ただ勝つじゃなくてKOしたい

――選手として進化していく過程で、今回の試合は“もう一段上のステージに登った内藤大樹を出す”ようなイメージですか?
「正にそんな感じで。今、自分はキャリア的に終盤に来ていると思うんですけど、自分でも実際に成長を感じているし。でも、キャリア50戦やって、新しいことを取り入れるのは勇気のいることで。あんまりその部分を崩したくないタイプだったんですけど、変なプライドみたいなのを一度捨てて、取り入れてみることで、また新しい自分と出会えている気がしています。だから、今回は今までと違うなって思わせたいし、自分自身に凄く期待しています」
――繰り返しになりますが、今回の試合の展開、フィニッシュをどう考えていますか?
「相手も来るので、100%激しい試合になると思うし。自分自身もそういうキツイ展開に飛び込んでいかないといけないと思っています。そこに行けば自分が倒す確率は上がるし、倒せると思っているので。世間的な評価は相手が高いと思いますが、そういう相手だからこそ今回はしっかりKOしたいと思っています。ただ勝つじゃなくてKOをしたいです」
――武尊選手のONE参戦などもあり、フライ級キックボクシングが盛り上がっています。ランキング3位の内藤選手としては、今回はキックの試合をしたかったなどの気持ちはありますか?
「勿論、キックボクシングを希望したいという気持ちはあります。今はキックボクシングのタイトルを狙っていますが、そのためにも今回のムエタイのオファーを受けて、そこで結果を出して、まずはしっかりと発言権を得ないといけないと思っています。次の試合に行くためにも、今回は凄い大事な試合だと思っています」

――先程の質問の流れで敢えて伺います。3月の日本大会が凄く盛り上がり、その中には内藤選手の名前はありませんでした。焦りだったり、苛立ちだったり、どのような感情がありましたか? また、今はそれとどう向き合っていますか?
「やはり大会が終わるまでは凄くモヤモヤしていて。これまでの日本大会、なぜ今まで1度も声が掛からないんだろうとか。もっと自分が戦ってきたことを評価してくれてもいいのになとか。確かに日本での知名度だけで言えば、出てきた選手たちには、負けてしまうのかもしれないですけど。ただ、世界と戦ってきたっていう意味では、どの選手よりもやってきたと思っているんで。そう言う思いがありました。やっぱり当時は苛立ちみたいなのは凄いありましたね。
日本大会も見に行く予定じゃなかったんです。変なプライドじゃないですけど、いつでも試合できるように、見に行くのも無駄な時間かなと思って。だったら自分のために時間を使って練習しようとか、そういう感じだったんですけど、やはりモヤモヤしたので、急遽、1週間前ぐらいにチケットを用意してもらって行くことになりました。
結果、見て良かったなって現地ですごく思って。苛立ちみたいなのが、見たことでなくなりました。良いものが見れたし、結局、声が掛からないのは、自分がダメだったんだっていう風に納得ができて。だから、次の日本大会にはアピールしなくとも必ず選ばれるように、日々過ごしたりとか、しっかり結果出してかないといけないなっていう、良い意味での刺激に変わりました」
――むしろ次に繋がる良い刺激を受けたのですね。
「その通りです。だから僕は今回はデビュー戦の気持ちで戦おうと思っています。もう一回、ONEデビュー戦の気持ち。その感覚で勝利を掴み取りに行くつもりです」
――最後に日本のファンの方々にメッセージをお願いします。
「ONEは今、日本人の強い選手たちが入ってきて、さらに日本でも注目が集まっています。その中で自分っていう選手がいるということを、次の試合で印象付けたいなと思っています。注目して観てください」


