2025年8月11日(日本時間12日)、米娯楽・メディア大手のパラマウントが、2026年から7年間にわたり77億ドル(約1兆1400億円)でTKOグループのUFCの「米国におけるすべてのUFC試合の独占配信権」を取得。動画配信事業のパラマウント+にて米国で配信することが分かった。
『CNBC Television』に出演したTKOのアリエル・エマニュエルCEOは、「ペイ・パー・ビュー(PPV)やファイトナイトといったコンテンツについて、複数の事業者が様々な構成で入札していましたが、48時間でまとまりました。主要イベントは13本、ファイトナイトは30本あります。私たちは古いPPVモデルを廃止したいと考えていました。それは単に時代遅れです。現在、PPVで放送されるのは、たまに深夜に始まる大規模なボクシング試合だけです。あるいはDIRECTVで映画が放送される程度。これは古いモデルですよね? ファンが私たちの商品を手に入れるための障壁となっています。今回の契約はアスリートやファンからも歓迎されるでしょう。そして、これはダナ・ホワイトにとって極めて重要なポイントでした」と語った。
今回のパートナーシップはUFCの米国での配信戦略における重要な転換点となる。既存のPPVモデルとは異なり、プレミアムイベントをパラマウント+加入者に追加料金なしで提供するようになる。
パラマウントは26年から、タイトルマッチやトップファイター同士の対戦を含む13の主要イベントのほか、30のUFCファイトナイトをParamount+ストリーミングプラットフォームを通じて配信。一部のナンバーシリーズはCBSでも同時放送される。また、国際的な権利についても、将来的に入手可能となれば取得を検討するという。
パラマウント買収を先週完了したパラマウント・スカイダンスのデービッド・エリソン最高経営責任者(CEO)は、TKOグローバル・ホールディングスがこれまでウォルト・ディズニー傘下のESPNに支払っていた金額の倍以上を提示したと語った。ESPNはUFCの放映権料として5年間平均5億ドルを支払ってきたとされ、この契約は2025年末に満了する。
スカイダンスのエリソンCEOは、「UFCはスポーツ界のユニコーン的資産」「単一プラットフォームが独占するスポーツとしては最大になる」と述べ、パラマウント+で数百万人の加入者増を見込んでいる。
また、同番組でTKOのマーク・シャピロCOOは、「私たちにとって最も重要だったのは“ワンストップショッピング”を提供することです。もちろん、私たちは常に戦略の二つの側面を検討していました。一つは収益化、つまり権利価値の最大化です。しかし、もう一つは同様に重要なことですが、ブランドと事業の将来の成長にとって最適な拠点とプラットフォームとはどのようなものかということです。ですから、今回のシナリオにおいて年間平均価値(AAV)11億ドル(※前回の取引で得た金額の2倍)という適切な価格で一つの場所に留まることができれば、財務面の目標は達成できるのです」と語っている。
米国の連邦通信委員会(FCC)の承認を得て、8月7日にスカイダンスは、パラマウントを80億ドルで買収する契約を正式に締結したばかり。そこからパラマウントとTKOの両社は48時間以内にこの契約交渉を行ったという。
【写真】中村倫也、平良達郎、風間敏臣に続く、UFC日本人選手の「8月決戦」の4人目として、8月17日には朝倉海がシカゴ大会に出場する。(C)GONG KAKUTOGI
日本では現在、UFC Fight Passおよび、U-NEXTにてPPVイベントとファイトナイトシリーズの全大会がライブ配信されている。