2025年7月19日(日本時間20日)米国・ルイジアナ州スムージー・キング・センターにて開催される『UFC 318: Holloway vs. Poirier 3』(U-NEXT配信)の会見が行われた。
▼フェザー級 5分3Rダン・イゲ(米国)19勝9敗(UFC11勝8敗)12位パトリシオ・フレイレ(ブラジル)36勝8敗(UFC0勝1敗)
メインカード第2試合では、元Bellator2階級王者パトリシオ・ピットブル(ブラジル)が、インターバル3カ月でUFC2戦目に臨む。前回は5位のヤイール・ロドリゲスと対戦だったが、今回は11位のダン・イゲ(米国)と戦う。
ハワイ出身のイゲは、UFC11勝8敗。昨年は2月にアンドレ・フィリを1R 右フック&パウンドで下すと、6月に当日欠場したブライアン・オルテガの代わりにディエゴ・ロペスと対戦。超緊急参戦ながら判定まで持ち込むコンディションの良さをうかがわせた。その後、10月には無敗のレローン・マーフィーと対戦。1Rにダウンを奪うも、盛り返され判定負け。25年4月に189cmの長身のショーン・ウッドソンに飛び込んでの左フックを当ててパウンドでTKO勝ち。同日にヤイール・ロドリゲスに敗れたパトリシオとの対戦をアピールしていた。38歳。
ピットブル兄弟の弟パトリシオは、2022年12月にクレベル・コイケに判定勝ち後、セルジオ・ペティスに判定負け。緊急参戦した鈴木千裕戦で1R KO負けを喫した。2024年3月には、Bellatorのジェレミー・ケネディ戦で3R TKO勝ち。以降、PFLでの試合、日本での大晦日の試合が決まらないなか、リリースを求めて、UFCに参戦。2025年4月に1年1カ月ぶり復帰し、5位のヤイール・ロドリゲスに判定0-3で完封負けしている。オクタゴン黒星デビューから3カ、早くも2戦目月が決まった。33歳。
U-NEXTから届いた試合に向けた会見での一問一答は以下の通りだ。
ダン・ イゲ「俺の頭は花崗岩。花火が打ち上がるのは間違いない」
──今回、ダスティン・ポワリエ(ライト級6位)の引退イベントで、マックス・ホロウェイ(ライト級5位)も出る中、参戦オファーが来たときはどう思いましたか?
「間違いなく興奮したよ。ハワイにいる時にハンター(キャンベル UFC CBO)から『あなたをBMFタイトルマッチがメインのイベントで、ピットブルと戦わせる』ってメッセージが来たんだ。すぐにテンション上がって、ハワイから戻ってすぐトレーニングキャンプに入った。それで今、ここにいる」
──マックスも「今回はハワイ代表として一つ勝たなきゃいけない」と言ってましたが、自分もその意気込みですか?
「もちろんさ。アブダビではあんまり運が良くなかったし、今度はニューオーリンズでリベンジのチャンスだ。今回はハワイに1勝を持って帰るよ」
──ピットブルはずっと“いつUFCに来るか”と噂されてきた選手ですが、対戦相手として意識していましたか?
「そうだね、実はピットブルのUFC入りの話が出た時、すぐにUFCに『俺がやりたい』ってメッセージしたんだ。でもあいつはヤイール・ロドリゲス(フェザー級3位)戦が決まって、俺はショーン・ウッドソン(フェザー級9位)戦だった。それが巡り巡って、今回こうして戦えることになった。ピットブルのことは10年以上見てるよ。ファンだったし、あの戦い方が好きだった。今までで最高のファイターの一人だと思ってる。UFCデビュー戦では負けたけど、それでも彼にはフェザー級トップ5の力があると思う。だからこそ、俺にとっても大きな試合なんだ」
──ただ、UFCに来るのが5年早かったら…という声もあります。彼の今の実力については?
「年齢の話をするのは簡単だけど、それを言い訳にはできない。現に40歳でチャンピオンになる選手だっている。きっと彼も体のケアを怠ってないし、食事も睡眠も徹底してるだろう。そういう積み重ねがキャリアを長くするんだ。だから、俺は過去最強のピットブルに備えている。彼も勝ちに来るだろうし、俺も同じ。いい試合になると思ってる」
──ピットブルはヤイール戦で“落ち着きすぎた”のが敗因だと話してましたが、今回はより攻めてくると思いますか?
「いや、俺は“落ち着いてる”のは強みだと思う。大事なのはその落ち着きをどう使うか、どうタイミングに活かすかだ。ピットブルは5ラウンドの試合を何度も経験してるし、ヤイールはヤイールで危険な相手だった。回転蹴りだろうが前宙しながらだろうが、ヤイールは何でも打ってくるからな。単純に相性が良くなかっただけだろ。だから、もしピットブルがスタイルを変えてきても、俺たちは準備できてる」
──もしピットブルに勝てたら、その後は?
「まあ、ピットブルにはランキングはついてないけど、俺の中ではトップ5レベルの選手だと思ってる。でも、正直言って、これに勝ったからといって自分がどうなるかはそこまで気にしてない。今は連勝を伸ばすことだけに集中してる。フェザー級は今、ビッグマッチがたくさんあるから、まずは今回の勝利がすべてだ。その先は……どうなるかは分からない」
──ピットブルが「俺が初めてお前をフィニッシュする」と言ってましたが、それについては?
「それ、UFCで20人くらいのファイターに言われたよ(笑)。別に初めて聞く話じゃない。で、俺がどう勝つかって? また爽快なKOで終わらせるよ」
──ピットブルは「この試合はドロドロの展開になる」って言ってましたが、あなたはどう予想していますか?
「それがファンが聞きたいことだろ? でも俺は、もしそうなったらその時のために準備はできてる。俺を見れば分かるだろ? 試合をすればヒドい顔になる。きっと彼もそうだろう。でも俺は、クリーンなフィニッシュを狙っているよ。スタンドでもグラウンドでも、クリンチでも、どこでも戦える準備はできてる。15分間、全力でやりきる準備もできてる。でも、狙ってるのはもちろんフィニッシュだし、あいつもそうだろうな。だから、この試合は“花火が打ち上がる”のは間違いないよ」
──ピットブルのヤイール戦はどれくらい研究しましたか?
「全部の試合を研究したよ。俺は特定の試合というより、癖とか傾向を見る。ヤイールと俺じゃ全然スタイルも体格も違うしな。でも彼のキャリア全体の試合、ハイライト集まで見てる。夜寝る前にスリルを求めるなら、パトリシオ・ピットブルのハイライトを見ると良い。彼のフィニッシュはマジでヤバい。でも俺はこの挑戦を楽しみにしてるし、俺自身のレベルも引き上げてくれる試合になると思ってる」
──あなたのチーム“Xtreme Couture”は、相手に合わせた最高の準備をすることで知られていますが、今回はどんなキャンプでしたか?
「俺は“この試合のために”っていうより、1年通して常に進化し続けてる。トレーニングキャンプごとに練習のやり方も変えて、反復練習や細かいディテールにもっと時間をかけるようになった。この2年間で自分でも飛躍的に伸びたと感じてる。少しずつ試合で見せられてきてるけど、俺の中では常に“もっと良くなる”がテーマなんだ。直近8週間でいうと、いい日も悪い日も、ダメな日も、まあまあの日もあった。でも、それが人生だし、それがトレーニングキャンプだ。ジムの中でも外でもいろんな困難と向き合ってきた。でも今、俺はここにいるし、試合ではしっかり実力を見せるつもりだ」
──あなたは4時間前にオファーを受けて試合したこともありましたよね。あれはもう二度と起きないと思いますか?
「やろうと思えばやる奴もいるだろうけど、あれは本当に奇跡的だった。俺は試合会場から車で15分のところに住んでたし、メディカルも全部終わってたし、州知事の承認も取れてた。だから全部がピタッとハマって成立した。同じことがまた起こるか?わからないけど、たぶんないだろうな。インターナショナル・ファイトウィークだったし、あの場で何試合も飛んで、UFCが何かしないといけない状況だったから、俺にチャンスが巡ってきたんだ。決して結果には満足してないけど、あの流れで試合が決まったのは、たぶん奇跡だったと思ってる」
──あの“4時間前オファー”の試合の時、ニュースで知って「これはヤバい!」って思ったのを覚えてます。本当にすごかったです。ところで、あなたがどんな相手にとっても“簡単に勝てない相手”でいられる理由は何だと思いますか? 今まで誰にもフィニッシュされたことがないですよね?
「まあ‥…俺の頭は花崗岩だからな(笑)。でも、やっぱりマインドセットと、どんな状況でも耐える強さだと思う。俺は何度も“火の中”を歩いてきたから、そこに踏み込むことを恐れない。試合でのフィニッシュ負けはなくても、人生において何度も倒されてきた。でもその度に立ち上がって、前に進んで、神様を信じてきた。それが俺の信仰で、年々強くなってきたんだ。だから、試合を重ねるたびに、俺はもっと“倒しにくい相手”になってる。正直、ピットブルが俺をフィニッシュするなんて思ってないよ」
──今回のカードにはあなたを含め、マルヴィン・ ヴェットーリ(ミドル級10位)、マックス・ホロウェイ(ライト級5位)と、UFC史上でも有数の打たれ強いファイターが揃って参戦します。打たれ強さは鍛えられるものだと思いますか? それとも生まれつき?
「正直、分からない(笑)。俺だってトレーニングでノックダウンされてきたし、蹴り飛ばされたこともある。でも、“諦める”って選択肢だけは絶対に取らないんだ。もしかしたら“ここで寝ちゃえば楽になる”って思うこともあるかもしれないけど、それでも俺は絶対に戦う。もしかしたら生存本能なのかもな。科学者じゃないから分からないけど、ただ一つ言えるのは、これは“戦い”だってこと。何が起きてもおかしくない。最悪の事態に備えつつ、最高の結果を信じて戦っているんだ」
──メインイベント、マックス・ホロウェイvs.ダスティン・ポワリエはどう予想してますか?
「ルイジアナだけど…俺はマックス・ホロウェイが勝つと思ってる。もちろんダスティンはレジェンドだし、勝っても負けても彼の価値は変わらない。彼はこのスポーツに貢献してきたし、地域社会のためにも活動してる。財団もやってて、人間としても素晴らしい。でも、試合の話だけで言えば――ダスティンはマックスに2勝してるし、俺は両方とも現場で見てた。最初の試合の時、マックスがUFCデビュー戦でダスティンと戦った時、俺はマックスと一緒に練習してたんだ。あの時はトライアングル・アームバーでやられたよな。2回目のアトランタの試合の時は、マックスはまだライト級に馴染んでなかった感じがした。UFC 300のゲイジー戦では、ライト級で完璧に仕上がってて、筋肉もついて、見た目も最高だった。俺はもともと、マックスはフェザー級でもデカい方だと思ってたけど、今は本当に良い状態に見える。健康そうだし、メンタルも良さそう。ダスティンももちろん素晴らしい仕上がりだし、“勝つべき男”が勝てばいいさ」
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パトリシオ・ピットブル「この階級のゲートキーパーをぶち破ってやる」
──UFC2戦目のファイトウィークですが、数か月前のデビュー戦と比べて、どれくらいリラックスして臨めていますか?
「だいぶ落ち着いてるよ」
──デビュー戦で学んだことは?
「逆に落ち着きすぎた。それが間違いだった」
──なぜそうなったんでしょう?
「俺はキャリアが長いからな。5ラウンド25分戦うのも慣れてるし、オクタゴンの中でも全部が見えてた。それで冷静になりすぎたんだ」
──今回は何を変えますか? もっとアグレッシブに戦う必要があると思いますか?
「間違いない。今回は違うぞ」
──ダン・イゲ(フェザー級11位)との試合が組まれた時、この相手は自分にとって意味のある相手だと思いましたか?
「ああ。タフな相手だし、この階級のゲートキーパーだ。トップファイターとそうじゃないファイターの境目にいる選手だろ。俺がそのゲートをぶち破ってやる」
──ダン・イゲはこれまでフィニッシュ負けのない選手です。KOか一本、どちらで仕留めるつもりですか?
「俺が初めて奴をKOしてやる」
──これに勝てば、またトップ5の選手と戦うチャンスが来ると思いますか?
「まずはダン・イゲを倒すことだ。その後はアーロン・ピコ(UFC 318の翌週=7月27日にムフサル・イヴロイエフと対戦予定)とやりたい」
──アーロン・ピコですか? 彼にとってムフサル(フェザー級1位)と戦うよりも、あなたと戦うほうが意味があると?
「ああ。互いにBellatorで戦っていて、俺は王者だったがアイツは結局ベルトに届かなかった。来週でも良いよ。俺はいつでも戦う準備ができているんだ」
──今週、UFCの事前番組の中でも、あなたとコーチは「本当のパトリシオ・ピットブルを見せるファイトウィークになる」と話していました。ダン・イゲはそのために完璧な相手ですか?
「ああ、そうだな。アイツは前に出てくるタイプだ。だけど、そこで俺のスイッチが入る。暴れ出した俺を見て、あいつは後悔することになる」
──ヘンリー・セフード(バンタム級10位)と一緒にいたようですが、彼の存在はどうでしたか?
「最高だったよ。ほんのちょっとした調整だけだったけど、すごく良かった」
──ファンもこのダン・イゲ戦には大いに期待しています。この試合のオファーを受けた時、どう思いましたか?
「俺が何者かを見せるチャンスだと思った」
──キャプテン・エリック(エリック・アルバラシン)とは長年一緒にいますが、彼から学んだ一番大きなことは何ですか?
「“相手をぶっ壊す”ってことだな」
──同じチームのパウロ・コスタ(ミドル級13位)もこのイベントで戦いますが、2人とも勝つことの重要性は?
「2人とも絶対に勝たなきゃいけない。次につなげるために、ここが本当に大事な一戦だ」
──2人揃って“ファイト・オブ・ザ・ナイト”を狙ってる?
「間違いない」
──改めて聞きますが、フィニッシュされにくいダン・イゲをもし仕留めたら、自分にとって完璧な実力の証明になると思いますか?
「俺は今までに24人をフィニッシュしてきた。相手がタフでも、それが俺のスタイルだし、今回も決めるつもりだ」
──Bellator時代からUFCに移って、トレーニングは何か変えましたか?
「ああ。Bellatorでは王座戦の5分5ラウンドを戦うための練習をしてた。でもUFCでは3ラウンドだ。全く違う。5ラウンドだと組み立てて戦うけど、3ラウンドはテンポも速くて全然違う」
──メインイベントについても聞かせて下さい。ダスティン・ポワリエ(ライト級6位)がマックス・ホロウェイ(ライト級5位)と戦って引退するという話がありますが、どっちが勝つと思いますか?
「2人とも好きだし、本当にタフだ。マックス・ホロウェイを甘く見ちゃいけないけど、ポワリエが少し有利じゃないかと思う。ただ、もしポワリエがBMFのベルトを獲って引退したら、ライト級は大混乱になりそうだな」──UFCの事前番組でも「この試合は相当荒れる」と言ってましたが、それはどういう意味ですか?
「ダン・イゲは常に前に出てくるスタイルだ。そこに俺が狙いすました一撃をぶち込む。ヤツの首を獲りに行くぞ」