ONE Friday Fights 1202025年8月15日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信
▼第4試合 120LBS(-54.43kg)ムエタイ 3分3R×ハー・リン・オム(ミャンマー)KO 3R 2分16秒 ※左ハイキック〇石井寿来(ウォーワンチャイプロモーション)
ジュライ・ウォーワンチャイこと石井寿来は石井一成の甥で、一成と同じくジュニア時代からタイ遠征を重ねて2019年3月にルンピニースタジアムでプロデビュー。その後も日本とタイを行き来しながら戦績を重ね、WMC日本フライ級王座、スックワンキントーンフライ級王座、BOMスーパーフライ級王座の三冠を獲得。2023年7月、BOMで吉成名高と好勝負を繰り広げたソンチャイノーイに敗れるまで国内無敗の戦績だった。
2025年5月、KPKB(九州プロキックボクシング)で初めてのキックボクシングルールに挑戦し、ジョン・ヒョヌに1RでTKO勝ちしてKPKBインターナショナルバンタム級王座を奪取。2024年4月には『ONE Friday Fights』に初出場し、ベテランの片島聡志との日本人対決で勝利した。2025年6月の2度目の参戦ではモロッコのユネス・ムーニンをヒザ蹴りで2RにKOしている。
オムはラウェイで30勝3敗20分(ラウェイではKO勝ち以外は引き分けとなる)の猛者。
1R、サウスポーの石井はオムの右ローをかわすと左ロー。オムが前に出るとその分、下がる石井は距離を取る。オムはジャンプしての蹴りで距離を詰めようとするが、石井は距離を保ったまま左三日月、左ミドルハイ、左ストレートと長い攻撃を当てていく。
左右フックで入っていくオムを右ボディ、左ストレートで迎え撃つ石井。右ボディからの左フック、さらに左ヒジも打つ。右ミドルを腕ブロックするとすかさず左ハイ。石井が完全に距離を支配したラウンドとなった。
2Rも一定の距離を保つ石井が左ミドル、左インロー。ジャブでけん制して左ストレート。オムはパンチで入り込もうとするが、接近すると首相撲で止められ、離れるとジャブと左ミドルをもらう。左ミドルの距離を増やす石井が左ストレートからの右フック、飛びヒザ蹴り。オムは入り込んでも首相撲に捕まり、コカされる。
立ち上がると石井が左ボディストレート、左ヒザ、首相撲からのヒジ。左ミドル、左インロー、飛びヒザで飛び込んだかと思うと、すぐにジャブと左ミドルでオムを離す。
3R、左ヒザを蹴って右へ回り込むと左ストレート、さらに左ミドル。オムはガードを固めてスイッチしながら入り込もうとするが、そこへ石井のワンツーやヒザ、左ヒジ。近付いても石井の首相撲に捕まる。左へも回り込む石井が左ヒジ、左ヒザ、そして右フック。オムの右フックを空振りさせると、すかさず右ボディを叩き込む。
石井の左ボディストレート2発に首を振るオム。すかさず石井がボディを攻め込み、ボディに攻撃を集中させておいて前へ出て左ヒザからの左ハイキック。一発でオムを大の字にさせ、見事なKO勝ちを飾った。
「今日の試合の内容はボディに自信があったので狙っていたんですけれど、相手の動きを見てハイキックが入りそうだったから打ったら入ったって感じですね」と勝利者インタビューに応えると、2連続となる35万バーツ(約155万円)のボーナスを獲得。
続けて「ボーナスありがとうございます。会場にいる皆さんとU-NEXTで見てくださった皆さん、いつも応援ありがとうございます。11月の日本大会、僕だったら絶対に盛り上げられるのでよろしくお願いします」と、日本大会出場をアピールした。
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▼第3試合 138LBS(-62.6kg)キックボクシング 3分3R×チャン・ハイヤン(中国)判定0-3〇GUMP(TEAM TEPPEN)
GUMPは2024年8月の『DEEP☆KICK』で-60kg王者の大樹(RISEスーパーフェザー級3位)を三日月蹴りでKOして第9代DEEP☆KICK-60kg王者となった。11月のRISEでは岩郷泰成をKOと波に乗っていたが、12月に笠原友希に判定負け。2025年3月、細越竜之介に判定勝ちして再起。6月には元NKB王者の高橋亮を判定で破った。現RISEスーパーフェザー級4位。決め台詞は「ノーダメージ」。戦績は16勝(3KO)4敗1分。
8日の『ONE Friday Fights 119』には同じTEPPENの水野夢斗が初参戦で勝利を収めており、続きたいところだ。
ハイヤンは、6月のONE FFで成尾拓輝と対戦している選手。試合序盤から打ち合い、左フックで成尾から先制のダウンを奪ったが、その後の打ち合いで逆転KO負けを喫した。戦績は20勝8敗。
両者とも最初から気合い十分でのにらみ合い。1R、GUMPが右カーフキックで先制し、ジャブで前へ出る。ハイヤンはワンツー、右ロー。GUMPは右ストレートを叩きつけ、右カーフを蹴る。GUMPは前に出ながらヒザをボディに突き刺し、すぐにジャブ。ハイヤンも左ボディを返す。
ハイヤンの右カーフを受けると、GUMPはノーダメージのポーズをとって余裕を見せる。どんどん前へ出て攻めるGUMPは右ロー、左フック、左ボディ、さらに右ヒザを蹴ってから右ストレート、右ハイも。GUMPのワンツーにハイヤンは転倒する。
2R、GUMPは右ローと右カーフを連打。左フックの打ち合い。右ロー、右ボディ、左右のヒザ。ハイヤンも左右フックを打ち返す。左ボディをもらうGUMPだが、右ストレートを打ち返すとお返しの左ボディ。左ヒザからワンツー、すぐにジャブと手数が止まらないGUMP。
飛びヒザからの左ヒザも突き刺す。GUMPの左ボディに左右フックを打ち返すハイヤンだったが、GUMPはそれ以上の手数を返して左ボディ、左ヒザをヒットさせる。
3R、手を振って観客を煽るGUMP。ハイヤンの左右フックにGUMPは両ヒザ蹴りと右ローで対抗。互いに相手のフックを被弾するが、GUMPは下がらずジャブ、前蹴り、右ストレート。ハイヤンの連打にGUMPも足を止めて打ち合う。ハイヤンの右ストレートにのけ反るGUMPはヒザを返す。さらに左ボディ、飛びヒザ。ハイヤンのワンツー、右アッパーにのけ反るGUMP。それでも下がらず右ストレート、右ヒザ、左ボディを打ち返す。
ガムシャラに左右フックで前へ出るハイヤンだが、GUMPはプッシュして押し返すと左ヒザ。左右ボディからの左ヒザにハイヤンがついに下がる。すかさず前へ出て攻めたGUMP。
判定3-0でGUMPが勝利。笑顔で両手を挙げた。
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▼メインイベント フライ級ムエタイ 3分3R〇ヨードレックペット・オー・アトチャリア(タイ)判定2-1×ポンペット・パントンジム(タイ/P.K. Saenchai Muay Thai Gym)
“ザ・デストロイヤー”ことヨードレックペットはラジャダムナンスタジアムでライト級(2015年と2017年)とスーパーライト級(2021年)の2階級制覇、ルンピニースタジアムでも2017年にライト級王者となり、2大スタジアム王座を同時に保持した。2015年12月にラジャで梅野源治と対戦してTKO勝ちしたが、2016年10月の日本での再戦では判定で敗れラジャ王座を奪われた。2018年4月のKNOCK OUTでは初代王者・森井洋介にTKO勝ちしてKNOCK OUTライト級王座を奪取。同年にはタイのスポーツ界で権威のあるサイアムスポーツ社認定のタイ・スポーツ大賞のムエタイ部門でMVPを獲得している。
ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 2』から参戦し、4連勝(3KO)するもムアンタイ、タギール・カリロフに連敗。2024年6月のコムアウット戦で連敗を脱出したのも束の間、8月にコンスックに敗れた。11月のプンルアン戦ではダウンを奪われるも3Rに逆転KO勝ち。1月31日の『ONE Friday Fights 95』ではジャオスアヤイに2RでKO負け、3月のONE日本大会では吉成士門に判定負けを喫したが、6月にONE4戦全勝だったドンキングを1RでKOした。戦績は91勝38敗3分。
ポンペットは2023年5月からONE FFに出場し、ドゥアンソムポン、リッティデット、スリヤンレック、プンルアンらを撃破。5勝(3KO)2敗の好成績をマークしている。35万バーツのボーナスを4回獲得している激闘男。戦績は107勝46敗。
1R、ポンペットは前蹴りから右ミドル、ヨードレックペットはいつも通りガードを高く上げて小さく構えてのしのしと前へ出て行く。ヨードレックペットの左インローにポンペットは左ミドルハイを蹴っていく。ロープに詰めていくヨードレックペットが左右フック、ポンペットは声を上げながら左右フックからの右ヒジ。
ヨードレックペットは左ボディストレートを多用し、右ボディも打つ。コーナーに詰めたヨードレックペットがボディを攻めるとポンペットは右ヒジで迎え撃つ。右ハイから左右フックで前へ出るポンペット。
2Rもジャブと左インローで前へ出ていくヨードレックペットに、ポンペットはロープを背にするが前蹴りや左右連打で押し返す。ヨードレックペットの左にはポンペットが左右フックを返す。手数を多く出すポンペットにヨードレックペットは左ストレートを放って行く。右ヒジと右ストレートを多く出すポンペットにヨードレックペットは左の大砲で応戦。
ポンペットの右ボディ、右ストレートに下がるヨードレックペットがコーナーへ詰まる。ポンペットは手数を多く出し、ヨードレックペットを防御に回らせるが、ヨードレックペットも左ヒジ。左ストレート一辺倒のヨードレックペットに対し、ポンペットは左フック&左アッパー、右ヒジと多彩な攻撃。
3R、ヨードレックペットが左ストレートを顔面とボディへ、ポンペットは頭を振ってワンツー、左ミドルハイ、左縦ヒジ。ヨードレックペットも左ヒジ。至近距離で頭を振りながら左右フック、右ミドルハイ、ヒジを打つポンペット。ヨードレックペットが左ストレートを打って前へ出るところにポンペットが右フックを打ってヨードレックペットを下がらせる。
ロープを背負ったヨードレックペットにポンペットが左右のヒジ連打。ヨードレックペットが大流血。ポンペットは左右フックにアッパー、ヒジ、さらに左右ボディも打つ。ヨードレックペットが左の連打で逆襲に転じるが、ポンペットの右にふらついたのはヨードレックペット。最後まで手数多く攻め切ったのはポンペットだ。
判定は割れ、ヨードレックペットが勝利をもぎ取った。
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▼コー・メイン フライ級ムエタイ 3分3R〇ギンサンレック・ウォー・カムチャムナン(タイ)TKO 1R 1分11秒 ※3ノックダウン×タン・ジン(ミャンマー)
ギンサンレックはラジャダムナンを主戦場としていたサウスポーで、クマンドーイ、サオエーク、タノンチャイらトップファイターには敗れているものの、ルンミニットやコントラニーなど王者クラスから勝利を奪っている。2022年のRWSでは、ウズベキスタンとウガンダの選手に勝利。2022年12月にはヨーキッサダーにTKO勝ちしている。ONEではゴントーラニー、ジョアキン・オラギ、イゴール・ベクレフに3連続KO負けを喫して崖っぷちに追い込まれたが、7月にアレクセイ・バリカを1Rわずか53秒、バックハンドブローでKOして再起。戦績は43勝12敗。
ジンはラウェイの戦士。『ONE Friday Fights』には2024年2月から出場し、ジャイシンに鮮やかな左フックのカウンターで2R TKO勝ち。8月にはタイ(タイ)もボディへの猛攻で1R1分14秒、マットに沈めている。9月には武尊との初のキックボクシング戦に臨み、2RにKOで敗れるも1Rに武尊から左フックでダウンを奪った。2025年1月にスリヤンレックにKO負けを喫し、4月の再起戦はメディカルチェックで不合格となり欠場。
この試合は当初8月8日の『ONE Friday Fights 119』のメインで行われる予定だったが、ギンサンレックの欠場で今大会にスライドされた。
1R、サウスポーのギンサンレックにジンは右インロー、ジンのジャブにギンサンレックは左ストレートを合わせようとする。ジンが右インローを空振りした直後、ギンサンレックが左ハイキック一閃、ダウンを奪う。ダメージの見えるジンだがギンサンレックの左ミドルに軸足蹴りを合わせて転倒させる。
ギンサンレックは左ストレートからの左ヒジ。左へ回り込みながらまたも左ハイを蹴るギンサンレック。ジンの右ローとギンサンレックの左ローが相打ちとなり、すかさず右ローをもう一発蹴っていったジンだが、空振りしたところに左フックをもらって壮絶なダウン。
それでも立ち上がるジン。ロープに両手をかけたままのジンだったが、レフェリーはカウントを止めて試合続行。すかさず左ハイを放ったギンサンレックはふらつきながら後退するジンへ左ストレートを叩き込み、ジンは座り込むようにしてダウン。ギンサンレックの初回KO勝ちとなった。
2連続初回KO勝ちとなったギンサンレックは「KO勝利できて本当に良かった」と勝利者インタビューに答え、2連続で35万バーツのボーナスを受け取った。