「空手のオリンピック種目化」を目指して設立され、現在400を超える加盟団体・会派・道場がある「全日本フルコンタクト空手道連盟」(JFKO)が、設立当初から目標としていた全世界フルコンタクト空手道連盟(WFKO)による『第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会』を2025年5月31日(土)・6月1日(日)に東京・有明アリーナで開催する。
また『第2回国際フルコンタクト空手道選手権大会』と『第1回国際シニア空手道選手権大会』も同時開催され、『FULLCONTACT KATATE EXPO 2025』としてフルコンタクト空手の博覧会とも言えるメガスケールのイベントとして行われる。
イベントの目玉となる『第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会』は、流派・団体の垣根を越えた初の世界大会で、世界各地で繰り広げられた選抜戦を勝ち抜いた精鋭が、男女10階級に分かれて初代王座を争う。各階級の見どころが主催者より届いた。第1回世界大会トーナメント表
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【男子重量級】
中心となるのは、日欧のエース格である多田大祐(白蓮会館・日本)とエヴェンタス・グザウスカス(新極真会・リトアニア)だろう。多田は自派の世界大会であるW.K.O(世界組手連盟)第6回世界大会無差別級や、W.K.O(世界組手連盟)2024空手ワールドカップ重量級を制している実力者だが、昨年5月には第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO全日本大会)重量級を初制覇し、今大会への切符をつかんだ。
一方のグザウスカスは新極真会第7回全世界ウエイト制大会重量級優勝をはじめ、新極真会の全ヨーロッパ大会重量級を4度制している最強外国人。昨年7月の新極真会空手Champion of Championsではグザウスカスが多田に勝利しており、今大会の決勝戦で再戦が実現するか注目が集まる。
そんな両雄に待ったをかけるのが、多田成慶(新極真会・日本)とゴデルジ・カパナーゼ(新極真会・ジョージア)。多田は171cmと重量級では小柄の部類に入るが、体格を補って余りある強靭な肉体とオフェンス力で、昨年10月には新極真会第56回全日本大会で初戴冠をはたすなど、豪快に勝利を積み重ねてきた。第9回JFKO全日本大会決勝戦で多田大祐に敗れているだけに、リベンジも見据えていることだろう。
カパナーゼは昨年の新極真会移籍後、全ヨーロッパ大会2024重量級準優勝、2024ヨーロピアンカラテチャンピオンシップ優勝とすぐに結果を残した。39歳にしてなお強さに磨きがかかるベテランは、日本にとって危険な存在となるだろう。
その他、JFKO全日本大会では5大会連続で入賞を続けている後藤優太(空手道MAC・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会重量級で優勝を争ったパウリウス・ジマンタス(新極真会・リトアニア)とアンタナス・クリバヴィシウス(新極真会・リトアニア)、第19回全アジアフルコンタクト大会重量級を制したウラジミール・アルチュシン(新極真会・カザフスタン)も優勝圏内にいる。
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【男子軽重量級】
ともに21歳の若き実力者ふたりがトーナメントの両端に陣取った。最終ゼッケンを背負うのは、中量級から軽重量級への転向初戦となった、昨年5月の第9回JFKO全日本大会軽重量級で初優勝を飾った金岡陽大(新極真会・日本)。対抗に位置するのは、金岡と同様に2023年の軽中量級から2階級上げて臨んだ新極真会全ヨーロッパ大会2024軽重量級で頂点に立った、ダヴィット・ムスカラゼ(新極真会・ジョージア)。この両雄が頂点に最も近い位置にいるのは間違いないだろう。
だが、第9回JFKO全日本大会軽重量級準優勝の片桐大也(極真拳武會・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽重量級王者のヨナス・ロジン(IFK・スウェーデン)をはじめ、2023年の新極真会第13回世界大会では金岡に勝利を収めている渡辺和志(新極真会・日本)、新極真会全ヨーロッパ大会2024、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会の軽重量級でともにファイナリストとなったヒューゴ・クルス(新極真会・スペイン)、ヨーロッパフルコンタクト大会軽重量級3位入賞で代表権を勝ち取ったカロヤン・タシェフ(新極真会・ブルガリア)、193cmの長身から繰り出す蹴り技を武器に、第19回全アジアフルコンタクト大会軽重量級を制したアンジェイ・キンザースキー(新極真会・カザフスタン)など、金岡とムスカラゼに引けを取らない実力者たちが虎視眈々と頂点を狙っている。
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【男子中量級】
ともに31歳と円熟味を増す福地勇人(白蓮会館・日本)、ラシャ・オズベテラシヴィリ(新極真会・ジョージア)が優勝候補の筆頭だろう。福地は選抜戦となった第9回JFKO全日本大会だけではなく、第4回大会、第6回大会、第1回国際大会と合計4度のJFKO制覇を誇る日本中量級の中心的な存在。自派では2度、階級別の世界王者にも輝いており、新たな世界タイトル奪取なるかに注目が集まる。
対抗に入ったオズベテラシヴィリは、新極真会全ヨーロッパ大会2022・2023軽中量級で連覇を飾ったのち、中量級に転向した2024年の同大会を制して世界の切符を勝ち取った。
それに続くのは、新極真会の体重別世界チャンピオンであり、2022年から昨年までの3大会連続でJFKO全日本大会中量級準優勝を誇る吉澤穂高(新極真会・日本)、新極真会の第13回世界大会4位入賞でブレイクをはたし、第19回全アジアフルコンタクト大会中量級を制して今大会へ駒を進めたアントン・ジマレフ(新極真会・カザフスタン)だろう。
だが、ジマレフと同じブロックには第1回ヨーロッパフルコンタクト大会中量級王者のサミュエル・ハラス(新極真会・デンマーク)、第5・7回JFKO全日本大会中量級王者の後迫龍輝(新極真会・日本)がいる「死のブロック」だけに、一筋縄ではいかないはずだ。
その他、第9回JFKO全日本大会中量級3位の新鋭・塚本慶次郎(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会中量級準優勝のアリ・ハイデル(新極真会・スウェーデン)、同3位のシモン・オルピンスキ(WKB・ポーランド)といったメンバーも有力候補だろう。
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【男子軽中量級】
前平斗真(新極真会・日本)、アンドレイ・ズィンチェンコ(新極真会・ジョージア)のふたりが優勝へ最も近い位置にいるだろう。第7回JFKO全日本大会軽中量級準優勝、第8回同大会3位とあと一歩で王座を逃してきた前平だが、第9回大会で初のビッグタイトルを獲得し、日本軽中量級の1番手として今大会へ臨むこととなった。
一方のズィンチェンコは新極真会の第6回世界ウエイト制大会軽量級準優勝や全ヨーロッパ大会優勝など、長年、新極真会軽量級戦線のトップクラスで活躍してきた実力派だ。
第9回JFKO大会軽中量級決勝戦で前平と優勝を争った大坪裕希(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽中量級王者のアリギスマト・ハサノフ(新極真会・アゼルバイジャン)、同準優勝のフセイン・マメドフ(新極真会・ウクライナ)、同3位のダタ・プツカラゼ(新極真会・ジョージア)、第8回JFKO全日本大会軽中量級王者の平木楓(白蓮会館・日本)、第19回全アジアフルコンタクト大会軽中量級を制したイェラマン・ムカシェフ(新極真会・カザフスタン)など実績のある強豪が、前平、ズィンチェンコに続く。
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【男子軽量級】
第9回JFKO全日本大会軽量級で初優勝を飾った紅谷凱(極真拳武會・日本)が最終ゼッケンを背負う。だが、日本のこの階級は毎年、上位陣の順位が目まぐるしく入れ替わっているため、その他の日本人3選手が頂点に立っても何ら不思議ではない。
紅谷と同じ20歳の新里誠光(武立会館・日本)は、第9回JFKO全日本大会軽量級準優勝で代表権を勝ち取った。最高の舞台で紅谷にリベンジをはたしたいところだろう。
同大会3位の澤井天心(新極真会・日本)は、第8回大会軽量級の準決勝で紅谷を下して優勝を飾っている。また第9回大会4位の魚本尚久真(魚本流空手拳法連盟・日本)も第6・7回大会軽量級のチャンピオンであり、実力差はほぼないと言えるかもしれない。
海外勢の1番手は、新極真会全ヨーロッパ大会2024軽量級を制して代表切符をつかんだミンディア・ムゲラゼ(新極真会・ジョージア)だろう。第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽量級王者のミハイロ・ナウムチク(新極真会・ウクライナ)、同3位のラシャ・シャンタゼ(新極真会・ジョージア)、第19回全アジアフルコンタクト大会軽量級優勝のエルハン・ドゥズバイェフ(新極真会・カザフスタン)がそれに続く存在だ。
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【女子重量級】
新極真会が誇る19歳の絶対女王・鈴木未紘(新極真会・日本)が頭ひとつ抜けた存在と言えるだろう。第8回JFKO全日本大会軽重量級、第9回大会重量級を制しているだけではなく、新極真会の第13回世界大会、第1回空手Champion of Champions、第54・56回全日本大会も制すなど、約2年半にわたって無敗街道をばく進している。新たな世界タイトルをつかみ、主要大会のグランドスラムを達成できるか。
打倒・鈴木の最右翼にいるのが、184cmの長身を誇り、新極真会の第7回世界ウエイト制大会重量級や全ヨーロッパ大会2024重量級を制しているブリジタ・グスタイタイテ(新極真会・リトアニア)だろう。昨年7月の新極真会第1回空手Champion of Championsでは決勝で鈴木に敗れているだけに、リベンジをはたしての優勝を目論む。
昨年は鈴木と3度激突し、いずれもあと一歩の惜敗に終わった藤原桃萌(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会重量級で優勝を飾ったチェンゲ・トート(新極真会・ハンガリー)がそれに続く存在だろう。
その他、第9回JFKO全日本大会重量級4位の小林由依菜(桜塾・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会重量級準優勝のエグレ・パナヴァイテ(新極真会・リトアニア)、新極真会2024ヨーロピアンカラテチャンピオンシップで代表権をつかんだマリヤ・セクンダ(新極真会・リトアニア)、第19回全アジアフルコンタクト大会を制したアリーナ・オシペンコ(新極真会・カザフスタン)と実力者がひしめいている。
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【女子軽重量級】
重量級の絶対女王が鈴木なら、久保田千尋(久保田道場・日本)は軽重量級の絶対的な中心と言えるだろう。第1・4・5回JFKO全日本大会重量級優勝、第1回JFKO国際大会重量級優勝、第7・9回JFKO全日本大会軽重量級優勝など、その実績は他に類を見ないものがある。世界の頂へ最も近い位置にいるのは間違いない。
それに続くのは、新極真会第7回世界ウエイト制大会重量級3位、新極真会全ヨーロッパ大会2019・2021・2023、2024軽重量級優勝のイヴァンカ・ポポヴァ(新極真会・ブルガリア)か。第8・9回JFKO全日本大会軽重量級準優勝、新極真会第13回世界大会3位など、ビッグタイトル獲得まであと一歩に迫っている目代結菜(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽重量級女王のアネタ・メスカウスキエネ(新極真会・リトアニア)がそれに続く存在だろう。
さらに、第9回JFKO全日本大会軽重量級3位の網川来夢(新極真会・日本)、同4位の篠原智美(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽重量級準優勝のアグネ・ラヴリノヴィシウテ(新極真会・リトアニア)、第19回全アジアフルコンタクト大会軽重量級を制したエルナラ・ドギズバイェワ(新極真会・カザフスタン)といった強豪が揃った。
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【女子中量級】
トーナメントの両端に入った水谷恋(久保田道場・日本)とリリ・メゾ(新極真会・ハンガリー)が優勝候補の筆頭だろう。水谷は第1回JFKO国際大会軽量級、第8回JFKO全日本大会軽中量級を制し、昨年5月の第9回JFKO全日本大会は中量級で優勝を飾って代表権を勝ち取った。
メゾは新極真会の全ヨーロッパ大会中量級で3連覇を飾っており、初の世界タイトル奪取の可能性も十分だ。
ふたりに続くのが、当時16歳ながら第9回JFKO全日本大会中量級準優勝と躍進をはたした漢鈴那(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会中量級優勝、KWF第4回世界大会中量級優勝の実績を誇るヴァレンス・ビケル(KWF・オランダ)だろう。
第9回JFKO全日本大会中量級3位の井上ほの花(新極真会・日本)、同4位の細谷誉(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会中量級準優勝のミリヤム・ビョークルンド(新極真会・スウェーデン)、第19回全アジアフルコンタクト大会中量級優勝のゼレ・カリモワ(新極真会・カザフスタン)も虎視眈々と王座を狙っている。
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【女子軽中量級】
最終ゼッケンを背負う富野真麻(白蓮会館・日本)、対抗に位置するマリアム・ツィクラウリ(新極真会・ジョージア)の日欧チャンピオンが中心となる。第4・6回JFKO全日本大会の中量級女王である富野は、昨年の第9回大会の軽中量級でも頂点に立ち、日本のエースとして世界の舞台へ臨むこととなった。
20歳の新鋭・ツィクラウリは新極真会全ヨーロッパ大会2024中量級で初入賞を優勝で飾る快挙をはたし、初となる世界戦に駒を進めた。
同い年のライバルである富野と激闘を繰り広げ、第7回JFKO全日本大会軽中量級優勝、第9回大会軽量級準優勝などの実績を持つ石野まこと(桜塾・日本)、新極真会全ヨーロッパ大会2024軽中量級準優勝、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽中量級優勝のテオナ・カズデリアーニ(新極真会・ジョージア)や、第9回JFKO全日本大会軽中量級3位の水谷藍(久保田道場・日本)、同4位の小嶋夏鈴(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽中量級準優勝のニカ・ヤコボヴィッチ(新極真会・クロアチア)、同3位のアンナ・イズデブスカ(新極真会・ウクライナ)など、実力者がひしめいている。
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【女子軽量級】
清水由埜(桜塾・日本)、ブリジタ・スヴィンクナイテ(新極真会・リトアニア)のふたりが実績で他をリードしている。清水は初出場となった第8回JFKO全日本大会軽量級で優勝を飾ると、第9回大会軽量級でも頂点に立ち連覇を達成。初の世界タイトル奪取へ視界は良好だ。
スヴィンクナイテも新極真会全ヨーロッパ大会2022・2023・2024軽量級で3連覇をはたしており、決勝でチャンピオン対決が実現する可能性は十分にある。
第8回JFKO全日本大会、第9回同大会ではともに決勝で清水に敗れ、三度目の正直を誓う森みいな(成心會・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽量級を制した39歳のベテラン、アロナ・フェレスニアク(新極真会・ウクライナ)がそれを追いかける。
さらに第9回JFKO全日本大会軽量級3位の山中咲和(新極真会・日本)、第1回ヨーロッパフルコンタクト大会軽量級準優勝のスミラ・ソボー(新極真会・デンマーク)、同3位のヨルダナ・ズダニウク(新極真会・ウクライナ)、第19回全アジアフルコンタクト大会軽量級女王のアイナズ・マシェノワ(新極真会・カザフスタン)といった面々も有力候補だろう。