笠原の挑戦を受け、初防衛戦に臨むイモト
2025年8月9日(土)東京・後楽園ホール『SHOOT BOXING 2025 act.4』(U-NEXT配信)にて、シュートボクシング日本スーパーライト級タイトルマッチ3分5R無制限延長Rで笠原弘希(シーザージム)の挑戦を受ける王者イモト・ボルケーノ(FIGHT SCIENCE)のインタビューが主催者を通じて届いた。

イモトは長い手足を武器に、2021年12月に村田聖明とのSB日本スーパーライト級王座決定戦を制してベルト獲得。同階級では相手がなかなか見つからないことから、他団体の刺客との対戦でキャリアを重ね、実力を付けてきた。2024年6月の前戦では二階級同時制覇を狙い、奥山貴大が保持するSB日本ウェルター級王座に挑戦したが惜敗。心機一転、これまで所属していたジムを離れ新たな環境で1年3カ月ぶりの再起戦で防衛戦に挑む。
僕から笠原選手を指名させてもらいました

――2024年6月の奥山貴大戦以降、試合間隔が空いたのは、どういう理由からですか。
「樋沼朝光戦(2023年9月23日)の時にパンチを打ったら一瞬、肩が外れてから肩がちょっと緩くなったところはあったんですけど、奥山戦で自分がパンチを打った時に肩が外れて、試合後に診断を受けたら反復性脱臼で。予約が取れなかった関係でクリスマスの日に手術をしました」
――その試合ではフルラウンド戦い抜きましたが、そうだったんですね。
「試合中に外れたらしょうがないなと思っていたんですけど、5Rはもう肩が上がらなくて、そこに右フックをもらってダウンしてしまった感じでした。なので、肩が外れたのは奥山君のせいにしています(笑)」
――手術後はどういう練習を?
「ランニングは肩に振動が伝わって痛みでできなかったので、蹴りの練習や筋トレで体を作ってました。ちゃんとした練習ができず、しんどくてもう本当にこのまま引退しようかなと思ったんですけど、周りのサポートがあったり、また僕の試合を見たいと言ってくれる人たちがいたので、もう一回やってみようかなと思うようになり、戻ってきました」
――以前はGSB所属で、現在の所属ジム名がFIGHT SCIENCEになっていますが、ジムを移籍したんですか。
「奥山戦の時からいろいろ練習を見てもらっているジムで、そこが一番自分の肌感覚的に合うのかなと思ったのでGSBの坪井会長に相談してFIGHT SCIENCEでお世話になることにしました」
――どういう方が指導されているんですか。
「代表の野田カズヤさんはインドやグアテマラで空手のナショナルコーチをされていた糸東流空手出身の方で、帰国してから総合格闘技を始めてMMAで勝った試合は全てKO勝ちで勝っていたことで“ワンパンマン”というニックネームが付いていました。今までは基本的にシャドーとサンドバックを打って、誰かに教えてもらうというよりは自分で考えて練習することが多かったんですけど、今は、先生から倒す技術を教えてもらってからは練習で人を倒さないように気を付けるぐらいな感じになりました。先生とは考え方もすごい似てるところがあり、その中でも自分の考えの2歩3歩先の考えを持っている方なので、すごく勉強させてもらっています」
――パンチの威力が増したんですね。以前と比べて、パンチの打ち方はどう変わってきましたか。
「“骨で殴る”ことを覚えました。構えとかは大きくは変わってないんですけど、細かいテクニックとか、バリエーションは変わってきているので、どの攻撃でも倒せる形にはなってきています。近代スポーツとは違う別の打ち方になり、当日試合を見てもらえればわかると思うので楽しみにしてください」

――復帰戦が期待されている中、今回まさかのタイトル初防衛戦となり、さらに挑戦者には今勢いのある笠原弘希選手を指名されたことをお聞きしました。先日の記者会見でシーザー武志会長が「強いヤツに挑戦していく。そういう今の若い格闘家は計算して、本当の格闘家の重大なことを忘れている気がします」と苦言を呈していましたが、イモト選手はまさに格闘家の選択をされたわけですね。
「復帰するんだったら、今この階級で強い笠原君とやらないといけないというのが自分の中であったので、僕から笠原選手を指名させてもらいました」
――そうだったんですね。笠原選手が階級を上げてタイトル挑戦もアピールしていましたが、そういうのを見て意識していたんですか?
「そうですね。どっちみち復帰するんだったら、一番派手に復帰できる相手とやらないと意味がないなと。そこで調整試合を挟んで何戦かやって笠原君とやるというよりも、一発目からやった方が面白いんじゃないかなというのが僕の中であったので、指名させてもらいました。多分、僕が今までにやってきた中でも一番強い相手ではあるとは思うんですけど、やりようはある相手ではあります。初見の相手にはビックリすることはあっても、笠原君に関してはデビュー戦から全試合は見ているので、苦手意識はないですし、特に初めて見る技があるわけでもないので、問題ない相手かなと思います」
――選手としてはどういう印象がありますか。
「突進力があり、体が強くてよく振り回す選手という印象です」
――笠原選手のプロデビュー戦から見ていたのは、注目していた選手だったんですか?
「もともと僕はシュートボクサーに憧れてプロを目指していて、SBに関してはもう小さい大会から全部見ていたんです。なので、基本的にSBのここ10年ぐらいの試合に関しては、ほとんどチェックしていて、笠原君に関しても対戦を意識していたというよりは、僕の好きなSBの一人の選手として見てました。あと、彼とはアマチュア時代に1回だけ試合したことがあったんです。僕が中学生の時に多分、彼のアマチュア最後の試合が僕だったのかなと。SBアマチュア全国大会の決勝戦で対戦して、僕は一生納得いってないんですけど(苦笑)、なんか転んだらダウンを取られてそのままKO負けにされ、ノーダメージで家に帰った記憶しかないので、次はダメージありで家にやり返してやろうかなと」
「当時、僕はよくわからず格闘技をやっていたところがあったので、アマチュア時代に対戦した相手選手の印象を覚えてはいないですね」
――笠原選手は現在、RISEで開催されているGLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENTにSB代表として出場し、6月の一回戦ではロンペット選手に判定勝ちして11月の二回戦進出も決定しています。
「SBのスーパーライト級のチャンピオンは僕なんで、次の試合で笠原選手を負傷させて自分が代役で出ようかな、と思っています。笠原選手はさらに上の5階級制覇も狙っているんですよね? どんどん階級を上げていって、ヘビー級の坂本(優起)選手を守るためにも、ここで止めなきゃいけない使命が僕にはあります」
――さすがにそこまでは階級を上げないかと(苦笑)。もうすでに笠原選手の穴は見えてますか?
「そうですね。彼の嫌なところは、チームで話し合いながら対策、練習はしているところです」
――勝った後、その先に考えていることもありますか?
「勝った後にしか言う権利がないと思うので、今は目の前の試合に集中しようかな、という感じです。誰が見ても間違いなくベストアートな試合をして、僕の試合を見てくれた人たちがみんなファンになるような戦い方と勝ち方をしますので、ぜひ楽しみにしてほしいですね」
――ベストアート賞の100万円も狙いますか?
「もちろん100万円は持って帰ります。使い道はどうしましょうか(笑)。僕は映画が好きなので、でっかい映画のプロジェクターでも買います!」




