Krush.1792025年8月23日(土)東京・後楽園ホール▼メインイベント(第9試合)Krush女子フライ級タイトルマッチ 3分3R延長1R×池内紀子(POWER OF DREAM/王者)延長R 判定0-3 ※9-10×3〇ソフィア・ツォラキドゥ(ギリシャ/PANTHERS SPORTS ACADEMY/挑戦者)※ツォラキドゥが新王座に就く。池内は初防衛に失敗。本戦の判定は28-30、29-29×2。 王者・池内は2021年3月にKrushでプロデビューし、2024年1月に「第6代Krush女子フライ級王座決定トーナメント」で優勝。無敗のまま7戦目で第6代Krush女子フライ級王座に就いた。2024年11月のチェ・ウンジ戦で右の強打を決め初のKO勝ち、2025年2月にはK-1でベセラ・ロガスカを撃破して戦績を9勝(1KO)無敗とした。 初来日の挑戦者ツォラキドゥはアマチュアキックで92戦85勝の好成績を収めた後、今年4月12日にギリシャのKOK(リトアニアのキックボクシング団体)大会でプロデビュー。かつてKrushでKANAと1勝1敗だったオランダの強豪メロニー・ヘウヘス(第3代Krush女子フライ級王者)に挑み、堂々の判定勝利。5月18日の2戦目では、WAKO-PRO地中海王座を奪取するという驚異の実績を持つ。
1R、序盤から左右フックを回転させるツォラキドゥ。その左右フックが池内の頭部を捉え、左右に揺れる。池内は右ローで応戦するが、ツォラキドゥはフック一辺倒ではなく右ミドルや前蹴りも蹴る。
2Rもツォラキドゥが左右フックをフル回転させて当てていき、右ローや右ミドルも当てる。手数も多くパワフルなツォラキドゥに池内は右カーフで対抗。この右カーフでツォラキドゥが足を上げ始めるが、攻撃の手は緩めない。
3R、激しい右ローの蹴り合いからツォラキドゥが左右フック、左右ボディ。池内は右ストレートで前へ出てヒザをボディへ突き刺すとツォラキドゥの動きが鈍る。池内の反撃に大歓声が起こるが、ツォラキドゥも右ストレート、右ロー、右ミドルで応戦して本戦はドロー。
延長R、ツォラキドゥは顔面前蹴り、右ミドル、右ロー、左フック、右ストレートと攻撃を当てていく。池内は左ボディ、ヒザで反撃するが、ツォラキドゥの手数と的確性が明らかに優る。被弾が目立つ池内はそれでも前へ出て攻めようとしたが、ツォラキドゥも負けじと多彩な技でヒットを奪う。
判定は3-0でツォラキドゥが勝利。初参戦でタイトルを奪取した。
「チャンスをいただいて感謝しております。皆さん応援ありがとうございました。コーチに感謝します。必ず日本に戻ってきます」●ツォラキドゥのコメント「相手が強くてタフな試合になったんですが勝つことが出来て嬉しく思っています。3Rは疲れてきましたが、その後さらに強く戻ろうということで延長Rを戦いました。1、2Rは自分が獲っていて3Rは彼女だと思うけれど自分が勝っていたと思いました。勝てたことを誇りに思うし、次はK-1のベルトを狙いたい。心が折れそうな時は自分は何のために日本へ来たんだと鼓舞するように自分に語りかけて盛り返すようにしました」●池内のコメント「自分の弱さが出てしまった試合。強かったです。印象の違いはなかったけど一つ一つのパンチの重さだったりスピードが速かったです。想定外ではなかったんですが、自分の弱さが出てしまって。カーフとボディが効いていたんですがそこで行けなかったのが自分の弱さです」
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▼セミファイナル(第8試合)Krushスーパー・バンタム級 3分3R延長1R×岩尾 力(POWER OF DREAM)判定0-3 ※29-30×3〇大鹿統毅(K-1ジム総本部チームペガサス)
岩尾は2014年7月にK-1 JAPAN GROUPに参戦すると、亀本勇翔、西京春馬に勝利したが2015年5月に朝久泰央に敗れた。その試合を最後にWINDY SUPER FIGHT、蹴拳、Bigbangなどの他団体に出場。バイク事故で大怪我を負い、2022年8月のKrushで約4年半ぶりの復帰を果たすと4連勝(3KO)の快進撃を続けていたが、2024年9月に鬼山桃太朗に判定負け。2025年2月、河野直次郎をKOして再起を果たした。武居由樹が「マジの天才」と評価する。戦績は17勝(9KO)4敗1分。
6月にKrush初のオープンフィンガーグローブマッチで鈴木太尊との対戦が決まっていたが、鈴木が減量中に体調悪化、病院へ運ばれ計量不参加で失格となり岩尾は不戦勝となっていた。
大鹿はK-1甲子園2022 -55kg王者。デビュー当初は他団体でプロ活動を行っていたが、2022年12月にKrush初参戦で勝利を収め、2023年5月の「第2代Krushフライ級王座決定トーナメント」を制して王座に就いた。10月の初防衛戦で悠斗に初回KO負けを喫し、初黒星で王座を失うと、山浦力也に勝ち、晃貴には敗れ、2025年3月に健介から延長戦で判定勝ち。戦績は10勝(1KO)2敗。
1R、岩尾は右カーフと右ロー、大鹿は左ミドルを蹴るが両者ともかなり慎重。フェイントをかけあって、互いにほとんど手を出さないまま初回を終えた。
2R、互いに右カーフで相手のバランスを崩し合い、岩尾はしつこく右カーフを蹴っていくが、大鹿がパンチのコンビネーションを回転させてロープを背負う岩尾に連打を決める。終盤は岩尾もパンチを繰り出すが、互いにフェイントを掛け合って手が出ない。
3R、左三日月を蹴る大鹿は入り込んでの左ボディ、左フックのダブル。岩尾もパンチを出すが単発で、大鹿が回転力を活かして連打で攻める。距離を詰める大鹿に岩尾はクリンチを多用してしまい、痛いイエローカード。最後まで岩尾は手数が少なく、前へ出て攻めるのは大鹿。
判定3-0で大鹿が勝利。雄叫びをあげた。
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▼第7試合 Krushバンタム級 3分3R延長1R×板橋武留(KIWAMI GYM)KO 3R 1分16秒 ※3ノックダウン〇柿﨑 瑠(KNOCK OUTクロスポイント大泉)
板橋はプロ6戦目にして初代Bigbangバンタム級王者となった。K-1 GROUPには2021年10月から参戦しており、5勝(2KO)2敗1分。蹴り技を得意としている。戦績は7勝(2KO)2敗2分。
柿﨑は乙津陸に続くクロスポイント大泉のホープ。2022年11月にKNOCK OUTでプロデビュー以来、10勝(5KO)無敗の快進撃を続けていたが、2025年3月の2度目の『ONE Friday Fights』参戦でエンゾ・クラリスにスプリット判定負け。6月にはKrushに初参戦を果たしたが、菊地海斗に延長戦で惜敗した。戦績は10勝(5KO)2敗。
1R、徹底して右カーフを蹴る柿﨑はジャブを当てる。板橋も右カーフを蹴り、左ミドル、右ストレートを打ち抜く。柿﨑は細かくパンチを返していき、強打を打つ板橋に対抗。
2Rも右カーフを蹴っていく柿﨑はノーモーションの右ストレート。板橋は打ち抜くような右ストレートを放つ。前へ出る柿﨑は右カーフを軸に前蹴り、右ストレート。板橋は右ストレートから左フックを返す。
3R、右カーフを蹴って前に出る柿﨑、ワンツーの打ち合いになると右ストレートを打ち抜いてダウンを奪う。柿﨑は左右連打で前へ出るとダメージのある板橋は巻き込まれるようにして倒れ2度目のダウン。最後も柿﨑の攻めの勢いに板橋が転倒を続け、ダウンとなって柿﨑のKO勝ちとなった。
「応援ありがとうございました。2連敗してからのKOで勝ったのでホッとしています。僕、1年間KNOCK OUTに出れてないので枠があったら出させてください」
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▼第6試合 第5代Krushフライ級王座決定トーナメント・一回戦第4試合 3分3R延長1R〇上遠野寧吾(POWER OF DREAM)延長R 判定3-0 ※10-9×3×東虎之介(ALONZA ABLAZE)※上遠野が準決勝へ進出。本戦の判定は29-30、30-29、30-30。 上遠野はKrushに2024年8月から参戦し、2戦2勝。2024年8月に海凪に判定勝ちしている。戦績は4勝(3KO)無敗。18歳。 東は第2代KPKB(九州プロキックボクシング)フライ級王者、PRINCE REVOLUTION -52kg級王者。Krushには2023年9月から参戦し、1勝2敗。戦績は6勝(2KO)2敗。19歳。
1R、両者サウスポー。東は体勢を低くして入り込み、左右フックと右ボディ。上遠野はジャブを打つが、東に入り込まれて打たれる場面がある。上遠野はジャブを打っての右三日月。左ストレートも伸ばして前へ出た。
2Rもアグレッシブに前へ出て攻めるのは東。身体を沈めるようにして右ボディ、左右フックを打つ。上遠野はジャブを突き、右ミドル。東の足が遅くなり、上遠野のジャブが当たり始める。
3R、左ローの蹴り合い。前に出る東は組まれてもフックを打つ。上遠野も左ストレート、右ボディとこのラウンドは積極的にパンチを打って行き、本戦の判定は三者三様のドローで延長戦へ。
ジャブと右ローを当てていく上遠野。前へ出るのは東だが、右フックを回り込みながら当てていく。回転の効いた左右のコンビネーションを打ち込んだ上遠野は印象がいい。東もしっかり打ち返し、蹴り返して一進一退の攻防が続くが、東をかわして当てる上遠野は見栄えがいい。
判定3-0で上遠野が接戦を制した。
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▼第5試合 第5代Krushフライ級王座決定トーナメント・一回戦第3試合 3分3R延長1R×有馬大翔(K-1ジム福岡チームbeginning)判定0-3 ※28-30、27-30×2〇海凪(RAUSU GYM) 有馬はKrushに2022年9月から参戦し、2勝2敗。戦績は5勝(1KO)5敗1分。24歳。 海凪はK-1甲子園2023東日本予選 -55kg優勝。Krushには2024年6月から参戦し、2勝2敗。2024年8月に上遠野、2025年5月に大久保に敗れている。戦績は4勝(1KO)3敗。18歳。 前日計量で有馬が300グラムオーバーとなり、トーナメントは海凪が準決勝へ進出。この試合はワンマッチとして行われる。有馬は減点1からのスタート、グローブハンデは海凪が拒否したため両者通常の6オンスグローブを使用。有馬はファイトマネー20%減額となり、海凪に渡される。また、海凪が勝利した場合のみ公式記録となり、それ以外は無効試合。
1R、有馬はサイドキックと前蹴りを多用。海凪は左右ボディを狙っていき、特に右ボディが強烈。有馬もヒザを顔面へ突き上げてくるため油断は出来ない。
2R、有馬は前蹴り、海凪は左右ボディtお前蹴り。海凪は攻め疲れか徐々に田和が減っていき、有馬が右ローをヒットさせる。
3R、有馬がボディへのヒザ、海凪はパンチを打って前へ出ていくが両者とも疲れからかホールディングが多い。左右ローの有馬に左右ボディの海凪。互いにヒザも蹴る。最後も前に出る海凪。
かなりの消耗戦となり、両者苦しそうだったが、判定3-0で海凪の勝利となった。
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▼第4試合 第5代Krushフライ級王座決定トーナメント・一回戦第2試合 3分3R延長1R×吉川仁清(WIZARDキックボクシングジム)判定0-3 ※29-30×3〇大久保世璃(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)※大久保が準決勝へ進出。 吉川はKrushに2025年1月から参戦し、1勝1敗。1敗は安尾に付けられたもの。戦績は5勝(4KO)1敗。18歳。 大久保はK-1甲子園2024 -55kg王者。大久保琉唯の弟。2025年2月のK-1でプロデビューし、2戦2勝。2025年5月には海凪から判定勝ち。今日が誕生日の18歳。
1R、互いに右カーフを蹴り合う。前に出る大久保は右カーフ、右ロー、左三日月、ロープに詰めると左ボディ。吉川は大久保の右カーフをカットしつつジャブ、大久保が入ってくると左右フックで迎え撃つ。大久保がパンチを打って来ると右カーフを合わせる。
2R、大久保は歩くように前へ出ての右インロー、パンチに飛びヒザ蹴りを混ぜつつ、左右の三日月に左右のボディ、さらに後ろ蹴りと多彩な技を繰り出す。吉川は右カーフとジャブを軸に、大久保が入ってくるところにフックを合わせにいった。
3R、吉川は右カーフを狙うが、大久保はかなり接近しての左右三日月、左右ボディの集中打。吉川は苦しそうに大きく口を開け、右ストレートを打つも逆に大久保の右ストレートをまともにもらってしまう。
判定3-0で多彩な技を繰り出した大久保が準決勝へコマを進めた。
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▼第3試合 第5代Krushフライ級王座決定トーナメント・一回戦第1試合 3分3R延長1R〇安尾瑠輝(K-1ジム心斎橋チームレパード)KO 3R 2分16秒 ※3ノックダウン×渡部 蕾(KNOCK OUTクロスポイント大泉)※安尾が準決勝へ進出。 安尾は第3代DEEP☆KICK -51kg王者。2022年7月からKrushに参戦し、2024年7月には第3代Krushフライ級王者の悠斗をKOしている。戦績は7勝(4KO)3敗(Krushでは5勝3敗)。20歳。 渡部はKrush初参戦。2024年9月にKNOCK OUTでプロデビューし、5勝(3KO)無敗。18歳。
1R、サウスポーの渡部はスピードのあるトリッキーな攻撃。サイドキック、前蹴りを多用。安尾は前へ出てきて左フックから右ストレートを繰り出すが、渡部がすぐにワンツー、右フックを打つ。
2R、どんどん前に出て右ミドルからパンチをまとめていく安尾。渡部はヒザや左で応戦するも、どんどん圧をかけられてつかまる場面が多い。
3Rもどんどん前へ詰めていく安尾。コーナーに詰められた渡部はその場飛びのヒザ蹴りを繰り出す。安尾の前進に合わせてヒザをボディに入れるが、前に出る安尾が左ボディでダウンを奪う
パワフルなパンチのラッシュをかける安尾が畳み込んでの右フックでダウンを追加。渡部は左ストレートで打ち合いに行くが、最後は安尾の左ボディ連打でマットへ沈んだ。
安尾はマイクを持つと「久々のサウスポーっでなんとか勝ててよかったです。練習生のみんな、これからも頑張るから一緒に頑張ろうね」と語った。
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▼第2試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R〇寺島 想(AX GYM)延長R 判定3-0 ※10-9×3×龍翔(EX ARES)※本戦の判定は28-30、30-30×2。
寺島はK-1カレッジ2020 -60kg王者で2022年2月のKrushでプロデビュー。5戦目までは3勝1敗1分だったが、6戦目からは泥沼の4連敗。ここらで連敗から脱出したいところ。
龍翔はMA日本キックボクシング連盟JAPAN CUPスーパーバンタム級王者で、K-1 GROUPには2023年12月から参戦。これまで2勝(2KO)3敗の戦績で、通算戦績は7勝(3KO)3敗。こちらも2連敗中で勝利に飢えている。
1R、龍翔は接近しての徹底した左ボディ狙い。さらに密着したような状態で右ローを蹴る。寺島は左三日月、左ヒザで対抗する。
2Rも龍翔は寺島にロープを背負わせての左ボディ狙い。右ストレートは寺島にかわされる。寺島は前蹴り、左三日月、ヒザだが、ロープに押し付けるように圧をかけてくる龍翔に攻撃が出しにくい様子。
3Rもロープを背負う寺島だが左ミドル、右フック、ジャブを当てていく。前に出る龍翔は左ボディを打つが寺島に先手を取られる。
判定はドロー。延長戦へ。目に出る龍翔に小さいパンチを当てていくのは寺島。龍翔は右を打つも寺島にかわされる。最後は両者ホールディングが増えたが、細かく当てていった寺島の判定勝ちとなった。
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▼第1試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R延長1R×嶋 拓実(K-1 GYM横浜infinity)KO 2R 2分24秒 ※右ストレート〇内田竜斗(チーム・タイガーホーク)
1R、左ミドルを蹴る内田に嶋は右を中心にワンツーで前へ出る。内田も右で応戦し、嶋の右カーフに合わせる。
2R、内田は前に出ての右ストレートを強打、左右ミドルも強く蹴る。両者ロー、ミドルを蹴り、嶋は近付くと左右フック。内田の飛び込んでの右が強くヒットし、嶋は打ち合いに行くが内田に左ミドル、テンカオを蹴られ、最後は右ストレート。嶋は前に倒れ、即座にKO勝ちとなった。
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▼プレリミナリーファイト第1試合 Krushフェザー級 3分3R〇岩上行統(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)判定3-0 ※30-27×2、30-28×倉田大珠(朝久道場 KING TEAM KURATA)
1R、サウスポーの岩上は左ミドルを蹴り、入り際の右フックを当てていく。倉田は右ストレートで対抗し、コーナーへ詰めての右ストレートでダウンを奪う。
2R、倉田はまだダメージがあるのかホールディングが多い。右フック、右ボディを打つ倉田に岩上は右ストレートを狙い撃ち。
3R、倉田は左ストレートで対抗するも岩上の右ストレートをもらい、のけ反る。両者とも前へ出て組み合う場面が多くなってしまったが、岩上は右カーフを蹴り、右ストレートを打って前へ。
判定3-0で岩上の勝利となった。