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インタビュー

【UFC】マネル・ケイプ「5R戦で我慢強さが鍵になる」「どんなポジションも恐れていない」「平良達郎も朝倉海も本当にいい選手だ」「アスー戦後、100%タイトルに挑めるだろう」

2025/02/28 21:02
【UFC】マネル・ケイプ「5R戦で我慢強さが鍵になる」「どんなポジションも恐れていない」「平良達郎も朝倉海も本当にいい選手だ」「アスー戦後、100%タイトルに挑めるだろう」

(C)U-NEXT/Zuffa LLC/UFC

 2025年3月1日(日本時間2日)に米国ラスベガスのUFC APEXで開催される『UFC Fight Night: Kape vs. Almabayev』(U-NEXT配信)のメインイベントに、元RIZINバンタム級王者で現UFCフライ級6位のマネル・ケイプ(アンゴラ)が出場。当初フライ級1位のブランドン・ロイバルと対戦予定だったが、ロイバルの負傷欠場により、同級8位で、17連勝中・UFC4勝無敗のアスー・アルマバイエフ(カザフスタン)と対戦する。

▼フライ級 5分5R
マネル・ケイプ(アンゴラ)6位・20勝7敗(UFC5勝3敗)
アスー・アルマバイエフ(カザフスタン)8位・21勝2敗(UFC4勝0敗)※4連勝中
※ブランドン・ロイバルは負傷欠場

 米国ラスベガスUFC APEXで行われる同大会に向け、本誌とU-NEXTのインタビューでケイプは、急遽の対戦相手変更、アルマバイエフ戦の鍵、フライ級ランカーの平良達郎、朝倉海、そして王座挑戦等について語ってくれた。

ラボーナは水垣や朝倉海との試合でも使っていたよ

──ラスベガスを拠点としているマネル・ケイプ選手ですが、今回のファイトキャンプではどんなチームで練習していましたか。

「今回も変わらずエクストリーム・クートゥアーでトレーニングして、フィジカルはUFC PIで仕上げた。今回のキャンプはトレーニングパートナーは若いやつが多くてあまり有名な選手はいなかったけど、パウロ(デュラオ)っていう親友がいて、こいつがめちゃくちゃ強い柔術黒帯なんだ。いつも一緒に練習してるよ。レスリングの練習相手には、オールアメリカンのティシャってやつがいて、MMAで5戦無敗の超有望株さ」

──エクストリーム・クートゥアーとUFC PIはいつものケイプ選手の練習場所ですが、その練習をまとめるヘッドコーチも雇っているのでしょうか。それともご自身でヘッドコーチの役割を担っているのでしょうか。

「ヘッドコーチも変わらずいるよ。今回の試合に向けては、前回の試合と同じポルトガルのクレバー・レポリョ、パウロに加え、レスリングが強いコーベイ・フェア(※写真右)ってやつがいて、プロでは1勝1NCだけどアマチュア5勝でバンタム級王者になっているオハイオ出身の凄いやつなんだ。レスリングの知識がハンパない。コーベイには、かなりこのキャンプでサポートしてもらっていて、俺もこのキャンプでかなりできた。怪我もなく仕上がってるし、バッチリだな」

──2021年のコロナ禍のなか、より試合機会を得るために米国ラスベガスに移り住み、UFCデビュー戦のアレッシャンドリ・パントージャ戦こそ判定負けも、次戦のマテウス・ニコラウ戦はスプリットの惜敗。試合に向かう体制もしっかり作り、以降を5勝1敗(※黒星はムハンマド・モカエフに判定負け)で、ようやく1位のブランドン・ロイバルとの試合を決めました。

 しかし、ロイバルの怪我で対戦相手がアスー・アルマバイエフに変わりましたね。ロイバルはサウスポーの長身選手でしたが、アルマバイエフはオーソドックスのレスラーで、強いテイクダウンを軸に右アッパー、左フック、後ろ蹴りなどの打撃も繰り出すレスラーです。この変更に対してどのように5Rを戦う準備をしましたか?

「正直、特にファイトスタイルを変える準備はしていないんだ。自分はどちらのスタンスでも戦うから特に変える必要はないんじゃないかと思っている。ロイバル戦に向けて準備してたことが、そのままアスーとの試合にも使える事もある。

 ブランドンは俺より背が高い。俺は彼のボディを多く狙うつもりだった。一方のアスーは背が低いから、そのまま頭を狙える。彼は顎も鼻も狙われるから、ひどい血が出るだろう。土曜の夜、彼の顔は血だらけになる。彼は背が低いから、俺にとってはいいターゲットなんだ。

 あと今回重要なのは、5Rあるということ。我慢強さが鍵になる。アスーはスタミナに問題がある。序盤はガンガンペースを上げてくるけど、すぐ疲れるだろう。そこが弱点だと思っているしそこを狙ってブッ倒してやるよ。チャンピオンシップラウンドに入ることはないかもしれないけど、試合が長引けば、より自分自身を見せることができる。この前の試合(シウバ戦)でも俺はラウンドを重ねるごとに調子を上げてきたんだ。前回のパントージャ戦でも3R目に勝っている。だから、もし5R制の試合だったら、俺は間違いなく彼にも勝つよ。

 アスーは素晴らしい選手だとは思うけど、スタミナが弱点だからそこが俺のアドバンテージになると思っている。ケージは通常より小さくなるけど、それは俺が彼をとらえるために奏功するだろう」

──あなたは過去の試合でラボーナキックを見せて驚かせましたが、前回のブルーノ・シウバ戦でも使っていましたね。あなたがポルトガルのジュニアリーグのサッカー選手だったことは知っていますが、この技をMMAで使うことをどう思いついたのですか?

「そう、俺の試合を昔から見てるなら分かると思うけど、日本で戦ってたときからあのキックは使ってるよね。ミズガキ戦やアサクラ戦でもやったしな。結構使っているし、俺がどれだけ自信を持ってるか、どれだけリラックスしてるかを見せるための技って感じかな。タイミングがいい時、調子が良いときには出せるんだよ。試合を楽しんでる時はね」

──「Joga bonito(素敵に遊ぶ)」と写真に添えていましたね。あなたは元々ボクシング技術が高い選手ですが、近年はそのスタンド打撃の角度や移動のステップ、そしてキックもより効果的に感じます。前回の三日月蹴りもフィニッシュに結び付くものでした。

「俺は昔からいいキックはできるんだよ。ただ、ちょっと自分の技術は時々隠さないといけない時があるだろう? 試合によっては、相手に“こいつはボクシングしかできねぇ”と思わせておいて、そこからテイクダウンをしにいったり、キックを織り交ぜる。若い頃からムエタイやキックボクシングもやってるから、キックの使い方はバッチリ分かってるよ。

 ただ他の選手ほどには確かに使わないかもしれないが、タイミングを見てここぞって時に使うんだ。数回、キックでKOもしている。そのうちの一つは、RIZINで山本アーセンを左ヘッドキックでKOしたもの。ポルトガルでの試合でも若い時だがキックでKOしてるし、この前の試合はボクシングとキックのコンビネーションが活きる試合だったから見せる機会が多かったが、毎回そうなる訳じゃないんだ」

──あの三日月蹴りやヒザ蹴り、アッパーがあると、アルマバイエフがテイクダウンを狙うのに苦労しそうですね。

「アスーは確実に俺のヒザを警戒して、何とかレスリングしようと狙ってくるはず。でも、俺はグラウンドでも強いし、柔術黒帯も持っている。パッチー(ミックス)とも練習しているし、過去サブミッションでも何度も勝っている。グラウンドになる事もどんなポジションになる事も恐れていないし問題ないよ」

──フライ級にはあなたのライバルになる日本人選手がランキング入りしています。その1人は、当初あなたが対戦予定だったロイバルと戦った平良達郎選手。そしてRIZIN時代からの盟友・朝倉海選手です。パントージャ戦直後は、朝倉選手がフライ級に合っていないのではという意見もありました

「まずタツロウの話からすると、彼はロイバル戦でいい動きしていたよ。ただ経験が足りなかっただけだ。少し間違いを犯してしまったと思う。その間違いが5R続く中で影響していった。そう、今回は5Rだから、若手のフレッシュな選手だと特に5R戦になると経験の差が出る。経験豊富な選手だとその中でテイクダウンやディフェンスを巧みに使いながら4R以降も戦えるんだ。5Rになると最後の最後まで持ちこたえるハートと経験が大事になってくる。それがタツロウには足りてなかったんじゃないかな。

 カイ・アサクラについては、あらためて見るとフライ級でも大丈夫そうだと思った。今回はこの階級で初めての挑戦みたいなもんだから次はもっとうまくやるだろう。彼をテイクダウンするのがハードなことは俺は知っている。彼と戦った時にテイクダウンディフェンスに長けてたのも知っているし、実はコンプリートファイターなんだよ。ストライカーだからグラップリングはベストではないけど、それなりにできるし、いいトリックも使える。タツロウもカイも本当にいい選手たちだと思うよ」

──あなたは現王者のパント―ジャとオクタゴン初戦で戦い、RIZIN時代に許されていたレスリングシューズを脱いで足が滑るなかでも接戦でした。朝倉選手は、パント―ジャ戦でスタンドでも押されていましたが、原因はどこにあると思いますか?

「多分、テイクダウンディフェンスについて考えすぎていたのが原因だと思う。ディフェンスに意識がいきすぎて自分の打撃が出せず前にいけなかった。本来、カイは前にいくのが得意なはずなのに。いつもそれができてる時はいい試合ができていたはずだ。焦っていたんだと思う。ヒザ蹴りを当てたいとか、早くKOしたいとか。メインイベントで有言実行しなきゃっていう気持ちがあったんだろう。

 このレベルになるとディフェンスだけに意識をいかせてしまったらダメなんだよ。つまらない試合をしたらいけないとかそういう事ではなくて一番重要なのは勝つ事。少し落ち着いて、時間をかけてパント―ジャをしっかり見る事でフィニッシュする事もできたんじゃないかと思う。きっと興奮しすぎてしまったんだろう」

──さて、今回は対戦相手は変更されましたが、オクタゴンで4戦無敗、17連勝中の危険なアルマバイエフに勝てば、今度こそタイトルショットに近づけると考えていますか。

「もちろん。ブランドンは棄権した。ブランドン・ロイヴァルに勝てば、ランキング1位になっていただろう。試合キャンセルは僕のせいじゃない。その前にはデイブソン・フィゲイレード、アレックス・ペレス、カイ・カラ=フランス、みんな自分との試合をキャンセルしてきた。俺は自分の仕事をしてきただけだ。だからアスー戦の後、100%タイトルに挑めるだろう」


──いつも試合前にインタビューをありがとうございます。最後に、日本からU-NEXTで試合を見るファンに向けてメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとう! Xでも日本のファンからの応援を感じてるよ。俺はもうタイトルに手が届くところにいるし、今回の試合はそのための大事な一歩だ。日本のみんなの応援が力になるから、試合当日は応援を宜しくお願いします!」

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