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【UFC】フライ級無敗のプロスペクトを撃破したチャールズ・ジョンソン「タイミングはスピードに勝る」──空の銀行口座にボーナスも

2025/08/27 12:08
 2025年8月22日の『ROAD TO UFCシーズン4 準決勝』に続き、23日(土)に中国・上海の上海インドア・アリーナにて『UFC Fight Night: Walker vs. Zhang』(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)が開催された。大会後、フライ級でランキングが更新され、9勝無敗のプロスペクト、ロニー・カヴァナ(英国/中国)を2R TKOに下したチャールズ・ジョンソン(米国)が15位から13位にランクを上げた。  ジョンソンは、一時3連敗で追い込まれていたが、2024年2月に代役で緊急出場した無敗のアザト・マクスム戦で判定勝ちすると、現PFLのジェイク・ハドリーに判定勝ち。さらに現コンテンダーであるジョシュア・ヴァンを右アッパーでKOに下すと、ス・ムダルジに判定勝ちで怒涛の4連勝。2025年3月には、元RIIZNのラマザン・テミロフと激闘の末に判定負けで5試合ぶりに黒星を喫していた。しかし、ジョンソンの過去7試合の相手の戦績の合算は80勝11敗。実力者を相手に戦ってきたことが明らかだ。34歳。  K-1ルールで活躍したカヴァナとともに強い打撃を持つが、身長で12cm、リーチで8cm長いジョンソンは6KO/TKO勝ちに加え、4つの一本勝ちもマークするなど極めも強い。引き出しの多さとキャリアはジョンソンに分があるが、8歳若いカヴァナの回転の速い打撃は同級でもトップクラス。香港人の母を持つルーツの国で無敗記録を更新するかと期待がかけられ、オッズはジョンソン2.70倍、カヴァナ1.49倍と、カヴァナがフェイバリット、ジョンソンはアンダードッグだった。  試合は、配信公式が「これでフライ級15位とランキング外…」とつぶやいた強さを両者が見せる激闘に。  序盤から、ジョンソンの打撃・組み技を怖れないカヴァナが鋭く強烈なミドルキック、右ハイ、ワンツーで攻勢に。さらにジョンソンのテイクダウンを切って、自らテイクダウン、ギロチンを仕掛けてジョンソンを追い込むなど、すべてが出来た上で強い打撃を軸とする戦いを仕掛けた。  しかし、「痛みに強い」ジョンソンは被弾しながらも、その勢いをスリッピングアウェーで逃がし、右ハイ、さらに組んでボディ打ちと圧力をかけると、カヴァナが徐々に疲弊。2Rに左の相打ちから、手が上がらなくなったカヴァナにジョンソンが右フック! カヴァナが後方にダウンし、パウンドにすぐにレフェリーが間に入った。カヴァナはマットに突っ伏して失神した。試合後、ジョンソンはスマホを見ながら中国語で「俺の名はチャールズ・ジョンソン。アメリカ出身。夢のために戦え。俺たちは共に立ち上がる。俺の名前を覚えてくれ!」と語っている。  上位ランカーたちが一目を置かざるをえない動きを見せた両者。特に勝者のジョンソンは、ファイターからの評価のみならず、周囲の評価も覆して逆転TKO勝ちし、ランクを2つ上げて、13位となった。  試合後、ジョンソンはかつてのコナー・マクレガーのように「タイミングはスピードに勝る」と、UFC公式Xに語っている。 「俺は非常に経験豊富で、ここにいるのには理由がある。ランキングが高いのにも理由があり、俺が倒してきた相手がいるのにも理由がある。カヴァナの試合映像を見ると、いつも驚異的な1R目を見せる。距離のコントロールが本当に上手で、素早い。しかも生涯を通じて武道家だから、彼がそこに自信に満ちていることは分かっていた。8勝0敗、若さもある。  しかし試合が進むにつれ、“これは戦いだ。こうなることは分かっていた。今夜は誰とでも戦う覚悟だ。今夜のケージでは誰とでも戦う”と感じた。  俺にとって重要なのは、タイミングだ。言った通り、俺は経験豊富だ。彼は若い。スピードもあるだろう。だがスピードに勝るものは何か? タイミングだ。あの右ストレートがそれを証明している。偶然じゃない。ナンバーワンコンテンダーのジョシュア・ヴァンにも起きた。ス・ムダルジにも起きた。そして彼にも起きたんだ。リストを挙げていけばキリが無い。タイミングはスピードに勝る」  そして、34歳にして2024年2月からハイペースの6戦をこなし5勝1敗の実績を「年齢で語るな」とし、「あと、1勝か2勝」でタイトルに挑戦したいとした。 「数字や年齢の話じゃない。年齢でプロスペクトについて論じるのはやめよう。目の前の現実を見ろ。過去6戦で5勝している。前戦は接戦だったが、9勝0敗の選手、10勝1敗の選手、10勝1敗の選手、そして16勝0敗の選手を倒した。それに、ス・ムダルジが俺と戦った時、彼はキャリアを通してランキング入りしていた。なぜプロスペクトの話をするんだ?俺こそが最大のプロスペクトだ。 (コツは?)大したことじゃない。何も見えないわけじゃない。ただ行くだけだ。感じるんだ。俺が、さっきも言ったように、流れに乗ると相手は問題になる。試合の序盤はいつも大事故で危険だ。小さなグローブだから、何が起きてもおかしくない。目に正しく一発食らうと俺みたいに──カヴァナは俺の目を正確に捉えて、そのせいで全てがぼやけてしまった。  だからそれを乗り越えて耐えながら戦うしかない。耐えられない奴もいる。黙り込む奴もいる。俺はポーカーフェイスが本当に得意で、それを乗り越える方法を知っている。数多くの戦いを経験してきたから、そのときどう戦うか分かっている。彼は賢くてそこで過剰に攻撃してこなかった。そうすれば俺が先に手を出すところだったからな。だから彼は上手くやった。今夜は彼なりに最善を尽くしたと思う。タイミングの問題だ。彼はこれからも武道家であり続け、以前言った通り、今のまま素晴らしい存在であり続けることを願っている。今夜の私の行動は、ロニー・カヴァナとは一切関係なく、全て俺自身に関わるものだ。  俺はリングに上がり、誇れるパフォーマンスを見せるつもりだ。過去6戦で5勝。トップ10に名を連ねる、意味のある相手と対戦したい。それがタイトル挑戦の権利を得るための条件だ。ジョシュア・ヴァンが(ブランドン・ロイヴァルに)勝ったことで、自動的にタイトル挑戦の候補に名を連ねた。だからあと1、2戦は勝たねばならないと分かっている。たとえ今6連勝中であってもな。タイトル挑戦の機会を得るにはあと1、2勝が必要だと理解している。そして俺は非常にその準備は万全だ。俺たちは次の指示に従うし、俺はそれを楽しみにしている。俺をアリーナに送り続けてくれ。わかるか? 俺がアリーナに立てば印象的な勝利を収める。観客と繋がり、ファンの前で戦うのが大好きなんだ。俺はただ強くなるだけだ」  また、アリエル・ヘルニア記者によると、最近の高い勝率にも関わらず、なぜかジョンソンは金欠で試合前にチームメイトに借金をして戦ったという。 「チャールズ・ジョンソンの銀行口座が今週、赤字になりました、彼のチームが教えてくれました。彼のマネージャー、ブライアン・バトラーが彼にお金を貸しました。ジョンソンにはもうすぐ赤ちゃんが生まれる予定です」  今回の試合はパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞。チャールズ・ジョンソンは、9月10日に生まれる子供を、ボーナスが入った預金通帳とともに迎えることになる。 [nextpage] UFCフライ級ランキング(8月27日付) ◆UFCフライ級ランキング(8月21日付)※選手名から前戦 王者 アレシャンドレ・パントージャ1 ジョシュア・ヴァン2 ブランドン・モレノ3 ブランドン・ロイバル4 アミル・アルバジ5 平良達郎6 カイ・カラ・フランス 7 マネル・ケイプ 8 アレックス・ペレス 9 アスー・アルマバイエフ10 ティム・エリオット11 スティーブ・エルセグ12 タギル・ウランベコフ13 チャールズ・ジョンソン14 ラマザン・テミロフ15 ブルーノ・シウバ (※以下、主なUFCフライ級ランキング外選手)堀口恭司朝倉 海ジョセフ・モラレスマテウス・ニコラウネイト・マネスアンドレ・リマアラン・ナシメントパク・ヒャンソンオデー・オズボーン鶴屋 怜ロニー・ カヴァナクレイトン・カーペンターフェリペ・ブネスホセ・オチョア [nextpage] UFCバンタム級ランキング(8月27日付) 王者 メラブ・ドバリシビリ1 ショーン・オマリー2 ウマル・ヌルマゴメドフ3 ピョートル・ヤン4 コーリー・サンドヘイゲン5 ソン・ヤドン6 デイヴソン・フィゲイレード7 マルロン・ヴェラ8 マリオ・バティスタ9 ロブ・フォント10 エイマン・ザハビ11 ヘンリー・セフード12 ヴィニシウス・オリヴェイラ13 マーカス・マギー14 カイラー・フィリップス15 モンテル・ジャクソン (※以下、主なUFCバンタム級ランキング外選手)パッチー・ミックスブライス・ミッチェルペドロ・ムニョスジョナサン・マルチネスクリス・グティエレスペイトン・タルボットフェリペ・リマジェアン・マツモトシャルル・ジョーデインデイビー・グラントハオニ・バルセロシュファリド・バシャラートリッキー・シモンサイード・ヌルマゴメドフダニエル・マルコスダモン・ブラックシアマイルズ・ジョーンズムイン・ガフロフコディ・ガーブラントベクザト・アルマハンビクター・ヘンリーハファエル・エステバムブレイディ・ヒースタンドセリー・シディエイドリアン・ヤネス中村倫也風間敏臣
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