久井との再戦は僕の自己満に過ぎない

──先ほど、久井選手の戦いを見て「KNOCK OUTは任せられない」という思いがあったと話していましたよね。それだけに、龍聖選手には『ここで勝って、これからのKNOCK OUTを改めて引っ張る』という気持ちも強いのでは?
「もちろん。ここまでKNOCK OUTでも1試合しかできてなかったし、個人的にもいろんな波がありながらKNOCK OUTの状況を見ていて、『やっぱり俺がいないとな』という思いも大きくなっています」
──今回はリベンジマッチでもありますが、龍聖選手にとっては再スタートの試合でもありますよね。
「そうですね。僕、ずっと負けてなかったじゃないですか。キャラクター的にもアンチもいるような感じでしたけど、僕としてはキャラを作りすぎてたわけでもなくて、多少作ってた部分もありましたけど、本音で言ってた部分もあって。僕も人間だからアンチのコメントとかは見ていて気持ちいいわけでもないし、『どんどん来いよ』というわけでもないんですよね。
それで去年の6月に初めて負けて、直後は少し記憶が曖昧だったんですけど、『負けたんだな』ということをしっかり認識してからは、XなどのSNSを見るのがすごくイヤだったんですよ。通知はものすごく来てたんですけど、『みんな、僕が負けてすごく喜んでるんだろうな』と思って。『この日を待ってた』という人がすごく多いんだろうなとも思ったんです」
──そう思うのも仕方ないと思います。
「だからすごく叩かれてるんだろうなと思ったんですけど、いざ携帯を開いてみたら、叩くようなコメントは数えるほどしかなくて。むしろ『ありがとう』とか『感動した』というコメントがほとんどだったんですよ。中には『今までの龍聖で一番カッコよかった』とか『今まで好きじゃなかったけど、今日の試合で好きになった』という声もあって。そのコメントに、僕はメッチャ元気をもらったんです」
──そうですか。
「SNSって、悪い使い方の方が目立つと思うんですけど、僕はSNSにすごく救われた一人で、格闘技ファンのみんなにすごく救われたんです。だから、僕がここからまた復活して久井を倒す姿を、みんなに見せなきゃいけないなというのをすごく思っていて。今回、知名度とか実績とか、いろんな面で僕は久井より全然上だと思うんですよ。唯一の負けを彼に喫したというだけで。
むしろ、ONEから僕のことを知ってくれた人とか、最近好きになってくれた人だと、久井を知らないという人も多いと思うんです。だから正直、僕がここで久井とやるのはリスクしかないと思うんですよね。ここでまた久井に負けたら『久井には絶対勝てないヤツ』というイメージがつくと思うし。そんな中で僕が久井とやらせてくれというのは、僕の自己満に過ぎないわけじゃないですか」
──……。
「今回、1年越しに久井とやらせてほしいということは、僕の自己満なんですよ。実際、僕は性格的にも自己中心的で、それこそ『暴君』だったし、彼女だったりとか友人、仲間…いろんな人をこの性格のために傷つけてきたと思うんです。『ああ、龍聖の自己中な性格のせいで、あの時、迷惑を被ったよ』という人もたくさんいると思うんですけど、そういうのを思い返しても今回は初めて、自分の自己満で人を笑顔にできると思うんですよね」
「僕の自己満と、人々の笑顔だったり『ありがとう』という気持ちがリンクするという、自分の人生で初めての体験だと思っていて。今回はファンのみんなのために戦うし、もちろん自分のために戦うし、すごく心身ともに一番いい状況なんじゃないかなと思いますね」
──今までになかったような心境で試合を迎えているわけですね。
「そうですね。去年の久井戦の時は、その時は分かってなかったんですけど、今思えばすごく浮ついた感じだったんです。今はそういうのも全くないですし、最近は『大人になったね』とか『変わったね』って言われることが多くて。そういうところも試合で見せたいなと思っています。本当に龍聖らしい試合をしたいなと思います」
──でも、試合内容まで“大人”になるわけじゃないでしょう?
「それはそうですね。“大人”な試合をしたところで人に勇気とか感動を与えられないと思いますし。本当に今回の試合は、去年の4R目のつもりで戦います。前回の2R、3Rの続きのつもりで、1Rからいこうと思っています」
──前回は1Rに2度のダウンを奪われて、2R・3Rは死に物狂いで挽回に出ていましたからね。
「はい。ガンガンに詰めてガンガンに殴っていきたいですね」
──リング内では変わらず自己中でいくと。
「そうですね。ここで僕が勝てば、正真正銘の『KING OF KNOCK OUT』になれると思うので。6月22日に『暴君』を卒業して、『KING OF KNOCK OUT』になりたいと思います」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「僕が勝つところですね。勝利する瞬間、勝者のコールを受ける瞬間を楽しみにしてほしいと思います」



