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【Lemino修斗】岡田遼「最後は弥益くんと」×弥益ドミネーター聡志「平日開催でハメられた(笑)」。最後の相手に弥益を指名した理由と受けた理由は──=9月2日(火)後楽園ホール

2025/07/16 14:07
 2025年9月2日(火)に旗揚げ大会を迎える『Lemino 修斗』後楽園ホール大会。メインでは、第11代修斗世界バンタム級王者の岡田遼(THE BLACKBELT JAPAN)が引退試合として、第9代DEEPフェザー級王者の弥益ドミネーター聡志(team SOS)とフェザー級(5分3R)で対戦するなど、6カードが発表された。  修斗とDEEPの元王者、そして千葉大と筑波大の修士対決でもある両者は初対戦。  同大会のプロモーターも務める岡田は「第1回大会で、僕が手を挙げさせていただきまして、この大会、この試合で現役引退することを決めました。引退試合としてカードを組んでいただき、NTTドコモさん、Leminoさん、そして育ててくれた鶴屋会長、松根副代表、本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいで戦いたいと思います。9月2日ぜひ、皆さんLemino、または会場で応援していただければと思います。よろしくお願いいたします」と、最後の試合への意気込みを語った。  また、「今大会が発足するとなった際にここで現役生活にピリオドを打ちたいと話し、『引退試合は誰とやりたい? ざっくばらんに本心を聴かせてくれ』と松根良太さんに聴かれ、『最後は弥益くんとやりたい』と答えました。団体の垣根もあり階級も違い、正直かなり難しいと思っていたんですけれども、弥益選手から『岡田の引退試合の相手なら受けますよ』という言葉をもらい、リスクをとって出てきてくれた漢気に心から感動しています」と、対戦相手が弥益になった経緯を説明。  指名した理由は「同い年で、彼は本当に超有名国立大学の大学院を出た聡明なエリートでインテリジェンスとファイティングスピリットの絶妙な塩梅がずっと好きな選手だったから」と語った。  対するDEEPから参戦の弥益は「皆さん、はじめまして」と挨拶。続けて「最初冗談かと思った(笑)。聞いてください。オファー受けてから、よく見たら平日開催。ハメられたと思いました(※弥益は会社員)。まあ本日含めて、計量、試合当日で3つ有休とかしてますんで、こっちは。この有休3日分を乗せて、殴りたいと思います」と笑顔を見せながらも、岡田との対戦への思いを語った。「本当に選択肢というか、自分が戦いうるであろう相手のレパートリーの中には(岡田は)完全になかった。もちろん階級も違いますし、出てる団体も違いますし。お互いの状況も鑑みて、思考の外からやってきたオファーではあったんですけど。ずっと岡田選手はここ数年『引退する』と言いながら活動されていたと思っておりますが、その引退を決めたという事実に対して、数年前のことなので、試合の話が出る前だったんですけど、岡田さんという選手が引退を見据えているという事実に、自分はすごく悲しさと寂しさ、そして自身への居心地の悪さみたいなものを感じていました。 さっき岡田さんもおっしゃった通り、自分も岡田さんも大学を出させていただいて、国立の大学院まで出て、なのに殴り合ったりする競技をしているというのが、“国に申し訳ないな”と常々思っているんですけど、そんな中で自分は企業に就職し、格闘技から距離を取った一方で、岡田さんは格闘技の道に全てを賭けて進んだ。その姿に、嫉妬でもなく、ただの憧れに近い感情を抱いていました。なので、そんな選手が強い思いを持って、終わりを見据えて活動しているという事実に、自分は情けなさを感じていたし、岡田さんの気持ちに対してずっとモヤモヤした感情がありました。  この試合のオファーをいただいた時、今までで一番、ボールを受け取ったまま投げ返せずに1週間ぐらい悩みました。だいたいオファーをいただいた時ってその試合のことを考えるんですけど、自分は“岡田さんの最後が自分でいいのか”という不安がすごくあって。岡田さんという素晴らしい選手の最後は自分でいいのかっていう葛藤が非常にありました。ただ、自分自身のことを考えて、(試合から)距離を取って1年以上経っている中で、この引退試合の相手という役割を与えていただいたことで“それなら俺もやりたい”と思えました。とても光栄で、稀な機会をいただけたと思っております。この機会に受けさせていただいて、岡田さんの最後にふさわしい試合ができるよう、今までにないくらい自分を追い込みたいと思っております」と、戸惑いや逡巡もありながらも、介錯を務める気持ちになったという。  また、同世代で別団体の王者だった岡田遼について「ここ数戦、岡田さんも厳しい試合が続いていて。ただその厳しい状況の中でも信じられないくらい頑張る、泥臭さを見せてくれる。岡田さんのイメージって頭が良くて、人間関係もうまくやって、すべてスマートにこなしていそうなイメージなんですけど、試合を見るとどんな逆境でも辛い選択をして、キツいことをやって、這い上がっていく。そういう姿に心を打たれるというか、本当に努力の人だなと感じます。(どんな試合に?)どんな試合か……。やっぱり岡田遼の最後の試合にふさわしい、キツい試合にできたらいいかなと思っております」と語った。  岡田は、2013年6月にプロ修斗デビュー。祖根寿麻、安藤達也らと対戦後、2020年5月、倉本一真に2R KO勝ちで修斗世界バンタム級暫定王座獲得。正規王者の佐藤将光の王座返上により第11代世界王者に。2021年3月、大塚隆史に判定勝ちで初防衛に成功。RIZINでは2021年6月に元谷友貴に、2023年9月に中島太一に判定負けして以来、2年ぶりの復帰で引退試合に臨む。  弥益は、元DEEPフェザー級王者で、MMA13勝8敗。2020年大晦日に朝倉未来に1R KO負けも、2021年6月に“ブラックパンサー”ベイノアと73kg契約で対戦し、スプリット判定勝ち。2022年3月に66kg契約で萩原京平に1R 腕ひしぎ三角固めで一本勝ちして2連勝を収めたが、11月に平本蓮と70kg契約で対戦して判定負け。23年12月に1年1カ月ぶりの復帰戦で新居すぐるにKO負け。今回はかつて練習を共にした岡田を相手に再起戦となる。  また、会見では、THE BLACK BELT JAPANの鶴屋浩会長が、「今回Lemino様のご提供により『Lemino修斗』を開催することになりまして、誠にありがとうございます。私も松根良太も岡田遼も、もともと修斗で育った人間ですので、修斗をもっともっと盛り上げていきたいというところから始まりました。私のジムにもたくさんの若い子が今、入会してきて、どんどんいい選手が揃っております。これから『Lemino修斗』の方にたくさん選手を上げて、いずれUFCで活躍できるような選手を育てられれば、と思っております。今回の『Lemino修斗』に関して、NTTドコモ様、皆様には大変感謝しております」とコメント。  日本修斗協会・佐藤ルミナ理事長は、「まずあの冒頭のオープニングの映像で感慨深くなって、やっぱり非常に長いことやってきたなと。そこでこのような、さきほど松根代表からもお話しがあったとおり、日本を代表するNTTドコモさん、一流企業がサポートしてくれるというお話になったので、非常に心強いパートナーが出きたなと非常に感慨深い思いでおります。それもやはり、修斗というのは佐山聡先生が作って、その理想に共感した我々みたいな世代、とか次の世代たちが、MMAの生まれた時、その黎明期に共感して、その思想に集まった方々でずっと続いてきて、MMA競技をしっかり発展させてきたおかげだと思います。そこをちゃんと理解していただきサポートしてくれることなんだなと思っております。MMAは世界的にも日本人でもだいぶ一般にも浸透してきたなというのがあるんですけれども、やはりまだ一つ、競技としてサッカーや、ボクシング、レスリング、野球その他のメジャースポーツと比べるとやっぱり認知度がないし、競技としての認知度もまだまだまだだなって書かれていて、これで、このNTTさんのお力を借りて、ちゃんと競技としての正常なMMAの発展に繋がればいいなと思っております。とにかく、MMAは野蛮に見えますけれども、ちゃんとしたスポーツとしてお子さんとかが“こういうのをやってみたい”と、親御さんが“この競技ならうちの子供たちに習わせたい”と。そういうようなスポーツにしていけたらなと思っております」と、今大会を通じて、競技としてのMMAの広がりを願った。 [nextpage] 岡田遼「(弥益は)トリッキーなこともやるけれども、隠しきれないファイティングスピリットを持っている」 ──今回の試合が決まった際の感想を。 「今大会、『Lemino修斗』が発足するという話になった際に、ここで現役生活にピリオドを打ちたいという話をさせていただきました。そうなった時に、松根プロモーターから『岡田、引退試合は誰とやりたい?ざっくばらんに本心を聞かせてくれ』と言っていただきました。その時に『最後は弥益さんとやりたいです』と回答させていただきました。しかし、先ほど弥益選手からもありましたように、団体の垣根もありますし、階級も違いますし、正直かなり難しいだろうなと思っていたんですけれども、弥益選手から、『岡田の引退試合の相手で、そういうことなら受けます』と回答いただけた時に、彼のリスクをとって出てきてくれたことに心から感動しました」 ──弥益選手を指名した理由は? 「彼とは同い年でして、彼は本当に超有名国立大学の大学院まで出た聡明なエリートで、インテリジェンスとファイティングスピリットの絶妙なバランスがずっと好きな選手で。同世代ですし、最後に引退試合で彼と手を合わせて現役生活を終えられるなら、こんなに幸せな格闘技人生はないなと思いました。また今大会はNTTドコモさんの冠がついている大会ですから、僕が最後に彼とやりたいという気持ちを抜きにしても、本大会のメインイベントを託すなら弥益“ドミネーター”聡志以外に適任はいないなという気持ちもあったので、彼を指名させていただきました」 ──ファイトスタイルについての評価は? 「結構トリッキーなこともやるんですけれども、隠しきれないファイティングスピリットというか、いざとなったらすごいインテリで高学歴なのに打ち合って、スリリングな殴り合いをする選手なので、そういうところも含めてすごい魅力的なファイトスタイルの選手だなと思っています」 ──試合への意気込みを。 「『Lemino修斗』、第1回大会はすごく大切な大会だと責任を感じています。昨今の、決して全てではないですが、不良なアンダーグラウンドな喧嘩の延長線上のような格闘技ではなく、しっかりと毎日自己研鑽を積んだ、井上尚弥選手や平良達郎のようなアスリートが戦う場としての『Lemino修斗』であってほしいという願いを込めて、彼とだったらそういう美しいMMAを残せるなと思いますし、将来の選手や子供たちがLemino修斗を見て“僕らも出たい”と思ってくれるような試合をして、第1回大会を弥益さんと締めくくりたいと思っています」 ──今回引退を決意されたタイミングで、こういった大会が発足したことについて、どのようなお気持ちでしたか?また、この『Lemino修斗』にどんな期待をされていますか? 「まず引退に関しては正直ここ数年、ずっと考えていたことで、いつ区切りをつけるのかというのは悩み続けていました。そんな中で今回『Lemino修斗』が立ち上がるということで、自分の引退と新たな大会の始まりを重ねることで、何か次の世代やこの競技の未来に繋がるものを残せるんじゃないかと思ったんです。  期待という点では、やはり“日本発”の総合格闘技がもっと社会的にもスポーツとして認められる、その大きなきっかけになってほしいなと。僕らが戦ってきた意味を次の選手たちがさらに発展させてくれるような、そんな大会になってくれると信じています」 ──岡田選手に、弥益選手も聴かれていたので、どんな試合にしたいですか。 「修斗として、自分の最後の試合なので、鶴屋さん、松根さんに教わってきたことを。だいたい約20年ぐらい。THE BLACK BELT JAPANの道場でゼロから教わってきたので、まあそれを全部出してで、なおかつ弥益選手との試合を見てる、これからの現役の若い選手たちだったり、キッズの子たちがこの舞台に出たいなって、そう思ってくれるような試合をしたいと思ってます」 [nextpage] 弥益「(岡田は)どんな逆境でも辛い選択をして、キツいことをやって、這い上がっていく選手」 ──岡田選手との試合が決まった経緯を。 「本当に選択肢というか、自分が戦いうるであろう相手のレパートリーの中には(岡田は)完全になかった。もちろん階級も違いますし、出てる団体も違いますし。お互いの状況も鑑みて、思考の外からやってきたオファーではあったんですけど。ずっと岡田選手はここ数年『引退する』と言いながら活動されていたと思っておりますが、その引退を決めたという事実に対して、数年前のことなので、試合の話が出る前だったんですけど、岡田さんという選手が引退を見据えているという事実に、自分はすごく悲しさと寂しさ、そして自身への居心地の悪さみたいなものを感じていました。  さっき岡田さんもおっしゃった通り、自分も岡田さんも大学を出させていただいて、国立の大学院まで出て、なのに殴り合ったりする競技をしているというのが、“国に申し訳ないな”と常々思っているんですけど、そんな中で自分は企業に就職し、格闘技から距離を取った一方で、岡田さんは格闘技の道に全てを賭けて進んだ。その姿に、嫉妬でもなく、ただの憧れに近い感情を抱いていました。なので、そんな選手が強い思いを持って、終わりを見据えて活動しているという事実に、自分は情けなさを感じていたし、岡田さんの気持ちに対してずっとモヤモヤした感情がありました。  この試合のオファーをいただいた時、今までで一番、ボールを受け取ったまま投げ返せずに1週間ぐらい悩みました。だいたいオファーをいただいた時ってその試合のことを考えるんですけど、自分は“岡田さんの最後が自分でいいのか”という不安がすごくあって。岡田さんという素晴らしい選手の最後は自分でいいのかっていう葛藤が非常にありました。ただ、自分自身のことを考えて、(試合から)距離を取って1年以上経っている中で、この引退試合の相手という役割を与えていただいたことで“それなら俺もやりたい”と思えました。とても光栄で、稀な機会をいただけたと思っております。この機会に受けさせていただいて、岡田さんの最後にふさわしい試合ができるよう、今までにないくらい自分を追い込みたいと思っております」 ──ファイター岡田遼の印象は? 「ここ数戦、岡田さんも厳しい試合が続いていて。ただその厳しい状況の中でも信じられないくらい頑張る、泥臭さを見せてくれる。岡田さんのイメージって頭が良くて、人間関係もうまくやって、すべてスマートにこなしていそうなイメージなんですけど、試合を見るとどんな逆境でも辛い選択をして、キツいことをやって、這い上がっていく。そういう姿に心を打たれるというか、本当に努力の人だなと感じます」 ──久しぶりの試合で、弥益選手自体も今後続けられるのかどうかファンも心配してた感じもあったかなと思うんですけど、ご自身としては今後についてはどのように考えられますか。 「いや、なんですかね、あんまり格闘家としての今後みたいなのは、自分を深く考えてない人間なので。あくまでうん、自分の周りの環境ですとか、あのあとは自分自身の気持ち次第っていうところがあります。今回はありがたいことに試合をするっていう熱量が超えさせていただいたっていう機会なので。試合をさせていただくっていう形ですかね。別に試合しないと生きていけないわけではないので。生きていく上で、うん、なんですかね。活力になるというか、自分の人生を豊かにできるような試合が、もしありがたいことで、あればという形で今後もやっていきたいと思っています」──どんな試合になりますか。 「どんな試合か……。やっぱり岡田遼の最後の試合にふさわしい、キツい試合にできたらいいかなと思っております」 ──弥益選手、今回、平日の開催ですけど、会社側とはお話は大丈夫でしょうか。 「そうなんです。聞いてください。オファーを受けた。で、オファー受けてから、よく見たら平日開催だったっていう。あの、ハメられたと思いました、岡田遼に。まあ本日含めて、あの試合当日、計量でもう三つ有給とかしてますんで、こっちは。この有休3日分を乗せて殴りたいと思います」
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