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【UFC】パク戦前にブランドン・モレノが平良達郎、ジョシュア・ヴァン、パントージャについて語っていたこと「俺は彼らを待っている」

2025/08/28 19:08
 2025年8月22日、UFCフライ級2位のブランドン・モレノ(メキシコ)が、クイントン“ランペイジ”ジャクソン『JAXXON PODCAST』に出演。この1年で一気に層の厚みを増したフライ級戦線を語るなかで平良達郎、堀口恭司、朝倉海について言及。「俺は彼らを待っている」と“旧世代”として“新世代”を迎え撃つ構えにあること、さらにタイトル挑戦への意欲を語った。 平良は「新しい世代の一員」って感じ  8月2日の平良達郎vs.パク・ヒョンソン戦の直前に行われた収録でモレノは、これまでの「パントージャ、モレノ、ブランドン・ロイヴァル、カイ・カラフランス、デイブソン・フィゲイレード(※現バンタム級)」の“5強”を旧世代とした場合、ロイヴァルを下したジョシュア・ヴァン、平良らを「新世代」と評した。  いきなりデビュー戦でタイトルに挑戦した選手もいたが? と問われると、「現在UFCで活躍している多くの選手を見ると、彼らがその試合を決めた時点では、(UFCが)少しも焦っていたわけじゃないと思う。むしろ、この階級に新しい名前を加えて新鮮な風を吹き込みたかったんだ。だから朝倉海を呼んだんだ。それはクールだよ。つまり、例えば俺はグッチ(堀口恭司)がこの会社で戦うのを待ってるし、他の名前も出てくるかもしれない」と、ニューカマーたちの参戦を前向きにとらえているという。  さらに「米国でボクシングコーチであるジェイソン・パリロとも練習したこともある。平良達郎についてどう思う?」と問われると、「彼はいい選手だ。25歳で若くてUFCですごい活躍してる。何て言うか、“新しい世代の一員”って感じだ。今の俺は新世代じゃない。どちらかと言えば反対側だ。だから平良達郎やジョシュア・ヴァンみたいな連中たちがやって来るのを見ているんだ。あの韓国人のパクも平良と戦うだろう。新鋭の彼らがチャンスを狙っているのを見ている。俺は彼らを待っているんだ」と、高く評価し、自身に挑戦してくることを「待っている」とした。  同時に、旧世代の“5強”を破った新世代は、ジョシュア・ヴァンとアミール・アルバジのみ。階級転向のフィゲイレード、5強のなかでも黒星の多いカラフランスを除けば、パントージャ、モレノ、ロイヴァルの3トップは、いまなお高い壁であり続けている。  モレノは、「俺はまだタイトルをかけて戦う力があるし、チャンピオンになれるって思ってるんだ。パントージャには2回連続で負けたけど、そんなの気にしない。俺はチャンピオンになりたいからここにいるんだ」と、2023年1月のデイブソン・フィゲイレードとの4度目対戦でTKO勝ちして以来の王座戴冠を目指している。  2023年7月にパントージャと再戦し、スプリット判定負けで王座陥落後、ロイヴァルにもスプリット判定で惜敗し2連敗を喫したが、2024年11月にアルバジに、2025年3月に スティーブ・エルセグにともに判定勝ちで“新世代”を退け、現在2連勝中だ。  メキシコ人史上初のUFC世界王者は、現在の“絶対王者”パントージャについて、「生き残るのが上手い」という。 [nextpage] パントージャは生き残るのが上手い、ヴァンにはパンチを叩き込む 「俺とパントージャの試合で違いを感じたのは、少し妥協した点だ。パントージャは本当に生き残るのが上手い。つまり、パンチを受けながらも生き延びる方法を見つけ、ダメージを与えずに試合をコントロールするんだ。ダメージを与えていないのに勝っているように見えるから、少しイライラする。だから、その点について少し学んだよ」と、サバイブする能力、試合運びの老獪さを挙げる。  25年6月には、当時ランク1位のブランドン・ロイヴァルからダウンを奪って判定勝ちしたジョシュア・ヴァンが、同日にカラフランスに一本勝ちしたパントージャとフェイスオフ。王座挑戦が示唆された。  モレノは、次期コンテンダーであるヴァンとトレーニングをともにしたことがあるという。 「ヴァンはロイヴァルに勝ったからタイトル戦に値するんだ。俺がグローリーMMAでトレーニングしてた時、カンザスシティでヴァンに会ったんだ。そこで少し一緒に練習したよ。本当にクールな男だ。彼に対して悪いことは何一つ言えないし、今の状況について口に出さないけど、結局ここは競争の場だし、彼がアレシャンドレ・ パントージャを倒したら、俺は彼と戦いたい。  俺はタイトル戦をやりたいんだ。でも、もし戦うならパンチを叩き込むつもりだ。ヴァンは良い奴だし、パンチを放ってそこから展開するのが好きなのも分かってる。でも、俺のキャリアを見てくれよ。俺だってパンチを放つのは好きだ。実際、ヴァンとの試合は素晴らしいものになると思う。スタイルが合うんだ。彼はボクサーで俺もボクサーだ。きっと素晴らしい試合になるだろう」と、メキシカンボクサーのモレノは、ヴァンとも激闘になるとした。  しかし、第一目標は、王者への挑戦だ。 「パントージャ戦が最優先だ。繰り返すけど、彼は試合で生き残る術を知っている。顎が本当に強い。顔面を殴られても前に出てくる様は圧巻だ。これはマジでクレイジーだよ。次回のトレーニングキャンプでは、賢く行動し、特に防御に集中しなきゃいけない。でも同時に、最後の5Rで覚えているんだ。4R終盤、俺は何度もパンチを叩き込んで、相手の顔を見たんだ。パントージャはこんな表情だった(※効いてないという表情)。でも、もし俺が怯んだらラウンド全体を支配された。だから俺はただ努力を続けるしかない」とTUF時代も含め、パントージャとの4度目の戦いを実現させてリベンジを果たすことが悲願だという。  そのために、練習拠点をラスベガスに移し、家族とともに暮らしている。 「今はラスベガスに人を連れて行こうとしてるんだ。ラスベガスに引っ越した時は小さなチームがいて、トレーニングキャンプは100%、そこでやってた。でも他の連中は別のやり方を始めた。別の道を選んだんだ。だから今はマシューと二人きりでトレーニングしている。彼はティフアナから一緒に来た仲間だ。これまでのキャンプでは毎回、ダラスやカンザスから人を連れてきてトレーニングを組んできた。  トレーニングの終わりに家に帰れば家族がいる。俺の家族はラスベガスにいるんだ。食事で自分だけ食べられなかったりするけど、実は、それがすごく助けになってる。気が紛れるから。苦しんでた頃、Airbnbで一人で寝てた時は、ずっと“今何をすべきか”って考えてた。休まなきゃって分かってても、休めなかった。でも家にいる時は、普通のことをしてるんだ。娘たちを学校に送り、メッセージを送ったり、午後には娘を体操教室に送らなきゃとか、そういう日常の用事が、あのキャンプの状態から気を逸らしてくれる。少し休んで、それからトレーニングに行くんだ」 [nextpage] ビスピン「平良はタイトル戦前にもう一戦モレノとやってほしい」  この収録後、ラスベガスのUFC APEXのメインイベントで平良達郎が、アルバジの代役のパク・ヒョンソンと対戦。1Rに右ストレートでダウンを奪うと、2Rにダブルレッグでテイクダウン、バックからネッククランクに極めて、復帰戦を一本勝ちで飾った。  前戦のロイヴァルとの5R戦を経て、5Rを戦い抜くスタミナがより強化され、さらに打撃の進化もあり、スタンドに戻っても自信を持っていた平良は2Rに、得意のリアネイキドチョーク(ネッククランク)をUFCでは初めて極めている(UFCで3つめの一本勝ち)。  ケージ内では、インタビュアーのマイケル・ビスピンから「この勝利で改めてまたフライ級コンテンダーに帰ってきた。今後は?」と問われ、「この前のブランドン・ロイヴァル戦から10カ月空いてここに戻ってきました。だから自分のスキルを見せる必要があったし、チャンピオンのパントージャ、ジョシュア・ヴァン、ぜひ戦いたいです」と、年内にも王座戦が噂されている両者の勝者と戦いたいと語っている。  また、試合後のバックステージインタビューでは、もし年内にパントージャvs.ヴァンの王座戦が行われる場合、平良は「同じ大会で試合をしたい」と、フライ級王座戦のビッグマッチで、コンテンダーバウトを戦いたい意向を示していた。そして、試合後はブランドン・モレノか、マネル・ケイプの名前をコールアウトするつもりだったと明かしている。  解説のビスピンは試合後、放送席で「彼はタイトル戦を求めている。それは理解できるが、『まずはもう一戦やってくれ』と思った。選択肢は一つ。元チャンピオンのブランドン・モレノだ。あの試合を見たくないと言うのか? 平良達郎のレベルがわかるし、ブランドン・モレノが再びタイトル戦列に復帰するチャンスも生まれる」と、2位のモレノと平良の勝者が次々期挑戦者になると予想していた。  8月28日には、ブランドン・モレノがインスタグラムのストーリーに、平良達郎との試合が12月6日(日本時間7日)にラスベガスで行われる、という投稿を次々とアップ。公式では未発表ながら、自身も平良戦に前向きであることをうかがわせている。  MMA23勝8敗2分、UFC11勝5敗2分、31歳の元王者モレノは、平良が対戦する予定だったアルバジとの試合で2R以降を完全ドミネート。最終ラウンドにはアルバジの組みを差し上げて両差しからテイクダウン。立ち際に首相撲から左ヒザを突き上げたまま左フックを効かせるなど、5Rにわたりアルバジを削って完勝。  25年3月の前戦ではエルセグを左右上下と変幻自在の動きでコントロール、テイクダウンも奪い完勝している。  オーソながらシャープなジャブ、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃と、右オーバーハンド、変則的な際のつなぎの打撃も巧みで、5つのKO・TKO勝ちをマーク。カラフランス戦では走り込んでの左中足蹴りを腹に効かせてKOするなどボクシングだけでなく、パンチから蹴り、テイクダウンに繋ぐ動きにも長けている。  一方、パントージャとの2Rでは、モレノがテイクダウンからバックを奪うなど、レスリングの上手さと、寝技でも11の一本勝ちを誇る極めの強さも持つ。三角絞め、ダースと正面からの絞めもあるが、フィゲレードを極めたリアネイキドチョークでは6つの勝ち星を上げており、そのバックを奪うレスリング力、グラップリング力の高さが、MMAのなかで巧みに繋がれている。  これまでKO・TKO負け、一本負けも無く、8つの黒星はすべて判定によるもの。身長170cm、リーチ178cmは、モレノ・平良ともに同じで、ラスベガスでは、マイキー・ムスメシと練習する姿もアップされており、平良が武器とする寝技でも攻略は容易ではない。スタンドでも細かくステップを使い、足を止めての打ち合いも出来るモレノをいかに空振りさせて、とらえるか。  果たしてこのフライ級2位と5位の試合は実現するか。
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