得意のヒザ蹴りにさらなる磨きをかける白鳥(C)RISE
2025年3月29日(土)東京・両国国技館『RISE ELDORADO 2025』にて、同級3位・麻火佑太郎(PHOENIX)と第5代RISEスーパーライト級(-65kg)王座決定戦3分5R無制限延長Rを争う同級2位・白鳥大珠(TEAM TEPPEN)。
白鳥にとってはライト級王座に続く2階級制覇を目指した戦いであり、2024年12月の「GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX」1回戦でペットパノムルンに敗れて以来の再起戦となる。
むしろサウスポーの方が得意になってきた
――同門から本戦に3人が出るということで、いつも以上に気合いが入る部分はありますか?
「同じ日に向かってやっていくという面では気が引き締まるというか、もちろん全員で全勝して大会を終えたいなという部分があります。今プロ選手が多くて、みんなで切磋琢磨してやっているんですよ。ELDORADOが終わっても試合は続くから、ジムとしても活気があるので『自分もやらなきゃ』っていう気持ちになりますね」
――今回、白鳥選手にとっては久々のタイトルマッチになりますが、その辺りについてはいかがですか?
「この試合の発表会見とかで『正直タイトルに興味がない』っていう発言が自分にあったんですけど、試合が決まってその過程の中で、麻火選手が『このベルトに向けてやっている覚悟が違う』という発言をしていたんですけど、覚悟という面では一緒なんですよ。僕は『このベルトを目指しているから』っていう覚悟だけじゃないです。もちろん今回決まったからには『このベルトが欲しい、俺が獲る」っていう思いは確実にあるので。ただその先には、俺らの階級では世界タイトルもありますし、GLORYという世界に向けた戦いもあってどんどん広くなっていくので、そういった意味では覚悟はみんな持っているんですよ。
けどこのタイトルマッチが決まって、僕自身このベルトが欲しいっていう思いもありますし、2019年にベルトを獲って、あれから応援してくれる人が増えた中で、ベルトを巻いた姿をしばらく見せられてないんですよね。やっぱり格闘技でのチャンピオンベルトは“1番の象徴”だと思うので、応援してくれている人に恩返しという意味でも、巻いた姿を見せたいという思いが強いです」
――「その先」という言葉がありましたが、やっぱりその先はRISEとGLORYの24人トーナメントを見据えていますか?
「もちろん見据えてはいます。12月のトーナメントでは1回戦でペッチに負けて、世界の強さを肌で感じられたし、もう1回ペッチと戦いたいという思いは変わらないので、先を見据えていますけど、しっかり地に足を固めて今回の麻火選手は倒します。世界戦を見据えて言うと、しっかり差を見せて勝ちます」
――麻火選手の独特なスタイルや足の速さに関して対策はされているのでしょうか?
「ここ数戦を戦ってきた中ではいないタイプなので、もちろん警戒はしていますし、対策という面では試合が決まった時点で当たり前にしていますし、イメージも作っています」
――麻火選手の戦い方に対してのトレーニングパートナーなどはつけたのでしょうか?
「そういうことはしてこなかったです。あくまでジム内で選手みんなに協力してもらって作ってきたので、ジムを信頼してやっています」
――相手がサウスポーというのは、今更関係ないですか?
「今回でサウスポーが3戦連続なんですよね。元々そんなにサウスポーが得意な方じゃなかったんですけど、去年の9月の試合前からずっとサウスポーとの練習ばかりしていたので、むしろサウスポーの方が得意になってきたという感覚があります」
――これまで戦ってきた日本人の中で、明確に白鳥選手のポジションを奪いに行くというか、下から追い上げてきた選手っていないと思うんですけど、そのような相手を迎え撃つというのは、追われる者の立場のプレッシャーは余計に強いですか?
「僕も格闘技キャリアがそこそこ長くなってきて、久々に下の選手と戦うという事で、『自分もそういう歳になってきたのかな』とか色々考える部分もあるんですけど、まだ時代が変わるほどではないと思っています。自分が23歳でワールドシリーズを含めて2本のベルトを獲ってRISEを盛り上げてきた自負があるので。
だけど今どんどん下から若くて強い選手が出てきて、RISEってすごく未来があるなと思うんですけど、まだそこの世代に譲りたくないという思いもあるので、そういう気持ちの部分も含めて麻火選手には試合を通して伝えたいなというか。見ているファンに対しても、そういう俺の思いを伝えたいですね」
――先ほどのミット打ちではいつもよりヒザ蹴りが多い感じがしました。ヒザの攻撃は白鳥選手にとってすごく大きな武器だと思うのですが、より磨きをかけているんですか?
「ヒザにこだわって磨きをかけているわけではなくて、練習の中のごく一部をやっているだけです」
――先ほど「圧倒的な差を見せて勝たなければいけない」という話がありましたけど、この試合は白鳥選手にとってどういった位置付けになりますか?
「麻火選手の試合は過去に何度か見ていて、その中で『もしかしたらいずれやる事があるかも』って見ていた選手ではあったんですけど、まだ彼のキャリアは浅い方だと思いますし、これからの選手だと思っています。今回の試合で麻火選手が俺に負けたとしても、将来的にタイトルを獲るような選手だと思います。
だけど今回はまだ渡さないというか『今じゃないよ』って感じです。俺もいつまで現役を続けるか分からないですけど、あと10年やるとかそんなに先が長い訳ではないので、あまりもたもたしていられないなって思いがあります。ここで止まっている場合じゃないので、その先を求めて、気持ちを乗せて試合に挑みます」
――-自分が今までやってきた「RISEっていうのはこういうものだよ」っていう事を、麻火選手に試合を通して伝えたいと思いはありますか?
「もちろんあります。僕も麻火君くらいの年齢でRISEのトップに立ったので。年齢を重ねて、リングで向かい合って伝えられるものもあると思います。下から上がってきた選手に対してはぶ厚い壁でありたいですね」