MMAってロジックがしっかりしているなと

──今回はREDライト級の初防衛戦になります。タイトルを獲得してから約4年になりますが、その点ではどうですか?
「『そろそろでしょ』とはずっと思いながら、いつでもできる心構えでやってきたので、『タイトルマッチか~!』みたいな思いもそんなにないですね。それにこの間、ありがたいことに古村匡平君がずっと煽ってくれているので(笑)、いつも『やることになるかな』という感じではいましたし。もちろん、その相手がゴンナパーというところで、特別感はありますけど」
──その「特別感」について、例えば去年のレンタ・ウォーワンチャイ戦の時は「ムエタイ・ライト級の日本一を決める試合」として意気込んでいましたよね。その点ゴンナパーはもっと知名度も高い強豪で、実はそういう相手との対戦は珍しいと思うんですが。
「ああ、確かに! 言われてみたら、僕自身そこはあんまり気にしていなかったかもしれないです。私は小学生の頃からずーっと伊原道場に通っていて、新日本キックでのキャリアが長かったのもあって、“本物志向”が強かったんですよね。だから相手の知名度とかはあまり気にしてなかったというか。でもK-1の選手って一般層にも知られているので、そういう層に対しても『本物がいる』ということを証明できるいいチャンスかなとは思います」
──ただゴンナパー選手に関して言えば、中身も“本物”ですし。
「その通りですね。だからこそ、ここで勝てば『分かりやすさ』と『強さ』を一気に証明できるなというのはあると思います。KNOCK OUTとか私のことを知らない人たちに届けるいいチャンスなので、そこで一つの“作品”を作り上げたいなというのはあります」
──もう一つ、12月大会でUNLIMITEDルールの戦いを経験したことで、何かその後に影響する部分はありましたか?
「シンプルに、自分のキャパが増えた感じがします。あの時は準備期間が2~3週間しかなかったんですよ。そこでMMAの練習も詰め込んだので、シンプルに練習量が倍になったんです。クロスポイントって練習量が多いので、普通でもまあまあキツいんですけど、それが倍になったので12月はけっこうガッツリやって、その経験からキャパがけっこう増えたなと。『意外と練習できるな』と思いましたし」
「確かに私は練習量、多いんですよ。朝も走るし、プロ練が終わった後も隣に『KNOCK OUT TRAINING CAMP』があるので、そこで補強として毎日フィジカルをやったりとかもしてるんですけど、そこでまた自分の中の『当たり前』のレベルを上げられたなとは思います。それと、MMAのよさを知りました」
──というと?
「MMAってロジックがしっかりしているなと思っていて。ムエタイはまだまだタイ人がトップで、タイ人から教わらないとなかなか技術を引き出すことができないんですけど、MMAの世界にはレスリングのプロフェッショナルとか、いろんなプロフェッショナルがいるので、言語化されている情報が多いんですよ。私は初心者なので、そういうところを一から教えてもらうことで、『ここはムエタイにも当てはめていかなきゃいけないんだな』というところも多くて。そういった面ではかなり勉強になりました。今までは何となくコカしてたり、何となく組んでいたというところをもっとロジカルに『ここがこうだとこう』みたいな感じで、頭の中で理解しながら、微妙に認識できてなかったところは質問して落とし込んだりすることができたので、MMAを学ぶことでムエタイをより深く知ることができたなというのはありますね。それが一番大きいかもしれないです」
──ちなみに、この先またUNLIMITEDには挑戦してみたいですか?
「やりたいです。ただ、相手は選びます。いきなり倉本一真選手みたいな相手とは無理ですから(笑)。やってみて分かりました。例えばヒジなしでやっているキックボクサーと『間を取ってUNLIMITEDで』とかはすごく面白いと思うんですよ。そういうところでは、UNLIMITEDに参加していきたいですね」



