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インタビュー

【RTU】『格闘代理戦争』優勝でRIZIN出場権獲得もUFC挑戦を選択した中村京一郎「岡見さんから『お前、もっと緊張しろよ!』って(笑)」=5月22日(木)

2025/05/21 10:05

サッカーは、空間の使い方や崩しとかがMMAに似ている

──ここに至るまでに、中村選手には国内でビッグマッチに出るチャンス(※『格闘代理戦争』優勝でRIZIN出場権獲得)もあるなかで、あえてその選択をせずに来たという経緯があると思うのですが……。

「それ、めっちゃ聞かれるんですよね(笑)」

──そうですよね(笑)、それに関しては今回のRTU出場をもって逆算するならば、やはりUFCを目指していたからということが、理由としてあったのでしょうか?

「それはもちろんあります。格闘技を始めた時からずっとUFCのベルトを獲るって決めてずっと練習してるし、試合にも臨んできているからもちろんそれが第一優先でした」

──それほど目指したいと思えるUFCの舞台とはどこが魅力なのでしょうか。

「コナー・マクレガー選手が生活保護受給者からUFC二階級王者になった、と。まあ、自分もめちゃくちゃ金なくてヤバい時期があったけど、生活保護もらうほどではなかったし、“俺よりヤベぇ生活環境の奴、いっぱいいる”、つまりそのハングリー精神っていうものから学んだというか……」

──マクレガー選手の場合、サクセスストーリーが素晴らしすぎて、逆に“自分はそこまで追い込まれていないし、ハングリーじゃないからできない”という考えに至ってしまう人もいると思います。そこをバネに“行ける!”と考えた中村選手はやはり非凡な才能があると聞いていて思います

「日本じゃ考えられない環境下で二階級のベルトを取れて、しかもファイターとして、ロールモデルとしてあそこまで行けるっていうのは、本当に学んだことがあったから、“俺、マクレガーより生活環境悪くないし!”っていう、環境に甘えなくても行けるっていう自信をもらいました。だから絶対取れるっていう感覚があります」

──行けると思ったきっかけにマクレガー選手がいるとして、今この階級でアクティブな選手たちのなかで戦ってみたいだとか、興味のあるファイターはいますか?

「うーん……。自分がこの先UFCに契約できたとして、ランク入りを果たしてそれからタイトルマッチをする、という頃には現王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー選手はその位置にもういないだろうと思っているから、あんまり今の段階では思い浮かばないですね。一番いい時に、一番いい相手が来るかなと思っています。あ、ただ最近アーロン・ピコ選手(※元Bellatorフェザー級)が契約したので、人気出るだろうなって思ってるんです。アメリカ人だしファイトスタイル的にもボクシングでガンガン行って、レスリングもガンガン行って、でも自分の好きなことしかやらないから(笑)、ああいうファイター好きじゃないですか、アメリカって」

──ご自身のファイトスタイルも世界中のファンの間で人気が出ると思いますか?

「受けると思います。別にアメリカでっていうか、僕の試合は全員に受けると思います、はい。何だろうな……、楽しんでるところを見てほしいから。で、たぶん、自分が楽しんでいるから、それは周りも楽しめるでしょうっていう勝手な僕の感覚ですね(笑)」

──自分が楽しむこと、それによってお客さんを楽しませることと対照的に、勝たなければいけないプレッシャーであったり、負けたくないと思うリスクだとか、そういったものが沸くことは全くないのですか?

「だって、しょうがないじゃん! そんなこと考えたって(笑)。みんな勝ちにくるし、負けにくる奴なんて、もちろんいないじゃないですか。だからMMAっていう競技は、すっげえ面白いと思うんですよ。だからその勝ちに対する信念・執念みたいなところのぶつかり合いが本気だからこそ、エンタメなんかしなくても、ガチでエンタメになる、みたいな。そういうところが本当に面白いので」

──一番最初に『引き寄せた』という言葉もありましたが、ご自身としてはやはりギリギリの場面の勝負強さ、引きの強さみたいなものを持ち合わせていると感じますか?

「あると思います。多分、全ファイター共通して“そうだよね”って言うことだと思うのですけど、練習(だけ)強い奴ってやっぱ、いるんですよ。で、試合で勝てない奴もいるし、逆もいるし、それって結局あの場(マットの上)の強さだけ、なんですよね。だからもちろん技術の練習とかはみんな当たり前にやるんですけど、気持ちが100%じゃないですか」

──そういったお話を踏まえてなのですが、プロデビュー戦の『POUND STORM』で初黒星を喫し、そこから全勝を遂げているご自身のキャリアを振り返ってどのように感じていますか。

「(最初の負けは)めちゃめちゃいい意味で、めっちゃいい経験でした。あの頃は本当にまだ格闘技のことを勘違いしてたし、ファイターにもなっていなかったので。対戦相手の狩野優選手にはめちゃくちゃ感謝してるし、ご縁っていうのもスゲぇあるなと思っていて。あの負けがなかったら、今の僕はないってマジで思ってます。ただのワンマッチみたいな試合じゃなかったし、技術的な部分以外でもすごい学びが多かったんで。あれは自分の人生の分岐点だと思います」

──ところで、今回、岡見勇信選手はセコンドに着きますよね?

「もちろん!」

──セコンドワークというより日頃の練習でかもしれませんが、UFCで最も活躍した日本人ファイターと言える岡見選手から、どんな言葉をよくかけられているのですか?

「『お前、もっと緊張しろよ!』って(笑)。岡見さん自身であったりあの時期の選手には“楽しむ”っていう感覚が本当にない、と言ってたんですよね。『だから最近の選手はすごいよ』っていう話をいつもしていて。ただ、だからこそ注意喚起じゃないけれど、緊張感を持たせてくれるって意味でも、すごくいいセコンドをしてもらってると思ってます」

──そうやって試合をしていく強くなっている実感を持っていますか。

「試合が一番強くなると思うし、自分自身も強くなろうとしているし。環境であったり、ここからはUFCが僕を強くしてくれると思っているんで、それを信じて毎日生きてるだけです」

──応援しているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。ええ、皆さんの応援、皆さんの愛、いつも受け取ってます。で、みんなに感謝して試合やってくるんで、当日もめちゃめちゃ応援お願いします。で、めちゃめちゃ僕も楽しむんで、みんなで当日楽しみましょう。お願いします!ラ・リーガ観るならU-NEXT!

──そのままスルーしましょうか(笑)。

「さすがに言い直します(笑)!『RTU観るならU-NEXT!』」

──ありがとうございます! ラ・リーガ、観てくださっているんですか? 先ほども待ち時間にサッカーらしきものをスマホでご覧になっているように遠目から窺えたのですが。

「好きなんですよ。1日のスケジュール的に90分フルではなかなかちょっと観られないですけど。空間の使い方とか崩しとかがMMAに似ています。MMAの場合は早ければ1Rだし途中のラウンドで終わったりするんですけど、サッカーはプレイする時間が決まっているから、崩してディフェンスラインはこうするだとか、この時間帯は球を持っって、この時間帯はたまに空間見ながら出す、といったことが繋がるんですよね。ハビブ(・ヌルマゴメドフ)がサッカーやるのが好きな気持ちもわかります」

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