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【RIZIN】朝倉未来、原点回帰の「“負ける覚悟”を持って楽しんで試合したい」──鈴木千裕戦は“100%勝つ“、クレベルには「応援してますよ」、大逆転のシナリオとは?

2025/04/27 08:04
 2025年5月4日(日)東京ドームで開催される『RIZIN男祭り』に向け、朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)と鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が公開練習。その後、『榊原社長に呼び出されました』に出演した朝倉が、「今回は“負ける覚悟”を持っていく」と語った。その真意と、驚くべき復活ロードのシナリオとは?  公開練習で立ち技からテイクダウン、パスガードからバック、肩固めなど、組み技まで披露した鈴木に対し、朝倉は上半身裸でオープンフィンガーグローブを着用。サウスポー構えからワンツー、右跳びヒザから左ストレートなど立ち技で万全をアピールした。  質疑応答では、鈴木が2023年6月のクレベル・コイケ戦から7月のパトリシオ・ピットブル戦の連戦を彷彿とさせる今回の緊急参戦について、心境がかぶるのでは? と問われ、「いやそういう心境かぶるとかは特になくて、そういう風に思って試合とかしてなかったんで、いつも通り。別にプロで本物だったらいつ試合来ても決まったら作るのがプロなので変わらない」と、プロとして試合を受けたら、そのときの万全を作るのみと答えた。  朝倉の動きを目前で見て頷いていたのは、「本当に試合に向けて仕上がっているな、というのは当然なんですけど、それ見て、自分含めて“ああもう準備できてるんだな”と思ったのが正直な感想ですね」と、張りのある上半身を披露した朝倉のコンディションの良さを、自身同様と感じ取ったとした。  もともと朝倉とは戦いたかったか? と問われ、「いや、戦うことないかなと思ってたんですけど、世の中本当に縁なので、格闘技の縁がたまたまここで結びついただけなので、それは本当に格闘家としてちゃんと向き合うだけ。そこはもう使命というか、格闘家やってる時点でお互い知ってますし、“いつか戦うかもしれない”というのはつきものなので」と、交わることはないと感じていた朝倉戦を「縁」と表した。 「東京ドームで一番、面白い試合するので楽しみにしていてください」という鈴木に対し、朝倉は「(鈴木とは)やりたいと思ってました。ここまでキツい練習を続けてきたって感じで特にこれまでと変わらない。(鈴木の動きについて)どうでもいいですね、正直。自分のことだけ。100パーセント勝ちます。復活します。見ていてください」と自信とともに、復活を宣言している。  その公開練習後に、朝倉は『榊原社長に呼び出されました』に出演。あらためて好調をアピールした。  計量を1週間後に控えるなか、弁当を食べたばかりという朝倉は、「めっちゃ調子いいですね。いや、もう2週間前から71kgぐらいで。もう水抜き(だけ)で別に明日行けるぐらいなんで。いつでもできますよ、今からでもやれるし、もう覚悟決まってるんでやるだけです」と、すでに戦える状態にあるという。  そして、「練習してきたことをやるだけ。(記者会見で向き合った時、鈴木と何か感じるものは?)いや特に何も。でも結構、自信ありますね、たぶん俺は勝つと思います」と、勝利を予告した。  公開練習では、「もともと朝倉と戦いたかったか?」と問われた鈴木が「戦うことないかなと思ってた」と、互いに交わらない線上にあったとしたが、2022年3月の『 RIZIN LANDMARK vol.2』で平本蓮に判定勝ちしたときに鈴木は、「朝倉選手が引退するまでの間に僕、朝倉選手と戦えるように実力つけてここから上がって行くんで、そのときは俺と戦ってください」と、対戦をアピールしている。  そのときのことについて問われた朝倉は、「覚えてる。だって平本蓮と戦ったときだったんで、もちろん鈴木千裕を大応援してましたから」と笑顔を見せ、その後、鈴木と戦うことになることは考えていたか? と聞かれ「うーん、でもチャンピオンになって、色々な強敵を倒してる姿を見て“やりたいな”とは思ってましたね」と、頂点まで駆け上がった鈴木の姿に、対戦意欲が湧いたとした。  平本蓮の欠場が決まり、鈴木が強敵ダウトベックとの対戦が発表されるなか、朝倉は、自身と鈴木との試合の機運の高まりに、ダウトベック戦の中止を相談していたという。 「俺社長に言ってたんですよね。『ダウトベック戦、中止に出来ないですか』って。平本が欠場した時に、本当に鈴木千裕とやりたいと思ってたんで、でもまあ結局やることになって。(でもダウトベック戦が)終わった時点では“もうさすがに厳しいんじゃないかな”と思ってましたね。だから相手誰になるんだろう? って思ってたんですよ」と、一度は鈴木戦を諦めかけるなか、朝倉はリベンジを忘れない、もう1人の候補も榊原信行CEOに打診していたことを明かす。 「クレベル(との試合)も俺、言ったんですよ。クレベルとシェイドゥラエフはまだ発表してなかったんで。クレベルと俺の方が盛り上がるんじゃないですか。『俺、東京ドームでやられてるから、東京ドームでやり返しますよ』って言って。でも、もう“後ろ”では決まっちゃってるからみたいな感じだったんで」と、内定していたクレベルvs.シェイドゥラエフは崩せなかったと語った。  相手がみつからないなか、東京ドーム出場を回避することも考えられるが、朝倉に試合をしない選択肢はなかったという。 「出ないと成り立たないじゃないですか……なんで、出るしかなかった」と、東京ドーム大会のメインのフェザー級王座戦に次ぐ、セミのカードを自身が担う責任感から、出場を決めたとした。 [nextpage] 世間の評価なんか、これ以上下がることない。だから──  その鈴木戦を「負ける覚悟を持って楽しんで試合したい」という。  その想いは、朝倉のRIZINでの戦いの原点回帰ともいえる。2018年8月の『RIZIN.12』で朝倉未来は、RIZINデビュー戦を地元・名古屋で戦った。 「日沖(発)戦のとき、覚えてますよ。足に結構、重大な怪我を負っていて、PRP注射を足首に打ってました。名古屋の試合前、結構プレッシャーすごくて。というのも、今のBreakingDown選手みたいに簡単に出れる場所じゃなかったんですよ。RIZINの枠が少ないし、RIZINに出るってすごいことだった。なおかつ弟(朝倉海)が2連勝してたんですよ。(才賀)紀左衛門とマネル・ケイプに。それより『10倍強い兄貴が来た』みたいな煽りV出されて、ここで負けようもんならもうRIZIN出られないと思ってたんですよ」と、朝倉は重圧にガチガチになっていたという。 「試合前やっぱり控室でめちゃめちゃプレッシャーもあるわけじゃないですか。緊張してたんですけど、RIZIN関係者の人が来て、『社長が“面白い試合したら負けてもまた使うから”って言ってる』って言ったんですよ。それでもうちょっと気が楽になって“やってやろう”ってなったんですよね。それで結果勝ったんで」と、絶対に負けられないプレッシャーを越えて、得意の左ハイキックを迷いなく振り切り、KO勝ちを収めている。 【写真】2018年8月の『RIZIN.12』で日沖発と対戦した朝倉未来。その日沖は2025年4月27日、奇しくも『ROMAN2』で道衣MMAで復帰戦を行う。  RIZINデビュー戦から6年9カ月、朝倉は当時と同じような心境で、「それこそもう“負ける覚悟”を持っていきますよ、今回は」と2連敗で委縮することなく戦うと宣言する。 「もう別に世間の評価なんか下がってるんで、これ以上下がることないじゃないですか。だからなんかこう慎重な戦いをするわけじゃなく、今までやってきたことを全部出します」と、すべてを出し切って戦うと言い切る。  それは、敗戦も経て、自身の弱点とも向き合った末に掴んだスタイルだという。 「レスリングだったり、寝技の展開になった時に、俺がどんぐらい強いか知るんじゃないですかね、みんな」と、組み技・寝技の強化に自信があるからこそ、打撃も思い切りよく戦えることを示唆した。  JTTの練習メニューの変化とともに、チームとしての結束力も高まったという。 「練習メニューが変わったというか、引退してからボクシングと柔術が苦手だったんで、それをもう徹底的にやってきたんですけど、寝技はもう毎日ずっと練習してきましたね。もうぶっ続けで1時間とかずっと組み続けてきたんで。そこは5分3R、動き続ける自信はある。あとはスパーリングとかもみんなでして、みんなで意見を出し合うっていうのに変って断結力がすごい、まとまってきたなっていうのがあって。ちょうど今回、JTTから5人出るじゃないですか。結束力が上がって、みんなで勝とう、みたいな気持ちになってます。全勝したいという気持ちが強いです」と、JTTのチームとして勝ちたいとした。  鈴木の攻撃で一番警戒してる部分を右ストレートではなく「左フックですね」という。  分析力に定評があるが、「いつも『ファイトIQ、高いですよね』みたいに言われますが、普通にIQ、高いです」と笑うと、「今回、正直、鈴木選手の分析はめちゃめちゃしてきましたね。癖みたいなのも全部。弟(朝倉海)が分析したものも色々聞きました。『鈴木千裕の右は見やすいけど、返しのフックが思ったより伸びてくる』とか、そういう話は何個かもらって」と、「負ける勇気を持って勝ちに行け」の言葉通り、自身の強みを活かすために、相手の分析にも全力で取り組んで万全の体制で臨むつもりだ。 「セコンドは、弟と竹浦(正起)さんとなぜか堀(鉄平)さんが。堀さんの声が結構通るんですよね、高いんで。言ってることはもうメンタル的な部分。打撃に関しては弟が的確なこと言うし、寝技に関しては竹浦さんが言ってくれると思うんで、堀さんはいつも判定で今どっちが取ってるかっていう客観的な視点を持ってる。斎藤(裕)戦のときに弟もみんな俺が勝ってるってラウンド毎に言ってたんで、“このまま行けばいいか”みたいなのがあって、でも堀さんだけは『ちょっと負けてたかもね』みたいな感じで言ってたんで、そういう意見ってすごい大事で」と、チームも原点回帰の部分と、新たなパートを組み合わせた陣営になると明かした。  東京ドーム大会出場は2回目。初めてのドームは2021年6月のコロナ禍で、フルに観客を入れることは許されていなかった。今回は規制のないなか、大会は開催される。 「前回のさいたま(スーパーアリーナ)もスタジアムモードで4万8000人の観客が来てくれて、格闘技がこんだけ盛り上がって熱を持ってるっていうこと自体が僕は嬉しいです。もう本当にね、僕グスタボ戦で勝って4連勝したのに、総合格闘技の認知度がめちゃめちゃ低くて悔しかったんで。何年か経って、これだけ認知度が増えて熱を持ってるし、一般人が格闘家に対するリスペクトを持ってるじゃないですか。それが嬉しい」と、自身の戦いとYouTuberとしての活動で高めた知名度によって、MMAの認知度と、ファイターへの敬意が高まっているとした。  5月4日、朝倉未来はMMAに復帰する。その後のことは白紙だが「やりたいこと」は確実に残っているという。 「今後のことは分かんないけど、でもクレベルとやりたいっスね、俺は」と、最初の東京ドーム大会で失神一本負けしたクレベルへのリベンジは、忘れたことはないとした。  だから、今回、最強挑戦者であるラジャブアリ・シェイドゥラエフと戦う宿敵クレベルの勝利を願っているという。 「応援してますよ、クレベル選手。ボペガーしてもらって、クレベルと次、俺が戦って、俺がボペガーしますわ」と、前王者を倒すことで、一気にタイトルコンテンダーに名乗りを挙げて、クレベルとの対戦を実現したいとした。  クレベルも大晦日の相手として、朝倉戦を視野に入れている。「俺と戦うとファイトマネー上がるんすか?」と榊原CEOに問いかけた朝倉は、最後に「ついに来週ですか、僕自身もめちゃめちゃ楽しみです。この日に向けてねすごい練習してきたし、自信があるんで、それこそ負ける覚悟を持って、楽しんで試合したいと思います。是非皆さん期待して見てください、楽しんでください」と、大一番に向けて、充実の表情を見せた。  鈴木千裕、クレベル・コイケ、そして昨年末にラスベガスを訪れた朝倉には、さらに“その先”に大きな野望を抱いている。悲壮感なき復活ロードを進む朝倉は、大逆転の一歩を、黄金週間に踏み出そうとしている。
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