ムエタイ
レポート

【ONE FF】KNOCK OUTのエース・久井大夢がテクニックを駆使して完封勝ち、RISEからTEPPENの吉田晄成が初参戦で完勝、小笠原瑛作をサニットがヒジ連打でKO、メインはクラップダムが3位ロボに判定勝ち、無敗の18歳ユヌソフがドンキングを手玉に取る

2025/09/05 22:09
ONE Friday Fights 1232025年9月5日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼第5試合 ONEムエタイ 63.5kg契約 3分3R×チャン・チンタオ(中国)判定0-3〇久井大夢(TEAM TAIMU)  久井はKNOCK OUTアマチュアで3階級制覇を達成後、2022年4月大会でプロデビューしてKO勝ち。12月の王座決定戦で3戦目にしてKNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座に就いた。2023年9月には大谷翔司に判定勝ちでKNOCK OUT-BLACKライト級王座に就いて17歳にして2階級制覇を達成。2024年6月、龍聖とKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座決定戦を争い、17戦無敗だった龍聖に初黒星を付けて三冠を達成した。  11月にロムイーサンに敗れるも12月の「KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定トーナメント」で優勝、再び同王座に就いた。他団体やカンボジアのクンクメールでも積極的に試合を行い、2025年2月にはIPCC世界-60kg王座をカンボジアで獲得。4月のIPCC世界-61kg王座決定戦ではチョムラウンに判定負けを喫したが、6月に龍聖との再戦を制してKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座の初防衛に成功。しかし、7月にライト級転向第一戦でロムイーサンとの再戦で判定負け。戦績は16勝(5KO)5敗。  チンタオは8月1日の『ONE Friday Fights 118』にて、成尾拓輝と対戦。ONEで3連続KOの快進撃を続けていた成尾から2Rに左フックでダウンを奪い、右ハイキックでKOしている。  1R、久井はいつも通り試合開始と同時に飛び蹴りの奇襲攻撃。両者サウスポー。久井はジャブを突いて左へ回っていき、右三日月、左カーフを蹴る。チンタオが前へ出てくると久井はすぐに左へ回り込む。右インロー、右フックの久井は左カーフ。  久井が首相撲に捕まえるとチンタオは左右のボディを連打するが、久井は首相撲で軽々とチンタオをコカす。久井の右カーフに足が流れるチンタオは、距離を詰めて左右フックを打つが久井は首相撲でコカしていく。  2R、チンタオはオーソドックスに構えて前へ出ていくが、近付くと久井が首相撲でコカす。飛びヒザ蹴りから組み、またもコカす久井。チンタオが前へ出て右ストレートを打つと久井はバックステップでかわす。チンタオが前へ来るとカウンターのジャブ、接近戦になると久井は首相撲でコカす。  打ち合いになるとチンタオが右アッパーで久井のアゴを跳ね上げて左フック。どんどん前に出てパンチを打つチンタオに久井は首相撲で対抗。しかし、コーナーを背負う場面が増えてきたため、チンタオの強打を被弾する。ラウンド終了間際には胴廻し回転蹴りを繰り出した。  3R、ジャブを伸ばす久井だがコーナーへ詰まる。首相撲で止める久井。離れると久井は左カーフ、チンタオが近付くと首相撲もチンタオのパンチをもらう。久井はジャブから組んでのヒザ。ジャブから組んでのヒザ、そして首相撲でコカす久井。チンタオは“来いよ”と両手で手招き。  サウスポーに戻ったチンタオは前へ出て左右フックも、久井の首相撲に捕まってヒザの連打をもらい、最後はコカされる。前に出て左右フックのチンタオにジャブで対抗する久井。チンタオのワンツーをかわした久井は左のカウンターを打ち込み、最後はジャブからの胴廻し回転蹴り。  判定3-0で久井がテクニックで完封した内容となった。 [nextpage] ▼第4試合 ONEキックボクシング 59.42kg契約 3分3R×トヴァン・ノピアン(インドネシア)判定0-3〇吉田晄成(TEAM TEPPEN)  RISEから吉田が初参戦。吉田は2022年4月に地元・福岡の『大和』でプロデビュー。2024年6月のRISE WESTからRISEに参戦し、これまで5戦全勝(1KO)。2025年6月には寺山遼冴を破る番狂わせを起こした。10月19日の『RISE 192』で開幕する「フェザー級(-57.5kg)王座次期挑戦者決定トーナメント」への出場が決まっており、ONEでも勝利して勢いをつけたいところ。  ONE初参戦のノピアンと59.42kg契約ONEキックボクシング3分3Rで対戦する。ノピアンは9勝3敗2分で現在3連勝中だという。  TEAM TEPPENは8月8日に水野夢斗、8月15日にGUMPがそれぞれ勝利を収めており、吉田も続きたい。  1R、まずはローの蹴り合い。吉田は左フックをたびたび見せる。吉田はワンツーで入って右ハイ。飛び込んでの左フックからもう一度左フック、さらに右ミドルを蹴る吉田。ノピアンはバックハンドブローを繰り出したが、吉田はブロック。  やや遠い距離から右カーフを蹴る吉田。3発目でノピアンの足が流れ、一瞬サウスポーにスイッチした。ラウンドが終わると、吉田は両手を振って観客を煽る。  2R、遠い距離からワンツーで入って左ハイを蹴るノピアン。吉田は右カーフを狙い撃ちにしていく。ジャブを突く吉田は左フックを空振りするとすぐに右ストレート。じりじりとノピアンを詰めていき、ノピアンがワンツーを打って来ると右カーフ。  ワンツーで入り込んだ吉田にノピアンもワンツーを返すが、これをバックステップでかわした吉田は再びステップインしてワンツー。右ストレートを同時に出しても、吉田は頭を左側に倒して自分だけ当てる。  3R、吉田は左フック、ジャブ、右ストレート。ノピアンは右ミドルを蹴るがすぐに吉田に右カーフをリターンされる。絶妙の距離で自分のパンチだけ当てる吉田。ノピアンの返しの左フックをダッキングでかわし、すぐに右ストレート。  吉田は左フックからの右カーフ。ワンツー、左フックからまたも右ストレート。左ボディからの左フックも打つ吉田。ノピアンは吉田の右ハイ、飛びヒザ蹴りに下がり、左フックを打っても吉田にスウェーでかわされる。  吉田が距離の取り方とディフェンステクニック、そして手数で圧倒。判定3-0で完勝し、戦績を6戦全勝とした。 [nextpage] ▼第3試合 ONEムエタイ 58.51kg契約 3分3R〇サニット・ルークタンスァ(タイ/Lookthamsuea/Team Emerald gym)KO 2R 0分41秒 ※右縦ヒジ×小笠原瑛作(KNOCK OUT クロスポイント吉祥寺)  小笠原はジュニアキックで活躍後、2011年7月にプロデビュー。2013年5月にプロ9戦目でREBELS-MUAYTHAIフライ級王座を獲得したのを皮切りに、REBELS52.5kg級王座、ISKA K-1ルール世界バンタム級王座、KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座、同フェザー級王座を次々と獲得。2023年3月には2022年ムエタイMVPでルンピニースタジアム3階級制覇を達成しているロンナチャイをダウン寸前まで追い込む完勝を収めた。  8月に『ONE Friday Fights』に初参戦するとヨッドウィッタヤに31秒でKO勝ちしたが、11月のOFGマッチでウィンに延長戦で敗れ、12月のONEでもチョーファーにKO負けと連敗。しかし2024年4月にソーンスックノーイを判定で破り、ONEで2勝目をあげた。6月はONEに出場しているデーングリアングライに圧勝したが、9月にONEでリッティデットに判定負け。前戦は12月にチョムラウン・クンクメールの反則で無効試合に。サウスポーから放たれる左ストレート、左ミドルキックが得意。戦績は45勝(22KO)9敗1分1無効試合。  サニットは2025年8月にONE FF初参戦。ミャンマーのセインを2RでKOしている。30歳のベテラン。戦績は85勝31敗。  1R、サウスポーの小笠原は左インローで快音を響かせるが、サニットの右ハイをスウェーでかわしそこねてアゴに軽くもらう。小笠原は左ミドルと左インロー、サニットも右インローを返し、ヒジを繰り出す。サニットは左右のハイからジャンプしてのヒジを落とす派手な技。変則的なミドルの蹴り方、さらにジャンプしての右ミドルとトリッキー。小笠原は左ミドルと右フック、回り込んで奥足への左ロー。  かなりスピードのあるサニットへ左ボディストレートを放つ小笠原に、サニットはハイキックを返してくる。さらにボディを攻める小笠原だが首相撲からのヒザに持ち込まれ、右ヒジからの左ヒジでダウンを奪われる。フラつきながら立ち上がった小笠原はゴングに救われた。  2R、首相撲に持ち込むサニットはヒジの乱れ打ちでダウンを奪う。最後は飛び込むような右の縦ヒジを叩き込み、小笠原は仰向けにダウン。ここでサニットのKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼メインイベント ONEバンタム級ムエタイ 3分3R×フェリペ・ロボ(ブラジル/同級3位)判定0-3〇クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)  クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニースタジアム認定ライト級&スーパーライト級2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。  ONEには2019年9月から参戦し、2020年のONEバンタム級ムエタイトーナメントでは決勝へ進出したが、ロードレックに敗れた。2021年は1勝2敗、2022年は2勝3敗、2023年は4勝(3KO)1敗1無効試合、2024年は2勝(2KO)2敗。KO狙いのアグレッシブなスタイルはタイで人気を博している。2024年7月にナビル・アナンにKO負けを喫し、ノンオー戦に続く連敗となったが、9月にはスープラックを左フックでKOして再起。2025年1月はジョン・リネカーにダウンを奪われるも追い上げて逆転勝利。4月はフェルザン・チチェキを左フックで1Rに沈めた。戦績は73勝20敗5分。ONEでは10勝6敗、そのうち4回でボーナスを獲得している。  ロボは2020年9月からONEに参戦すると、ヨードパノンムラン、ロートレックに判定勝ち。2022年3月、挑戦者の欠場を受けて急遽当時の王者であるノンオーの挑戦者に抜擢されたがKO負け。2023年4月の再起戦でセーマペッチをKOし、2024年2月にONEバンタム級ムエタイ世界王者ジョナサン・ハガティーに挑戦し、多彩なボクシング技術でハガティーを苦しめ、右アッパーで先制のダウンを奪うも3Rに逆転TKO負けを喫した。2024年8月にナビル・アナンにも判定で敗れたが、2025年2月にセーマペッチとの再戦でTKO勝ち。ONE戦績4勝3敗。  当初、両者は6月に対戦が組まれていたが、クラップダムの負傷欠場で流れていた。2度のタイトル挑戦経験があり、現ONEバンタム級ムエタイ3位のロボをKOすれば、いよいよクラップダムにも本戦契約のチャンスが舞い降りるかもしれない。  1R、静かな立ち上がりでローを蹴り合う。サウスポーのロボに左ミドル、左インローを蹴るクラップダム。ロボも右ミドル。クラップダムはロボの右ミドルをキャッチすると左ボディストレート。クラップダムはジャブからの左ローも蹴る。終盤にはロボの蹴り足をキャッチして、持ち上げてコカしたがこれは注意を受ける。  2R、クラップダムの左ローに右ストレートを返すロボ。クラップラムは左インローを蹴っていく。ロボが前に出てくるところには左ミドルを蹴るが、ロボも右ミドルを蹴り返す。手数の少ない両者にファイトがかかる。  クラップダムは左ローで奥足も蹴っていき、ロボの蹴り足をキャッチすると左ストレート。ロボは右ボディストレートを打つ。前に出るクラップダムが首相撲からのヒザ、ロボがヒザを蹴り返すとクラップダムは左ヒジを繰り出す。  3R、クラップダムが奥足の左ローを狙い撃ち、ロボも右ローで奥足を蹴り返す。クラップダムは前に出て左フックの連打、左ローから左ストレート、左フック。ロボも右を狙うが、クラップダムが左ストレートで前へ出る。首相撲は互角。クラップダムの左フックに下がるロボは右フックを打つが空振り。左を連打するクラップダムは左ヒジも打ち、前へ出ていく。クラップダムが攻勢のまま試合終了。  判定3-0でクラップダムがランキング3位のロボを破った。 [nextpage] ▼コー・メイン ONEムエタイ62.6kg契約 3分3R〇デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)判定2-1×ブアキャオ・ポー・パオイン(タイ)  デッドゥアンレックは2023年2月に『ONE Friday Fights』に初参戦すると、9月までに4連勝。11月にナックロップ・フェアテックスにTKO負けで初黒星を喫している。内藤大樹には2023年7月、2024年4月と2連勝。2024年8月、ナックロップとの再戦で判定負け。2025年5月もアスラムジョン・オルチコフに判定負けで、ONE戦績を5勝3敗とした。  ブアキャオは2023年11月からONE Friday Fightsに参戦し、2戦目でデニス・デミルカプにKO負けを喫したものの、その後は4連勝。2025年4月にヤクブ・ポスラウスキを2RでKOしている。  1R、デッドゥアンレックがワンツー。左右フックで前に出るブアキャオに右ハイを狙うデッドゥアンレック。左フックから右ストレートで入ってきたブアキャオに、デッドゥアンレックは首相撲からヒザ、ヒジ。ワンツーを打つデッドゥアンレックだが、ブアキャオにかわされ逆に左右フックをもらう。  2Rも前に出るのはブアキャオ。デッドゥアンレックの左ハイをダッキングでかわしながら左右フック、左右のヒジ。右カーフを蹴って左ボディからの左フックも。下がって右ハイを蹴るデッドゥアンレックに、ブアキャオは前へ出ながら左フックと左右ヒジで攻めまくる。場内も大いに沸く。  ブアキャオは前蹴りをキャッチしての左ボディ。デッドゥアンレックはワンツーから右ハイ、ブアキャオは右ボディストレート。疲れが見えてきたブアキャオにデッドゥアンレックは右ボディストレートを見舞う。終盤、ワンツーで逆に前に出るデッドゥアンレック。  3R、デッドゥアンレックがワンツー、ブアキャオも左フックを打ち返す。ブアキャオが前に出るところへデッドゥアンレックが左ミドル2連発から左ハイ。デッドゥアンレックの右ミドルには右ボディストレートを返すブアキャオ。前に出るブアキャオへ右ミドルを連発するデッドゥアンレック。  さらに左ミドルも蹴る。ブアキャオの左ミドルをキャッチし、すぐに右ミドルを蹴るデッドゥアンレック。デッドゥアンレックの右ミドルとブアキャオの右ストレートは相打ち。前に出るブアキャオに右ミドルを蹴りながら下がるデッドゥアンレック。  お互いの持ち味が出た一戦は、判定2-1で本戦契約選手のデッドゥアンレックが勝利。接戦を制したデッドゥアンレックはリングに大の字になり、大喜びした。 [nextpage] ▼第6試合 ONEフライ級ムエタイ 3分3R×ドンキング・ヨータラックムエタイ(タイ)判定0-3〇ルスタム・ユヌソフ(ロシア/Sinbi Muaythai/Tomahawk Kamilov Team)  ドンキングは2024年3月からONE FFに出場し、4戦全勝(3KO)の好戦績をマークしていたが、2025年6月のヨードレックペット戦でKO負け。パンチが得意なムエマッドタイプ。戦績は79勝17敗。8月のKNOCK OUTに初来日が発表されていたが、契約上の都合で来日が中止となっていた。  ユヌソフは2024年3月からONE FFに参戦。初戦で日本の羅向に勝利すると、4連勝(2KO)を飾った。戦績は14戦無敗。  1R、サウスポーのユヌソフはワンツーから左インロー、ドンキングは右ミドルを蹴るがユヌソフの左右前蹴りに突き放される。ドンキングの右インローに同じ右インローを返すユヌソフ。  前蹴りを多用するユヌソフは左ローからワンツー、そして左ロー。軽快なステップを踏み、上体を動かし続けるユヌソフにドンキングはなかなか近付けず、近付いてもパンチが届かず前蹴りで突き放される。  2R、前に出て右ミドルのドンキングにユヌソフは前蹴りからワンツー、ドンキングが圧をかけて前へ出てくるとステップで動いて外す。ドンキングの蹴りをかわすとユヌソフはワンツー、左ハイ、ワンツー、前蹴り。ドンキングが近付くとバックハンドブローも繰り出す。  ドンキングのワンツーはステップで回り込んでかわすユヌソフ。見事な足払いでドンキングをコカす。前に出るドンキングへ左ボディストレート、左右の前蹴り。ドンキングの右ミドルをキャッチすると右ストレート、左軸足ロー。完全にユヌソフのペースに。  3R、ユヌソフは左ミドルからワンツー、また左ミドル。ドンキングが前へ出ると前蹴り、すぐに右へ回り込んでワンツー。ドンキングが右ロー、飛び込んでのワンツーを繰り出して首相撲に持ち込むが、ユヌソフも対応する。ワンツーから左ローのユヌソフは、ドンキングの右ミドルをキャッチして連打を繰り出す。ワンツーからの左ミドルをもらったドンキングは前へ出ようとするが、ユヌソフの前蹴りで突き放される。最後はジャブから前へ出て、左右ボディへの攻撃から右フックをヒットさせたユヌソフ。  前蹴りとステップワーク、そして前蹴りでドンキングを手玉に取ったユヌソフ。恐るべき18歳だ。
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