会見の冒頭でK-1改革案を一気に喋った須藤元気K-1新プロデューサー
2025年9月3日（水）都内にて、K-1が「緊急記者会見」を実施。宮田充K-1プロデューサーが退任し、新プロデューサーに須藤元気が就任することが発表された。
会見の冒頭、和装で現れた須藤Pは「私がプロデューサーとしてやるべきこと。それは、今あるK-1をぶち壊し、そして新しい風を吹き込むことです。私がやっていた頃、昔話をしてもなんですが、今のK-1に必要なのってワクワク感や高揚感、あと格闘技に対する幻想だと思っております。そういったものを取り戻すために私は、いくつかの提案があります」と話し、“マニフェスト”を発表。
「まず1つ目は試合数を少なくしたい。私は昨年、K-1 WORLD MAXのアンバサダーとしてやらせていただいて、久々にK-1の会場へ行ってみたんですね。もちろん楽しかったということもあるんですが、見終わった後、そしてその後も解説とかもやらせてもらって感じたのが、ちょっと疲れたんですよね。それはなんでかなと思ったら、試合数が多いんですよ。僕自身が現役時代の時って10試合とか12試合とかそのぐらいだったと思うんですよ。僕はこの疲れたって感覚を終わりにしたいなと。
（出番を）待ってる選手もそうですし、多分見ているファンの方も長いと思うんですね。格闘技っていうのは映画と同じように見終わった後に一緒に食事とか一杯飲みながら、映画の感想を話したりとかするのと同じように格闘技K-1を見に行った後の、ちょっと飲んだりしてあの選手強かったねとか、あの試合しょっぱかったねみたいな、そういった会話を1つのパッケージとして僕は作りたい。試合で終わらせるのではなく、終わった後にその余裕に浸ってもらう。
そのためには試合数を少なくして、選手に対してもフォーカスできるような仕組みをしたいなって考えております。僕も実際に久々に見に行った時に20何試合あってパンフレットに名前がずらっとあるとどの選手を見ればいいのか、推しなのかがあまり分からないんですよね。そういった意味では10試合ぐらいにした時に、こういう選手がいるんだっていうのも見れますし、あと1つ言えるのが選手をちゃんとしっかりと注目できることがポイントだと思います。
今はフレッシュマンの人とK-1のトップ選手が同じリングに立ってるんですよ。別にフレッシュマンが悪いっていうわけではないんですが、ちゃんとKrushだったりアマチュアがあったりヒエラルキーの構造がある中で、K-1というトップの興行に対しては、新人でもこいつ華があってスター性があって世界で戦える選手だなって思ったら、K-1の大会に出られるであったりとか、より厳選したK-1という大会にしていきたいなって私は思っております。そういった意味で、トップ選手と新人の選手が上がったり上がらなかったりすることによって、ステータスとK-1というブランディングが、形ができるのではないかなという風に私思っております」
2つめには契約について言及。
「僕もあまり詳しくないんですけれど、K-1って契約が凄く厳しいって聞くじゃないですか。なんか拘速されるみたいな。僕としては契約はワンマッチでもいいんじゃないかなって思っています。もうオープンに、内向きのK-1から外向きに世界進出、かつてのK-1のような世界で戦えるようなリングを作っていきたいなって考えています。そういった意味では選手が出たら他に出られないみたいな、もちろん色々あると思うんですけれど、基本的にはワンマッチ契約でもいいですし、出たいやつ出てこいやみたいな形を作りたい。そういったオープンな契約にするっていうことを私は考えております」
独占契約ではなく、ワンマッチ契約で自由に出入りできるオープンな形にすることで、やりたいことがあると須藤P。
「次にやりたいのがK-1 WORLD MAX世界大会がありますが、日本人トーナメントを僕は来年開催したいと思っております。自分自身もK-1MAXの日本人トーナメントに最初に出させてもらいましたが、あの時は本当に団体の壁を超えて、なんかワクワク感が凄くあったじゃないですか。あれをもう1度取り戻して、色々な壁とかをとっ払ってK-1というリングを使ってもらって、プラットフォームを使っていただいて、日本のキックボクシング界、格闘技界を全体でみんなで盛り上げていこうっていうような形を取りたいなって考えております。
そういった形にすることによって、やはり世界と戦えるような選手が出てくるんじゃないかなと。WORLD MAXでも日本人が勝てないっていうのは日本人トーナメントがないからだと思うんですよね。選手をやっていた側からすると日本人選手同士ってあまり戦いたくないんですよ。なぜなら評価が入れ替わっちゃうから。外国人選手に負けたとしても評価ってあまり入れ替わらないんです。
そういった意味では日本人トーナメントに各団体のチャンピオンに出てきてもらって、凄いプレッシャーの中で勝ち上がったからこそ、当時は魔裟斗選手が世界チャンピオンになったのも、小比類巻（貴之）さんだったり、武田（幸三）さんだったりとか、色々な選手がいる中でそこのプレッシャーに勝った上での世界大会があったと思うんですよね。ですから世界で戦える選手を育てるためには日本人トーナントっていうのは僕自身、欠かせないなと考えております」
強い日本人選手の育成と共に、もうひとつ必要なものがあるともいう。
「もう1つは多様なキャラクターが必要ではないかなと。実際に僕が見て感じるのが、選手の個性があまり見えてきてないなと。試合数が多いっていうのもあるんですけれども。かつてあったモンスター路線ももう1回やりたいなと。正直、モンスター路線が格闘技ブームが終わった要因でもあるとか言われてはいますが、飛び道具が多かったっていうのはありますけれども、ちゃんとボトムも育てながら分かりやすい例で言えばボブ・サップ選手とか、こいつ何者なんだみたいな選手っていうのを今のK-1には足りない要素なのかなって。
昔のK-1が立ち上がった時とかも結構めちゃくちゃだったじゃないですか。でもそのめちゃくちゃだったのは意外と面白かったり。なんじゃこれみたいなマッチメイクも僕は入れていきたいなと。ちゃんとした王道がある中での、別にスパイスではないんですが、華があってこいつなんじゃみたいな選手って僕絶対出てくると思うんですよね。そういった選手もどんどん呼んでいきたいなって感じております」
そして最後に、9月7日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催される『K-1 WORLD MAX 2025～-70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦～』で復活する『HERO'S』（MMA）についても話した。
「HERO'Sが今回の大会で2試合組まれますが、僕は年末とかそういった特別なイベント以外は、立ち技は立ち技、寝技は寝技の興行に分けた方が分かりやすいのかなと思うので、来年からはHERO'S単体の大会もやっていきたいって考えております。今ビッグイベントだとRIZINさんとかありますが、RIZINさんとの対抗戦ができたりとか、そういった展開も色々と考えていきたいと考えています」
以上6つのマニフェストを一気に話した須藤P。
「内向きだったK-1を、とにかく壁をぶち壊して。1回これ壊す必要があると思います。1回壊してオープンにして、そして格闘王国・日本を取り戻し、やはり世界で戦えるK-1にしていきたい。そう考えております。私も随分格闘界から離れていて正直、浦島太郎的な部分もあるかもしれないんですが、そういった着眼点も必要なのかなって思っているので、ベストを尽くしてとにかくK-1。そして日本の格闘技界を盛り上げていきたいと思います」と最初の挨拶を締めくくった。
