2025年8月2日(土)タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて、『ONE Fight Night 34: Eersel vs. Jarvis』(U-NEXT配信)が開催された(※MMAリポート)。
▼第6試合 ONEライト級ムエタイ世界タイトルマッチ 3分5R〇レギン・アーセル(スリナム/Sityodtong Amsterdam/王者)[1R 1分25秒 KO]×ジョージ・ジャービス(英国/Lumpini Crawley/挑戦者)※アーセルが3度目の防衛に成功。
アーセルは15歳でムエタイを始め、プロに転向するとすぐにオランダ国内には敵がいなくなり海外へ相手を求めた。2016年11月に『Lion Fight』にて世界スーパーミドル級王座をTKOで奪取すると3度の防衛に成功。2017年5月には『Mix Fight Gala』の78.5kgトーナメントでも優勝している。
ONEには2018年4月から参戦し、2019年5月にニキー・ホルツケンに判定勝ちでONEキックボクシング世界ライト級王座を獲得(4度防衛)、2022年10月にはONEムエタイ世界同級王座決定戦で勝利、キックボクシングルールとムエタイルール(2度防衛)の統一王者となった。2016年3月から8年間無敗・23連勝を飾っていたが、2024年5月のアレクシ・ニコラ戦で判定負け。キックボクシング世界王座を奪われたが、10月のダイレクトリマッチでニコラに判定勝ち、王座を奪回した。
しかし、2025年4月のキックボクシング王座防衛戦でハイドレーションテストをパス出来ず王座はく奪。ニコラが勝った場合のみ王座に認定されるルールで対戦し、アーセルが判定勝ちした。戦績は63勝(27KO)5敗。
ジャービスは2023年9月のONE Friday Fights初参戦ではタイのチャンナッジョンに判定負け、2024年2月はムスタファ・タクレティにスプリット判定で勝利し、8月にはリカルド・ブラボの連勝をストップした。11月には強敵ルンラーウィーをKO。2025年4月にムーシネ・チャフィに判定勝ちで4連勝中。
これまでWBCムエタイ英国王座、WBCムエタイ世界スーパーミドル級王座、同ヨーロッパ王座、ISKA世界スーパーミドル級世界王座、WBCムエタイ・インターナショナルライトヘビー級王座を獲得。戦績は25勝(7KO)4敗。
1R、右ローと左インローの蹴り合いからスタート。アーセルが右フックを放って前へ出ると右ミドルからワンツー、右ボディストレート。ジャービスはサウスポーに構えて左ミドルを蹴っていくが、アーセルの右ストレートがリターンでクリーンヒット。
続いての前蹴りからのラッシュでアーセルが右ストレート、左フック、右ヒジ、左右ボディ、逃げるジャービスを追っての右ストレートでジャービスがバッタリと倒れ、アーセルのKO圧勝に。5万ドルのパフォーマンスボーナスも手にし、3度目の防衛に成功した。
アーセルは「次はキックボクシングの試合をしたい。相手は誰でもいい。自分の子供のためにキックボクシングのタイトルを取り戻したい」と、キックボクシング王座の奪還をアピールした。
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▼第5試合 ONEライト級ムエタイ 3分3R〇ルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ/Sitsongpeenong)[判定3-0]×ユセフ・アスイック(デンマーク/モロッコ/Assouik Gym)
ルンラーウィーは2015年にムエマラソンこといすゞカップトーナメントの70kg級で優勝、中国のEMレジェンドでは2017年に世界75kgトーナメント準優勝、2020年に77kg級王座を獲得。また、インドネシアの伝統武術プンチャック・シラットの2022年世界選手権では金メダルを獲得した。
ONE Friday Fightsには2023年2月から参戦し、3連勝してドミトリー・メンシコフに敗れその後は再び2連勝していたが、2024年11月にジョージ・ジャービスにKO負け。戦績は157勝48敗2分。
アスイックは15歳からムエタイを始め、デンマークのアマチュア王者に何度も輝き、IFMA(国際ムエタイ協会)のジュニア部門で北欧、ヨーロッパ、世界王者になった。2014年にプロになると、2015年10月にWKNスカンジナビアK-1 64.4kg級王座に就く。
その後、2017年にISKA世界K-1ルール ライトミドル級(72.5kg)王座、2023年にWMA世界ミドル級王座も獲得。GLORYには3度出場し、2勝1敗。1敗はティジャニ・ベスタティに付けられたもの。現在2019年8月から9連勝中で2024年10月にONE初参戦を果たすと、シンサムットに判定勝ちした。
1R、サウスポーのルンラーウィーが左ローで先制し、アスイックが右ローを蹴り返す。今回はオーソドックスに構えるアスイックにルンラーウィーは右インローを蹴り、左ボディストレート。右ストレートから組み付き首相撲に持ち込むのは身長で11cm上回るアスイック。組み際には右ヒジを見舞う。
サウスポーになったアスイックは左ミドル。オーソドックスが多いが頻繁にスイッチするアスイックは何度も首相撲を仕掛ける。離れるとルンラーウィーが左ミドル。
2R、左右フックで前に出たアスイックはまたも首相撲からのヒザ。サウスポーからバックハンドブローを放ち、組み付いていく。ルンラーウィーもヒザで応戦。左ロー、左ストレートのルンラーウィーにアスイックは右ミドル。首相撲に持ち込むのはアスイックだが、高くヒザを上げて横から叩きつけるのはルンラーウィーだ。長いリーチでワンツーを打つアスイックだが、ルンラーウィーに届かない。
3Rも前に出るのはアスイック。ルンラーウィーが首相撲に持ち込んでのヒザ。離れるとアスイックがワンツーで前へ出ると左ミドルで迎え撃つ。その左ミドルに強い右カーフを蹴り返すアスイック。蹴り足をキャッチして殴りに行くアスイックだが、首相撲に捕まってヒザをもらう。
前に出るアスイックが左右フック、ルンラーウィーの首相撲を振りほどき、ワンツーから右ヒジ。このラウンドはパンチを多く使うアスイックをルンラーウィーが首相撲で止める展開が続いた。
判定は3-0でルンラーウィーの勝利となった。
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▼第2試合 ONEバンタム級ムエタイ 3分3R〇スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ/Sor Jor Thongprajin)[判定3-0]×ザファー・シャイック(トルコ/Team Mehdi Zatout)
スアキムはルンピニースタジアムのバンタム級、スーパーバンタム級、スーパーフェザー級の三階級制覇王者で、2018年2月の『KNOCK OUT』に初来日。那須川天心への最強の刺客として大きな話題を呼んだが、那須川に5R判定負け。2019年7月には『RISE』で那須川と再戦したが、胴廻し回転蹴りで目尻を切り裂かれて流血、3R1分25秒、TKOで敗れている。
2019年12月に日本の『BOM』でチャンヒョン・リーにTKO勝ちし、BOMスーパーライト級王者になった。しかし、2020年4月に突然の引退宣言。2023年7月、ONEで現役復帰を果たして2025年3月のコムアウット戦まで5勝(4KO)2敗。現在4連勝中(3KO)と好調を保っている。
シャイックは2024年3月にウラジーミル・クズミンに判定負け、6月のジョハン・エストゥピニャン戦でも判定負けとONEではまだ白星がない。テコンドー黒帯。
1R、シャイックは後ろ廻し蹴りを頭部にヒットさせ、右ストレートもクリーンヒット。ジャブと右ローの応酬。体格で優るシャイックがジャブで前へ出ると右ミドルハイ。
2R、前へ出るスアキムがジャブとロー、首相撲に持ち込むとヒジを繰り出す。シャイックは左目上から流血。どんどん距離を詰めて左右フックからヒジと首相撲に持ち込むスアキムだが、シャイックは右フックをヒットさせる。ハイペースのスアキム。
ジャブで迎え撃つシャイックを首相撲で捕まえてヒザを連打するスアキム。右ストレートから入ると右ヒジ、そして首相撲から顔面とボディへヒザを蹴るスアキム。この猛攻にシャイックは何度もダウンではないかと思わせる転倒を繰り返す。場内は大歓声に包まれる。
3Rも距離を詰めてワンツー、ヒジ、首相撲からのヒザで攻めまくるスアキム。シャイックはジャブ、右ストレートで迎え撃つ。スアキムは被弾しながらも前に出て右ヒジ、左フックでシャイックを追いかけまくる。スアキムの顔面もシャイックのジャブで腫れるが前進は止まらない。
首相撲からヒザの連打、コーナーへ詰めるとワンツー・左フック、右ストレート。シャイックも右を打ち返す。打ち合いに大歓声が沸き、激闘の中終了のゴング。スアキムの左目は大きく腫れあがった。
判定3-0でスアキムが激闘を制した。
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▼第1試合 ONEストロー級ムエタイ 3分3R×シャミル・アドコフ(ロシア/Profi-Sport)[3R TKO]〇エリス・バルボーサ(英国/Fairtex Training Center)※アドコフは2.4kgオーバー。バルボーサに補償金を支払うことで試合に合意。
アドコフは2025年2月にONE初参戦、アリーフ・ソー・デチャパンに1RでTKO負け。
元WBCムエタイ欧州王者バルボーサはフェアテックストレーニングセンターでムエタイの修行を積み、2023年12月からONEに参戦。初戦は両者計量失敗によるキャッチウェイト戦に変更され、トンプーンにボディブローでKO勝ちしたが、試合後に禁止薬物の陽性反応が出たため無効試合に。
2戦目は2024年7月で、アリーフにスプリット判定で勝利。2025年2月、ONEムエタイ世界ストロー級王者プラジャンチャイの挑戦者に抜擢され、前に出てのジャブと左ミドルで粘ったがヒジで切り裂かれて4RにTKO負けを喫した。
1R、バルボーサはガードを高く上げて前へ出ると右ロー、長身のアドコフは首相撲に捕まえてのヒザ。右ローから右の顔面前蹴りを当てるアドコフ。バルボーサは距離を詰めて左右ボディを打つ。どんどん前へ出るバルボーサにアドコフはバックハンドブロー。サウスポーにスイッチして左ストレートを打ったアドコフのバックハンドブローが前へ出てきたバルボーサにヒットし、ダウンを奪う。
2Rも前に出て右ローを蹴るバルボーサに、アドコフは後ろ蹴りを2連発。さらにヒザ。左ボディもヒットさせる。多彩な技を上中に振り分け、さらにスイッチも多用するアドコフ。バルボーサはどんどん距離を詰めて左右フックを放っていくが、アドコフはヒザを蹴る。かなり消耗が見えるアドコフ。
3R、前へ出るバルボーサをアドコフがジャブで迎え撃つが、 バルボーサが飛び込んでの右ヒジ。かなり距離を詰めるようになったバルボーサのパンチが当たる。バルボーサの右ボディにうめき声を発するアドコフ。バルボーサはそのボディを徹底的に攻めて右ボディストレートでダウンを奪うと、パンチとヒジの連打から右ヒジで2度目のダウンを奪う。
立ち上がったアドコフだが大きくフラついたアドコフは、コーナーに座り込んでカウントを聞き、レフェリーが途中でストップ。バルボーサの逆転TKO勝ちとなった。