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【RIZIN】那須川が皇治に完勝、バンタム級で朝倉海が昇侍をTKO、瀧澤は金太郎との大激闘を制す。ライト級で武田、久米が競り勝つ。大原が矢地を下す=9.27 RIZIN.24

2020/09/27 15:09
 2020年9月27日(日)さいたまスーパーアリーナにて、「Yogibo presents RIZIN.24」が開催された。 Yogibo presents RIZIN.24 2020年9月27日(日)さいたまスーパーアリーナ ▼第11試合 RIZINキックボクシングルール 58.5kg契約 3分3R〇那須川天心(TARGET/Cygames/RISE世界フェザー級王者)[判定3-0] ※30-27×3×皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者) “神童”那須川は、2014年7月にプロデビューし、15年5月にプロ6戦目・史上最年少の16歳でRISEバンタム級のベルトを奪取。同年8月のBLADE -55kgトーナメントでも圧倒的な強さで優勝を飾った。  世界の強豪が揃った2019年の「RISE WORLD SERIES」ではフェデリコ・ローマ、スアキム・PKセンチャイムエタイジム、志朗を下し優勝。大晦日にはWKBA世界スーパーバンタム級王者の江幡塁も1R TKOでマットに沈めた。  対する皇治は、無類のタフネスと歯に衣着せぬ言動で2019年まで新生K-1の中心選手として活躍。4歳から空手、日本拳法を中学時まで取組み、空手では魚本流で全国1位、日本拳法では全国2位になっている。2018年12月にはK-1で武尊と壮絶な殴り合いを繰り広げた。2019年はヤン・サイコ、大岩龍矢、川原誠也を下し、3連勝中だ。  那須川は、江幡をして「ここからは入って来れないだろうという間合い」から一気に詰めて当てる左ストレート、さらにカウンター精度が抜群に高く、打たれずに打つスタイルに死角はない。  皇治は、絶対的射程距離を熟知した上で打たせて打ち、驚異的な打たれ強さの中で、打ち勝つスタイル。接近戦と直線的に動く相手には滅法強いが、巧みなフットワークとスピードを持つ那須川にどう対するか。対サウスポーを得意とはしておらず、那須川の得意な距離を潰したい。  左手を突き上げ、咆哮。十字を切ってから右手を前に出し「来い」とポーズする那須川。  1R、サウスポー構えの那須川。オーソドックス構えの皇治。先に左ハイは那須川。ブロックする皇治。詰めるのは那須川。ワンツーからヒザ蹴り! さらにワンツーの左! 皇治の蹴りに打ち終わりに左を当てる。  スピードの違いを見せつける那須川は皇治の入りに左の打点の高いヒザ! さらに跳びヒザを当てて組んで皇治を投げる。  頭を下げて入る皇治にヒザが当たり、左の額から出血する皇治。詰める那須川は「来い」と後発。さらに胴廻し回転蹴り。そこを詰めてスーパーマンパンチの右で飛び込む皇治。しかし、構わず那須川は詰める。  2R、左瞼のカットでドクターチェック。再開。左ハイから入る那須川。強引に詰めて左を振る皇治。右ジャブが速い那須川。皇治のローにすぐにローを打ち返す。上下への打ち分けが速い那須川。  じりじり詰める皇治を左の蹴りで押し返す那須川は左フック! 崩れるも倒れない皇治に左ボディ、跳びヒザは那須川! 皇治のローにワンツーの連打を返す那須川は詰めて左ヒザ。ノーモーションの左ストレートに対応できない皇治。ロープに詰めて右アッパーも那須川は決める。近づいたときに右を振る皇治。  3R、前に出る皇治は左右を振っていく。そこに那須川の胴廻し回転はかわす。右ジャブ左ロー右と対角の攻撃を一方的に当てる那須川。皇治の返しに那須川はその場にいない。  那須川のバックフィストをかわす皇治は左右で前へ! 初めて下がる那須川だが、その場跳びのヒザ! 詰める皇治はクリンチで上に。左の跳びヒザを受ける皇治。詰めて左フックもかわす那須川はドロップキック。なおも前に出る皇治だが、ゴング  判定は、3者30-27で那須川が勝利。コール後、両者は肩を抱き合い、皇治の言葉に那須川は笑顔を見せ、テレビカメラに向かって「舐めんな」と語った。  試合後、リング上でマイクを持った那須川は、「お久しぶりです。試合前からちょっと煽られてちょっとムカついてたんですけど勝ててよかったです。皇治選手、なかなか格闘技界にいない存在というか、応援団の方もたくさんいましたし、熱い戦いが出来てよかったです」と激闘を振り返った。  続けて、アナウンサーから、試合前にキックボクサーとして「あと10戦無い」とボクシング転向を語っていたことについて問われ、「今日もパンチで倒そうと思ってたんですけど、やっぱり打たれ強いと言われるだけあって……もうちょっと冒険して打ち合いに行ってもよかったですけど、どうですか? 面白かったですか。でも、自分もほぼほぼ何ももらわなかったので」と、ボクシング勝負も考えていたことを明かした。  そして、最後に「今後も僕の試合、11月、12月と続くと思うので。あの、僕たくさん夢を持っていて、夢を持って前に進めることは大事だと思うので、これからも僕はたくさんの人に応援してもらって、恵まれてますし、チームも最強ですし、自分にはみんながついているという思いで、日々努力しています。今後も注目し続けてくれたら嬉しいです。今日はありがとうございました」と、「たくさんの夢」という表現で、今後に注目してほしいと語った。 [nextpage] ▼第10試合 61kg契約 MMAルール 5分3R(※ヒジ有り) 〇朝倉 海(トライフォース赤坂)[1R 2分37秒 TKO] ※左サッカーキック×昇侍(トイカツ道場)  朝倉海は、初代THE OUTSIDER 55-60kg級王者。ROAD FCを経て、RIZINに参戦。2019年8月の『RIZIN.18』で、RIZIN&Bellator世界バンタム級王者・堀口恭司を1R1分08秒、KOで破り、一躍“時の人”に。2017年12月のRIZIN参戦以来、才賀紀左衛門、マネル・ケイプ、トップノイ・タイガームエタイ、ムン・ジェフン、堀口恭司、佐々木憂流迦に勝利し、6連勝を飾るも、2019年12月31日「RIZIN.20」のバンタム級王座決定戦で、ケイプに2R TKO負けし王座獲得に失敗。8月横浜大会で、扇久保博正を相手にRIZIN第3代バンタム級(61kg)王座決定戦に臨み、1R 4分31秒、サッカーキックでTKO勝ち。バンタム級のベルトを巻いた。  対する昇侍は、元PANCRASEライト級王者。航空自衛隊出身で、シュートボクセ・アカデミー・ジャパンで格闘技を学んでいたところコーチのセルジオ・クーニヤにスカウトされてプロ転向を決意。2006年2月にパンクラスでプロデビューすると、2006年10月、試合開始直後に飛びヒザ蹴りを炸裂させ、山本“KID”徳郁の「4秒」を上回る「3秒」でKO勝ち。当時世界最速KO勝利記録を打ち立てた。  2008年1月には、当時日本で猛威を振るっていたアルトゥール・ウマハノフを左ハイキックからのパウンドでKOし、パンクラス初代ライト級王者に。2008年5月にはDREAM、2008年12月からはDEEPに参戦。角田信朗が熱唱する『よっしゃあ漢唄』をテーマ曲とする入場パフォーマンス、倒すか倒されるかの壮絶な打撃戦を演じて人気選手となったが、一度引退。  2017年8月のGRACHANで4年ぶりに復帰。3勝1敗と調子を上げて、2019年3月に6年ぶりにDEEPに復帰したが、石司晃一にテイクダウンを奪われた末に2R TKO負け。5月大会では元UFCの水垣偉弥に判定負けも、終盤には打撃戦に持ち込むなど健在ぶりを示した。10月には釜谷真をバックマウントからのパウンドでTKOに仕留め、2020年8月にはCOROも左フックでKOするなど調子を上げている。RISEでキックボクシングルールに挑戦したこともある。現在37歳。 『よっしゃあ漢唄』の入場曲に乗り。般若の面を脱ぎ捨て刀を置いてリングに上がった昇侍。年齢差10歳対決に臨む。続いて入場の海のセコンドに未来はついていない。  1R、ともにオーソドックス構え。左ローから当てる朝倉。さらに左ボディストレート、右ハイ。ガードする昇侍。右ハイを当てる昇侍。朝倉は左フック、右を当てる。  左の前蹴りで牽制しローを当てる朝倉。追う昇侍に右を叩き込む。朝倉の左ミドルに右を狙う昇侍。左ローを突く朝倉。右ローを返す朝倉は、左ハイで昇侍の顔面をかすめる。  詰める昇侍に、右の打ち合いの中で右ストレートを当てたのは朝倉! さらに昇侍の左フックの打ち終わりに左から右のワンツー!昇侍はダウン! そこに右のパウンドで畳みかける朝倉は、立ち上がり際の昇侍に、左のサッカーキック! もんどりうって後方に倒れた昇侍にレフェリーが間に入った。  リング上で朝倉は、「たくさんの応援ありがとうございます。コロナで大変な中、こんなときこそ格闘技で、僕の試合で盛り上げられたらと思い、出場を決めました。急遽のオファーに対戦を受けていただいた昇侍選手、ありがとうございました。これからも格闘技の魅力を伝えていきます」と挨拶。  そして「あと、これが一番、大事なんですけど、YouTubeの登録、お願いします!」ともう一つの顔の宣伝も忘れなかった。 [nextpage] ▼第9試合 71.0kg 5分3R(※ヒジあり)〇武田光司(BRAVE)[判定2-1]×川名雄生(Y&K MMA ACADEMY)  現DEEPライト級王者の武田光司(BRAVE)と、プロ修斗世界ライト級王者の川名雄生(Y&K MMA ACADEMY)が激突。  高校時代にレスリングで5冠の武田は、2019年4月の『RIZIN』に怪我を押して出場し、元UFCのダミアン・ブラウンに判定負け。怪我の治療を経て、同10月の『DEEP 92 IMPACT』で大原樹理とライト級タイトルマッチで対戦したが、2Rの武田のローブローにより大原が続行不可能となり、その時点でのテクニカル判定3-0で武田が王座防衛。両者納得いかず、同12月のダイレクトリマッチで武田が俵返しやジャーマンを連発。最後は3Rにキムラロックを極め、王座防衛に成功している。RIZINには待望の再チャレンジとなる。  対する川名は、高校時代に柔道を経験。ZSTプレステージでのアマチュア大会を経て、アマチュア修斗にも参戦。プロに昇格すると、2013年には新人王も獲得。2015年9月の中村大介戦まで1分を挟み負け無しの快進撃を見せる。2016年4月の王座決定戦では松本光史に敗れ、戴冠ならずも、その後、鈴木槙吾、AB、小谷直之、ジン テホを相手に4連勝。北米PFLを舞台に強豪と鎬を削ると、2019年1月の国内復帰戦で岡野裕城に判定勝ち。さらに2020年7月にはキャプテン☆アフリカを右ストレートで1R KO。プロ修斗世界ライト級王座に就いた。  グレコローマンレスリングの猛者で、MMAの中でも“殺しの投げ”と、相手の頭を上げ、組みにも繋がるジャブを武器とする武田に対し、川名はケージレスリングに絶対の自信を持ちながらも、乱打戦に持ち込み相手の気持ちもろとも叩き潰すファイトスタイルで、修斗では5年間無敗を誇る。DEEPと修斗のライト級王者のRIZINリングでの争いは、どちらに軍配が上がるのか。今回の戦いの場はリング。現役王者同士の鍔迫り合いに注目だ。  1R、サウスポー構えの武田。オーソドックス構えの川名。大きな右を振る川名に右を返す武田。喧嘩四つで前手争い。  左フックから右に繋げる武田! そこをしっかり見て川名も右を返して交錯。右ストレートを当てる川名! 右ヒザで飛び込む武田。しかし川名も良く見えている。  右から左を突く川名。さらに右が武田の顔をとらえる。ヒザ蹴りのフェイントも出す川名。武田は左で差して組むと四つでクラッチ。ここは腰を落として内無双で凌ぐ川名は体を入れ替えダブルレッグへ! がぶる武田。左足をかけにいく。  2R、右足前の武田。川名は右ストレートを当てる! 武田もいきなり奥手の左手のストレートで前に。そこにヒジを狙う川名。コーナーに詰める武田。川名はコーナー背に右で小手に巻く。武田はハイクラッチのシングルレッグで崩すが、尻餅を着いてすぐに立つ川名が今度は右で差してコーナーへ。なぜかここはブレーク。  右ジャブを鉄槌のように振る川名。武田は左の蹴りからダブルレッグも、すぐに切ると武田は首相撲。その離れ際に右を当てる川名! 多彩なフェイントで圧力をかける川名に左ハイは武田。ブロックする川名は圧力をかけて上下にパンチ。武田も右を返す。ドミニクばりのフェイントの川名。右から左で前進。武田はバックステップ。左インローを入れる。  3R、右を当てる川名にヒザ狙いの武田。四つに組んで電車道でコーナーまで押し込むが、ここでバウンドさせて投げさせはしない川名。しっかり差し返してコブラから崩していくと、それを切った武田の離れ際に右を突く。詰めるのは川名。左ハイをブロックして前に出る川名。右ローは武田。しかし川名の左ジャブがヒット! 左インローは武田。川名のジャブ、さらに右ストレートのカウンターがヒット! 打撃でコントロールし始めた川名。右のオーバーハンドも。正確な攻め手の川名。左ハイをブロックする川名。左を当てる武田! さらに右ストレートも。しかし川名もボディストレート、さらに右。武田は左インロー。さらに右フックも、川名も左フック! 互いに休む間もなく打ち合いゴング。 接戦の判定は2-1で武田が勝利。テイクダウントライを織り交ぜたアタックと終盤のラッシュが評価されたか。決して手数でも劣っていなかった川名は悔しい判定を落とした。 [nextpage] ▼第8試合 71.0kg 5分3R(※ヒジあり)〇久米鷹介(ALIVE)[判定2-1] ×北岡 悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)  現ライト級キング・オブ・パンクラシストの久米鷹介と、元DEEPライト級王者・北岡悟の対戦が決定。  RIZIN初参戦の久米は柔道出身。大学在学中に名古屋のALIVEに入門し、先輩・日沖発らとともに実績を重ねて来た。2006年9月の全日本アマチュア修斗ミドル級(-76kg)で優勝し、21歳でプロに昇格。2010年8月まで負け無しも、修斗環太平洋ミドル級チャンピオンシップでは佐藤洋一郎に判定負け。2011年7月からPANCRASE、2012年9月から韓国ROAD FCにも参戦し、ライト級王座戦では強豪ナム・ウィチョルと2度に渡る死闘を繰り広げた。  2015年にPANCRASEに戻ると、徳留一樹を2度、KO・TKOに下すなど活躍。2018年7月に元UFCのアントン・クイバネンに敗れるも、2019年4月のトム・サントス戦で日沖譲りの三角絞めによる一本勝ちで王座戴冠。2019年10月のONE Championship日本大会で、当時修斗王者の松本光史と王者対決に臨み、右ストレートでダウンを奪うなど、判定勝ちで2連勝を飾っている。  対する北岡は70戦以上のキャリアを持つ、RIZINの顔の一人。2019年7月の「RIZIN.17」でジョニー・ケース(米国)に1R終了時 TKO(コーナーストップ)負けを喫するも、2020年7月に自身が主催した「iSMOS.1」で、現ZSTライト級王者の小金翔をコントロール。1年ぶりの復帰戦で判定無しのドローで、RIZIN復帰前の「調整試合」を無事クリアしている。  かつて、出稽古等で交流のある北岡と久米だが、40歳を迎えた北岡と35歳の久米では倍以上の試合キャリアの差がある。しかし、久米は、かつて北岡を打撃で攻略した徳留一樹を組んでからの接近戦の打撃で下しており、日沖とともに対戦相手を研究した盤石の戦いを現実のものとしている。そのテイクダウンとも打撃とも見分けがつきにくいステップは対戦相手にとって脅威だ。北岡も独特のアプローチから相手をドミネートすることに長けており、どちらが得意な型にハメるかの勝負になるか。  試合前にハグした両者。  1R、サウスポー構えの北岡。オーソドックス構えの久米。先にローは北岡、さらに右フックを効かせると、北岡はダブルレッグテイクダウン! そこにギロチンチョークを狙う久米だが、左足を越えてクローズドガードに入らない北岡は首を抜き、ハーフで背中を着かせる。右で枕に巻く北岡に、下からこつこつ拳を返す久米は腰を切るとフルガードに戻して腰を切り立ち上がり!  ステップから詰める久米は近距離で打ち合いから左を当てると組みにきた北岡をコーナーに押し込む。ブレーク。  左ミドルは北岡。かわす久米は右の蹴りから左で前に出ると右フック! 崩れながら首を抱えた北岡はギロチンチョークへ! 右足を両足で挟んでアームインギロチンに入るが頭をずらす久米。ゴング。  2R、先に詰めるのは久米。組む北岡に右で差して押し込む久米はアゴ下に頭を付ける。ブレーク。ワンツーの2連打で前進する久米を、コーナー背に右で小手に巻いて固定する北岡。久米は両脇を差して左ヒザを突く。  ブレーク。左右を振って左で差す久米。北岡はかんぬきでとらえ、離れ際に右を振る。しかしそこでいい組み手は取らせない久米。 ブレーク。左右は北岡。ボディストレート狙い。しかし久米も上下の打撃で詰めて左を差す。右フック、左も当てて前に。ギロチンを警戒する久米。北岡は左目尻から出血する。  3R、互いに細かいステップ。素早い踏み込みからワンツーは久米。北岡も右を返すが、距離が足りず、久米が左で差してコーナーに。頭も当たる。出血でドクターチェック。再開。  右ハイを狙う久米。さらに左ストレートで飛び込むと両脇を差してボディロックから小外がけを合わせてテイクダウン! しかしコーナーで立つ北岡は、そこに突っ込んで来た久米に右腕でアームインギロチンで引き込み! 勝負をかけるが、コーナー際。頭が詰まる。左足を抜いている久米はコーナーに北岡を押し込んで、左ボディを突く。ボディロックから引き出す久米に、立ち上がる北岡。  両者息遣いが荒い、力の入る展開。ボディロックからスタンドバックの久米にアームロックを狙う北岡。ブレーク。右の前蹴りは久米。北岡は左ハイ。かわす久米は左右を振って前にいったん離れたところに右のバックフィストは北岡。かわす久米が組んでゴング。北岡は両手を挙げる。  判定2-1で久米が勝利。北岡との握手に久米は涙を流し、敵対した日沖も北岡とハグ。北岡は退場の花道で「フィニッシュに近かったのは俺だけどな」と笑顔を見せた。 [nextpage] ▼第7試合 RIZINキックボクシングルール 60.0kg契約 3分3R×北川裕紀(ZERO ONE GYM)[2R 0分27秒 KO]〇平塚大士(チームドラゴン)  北川はシュートボクシングのランカーで2014年2月プロデビュー。2015年5月にはRIZIN出場経験のあるヘンリー・セハスに勝利している。2019年5月に西川創太をTKOで破り、戦績は11勝(5KO)7敗。  対する平塚はK-1甲子園出身で、2008年大晦日にはさいたまスーパーアリーナで開催された『Dynamite!!』に出場してK-1甲子園リザーブマッチで佐々木大蔵に勝利。2012年8月にKrushでプロデビューし、安保瑠輝也にKO勝ち。その後も野辺広大にKO勝利するなどキャリアを重ねていったが、2016年2月に大雅に敗れて怪我もあって戦線離脱。2018年にRISEのリングで復帰戦を行うもTKO負け。実に12年ぶりにさいたまスーパーアリーナのリングに立つ。  1R、ともにオーソドックス構え。右ローから入る北川。北川も左ローを変える。右の蹴りの北川に、平塚の蹴り返し。北川はコーナーに詰めて右ストレートを当てると、平塚のローはチェックする。  速い右ローを当てる北川。平塚は蹴り返しでパンチの攻防にはさせず。右ミドルの3連打は平塚。さらに左ミドル。北川は前手を回して牽制する。  2R、いきなりローから入る平塚。前に出てきた北川にロープを背にした平塚。跳びヒザから連打で詰めてきた北川に、平塚は右ストレートを当てると、右ミドルを織り交ぜながら、左を振ってきた北川を受けながら、左フックを打ち抜くと、北川はヒザが折れてダウン! すぐにレフェリーが間に入った。 試合後、平塚は「チームドラゴンの大士です。マイクは初めてですが、こうしてRIZINに出られるのもサポートしてくださる皆さんのおかげです。ありがとうございました」と初々しく挨拶した。 [nextpage] ▼第6試合 61kg契約 5分3R ※ヒジあり×金太郎(パンクラス大阪稲垣組)[判定1-2]〇瀧澤謙太(フリー)  朝倉海が王座に君臨するバンタム級(61kg契約)で、金太郎(パンクラス大阪稲垣組)と瀧澤謙太(フリー)が、ヒジ有りルールで対戦する。  RIZIN初参戦の瀧澤はMMA戦績10勝5敗。PANCRASEバンタム級では金太郎より上位の2位にランクされている。空手家である父親の影響で、フルコンタクト空手を習い始め、小学校6年間は新極真の木元道場で練習。小3年で全国3位の実績を残す。中学でハンドボール部で活躍後、リバーサルジム横浜グランドスラムに入会。高校でレスリング部に所属し、高校卒業後はリバーサルジム東京スタンドアウトに移籍。  2014年5月のプロデビュー戦での敗戦後、4連勝を飾る。19年3月には王者シウバへの挑戦権を得るも1Rにリアネイキドチョークで一本負け。金太郎同様にベルトを逃している。しかし、2019年11月のPANCRASE310では、修斗世界フライ級2位の石井逸人を跳びヒザ蹴りでTKO。10勝のうち8つがKO勝利の、蹴り技を軸とした打撃力で、朝倉海を頂点とする群雄割拠のRIZINバンタム級戦線で勝ち上がることができるか。  金太郎はMMA13勝8敗2分。少年時代は喧嘩に明け暮れる荒れた生活を送っていたが、キックボクシングから、18歳の時にMMA(総合格闘技)に転向し「THE OUTSIDER」に参戦。秒殺勝利を重ね一気に人気選手となった。2012年からはDEEP、PANCRASE等に出場し、強豪アラン“ヒロ”ヤマニハ、TSUNEを破るなど4連勝(3KO・TKO)を飾ると、2019年7月のバンタム級王座戦で王者のハファエル・シウバを追い詰めながら、逆転の一本負けで王座獲得ならず。2020年2月のRIZIN.21で加藤ケンジをリアネイキドチョークで極め、RIZIN初陣を飾っている。PANCRASEバンタム級ランキング3位。  サウスポー構えの金太郎とオーソドックス構えの瀧澤。金太郎はパンチ主体ながら、PANCRASEのTSUNE戦では、サウスポー構えから左ストレートを見せておいて細かいスイッチの右ハイキックで1R KOに下すなど、器用なところも見せている。  そして同じくTSUNE戦で瀧澤はオーソドックス構えから右のヒザ蹴りをそのまま前方に着地させての右フックで2R TKO勝利という、空手の追い突きをMMAで決めている。  前進してのインファイトの金太郎に対し、距離を取って蹴りを軸に戦う瀧澤。決めどころでの飛び込みは両者に共通するが、相手のテイクダウンを切って、得意の打撃で削りに来る瀧澤と金太郎とでは、距離が異なる。果たしてペースを握り、自分の戦いに持ち込むのは瀧澤か金太郎か。互いにKO・一本での決着を予告している。  金太郎はラッシュガードを着用。今大会からレスリングシューズの着用はNGとなる。  1R、オーソドックス構えの瀧澤。サウスポー構えの金太郎。右の蹴りの瀧澤に、左ハイを返す金太郎はオーソドックスに変えて右ローを当てる。  サウスポー構えに戻す金太郎。前手争いから左で飛び込み右ハイに繋げる瀧澤! しかしそれをブロックし左フックで飛び込む金太郎は左ミドル! ともに一瞬の斬り合い。パンチから右の蹴りまで繋ぐ瀧澤の右ハイはかわす金太郎。左で飛び込む瀧澤はボディ打ち。カウンターを狙う金太郎。組ませない瀧澤。瀧澤は飛び込みに右ヒザを突く!   左ストレートは金太郎! しかし瀧澤はロープに詰めて右ヒザ! 首相撲は金太郎が剥がす。  2R、右ローから入る金太郎。瀧澤も右ミドル。前蹴りはかわす金太郎は左ボディフック! ヒザで飛び込み首相撲狙いは瀧澤。右ミドルもヒット! 右ストレートは瀧澤。金太郎も左ハイをガード上に当てる。瀧澤の右ハイは浅い。蹴り足を掴もうとする金太郎は左ボディ! 瀧澤もヒザを狙う。  瀧澤の跳びヒザに右を狙う金太郎。中央を取る瀧澤が止まると金太郎は右を振る。スイッチしあサウスポー構えとなる金太郎。右ジャブダブルから左ストレートは金太郎! 瀧澤のアゴが上がる。詰める瀧澤はコーナー際で跳びヒザ。そこにヒザを金太郎は合わせる。詰める瀧澤は後ろ廻し蹴りも金太郎はガードする。ゴング。金太郎の左ボディ、左ストレートが際立ち2Rに。  3R、ワンツー跳びヒザで詰める瀧澤。金太郎のテイクダウンは切り、金太郎も立ち上がる。左の打ち合いは瀧澤。さらに左フックを当てる瀧澤! 金太郎はヒザが落ちるが、組み付き金太郎はダブルレッグテイクダウン! 瀧澤はニンジャチョーク狙い。しかし外した金太郎。コーナーを使って小手に巻いて立ち上がる瀧澤。ボディロックの金太郎。瀧澤はロープ間に頭が出る。  ボディロックから頭をつけて崩しにいく金太郎。ロープを掴む瀧澤。両足を立てると、金太郎はスタンドバックに。後ろからヒザを突き、シングルレッグで引き出そうとするが瀧澤もテイクダウンを許さない。正対する瀧澤。そこにダブルレッグは金太郎。さらにボディロックに切り替えテイクダウンを狙う金太郎。瀧澤は頭をロープ間に出してゴング。 判定は割れて2-1で瀧澤が勝利。ダウン気味の打撃を効かせた瀧澤が、後半の組みでドミネートした金太郎を振り切った。 [nextpage] ▼第5試合 女子53kg契約 MMAルール 5分3R(※ヒジあり)〇RENA(シーザージム)[判定3-0]×富松恵美(パラエストラ松戸) シュートボクシング女子世界フライ級王者RENA(シーザージム)が、2019年大晦日以来となる2020年初の試合に臨む。対戦相手は元DEEP JEWELSストロー級暫定王者・富松恵美(パラエストラ松戸)。  2015年大晦日のRIZINでMMAデビューして以来、13戦を行ってきたRENAだが、日本人対決は山本美憂と浅倉カンナ(2度対戦)の2人としか経験していない。富松は女子プロレスから2006年にMMAに転向したベテランで、2019年10月には前澤智が保持するDEEP JEWELSアトム級王座に挑戦した選手で、浜崎朱加を頂点としたアトム級ピラミッドの中で、上位に長く君臨する選手だ。今回の契約体重は53kg。富松にとっては1階級上での試合となる。  1R、ともにオーソドックス構え。RENAを中心に左回りでステップ踏む富松。RENAはワンツーで軽く牽制。遠い間合いの富松。RENAは右を大きく打つ。富松は関節蹴りで牽制。右ローを打つとそこにRENAは右を狙う。  コーナーに詰まらないように回る富松。右ストレート、左ボディをRENAは当てると左前蹴りも。左ボディストレート、右ストレートを狙うRENAだが深追いはせず。コーナーに詰まり首を抱える富松だが、突き放すRENA。右ボディストレート、右ローを当てる。ワンツー左フックを当てるRENA。富松に組み付く隙を与えない。  2R、RENAの右ローに右を当てる富松。さらにスタップを踏んで組み付くと右で差してスタンドバックに。アームロック狙いのRENAはコーナーで正対。富松はシングルレッグに切り替える。RENAの右足を両足で引き出す富松。しかしRENAは足を抜く。富松は右足にシングルレッグ。ハーフからマウント! スクラブルで立ち上がろうとするRENAのバックを奪い、鼠径部に両足をかける。  セコンドの浜崎朱加の「回れるぞ」の声。富松は4の字ロックに変えて亀になるRENAについていく。富松の左手を持つRENAは下に落とすと、富松は腕十字へ。クラッチするRENAは離れてフットスタンプ! サッカーキック、下の富松に左右で飛び込んでゴング。  2R、先にワンツーで圧力をかけるREN。富松もバックフィストを狙う。RENAのワンツーを受けてシングルレッグは富松。引こうとするRENAを巻き込み、背中を向けたRENAにすぐにダブルレッグへ。両足をロープ外に出すRENA。その立ち際にヒザを腹、顔面に突く富松! 立ち上がるRENAは左ボディ! さらに左右ラッシュに富松はシングルレッグから右手を巻き込み狙い。それを潰したRENAは頭つきのキムラロックを狙う。  腕をクラッチする富松。上四方から腕を放して離れたRENA。スタンドへ。低いシングルレッグは富松。切るRENAはスタンドを要求。右の打ち合いは両者外し、互いに右ストレートを当てる。富松は低いタックルから引き込み狙いも付き合わないRENAは上からフットスタンプでゴング。ダメージはRENAが与え、ポジショニングは富松だが……。  接戦の判定は3-0で後半に打撃のダメージを与え、ポジションも奪ったRENAが勝利した。  試合後、RENAは「世界中がこんなことになって、誰も思って無くて歯がゆい時期でまだ油断できませんが、こうして皆さんの前でリングに上がれることが嬉しくて楽しくてありがたいことだと思っています。まだ満席では出来ませんが、皆さんで思い切って楽しめる日が来ることを願っています」と挨拶。  続けて、少し間を置いて「私事ではありますが、この楽しい辛い時期を過ごしたRIZINですが、あと2、3試合でこのリングから降りようかなと思っています。(客席から、ダメ!の声)嬉しい! RENA最終章、もう少し頑張りますので、応援よろしくお願いします。富松選手、ありがとうございます。皆さん、声は挙げられませんが、指だけでも『1、2、3、シュート!』」と、RIZINでの残り試合をあと2、3試合とすることを語った。 [nextpage] ▼第4試合 66.0kg 5分3R(※ヒジあり)〇芦田崇宏(BRAVE)[1R 4分25秒 アームロック]×萩原京平(SMOKER GYM)  レスラーが揃うBRAVEジム所属の芦田は、バックボーンであるボクシングにレスリングを採り入れたファイトスタイルで活躍。2017年9月にDJ.taikiに勝利し、12月には上迫博仁を破りDEEPフェザー級王者に。同王座は初防衛戦で失ったが、2019年10月のDEEPでは長倉立尚を破ってRIZIN参戦をアピール。かつて師匠である宮田和幸も上がっていたRIZINにキックルールながらたどり着いた。  しかし、年末のBellator JAPANで、K-1でゲーオ・ウィラサクレックを相手に日本人初のKO勝ちの戦績を持つ平本蓮とキックルールで対戦。右ストレートを受け、3度のダウンを奪われKO負け。BRAVEの地元さいたま大会で、念願のMMAルールを戦う。    対する萩原は、8月大会で白川陸斗をTKOに下したストライカー。試合後、榊原CEOが、「未知強(未知の強豪)っているんだなって。強かったし、堂々としていたし、プロとして必要なものを持っていた。白川選手に一方的にやられると先入観を持って見ていたんですが、凄かった。久しぶりに可能性しか感じられないような選手が現れた」と絶賛した選手だ。 “喧嘩番長”の異名を持ち、中学時代はラグビー、17歳の頃から格闘家に憧れてアマチュア大会に出場し始めて20戦18勝の好成績をあげた。その後プロに転向し、戦績は3勝2敗。8月の「RIZIN.22」では、朝倉兄弟と共に練習する白川陸斗をジャブ&カーフキックのローで崩し、ボディ打ち&ヒザ蹴りなど上下の攻撃にテイクダウンも織り交ぜ、最後はワンツーでTKOに下している。 「憧れのファイターはネイト・ディアズ」と言うだけあって、ハートの強さには自信。9月大会への連続参戦で“立ってよし・寝てよし”の強敵・芦田をも下すことができるか。芦田としては、当て勘のいい萩原相手にテイクダウンプレッシャーを与えながら、立ち上がりが巧妙な萩原を抑え込み削る、あるいはバックテイク、極めることができるか。  1R、サウスポー構えの芦田。オーソドックス構えの萩原。先にローを打つ萩原。蹴りにバランスを崩した芦田はシングルレッグへ。しかし萩原はそこにヒジを連打。芦田も腰を抱いてテイクダウン。しかし萩原はヒジをロープにかけて凌ぐ。  横まで寝かせる芦田だが、コーナーまで移動し立ち上がろうとする萩原。芦田は両足をまたぎマウント。ブリッジでハーフに戻す萩原に足だは右腕を流して肩固め狙い。腕を戻す萩原だが背中をマットに着ける。  オープンハンドで耳を叩く芦田は、差して立ち上がろうとする萩原の右手を三角絞めにとらえて萩原の外に出た右腕をキムラアームロックに極めた。  試合後、芦田はリング上で「今日が僕のRIZINデビュー戦だと思っています。YouTuberだろうがキックボクサーだろうがやるんで、大晦日よろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 RIZIN MMAルール 120kg契約 3分3R ※ヒジあり〇スダリオ剛(フリー/元十両・貴ノ富士)[1R終了時 ドクターストップ]×ディラン・ジェイムス(ニュージーランド/ランズエンドプロレスリング)  大相撲の元十両・貴ノ富士(本名・上山剛)の総合格闘技デビュー戦が電撃決定。リングネームをスダリオ剛(フリー)とし、ランズエンドプロレスリング所属のプロレスラーであるディラン・ジェイムス(ニュージーランド)と120kg契約3分3R、ヒジ打ちありルールで対戦する。ジェイムスもMMAデビュー戦。  スダリオは父が日本人、母がフィリピン人の双子として生まれ、幼少の頃はサッカー、空手、バスケットボール、ボクシングと様々なスポーツを経験。なかでもバスケットボールは、現在NBAのウィザーズで活躍する八村塁のライバルとして鎬を削り、抜群の運動神経を見せていた。2013年に弟とともに貴乃花部屋に入門。同年3月場所で初土俵を踏んた゛。15年3月には幕下に昇進、18年の3月場所で新十両昇進。史上初の双子関取となったことて゛、将来を嘱望されていたか゛、二度に渡る暴行事件を引き起こし、19年に引退。通算成績は165勝112敗28休。力士時代から約50kgの減量に成功したという。  対するジェイムスはフリースタイルレスリングのバックボーンを持ち、2010年にプロレスラーに転向して2011年に初来日。以後、日本で活躍していたが、かねてより興味のあったMMAへの挑戦を決意したのだという。  スダリオのセコンドにはエンセン井上。  1R、ともにオーソドックス構え。先に跳び蹴りで前進するスダリオ。左右を振るが、ジェイムスは差して組む。押し込むスダリオだががぶり首獲るジェイムス。首を抜くスダリオは右ストレート。ジェイムスのヒザ着きのダブルレッグを切り、がぶり4点ヒザを連打! 正対した仰向けになるジェイムスはヒザをガードで入れるが、パスしたスダリオは、サイドからヒザを突く。  2R、鼻血が止まらないジェイムス。ドクターチェックの末、鼻が折れたのか、ドクターストップとなった(※顔面骨折の疑いのためドクターストップ)。  試合後、スダリオはリング上で「今日はMMAデビュー戦で少し緊張しましたが、練習していたことが出来てよかったです。新弟子からの支援してくれた人が5日前に亡くなり、今日がその人の誕生日でした。その日に勝てて良かったです。いつも支えてくれた妻、悲しませてしまったお母さん、エンセン(井上)さんを紹介してくれた小錦さん、エンセンさん、セラさんに感謝したいです。ヘビー級にスポットライトが戻るように自分が頑張ります」と語った。 [nextpage] ▼第2試合 RIZINキックボクシングルール 55.0kg 3分3R〇江幡 睦(伊原道場/WKBA世界バンタム級王者)[判定3-0] ※30-26×3×良星(平井道場/RISEバンタム級1位)  江幡塁の双子の兄であるWKBA世界バンタム級王者・江幡睦(伊原道場本部)が初参戦、RIZINキックボクシングルールでRISEバンタム級1位・良星(らすた/平井道場)との対戦が決定。  江幡睦は弟・塁と共に幼い頃から極真空手を学び、中学生でキックボクシングを始めた。2007年9月に兄弟そろって新日本キックボクシング協会でプロデビューすると連戦連勝ですぐに頭角を現し、2010年3月に19歳で日本フライ級王者に。2012年7月には当時国内バンタム級最強の男と目されていた藤原あらしをヒジ打ちによる初回KOで破り、一躍その名を轟かせた。2014年4月にはWKBA世界バンタム級王座も獲得。2019年10月、最大の目標とするラジャダムナンスタジアム王座に4度目の挑戦を行ったが、王者サオトーとドローで王座獲得はならなかった。  長年にわたって新日本キックのエースとして活躍し、破壊力抜群のパンチ&ローで国内外の強豪をマットに沈め、36勝(27KO)3敗3分の戦績を誇る。  対する良星はスピードとスタミナを活かした常に動き回るアグレッシブなスタイルで“ノンストップ・ハイスピードバトル”を展開し、会場を常に沸かせるRISEの元気印。得意技はハイキック。第4代Bigbangスーパーバンタム級王者でもあり、2018年7月に鈴木真彦に敗れて以降は破竹の7連勝(3KO)を飾っていたが、今年1月に鈴木とのタイトルマッチ再戦で敗れて王座奪取ならず。8月23日の再起戦ではMAキックボクシング連盟日本スーパーバンタム級王者・戸井田大輝に判定勝ちして再起を飾っている。  しかも良星は前日に行われたRISEの記者会見にて、11月1日(日)エディオンアリーナ大阪で行われる「RISE DEAD OR ALIVE 2020 -55kgトーナメント」に江幡塁と共に出場が発表されたばかり。まさかの江幡兄弟との2連戦もありえる。  睦が勝利すれば、年末に那須川との“弟の仇討ちマッチ”が実現する可能性もあり、良星が勝利すれば日本人選手の誰もが成し遂げていない“江幡兄弟狩り”を実現させるかもしれない。日本人選手屈指の攻撃力を持つ江幡だが、良星のスピードと手数は未体験の相手となるだけに油断はならない。キックボクシングファン注目のカードの実現となった。  1R、開始と同時に良星が右ローの強打で先制。その後も右ローを狙っていく良星に江幡も左インローを返してワンツーを狙う。良星がワンツーからのハイキックを見せた後、良星が左ミドルを蹴ろうとしたところに伸びるワンツーで江幡がダウンを奪う。続いて江幡がスピードある右ストレートからの左フック、そして右ストレートでダウンを追加した。  2R、良星も右ストレートを繰り出すが、江幡のワンツーが良星のガードの隙間を縫ってヒット。ステップで動く良星だが攻撃は空振りが多く、逆に江幡はここぞというところで右ストレート、左フックを打ち込む。  3Rは良星の攻撃に合わせて左ミドルを蹴る江幡。良星はパンチを空振りさせられるが、右ストレートを一発叩き込む。江幡は首を捕まえるとヒザ蹴り、良星は離れ際に連打。このラウンドは左ミドルを多用する江端。さらに飛びヒザ蹴りを繰り出すと、良星は後ろ廻し蹴り。  勝敗は判定に持ち込まれたが、ダウンを2度奪った江幡がRIZIN初勝利を飾った。 [nextpage] ▼第1試合 71.0kg契約 5分3R×矢地祐介(KRAZY BEE)[判定1-2]〇大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ)  矢地は、8月9日の「RIZIN.22」に続き連続参戦。横浜での前戦は“柔術界の至宝”ホベルト・サトシ・ソウザを相手に、特訓中のジークンドーのサイドキックの打ち終わりを狙われ、組み付かれてマウントからパウンドを受けて1R TKO負け。持ち味を発揮する前に勝負を決められて完敗している。 試合後、「最初の関節蹴りは少し高かった。パンチのレンジになったときにサイドキックは距離が合わなかった」と自身のYouTubeで石井東吾氏と敗因を分析していた矢地は、その場で連続参戦を希望。「やってきたこと全てを出して精一杯戦います!」とのコメントを発表している。  対する大原は、DEEPを主戦場にこれまで40戦以上の戦歴を持つ。2019年年末には武田光司との2度目のタイトルマッチに挑むも、一本負けを喫した。しかし、2020年8月の「DEEP 95 IMPACT」では、ボンサイ柔術の鈴木啄仁に、下からの蹴り上げ=ペタラーダで1R TKO勝利を決め、連敗から脱出している。  RIZIN初参戦となる大原は、「これまで50戦近くを戦ってきましたが、間違い無く格闘技人生で大きなターニングポイントとなるでしょう。自分はスタンドで殴り合う試合ばかりしてきたので、ストライカーの矢地選手が相手なら会場のお客さんが絶対に面白いと思える試合になる」と打撃戦を望んだ。  矢地にとっては、採り入れて来た武術とMMAの融合をいかに果たすか。構えを変えたことで奥手は遠くなり、矢地本来の打撃の良さも損なわずにどう生かすか。そして並行して強化してきた組み技をストライカー相手に“混ぜる”ことができるか。真価が問われるところだ。  対して、約10年のキャリアで47戦と脅威的なペースで試合を行い、着実にキャリアを積んできた“鉄人ファイター”である大原は、グラップラー相手の組みにも凌いで凌いで、逆転の打撃で白星を掴んだ試合も多く、際の打撃に定評がある。ヒジ無しルールであることは、大原にとって武器が一つ少なくなるが、矢地の打撃と組みを捌いて自身の距離で戦うことができれば、アップセットの可能性は高くなる。  1R、サウスポー構えの矢地。オーソドックス構えの大原。左ミドル、右のサイドキックと先に打撃を打つ矢地。しかし大原も右ミドルをヒット。矢地は右から左のワンツー、さらに左ストレート! 大原は一瞬下がるが押し戻すと右ハイ! 矢地は一瞬バランスを崩す。  大原の右ミドルを掴んでテイクダウンを狙う矢地だが、懐が深い大原は足を戻す。右のヒザ蹴りを突く大原だが、そこを矢地はテイクダウン! しかしすぐに立つ大原は詰めてロープで打ち合いに持ち込み、二段のヒザ蹴り!   ダウンした矢地にハーフからパウンドは大原! 矢地は大流血。フルガードに戻して腕十字を極めにいくが、大原はしっかり腕を抜くと、サッカーキック! 矢地は下から三角絞めを狙うが、大原は防御。矢地は下から蹴り上げで立ち上がり左右で反撃、ボディロックで押し込む。  2R、眉間を大きく縦にカットした矢地にドクターチェック。止血後、再開。遠間から右ミドルは大原。さらに右ミドル! 矢地は右ジャブを突き、左ミドル。左ボディ、右フックも浅い。左ハイは大原がブロック。しかし矢地は左ミドルを当てる。  大原は右で前に出ると右ミドル、右フック! 矢地も左ストレートを返す! 右ミドルを当てる大原。掴んだまま右を返す矢地は左ミドルも。もらっても下がらない大原が圧力。矢地は右フック! 左ボディを当て右も。しかし大原も右ミドル!! 大きな音を立てたミドルに矢地の左のガードが下がる。  ロープに詰めて右を突く矢地だが、回る大原。矢地はワンツーの左! さらに大原の右ローに合わせて左、さらに左の縦拳でダウンを奪うがすぐに立つ大原は打ち合いに応じる! ロープを背に矢地は詰めてラッシュも大原もフックを振る。矢地がダウンを奪い返したラウンド。  3R、グローブタッチ。右ミドルを当てる大原。右から左ストレートは矢地。しかし、大原も下がらず前へ。右ハイはかわす矢地。右ローは大原の右を受ける。左の三日月蹴りは矢地。さらにワンツーで入るが、詰める大原はヒザで前に。矢地は右ジャブ、大原は右ミドル! 矢地は左ボディをヒット。しかしすぐに大原も右ミドル! 大原は詰めて右の跳びヒザ! しかしバランスを崩し下に。コーナーを使ってすぐに立つ大原。  前に圧力をかける大原。右前蹴りを当てるとワンツー。さらに右ミドル! バチンと音を立てる。さらに右ミドルのダブル! 3発目。大原の右ヒザに矢地も左を返す。さらに右のテンカオ! 矢地も左をテンプルに入れる。大原の右ミドル。蹴り足をつかむ矢地。さらにダブルレッグから小外刈を合わせてテイクダウン! マウント・バックを奪うが、矢地を背後から落とした大原が上に! 大原がパウンドを連打。足を効かそうと伸ばす矢地だが下でゴング。  判定は2-1で大原が勝利。RIZIN初参戦でアップセットを成し遂げた。  リング上で大原は、「DEEPから来ました。大原です。みんな思ったでしょう? 1個だけ、俺が勝つと言ってくれたみんな、KIBAのみんな、『これでいいだろ?』。またすぐに試合があると思います。応援、よろしくお願いします!」と絶叫した。
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