2025年8月2日(日本時間3日朝7時~)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Taira vs. Park』(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)が開催されている。
フライ級6位の平良達郎(日本)と当初対戦予定だった、アミル・アルバジが欠場となり、急遽『ROAD TO UFC シーズン1』フライ級トーナメント王者でMMA通算10勝無敗を誇るパク・ヒャンソン(韓国)が平良と対戦する。
パクは、8月9日に10位のスティーブ・エルセグと対戦予定だったが、1週間前倒しの2日のメインイベントに出場することになった。 また同日のプレリミナリに、中村倫也(日本)も出場。英国のネイサン・フレッチャーと対戦する。会見に出席したパクとフレッチャーの言葉とU-NEXTインタビューを紹介したい。
パク・ヒャンソン「平良にとって僕のスタイルはかなり厄介なものになるはず」
──本来は来週、別の試合が予定されていました(『UFCファイトナイト・ラスベガス109』で、アレックス・ペレスが負傷欠場したためスティーブ・エルセグの対戦相手として急きょ起用されていた)。そこから急遽、平良達郎選手との対戦オファーがあったわけですが、受けた時の率直な気持ちを教えてください。
「正直、最初はすごく驚きました。試合までの時間も短く、一度は断ろうかと考えたほどです。でも、もともと別の強豪選手と戦うために準備はしていましたし、UFC側からも熱心に声をかけていただきました。最終的には“やるしかない”と覚悟を決めました。今はもう、達郎選手に勝つことだけを考えています」
──対戦相手が急遽変更になりましたが、試合プランへの影響はありましたか?
「いえ、そこまで大きな影響はありません。これまでしっかりと準備を重ねてきたので、問題ないです」
──平良選手とは、『UFCファイトナイト:ルイス vs. スピバック』でも共に出場していました。あなたがリアネイキッドチョークで勝利した日、平良選手もトライアングルアームバーで勝利しています。彼の試合は当時、ご覧になっていましたか?
「はい、お互いに何度か同じ大会に出場していたので、彼のことはよく知っています。以前から試合映像もチェックしていましたし、とても良いファイターで、実力のある選手だという印象です」
──あなたの強みは、近距離でのボクシングテクニックだと思います。その点で、平良選手がブランドン・ロイバル選手と戦った試合を見て、ご自身にアドバンテージがあると感じる部分はありましたか?
「僕とロイバル選手とでは、ファイトスタイルが全く異なります。僕は近距離での打ち合いを得意としていますし、正直なところ、ロイバル選手よりも自分の方が強いという自信があります。だからこそ、平良選手にとって僕のスタイルはかなり厄介なものになるはずです」
──平良選手もあなたも、相手の背後を取る「バックテイク」を得意としています。似た強みを持つ相手というのは、戦いやすいものですか? それとも、やりづらさを感じますか?
「確かにお互いバックテイクは得意ですが、スタイル自体は結構違うと感じています。達郎選手はよりグラップラー(組み技主体)寄りですが、僕はどちらかというと打撃がベースです。なので、特にやりづらさを感じることはありません。自分のスタイルを信じて戦うだけです」
──今回のメインイベントは、アジア人同士の対決になります。特別な意味を感じますか?
「特別なことだとは思っていません。ただ、多くのファンの皆さんが注目してくれているのは、素直に嬉しいです。平良選手はランキングに入っている上位選手なので、まずは彼をしっかりと倒すことに集中します。この試合に勝てば、きっと僕にも大きなチャンスが巡ってくるはずです」
──同じ大会には、昨年日本で一緒に練習されたという中村倫也選手も出場します。彼とのトレーニングを通じて、何か学んだことや刺激を受けたことはありますか?
「中村選手は心から尊敬しているファイターであり、人間としても素晴らしい方です。一緒に練習できて、レスリングを中心に多くのことを学ばせてもらいました。貴重な時間を割いてくれた彼には、とても感謝しています」
──最近のフライ級の動向についてもお聞かせください。あなたや平良選手と同じく、若きプロスペクトとして注目されるジョシュア・ヴァン選手と、王者アレクサンドル・パントージャ選手とのタイトル戦が検討されています。この試合、どう予想しますか?
「ジョシュア・ヴァン選手は本当に優れたストライカーで、有望な選手だと思います。でも総合力で言えば、現時点ではパントージャ選手の方が上かなと。もちろん、MMAは何が起こるかわかりませんし、どちらにも勝つ可能性はあるでしょう。ただ、僕の予想としてはパントージャ選手が勝つのではないかと思います」
──現在のフライ級には、堀口恭司選手や朝倉海選手、そして鶴屋怜選手といった日本のトップファイターたちが続々と参戦しています。アジア人選手がこの階級で存在感を増している状況をどう思いますか?
「フライ級は、アジア人選手にとてもフィットする階級だと感じています。日本の選手たちがどんどんUFCに参戦している現状は、本当に嬉しいですね。特に堀口選手は、僕がずっと憧れてきたファイターの一人。そうした存在と同じ舞台に立てるのは感慨深いです。これからアジア全体のレベルがもっと上がっていくといいなと思っています」
──最後に、ファンへメッセージをお願いします。
「ファンの皆さん、こんにちは! とびきりのパフォーマンスをお見せすることを約束します。応援よろしくお願いします!」
会見でのパク・ヒャンソン「2Rか3RにKOする」
「もちろん、短期間で多くの体重を落とす必要がありますが、私はそれを非常に難しいとは考えていません。今、私はただ目覚めに集中し、試合に勝つことに集中したいだけです。柔術は青帯です。ほぼノーギで練習しているので。帯の色は私にとって本当に重要ではないです。 ストライキングに関しては、実は平良より優れていると思いますが、彼はリーチが長いだけです。私が言及できないような困難があるかもしれません。彼を壊します。そのためにもより良いトレーニングが必要です。この素晴らしい試合を考えると、準備は十分ではありませんが、イメージトレーニングもあまりしていません。ただ、ケージでの自分の行動を考えて、やるべきことを考えているだけ。だから、分からないけど、勝つだけです。(勝利すれば、トップ10に躍進する)行くよ、もちろん。KOする。2Rか3Rに」
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中村倫也と対戦するネイサン・フレッチャー「フリースタイルレスリングとMMAレスリングは別物」
『ROAD TO UFC シーズン1』バンタム級トーナメント覇者でMMA16勝1敗の中村倫也と対戦する、MMA通算9勝2敗のネイサン・フレッチャー。英国でパディ・ピンプレットと練習するフレッチャーは、MMAグラップリングに大きな自信を見せた。
──コンディションはいかがですか?
「とてもいいです。体重も問題なく、フィジカルも好調を維持しています。スパーリングも完璧で、トレーニングキャンプは本当に順調に進みました。すべてが理想通りに整い、土曜日の夜、ラスベガスで戦う準備は万端です」
──キャリア初期に桜庭和志選手のモデルのショーツを履いていたかと思いますが、何か経緯があったのでしょうか?
「桜庭さんのファンであることは間違いありません。ただ、あのショーツを履いた直接のきっかけは、チームメイトのパディ・ピンプレットなんです。彼がスポンサー契約を結んでいたScrambleというブランドから桜庭モデルのショーツをもらっていて、Cage Warriorsでよく履いていました。
彼自身がものすごい桜庭ファンだったんでしょうね。ある日、練習後に彼が余っていた一枚をくれて、デザインが気に入ったので次の試合で履いてみた、というのが経緯です。もちろん桜庭さんは本当にレジェンドだと思っています」
──今回、相手はアメリカン・トップチーム(ATT)の選手ですが、あなたはリバプールのジム所属ですよね。パディ・ピムレットから何かアドバイスはありましたか?
「もちろんです。パディは今やUFCで世界ランキングのトップ10にいる選手ですし、ジムの皆にとって手本となる存在です。僕たちのジムはATTに比べればまだ小さいですが、イギリス国内では急成長しています。UFCファイターがどんどん増えていて、今後2、3年で僕たちのジムもUFCのスーパーキャンプになれると確信しています」
──あなたはグラップリングがとても強くて、トップポジションやスクランブルも得意ですよね。その部分に関しては中村戦でどれくらい自信がありますか?
「すごく自信があります。相手はフリースタイルレスリングの経験者なので、確かに素養はあるでしょう。しかし、僕の柔術は非常にハイレベルです。試合がグラウンドの展開になれば、その差は歴然とするはずです。この階級なら、誰が相手でも一本を取れる自信がありますし、土曜日の試合も例外ではありません。試合がマットに移った瞬間から、僕が優位に立つと信じています」
──前回はスプリット判定での敗戦となりました。あの試合から何を学び、どのように調整してきましたか?
「最大の学びは、自分が少し慎重になりすぎていた点です。スキル面では、すべての局面で自分の方が上回っていたと感じています。でも、相手にダメージを与える場面が少なすぎました。完璧なチャンスを狙いすぎるあまり、仕掛けるタイミングを逃していたのです。だから、今回の大きなテーマは“もっとアグレッシブに、早く動き出すこと”。試合がAPEXの小さいオクタゴンで行われることも、自分には有利だと考えています。第3ラウンドの終盤ではなく、序盤からペースを握り、主導権を完全に握るつもりです」
──対戦相手である中村倫也選手の印象は?
「強い選手だと思います。彼の試合はすべて見ましたが、総合的にバランスが取れていますね。サウスポーですが、僕はサウスポーとの対戦の方が好きなんです。オープンスタンスでの打撃の駆け引きがしやすいため、その点も楽しみにしています。全体的に良い選手だと思いますし、彼と自分のスキルをぶつけ合うのが待ち遠しいです」
──中村選手はレスリングをバックグラウンドに持ち、トップポジションからの攻撃を得意としています。
「確かに彼はレスリングのバックグラウンドを持っていますが、MMAにおけるレスリングと純粋なフリースタイルレスリングは全くの別物です。MMAにはパンチ、キック、ヒザ、ヒジといった打撃や、ケージ際の攻防が大きく影響します。僕はケージレスリングのスキルが非常に高いと自負しています。フリースタイルの経験はありませんが、子どもの頃からMMAをやっており、ケージを使ったグラップリングやバックを取る動きには長けています。彼もATTでそれを磨いてきているだろうけど、僕は立ちの状態からでもサブミッションを狙えるので、必ずしもテイクダウンは必要ではありません。彼のようなハイレベルな選手を相手に自分のグラップリングを試すのは楽しみですが、勝利に必要な要素はすべて揃っていると自信を持っています」
──あなたはTUF(THE ULTIMATE FIGHTER)、中村選手はROAD TO UFCの出身です。UFCへ至る道のりの違いが、この試合に何か影響を与えると思いますか?
「今はコンテンダーシリーズを経てUFCに来る選手が非常に多いですよね。ROAD TO UFCやTUFは少し違ったルートで、試合数が多く長期間戦い続ける必要があるので、むしろタフな道のりかもしれません。一方で、コンテンダーシリーズはたった1試合で契約を勝ち取れる可能性があり、勝者が必ずUFCと契約できるわけではないので、それはそれでまた別のプレッシャーがあります。
いずれにせよ、彼が今この場所にいるということが、実力がある証拠です。僕たち二人はUFCファイターである資格が十分にあります。そして土曜日、どちらが次のステップへ進み、どちらが一歩後退することになるのか、はっきりするでしょう」
──この試合は、あなたにとってどのような意味を持ちますか?
「自分のスキルを再び証明するチャンスです。これは仕事であると同時に、僕の情熱そのものです。ジムでの練習が大好きだし、生涯格闘家として生きていきたい。だからこそ、土曜日にこの大きな舞台で戦えることに心から感謝しています。そして、自分がどれほどのレベルにいるのか、どんなファイターなのかを世界に示すのが楽しみでなりません」
──ご自身が中村選手よりも優れていると思う部分は?
「全部です。どの局面でも上だと思っています。ただ、実際に戦ってみなければ本当のところはわかりません。だからこそ“言葉より行動”が重要です。自分の強さを信じていますし、試合がどの局面になろうと僕の方が優れている。それを土曜日に見せるだけです」
──あなたのInstagramのプロフィールには “Future World Champion”と書かれています。将来、タイトルマッチで戦いたい相手は誰ですか?
「現状では、メラブ・ドバリシビリの存在は無視できません。ただ、僕がタイトル戦線にたどり着く頃、彼がまだトップに君臨しているかはわかりません。それでも今の時点では、彼が最も際立っている存在であり、僕が目指すべき目標です。彼と戦うチャンスを得られるなら光栄なこと。そのために上を目指していきます」
──タイトル戦線に絡んでくると予想する、他に注目している選手はいますか?
「今は面白い選手がたくさんいます。若手のペイトン・タルボットも注目株ですよし、マルコム・ウェルメイカーは勢いがある。フェリペ・ リマも良い選手です。このあたりの選手たちが、今後倒していくべき相手だと思っています。だから、すでに彼らのことはかなり注視しています」