2025年5月25日(日)東京・後楽園ホール『Krush.176』にて、第3代Krushクルーザー級王座決定戦3分3R延長1Rで谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と対戦する、山口翔大(GENESIS/TEAM3K)のインタビューが主催者を通して届いた。
山口は空手をバックボーンに持ち、白蓮会館の全日本大会で5度優勝。300超の流派・団体が加盟するJFKO全日本大会では、2018年と2019年の重量級を連覇。2019年には新極真会の世界大会の日本代表に選ばれ、世界の強豪と戦った。2022年に白蓮会館を退会し、キックボクシングに挑戦。
2022年9月からKrushに参戦して7勝(3KO)無敗の快進撃を続けていたが、2024年10月のK-1 WORLD GP 2024無差別級アジア予選でエロール・ジマーマンにKO負けで初黒星。欠場者が出ての敗者復活で12月の「K-1 WORLD GP 2024 無差別級トーナメント」に出場すると、1回戦でクラウディオ・イストラテに反則勝ち、準決勝でフェン・ルイに判定で敗れた。戦績は8勝(3KO)2敗。
自分としては『K-1 GROUP全日本大会決勝戦』
──今回、Krush王座決定戦のオファーを受けた時にはどう思いましたか?
「もともとはKrush大阪大会で対戦という話を聞いてたんですよ。だから地元でやれるのはいいなと思ってたんですが、後楽園ホールにスライドになりまして。まあ会場とかKrushということよりも、今回はとにかくクルーザー級に戻ってこれたということがうれしいです」
──昨年はK-1で無差別級に挑んでいましたからね。
「去年の10月以降、トーナメントがあったので無差別級で3試合したんですけど、とにかくクルーザー級で結果を出したいという気持ちが強かったんですよ。怪物たちとやってきたので、またクルーザー級で再スタートなのかなと思っています。クルーザー級では通用するのかなと思っていますし」
──やはり無差別級は大変でしたか。
「そうですね。身長差だけでなく体重差もあるので。20kg差とかあるじゃないですか。僕はK-1ルールでの経験が浅いので未知数やったんですけど、とにかくデカいんで、立ってるだけでも消耗しました。クルーザー級ではまだ外国人と当たったことがないので、そことは比べられないですけど」
──逆に、その大きさや強さを経験した上でクルーザー級に戻ると、また感覚が変わってくるのでは?
「この前、GLORYから今はUFCのライトヘビー級チャンピオンにもなったアレックス・ペレイラ選手とスパーリングしたんですよ。彼は85kg~95kgの選手じゃないですか。正直、無差別の試合で感じたような圧力はなくて、怖さは全然なくて。その時は蹴りなしのボクシング・スパーだったんですけど、蹴れたらもっといけるんやないかと思いましたね。だからクルーザー級やったらたぶん世界でも通用するんやないかという手応えがありました」
──そういう意味では無差別級へのチャレンジも無駄ではなかった?
「はい、無差別級を経由したことで、今後クルーザー級でビックリすることはなくなると思うので」
──今回は谷川聖哉選手との対戦ですが、一般的には「空手対決」と見られると思います。山口選手より先にK-1 GROUPに参戦していた谷川選手のことは、どう見ていましたか?
「自分がK-1デビューする前から見ていて、日本人選手の中ではいい扱いを受けていると思ってました。ただ、空手だからどうという意識はしてませんでした」
──戦い方などの印象は?
「あんまり面白いこと言えないと思うんですけど…単純に、自分より強い相手には弱くて、自分より弱い選手にしか勝たれへん選手なのかなと思いました。別に、期待通りの負け方と、期待通りの勝ち方しかしないじゃないですか。じゃあ、谷川選手に託して何かがあるのかって言ったら、K-1の未来は谷川選手にはないのかなと。もともと僕はK-1ファンなので、そのファン目線としては、単純にロマンがないなとは思ってました」
──山口選手は、K-1に乗り込んできた時から「空手ロマンを見せる」ということを大きなテーマにしていましたよね。そういう点で、自分とは違うと?
「空手の実績も違いますしね。『空手対決』って言われるとは思うんですけど、野球でもメジャーリーガーと草野球の選手で『野球対決』とは言わないじゃないですか。それぐらいの感覚で思ってるんで。キャリアには『正道会館』って書いてありますけど、正道会館の大会でもチャンピオンにはなってないんで。僕は正道会館の大会でも優勝してるので、『何言ってんのかな?』っていうのは正直ありますけど。たぶん周りも「空手対決」って、勘違いしてると思うんですよ。そこが、まるまる今の実績につながってると思うので」
──谷川選手については、警戒すべきと思うところもない?
「弱みを見せないことが大事かなと思ってます。相手が自分より強いと思ったら諦めるし、自分より弱いと思ったら元気になる選手やと思うんで。だから最初から最後まで圧倒するのが作戦です」
──では今回は、自信しかない?
「自信というか…僕が負けたら、たぶん今後、K-1の重量級は低迷すると思っています」
──ここで勝てばチャンピオンということになりますが、Krushのベルトはほしかったですか?
「もちろんそうですね。Krushのベルトは通過点としては獲っとくべきなのかなと思いますし、獲らないと話が始まらない部分でもあるじゃないですか」
──ではここで獲って、K-1クルーザー級につなげていきたいと。
「獲って初めて、K-1クルーザー級の日本代表として認められると思うので。Krushは日本国内のレベルでは最高峰のベルトやと思ってるんで、ここで獲らないといけないですね」
──今回の試合、最終的にはどう勝ちたいですか?
「まあそこは、試合を見てもらえれば」
──後楽園大会のメインということについてはどうですか?
「初めてのメインなので、やっと来たかなという感じですね。でも空手の大会って、男子重量級トーナメントの決勝が必ず一番最後なんですよ。大会のトリと言えば男子重量級決勝、勝てばずっと最後に試合してたので、やっとそこに戻ってこれたのかなとは思います」
──トーナメント決勝戦としてのメインと、メインイベントとして試合が決まるというのは少し感覚が違うのかなと思うんですが、そんなこともない?
「自分としては『K-1 GROUP全日本大会決勝戦』という立ち位置やと思ってて。デビューして約3年の期間があって、その期間で自分の価値を高めて辿り着いた決勝戦、みたいな感じなんですよね。『ここで優勝して、次は世界大会に行くぞ』という感覚です」
──そして、このところSNSで他の選手とバチバチにやり合ったりしていましたが、そこについては?
「あれは…(笑)、あえて火をつけに行ったところもあるんですよね。ちょっと予想外の反応があったところもありましたけど、一つ言えるのは、谷川選手本人はあの時、出てこなかったじゃないですか。ジムの後輩たちが自分の対戦相手とガチャガチャやってる時に静観してるのは、いい人なわけでもカッコいいわけでもなくて、ただの無責任やないかと思うんですよ。僕やったら、自分の周りのもんがそういうのやってたら、絶対出て行きますよ。そういうのがないのは、何かカッコ悪いなと思いました」
──なるほど…。
「そこは背負える器ではないんかなと。K-1もジムも背負える器やったら、ここで出てくると思うんですけど」
──その意味でも、勝たないといけないと。
「ああいう場で発言するということは、負けた時のリスクが大きくなるということじゃないですか。負けた後のリスクを背負えない谷川選手は、負ける準備をしているのかなと思います。負けた時のことを考えて行動しているのかなと。後輩が頑張ってんのに、逃げんなよと」
──では最後に、今回の試合への決意“”を改めて教えていただけますか?
「『勝って重量級を背負う』というのがこの試合のテーマなので、二軍の選手には負けません」