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インタビュー

【UFC】「ライト級王座決定戦」前フェザー級王者トプリア「“より完成された俺”を見せられる」×元ライト級王者オリベイラ「俺以上に勝利を渇望してるか?」

2025/06/29 08:06

オリベイラ「新しい階級に慣れるまでには時間がかかる」

──あなたは以前、「もう誰かに何かを証明するためではなく、自分のために戦っている」と語っていました。イリア・トプリア(フェザー級3位)のように“実力を証明するため”に戦うファイターを相手にする際、そうしたマインドの違いはどのように影響しますか?

「俺はいつもと変わらない。勝利を渇望している、飢えている男として向き合う。これは俺のレガシーのための戦いだ。もう準備はできてる」

──あなたはこれまでも過小評価を覆して、強さを証明してきました。今回、年下で無敗の相手、イリア・トプリアと戦い、再びアンダードッグと見られています

「そうだな。ただ、あいつは若くて無敗だけど、俺以上に勝ちたいと思ってるか? 俺以上に渇望してるか? そこが重要だろ」

──ここ最近のあなたは、計算された試合運びを見せています。これはキャリアを長く続けるための進化なのでしょうか? それとも現代MMAに適応した結果ですか?

「どちらもあるな。進化と経験だよ。俺はいつも成長しようとしてる。家に帰ってもそれを追い求めている。ただ、スタイルを失わずに、攻撃的なままで、もっと考えて動くようにしてるってだけさ」

──あなたはこれまで、ダスティン・ポイエー(ライト級5位)、マイケル・チャンドラー(ライト級12位)、ジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)といったレジェンドたちと戦ってきました。一方でイリア・トプリアは今、勢いに乗っているファイターです。彼に、そういったレジェンドたちと同じレベルの実力を感じますか? それとも、そのレベルに到達するにはもっと時間が必要だと感じますか?

「ファイターにはそれぞれ異なるスタイルやアプローチがある。イリアは若くて、ハングリーで、無敗だ。でも、証明しなければならないことはまだまだ多いよ」

──あなたは今回の試合で「自分が前に出て、ライオンのように戦う」と語っていましたが、イリア・トプリアはそれを想定していると話しています。「じゃあ逆に違うことをしてみようか」と考えることはありますか? それとも、「相手に読まれていようが、その上で叩き潰すのが面白い」と思いますか?

「みんな分かってるだろ。どうなるかなんて最初から決まってる。またひとり、口が達者なファイターが俺の前で崩れるだけだよ」

──MMAの世界では、たとえば一度王座を失っただけで一気に見限られることもよくあります。そんな中で、またオクタゴンに立ち、「新王者はチャールズ・オリベイラ!」とコールされるチャンスを得て、どんな気持ちですか?

「俺にとってものすごく大きいよ。俺がやっているのは、レガシーのため、夢と約束のためなんだ。俺はハングリーだし、渇望してる。俺が必ずまた王者になることはUFCも分かってるし、俺自身も分かってる。UFCが困ったとき、問題を解決するために誰を呼ぶかーーそれは俺だよ。いつもそうだった」

──あなたは長年UFCで戦ってきました。今の若い選手たちは、コナー・マクレガーやチェール・ソネンのように“しゃべり”で注目を集める選手を見て育ってきた世代です。イリア・トプリアのようなファイターが、「目立つにはああやって話さなきゃいけない」と考えているのを見ると、「そんなことしなくても、戦えばいいんだよ」と思ったりしますか?

「人それぞれさ。試合を売るスタイルも、戦い方も、みんな違う。誰かが何かを言えば、誰かが必ずそれを批判する。結局、何をしても全員が満足することはない。だから俺は、誰のやり方も否定しない。トプリアが好きなように話して、好きなように試合を売ればいい。俺だってそのおかげでファイトマネーを稼げてるんだから、助かってるくらいだよ。ただ、俺はそういうスタイルじゃない。それだけのこと。人には人のやり方がある」

──あなたはこれまで、レスラー、ストライカー、キックボクサー、ボクサー、背の高い相手や低い相手など、あらゆるタイプのファイターと戦ってきました。そうなると、相手のスタイルを研究するよりも、「自分に集中する」フェーズに入るのではないでしょうか?

「もうそういう段階に入って久しいよ。相手がどう戦うかなんて心配してない。自分がケージに何を持ち込めるかだけを考えてる。チームには優秀なスタッフが揃っていて、分析も任せてるけど、俺自身はもっと自由でいたい。準備万端で、飢えていて、アグレッシブで、大胆でいたい。それが今の俺のスタイルだ。自分の武器に集中してるとき、俺は危険な存在になる。相手にプレッシャーをかけられる。そして、シュートボクセ出身として、常に前に出て、攻めていく。それが俺のDNAだよ」

──数年前、ダスティン・ポイエーがフェザー級からライト級に上げたとき、「最初は本当のライト級ファイターになった気がしなかった。ただフェザー級で減量をやめただけのように感じた」と語っていました。あなたも階級を上げましたが、同じような感覚はありましたか? そしてイリア・トプリアもその壁にぶつかると思いますか?

「俺にもそういう時期はあったよ。階級を上げたばかりの頃は、打っても効かないし、相手が前に出てくるとすごく強く感じるんだ。だから、そこに慣れるまでには時間がかかる。適応するためには、しっかりした準備が必要だし、人それぞれ時間のかかり方も違う。俺も“ライト級の身体”になったと実感するまでに時間が必要だった。トプリアも、同じような過程を経験するはずさ」

──もちろん、あなたにとっては「ベルトを獲ること」が一番の目標だとは思いますが、UFCの事前番組の中で、あなたの奥さんが「あなたはすでに娘のためにベルトを獲った。今度は息子にベルトを見せると約束した」と語っていました。その約束は今、どれくらい意識していますか? それとも、目の前の試合に集中するためにいったん忘れるようにしていますか?

「約束があるとき、信念があるときにプレッシャーなんてない。俺ほど自分を信じてる人間はいないよ。だから全くプレッシャーは感じてないし、確信してる。俺はまた王者になる。その日はもうすぐ来る。しっかり聞いておいてくれ。俺は再び王者になる。間もなくその時が来るんだ」

──今週末の試合について、多くの人が「UFCの新たな顔が誕生する瞬間になる」と言っています。その“新たな顔”とはイリア・トプリアのことです。そんな中で、あなたが王座を取り戻し、そのストーリーを打ち砕くことができたら、どれほど痛快だと感じますか?

「みんな言うんだよ。“あいつが新しい時代のスターだ”“次はこいつだ”って。でも、俺とぶつかったやつはみんな跳ね返されてきた。結局俺に負けるんだよ。もちろん、彼らのことはリスペクトしてる。いろんな意見が聞こえてくるけど、自分にとってポジティブになれるものだけを取り入れて、あとは流すだけ。何を言われようが、俺は俺。周りが何を言っていようが関係ない。みんな勝手に言う。でも俺は何も変わらない」

──あなたはこれまで、ダスティン・ポイエーやジャスティン・ゲイジーといった強豪に勝利してきました。もし今回イリア・トプリアに勝てば、あなたのキャリアの中でどの位置づけになると思いますか?

「間違いなく一番だ。過去は過去。終わったことに価値はない。大事なのは“今”だ。今このタイミングでトプリアに勝つこと、それがキャリア最高の勝利になる」

──トプリアはここ数試合でスタンドでのノックアウト勝利を見せていて、打撃力が注目されていますが、彼はキャリア初期には柔術も使っていました。あなたは世界屈指の柔術家として知られていますが、彼のグラウンド技術についてはどのように評価していますか?

「俺は相手の技術を危険度でランク付けしたりはしない。そんなの気にする必要はない。いつも言ってるけど、俺が心配するのは自分がケージの中に何を持ち込めるかだけ。スタンドでも寝技でも、どんな展開になろうと全部対応できる準備はしてる」

──この試合の勝者については、パディ・ピンブレット(ライト級8位)、アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)、ジャスティン・ゲイジーなど様々な名前が挙がっています。あなた自身は、誰が次の挑戦者にふさわしいと思いますか?

「みんなあれこれ話してるけど、正直どうでもいい。俺はこの勝利に集中してるし、それが終わったら家族とゆっくり過ごしたい。あとはチームに任せるよ。誰と、いつ、どこで戦うか、どうやって金を稼ぐか。全部チームが考えてくれる。俺は戦うだけだ」

──イスラム・マハチェフがジャック・デラ・マダレナ(ウェルター級王者)に挑戦するとしたら、勝てると思いますか?

「ジャック・デラ・マダレナはタフで、動きもいいし、打撃も強いファイターだ。特にボディへの攻撃は印象的で、相手を削ってくタイプだな。すごく優れたファイターだ。一方で、イスラムも尊敬してるよ。ライト級で同じ階級にいた頃から、常にリスペクトをもって接してくれた。だから、彼が新しい階級でどう適応していくか見てみたいし、応援もしてる。いい試合になるだろうね」

──イスラム・マハチェフはかつてあなたの目標でもありました。でも状況が変わった今、彼のことはまだ意識していますか? 階級を上げて追いかけるつもりはありますか?

「いや、イスラムを追いかけようなんて思ってないよ。俺が見てるのは“ベルト”であって、誰か個人じゃない。ただ王者になること、それが俺の目標だ。だから階級を上げてまで追いかけるつもりはないし、考えたこともない」

──あなたのキャリアや実績がありながら、今回もイリア・トプリアが「勝者候補」として見られています。アンダードッグとして扱われていることについて、どう感じますか?

「いつも言ってるけど、周りが何を言おうと関係ない。誰が何を思おうと、俺は気にしない。俺は自分自身に集中して、やるべきことをやる。それだけだよ」

──もし今回ベルトを奪還すれば、ライト級史上初の「王座奪還」になります。それはモチベーションに影響していますか?

「もちろんさ。無敗の若いファイターを倒して、今まで誰も成し遂げたことのないことをやるんだ。レガシーのために戦ってる。だからこそ、ここにいるんだよ」

──あなたは今回の試合に向けて、“レガシー”“ハングリーさ”“渇望”といったメンタル面を繰り返し語ってきました。逆に、イリア・トプリアとのスタイル面の違い、例えば「彼にあって自分にないもの」や「自分にしかないもの」は何ですか?

「相手が何を持ち込んできても関係ない。俺は“自分の人生”に散々ボコボコにされてきた。それを超えるパンチで俺を痛めつけることが出来るやつなんていない。何を言われようが、何をされようが、俺は変わらない」

──4年前にタイトルを獲ったあなたが、再びそのベルトを取り戻そうとしています。当時と今とで何が変わったと思いますか? また、「イリアのほうが上だ」と言う人たちに対して、どう思いますか?

「変わったのは“経験”と“進化”だよ。俺はただただ強くなってきた。それに“夢を見続ける力”と“渇望”は今もある。何を言われようと、俺は止まらない。俺は自分を信じてるし、信仰の力もある。もしあいつが“打撃の威力”で俺に勝ってると思ってるなら、俺の打撃をまだ見てないんだろう。もし“柔術”で勝ってると思ってるなら、俺の柔術を知らないだけだ。何が起こるか見ててほしい。俺は必ずまた王者になる」

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