに2RでKO負け、2025年3月は陽勇に1RでKO負けと3連続KO負けを喫している。元プロボクサー。  ガザリのセコンドには、11月の日本大会で野杁正明と対戦するスーパーボンが就く。  1R、ジャマリの右カーフからスタート。ガザリは前に出て右カーフと左ミドル。ガザリが伸びるワンツーから右ヒジ。ロープを背負ったジャマリは打ち合いに応じるが、ガザリのスピードのある連打がヒット。左右のボディを叩き、パンチからヒジと連打する。圧倒的な手数、長い距離と短い距離の攻撃の使い分け、上下の打ち分け、そしてスピードと圧倒するガザリ。  コーナーへ追い詰めての連打で、防戦一方となるジャマリ。左ボディで完全に動きが止まった。最後はガザリが右フックからの右ヒジをヒットさせ、もんどりうって倒れるジャマリ。ガザリは涼しい顔で自軍コーナーへ戻った。ウォークオフKO(※KO後に歩き去る)でガザリの勝利となった。 [nextpage] ▼第2試合 ONEアトム級MMA 5分3R×マカレナ・アラゴン(アルゼンチン/Academia Ribas Famili)[1R 2分42秒 腕十字]〇ナタリー・サルセド(米国)  アラゴンは柔道ベースでMMA4勝2敗。前蹴りから前進して圧力をかけてくるアラゴン。2024年11月のONEデビュー戦で三浦彩佳に一本負け。2025年4月には、ONEアトム級(※52.2kg)の試合で54.4kgの大幅体重超過。キャッチウェイト戦でジヒン・ラズワンに判定勝ち。7月の前戦でも計量オーバー、118.25ポンドのキャッチウェイトで澤田千優に1R 腕十字で一本負けしている。  サルセドは、MMA3勝0敗。グアダラハラ出身のメキシコ人の父とエルサルバドル人の母を持ち、父の兵役に伴い家族でカンザス州ジャンクションシティに移住。10代の頃、地元のテコンドー教室でムエタイに出会い、22歳でコロラドスプリングスに移住したことをきっかけに、ムエタイに回帰、さらにBJJを習い黒帯に。2017年にMMA転向。COVID-19の影響でプロデビューが2021年8月に延期され、2度目のプロ試合の前に前十字靭帯(ACL)手術からの回復という試練にも直面したが、INVICTAで判定勝ちデビュー後、Peak Fightingで2連勝。ストロー級王座についている。  1R、ともにオーソドックス構え。左右連打から右を当てて組んだアラゴン。左で差してテイクダウン。上から足を蹴りグラウンドにはいかず。足にからむサルセドを立たせてさらにテイクダウンもサルセドは下から腕十字。ヒジを抜くアラゴンは、みたびスタンドから足技でテイクダウン。下のサルセドは三角十字に。自身の三角に組んだ左足を支点にタップを奪った。 [nextpage] ▼第1試合 フライ級キックボクシング 3分3R×ジョーダン・エストゥピニャン(コロンビア)[3R 1分45秒 TKO]※3ノックダウン〇陽勇(=ひゅう/Team Mehdi Zatout/TEAM3K)  陽勇は第1回全日本学生フルコンタクト空手道選手権1部男子軽量級(65kg未満)優勝、第7回JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権大会軽中量級優勝などフルコンタクト空手で数々の成績を残してキックボクシングに転向。RISEを経て2024年9月からONEに参戦して3戦全勝、通算戦績は11勝(3KO)無敗。  エストゥピニャンは2025年1月の『ONE 170』に初参戦し、フレディー・ハガティーから右ストレート、右フックで2度のダウンを奪って勝利した。3月の2戦目もアリ・サルドエフに判定勝ち。優れた身体能力からトリッキーに繰り出す攻撃が持ち味。9戦全勝。ジョハン・エストゥピニャンとは双子の兄弟。キックボクシングルールは初となる。  1R、陽勇はサウスポーから左ミドル、左インロー。エストゥピニャンも右ミドルと右インローを蹴る。両者とも蹴りの高さを変えて多用。陽勇は左ボディストレート、左フックを繰り出す。エストゥピニャンはあくまでも右の蹴りで勝負。陽勇は後ろ蹴りを放つがローブローとなって一時中断。  再開後、左の蹴りを放って行く陽勇にエストゥピニャンが右ストレート。陽勇も左ストレートから連打を繰り出し、左の三日月蹴り。さらに胴廻し回転蹴りを放ち、最後に攻撃をまとめて印象付ける。  2R、前に出る陽勇はジャブから左ストレートを顔面とボディへ。エストゥピニャンもこのラウンドはジャブと右ストレート、左ボディを打つが、パンチの距離から右ハイを放つ。ワンツーで切り込む陽勇だが、そこへエストゥピニャンは左ミドルのカウンターからワンツー。エストゥピニャンの右ストレートからの左アッパーがヒット、陽勇は得意のヒザで応戦。  距離が近くなり打ち合いとなるが、エストゥピニャンは右ハイキックや前蹴りも織り交ぜる。手数が多く右ストレートを当てて前に出るのはエストゥピニャン。飛び二段蹴りを放つと、陽勇が前へ出ていくがそこへエストゥピニャンが右ストレートを合わせて印象付けた。  3Rはおそらくジャッジメントラウンド。陽勇は左ストレートからのヒザ、前に出るエストゥピニャンは右ストレートで攻めるが、陽勇が右フックへのカウンターの左ストレートでダウンを奪う。立ち上がったエストゥピニャンは打ち合いを挑み、陽勇もこれに応える。その打ち合いの中で、左ストレートのモーションから左の飛びヒザをアゴに叩き込み2度目のダウンを追加。  顔面前蹴りから左右の連打でコーナーへ追い詰める陽勇。エストゥピニャンは防戦一方となり、陽勇のストレート、フック、アッパーを浴び続ける。レフェリーがストップし、陽勇の見事なKO勝ちとなった。  陽勇は勝利者インタビューに「サワディーカップ! まず1Rと2Rは力量を見るので固くなってしまったのと、3Rは全然体力があったので自分のやることをやろうと思って倒しに行きました」と応え、5万ドルのボーナスをゲット。タイトル挑戦をアピールした。 陽勇ONE4連勝なるか、試合前インタビュー「どんな相手にも対応できる強さを魅せたい」 ──コンディションはいつも通りですか? 「そうですね。でも、結構体も大きくなってきて。いつも減量がなかったんですけど、今回は5kg位減量する感じになりました。2カ月前の7月の段階で調整もし始めて、体も絞れてもいい感じです。健康面でもとてもいい感じです」 ──今まで減量がなかったっていうのは、それでも大体どれぐらい落とされてたんですか? 「今までは試合の1週間前に食事の量を減らしたりしていただけでした。今は長期的にちょっと夜のご飯だけです。でも、今も全然食べてるんですけど。でも、そういうちょっと削るっていうのもできていて、なんか身体的にも今までの中で1番調子いいかなっていう気はしています」 ──今回減量することになった理由は、意識的に体を大きくしているからですか? 「身体を大きくしようと前から思っていましたが、自然に大きくなった感じです。2月終わったぐらいからですね。それ位から結構ぐっと大きくなりましたね」 ──フィジカルを多めにやったとか、そういう感じですか? 「いえ、多分、通常のトレーニングで使ってない筋力とかそういうのがついて。あと、そのやってきたことがちょっとずつついてきた感じですね」 ──あくまで結果としてっていう感じなんですね。 「そうですね。特別にフィジカルを強化したとかではないんですけど。多分、やっていっている練習の質が上がってきて、筋力もそういう面で上がってきたんだと思っています」 ──今年大学を卒業して、今は仕事をしながら戦っているのですよね。 「そうですね。仕事もしたくて。両立しながらやっています」 ──言える範囲でお願いしたいのですが、どういった関係のお仕事をされてるんですか? 「大阪を盛り上げる仕事なんですけど。総合的に色々なことをしていて楽しいですね。大阪を活性化させる仕事です」 ──因みに、平日出勤のお仕事なんですか? 「そうですね。フル出勤です。朝から。ただ、みんなにも心配しないで欲しいのは、練習時間は今まで通り確保できていますし、仕事をする様になってからの方が調子良いのかなって思っています」 ──むしろ、練習に集中できる感じですか? 「そうですね。多分、生活にメリハリがついたと思います。無駄な時間を過ごしている暇がないので。常に練習の時間を取り戻さなアカンと思って焦ってやってるんで、質はホンマにめちゃめちゃ濃いと思います」 ──22歳で既にこういったやり方で質を意識した練習の仕方というのは素晴らしいですね。 「空手をずっとやってきていたので。そこで自分で質を求めて考えてやるっていうのが、身につきました。元々、大学に行っていたのもそうですけど、ずっと格闘技だけをしてきたんじゃなくて、学校と両立しながらやってきていたので、仕事、就職しても今までと変わることはないって感じです。格闘技一本じゃなかったら、中途半端にやっているって思う人もいるかもしれないんですけど、僕は全然そうじゃないと思っていて。寧ろ仕事をしてプライベートの時間を格闘技に注いでるので、本当に格闘技が好きだからそれができているし。格闘技だけじゃなくて、仕事することによって視野も広がって、行動に拍車がかかるというか、格闘技の方にも頑張らなアカンって。だから、そういう面でも社会人的にも、格闘技の技術としても、両方成長できると信じています。毎日、ホンマに充実しているって感じですね」 ──練習環境について、タイのTeam Mehdi Zatoutでの練習はどうなっていますか? 「期間的にはあんまり行けなくて。でも、試合前にちょっと行ける感じです。ゴールデンウィークには3、4日休みがあったので、その時はタイでトレーニングに行きました。メディとの連絡は、動画を送ったりとか、常に取り合っています。だから大学の時とあまり変わらない感じです」 ──陽勇選手は直近の5試合で4KOを記録しています。このKO率の高さの理由は、ご自身ではどう分析していますか?技術面だったり、メンタル面だったり、以前と比べると何か変化があったのでしょうか? 「僕は元々KOをあまり1番重要視してなくて。むしろ試合内容を意識して、総合的に勝ち切れたかどうかを見ています。例えば、第1ラウンドでポイント取られて、第2ラウンドで巻き返してKOという勝ち方は、僕は好きじゃないんです。だから、そういう3ラウンドを徹底して取る戦いを意識しています。最近、1発の技とかでKOしたりしていますけど、それは試合全体の組み立てとか意識してやっている結果で、それがKO率の向上に繋がっていると思います。あとは、単純に自分がキックボクシングに対応してきたかなっていう感じです」 ──陽勇選手の戦い方への意識はONEのラウンドごとにジャッジするシステムにもフィットしていますね。 「そうですね。僕はそのポイント・ポイントでも負けたくないんで、そこは意識してやっています。様子見るとかは良いと思うのですけど。ポイントを取られるっていうのは、それをしちゃうと反省点が残ってしまうので、そこは絶対取られないように意識しています」 ──今の現時点で11月開催の日本大会をどう意識されていますか? 「日本大会は、もちろん出たいと思っています。『自分が出なアカンやろ』って思われる試合を9月やりたいです」 ──直前で対戦相手が変更になった心境は? 「相手がジョーダン・エストゥピニャンだからテンションも下がることなく、ワクワクしてます。ジョーダン選手には(直前の試合を受けてくれて)凄い感謝しています」 ──カリロフに向けての準備から、この対戦相手の変更は、戦術から大きく変えないといけないですか?
 「僕は試合が決まっている、決まってない関係なく、戦術よりどんな相手にも通用する純粋な強さを突き詰めてるから、問題ないです」 ──ジョーダンはONE2戦を戦って、フレディ・ハガティーやアリ・サリドエフと好勝負の末に連勝しています。どう評価しますか? 「ONEでも活躍していて、変則的なスタイルが面白いと思います。試合を楽しんでくるから、余計に自分も試合中楽しめそうです」 ──あの飛び抜けた身体能力の高さは脅威ですか?
 「警戒はしているけど、自分はいつも対戦相手のやりたいことを封じ込める。それがわかりやすい試合になると思う」 ──言える範囲で、別の脅威に感じている点は何ですか? 「荒い攻め方をするときでもコンパクトな攻撃が出るところです」 ──続けて言える範囲で、この短期間で相手の穴(弱点)を見つけましたか?
 「カウンターを合わせやすいから狙っていきたいです」 ──改めて、このような状況の中での今回の試合のテーマは何ですか? 「直前の対戦相手変更はあまり気にしてないけど、どんな相手にも対応できる強さがあるところは魅せたい。テーマも変わらず世界に自分の位置を証明します」
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大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
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